甲飛第十三期殉國之碑保存顕彰会

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会報「總員起こし」  第 4号/昭和49年

高松宮殿下

昭和48年11月18日

「 甲飛行十三期殉國之碑除幕式 ご挨拶」

 

只今は滞りなく除幕の式が終わりましてお喜びを申し上げます。

第十三期甲種飛行予科練習生は、二万七千余の大勢力のしかも戦争末期に参加された訳でありまして、

直ちに各特攻作戦において終戦ということで千名に及ぶところの戦死者を出したように、今、ご遺族の、同

期の生存者も北から南へと全国広い地域に亘って散在すると存じられるのですが、今回ここに知性の努力

を集められて、わが国歴史の建国の由緒あるこの地に、殉国之慰霊が建てられたことは誠に意義の深い

ものを感じる次第で御座います。

 早くも戦後二十八年を経過致しまして、遺族の皆さん方は、わが子、我が同胞を当時の清く若々しい姿の

ままに瞼の内に或いは写真の面影に思い続けておられることと存ずるのであります。

 しかし一方、現にこうして生存の同期生の活動の姿を目の当たりにされます時に、亡き人の今居ればと、

うたた感慨深いものを感じられるのも又、ご無理ない事とお察し致すのであります。

国難に殉じられた人々の悲願は、祖国の興隆と日本国民の、建国以来持ち続けたところの民族の精神を護

る事にあったと存じます。

あの戦後の荒廃した時から今日の復興を見ることを出来ましたのも、只々この人々の悲願を我が心とされて、

頑張って来られたご遺族の方たち、また、その達成の責任を自らの上に感じられた生存者の精進の賜物で

あると信ずるのであります。

この間のご遺族の皆様方のお悲しみや、また、ご苦労というものは言葉に表せぬものが限りなくあったとお察し

致します。全くそうであったと存ずるのであります。

どうかご遺族の方々、特にお年寄りの方々は、生存の同期生と同年輩の方々も共々に、殉国慰霊碑を育てた

志に基づきまして、戦いのうちに命を賭けられた人々の願いを達成する望みを忘れる事無く慰霊を続けられる

事をお願い致します、と、同時に皆さん体に十分注意をされまして、この機会にお互いの懇親を結ばれて今後、

健やかに此の世の為にも尽くして頂く事を願いまして、私のご挨拶に代えさせて頂きます。

 

 

  

甲飛十三期殉國之碑除幕式 並びに第一回殉國之碑慰霊例祭に参列される高松宮殿下

 

本文及び写真は、故奥野敏夫様HP「若桜友苑・別冊」より転載

 

高松宮殿下

更新日:2007/10/12