田嶋隆純

大僧正、巣鴨プリズン教誨師

 

田嶋隆純は東京都江戸川区にある正真寺の住職で大正大学教授。戦後文学部長を務めた後、巣鴨プリズン

の二代目教誨師になった。

田嶋は死刑確定者たちに世俗的な説教をするのでなく、死刑囚の手を取って力の不足を詫び、ただひたすら

傍らで泣いた。

元海軍中佐が絞首刑の執行を受けた時、田嶋はひたすら涙を流しながら彼に付添い、絞首台の床が落下す

る乾いた音に激しく身をふるわせた。

元陸軍中将らの刑執行のときには、言葉を発することもできず彼等の体に取りすがって泣いた。

そして助命嘆願のため署名運動に奔走し、過労のためか巣鴨プリズンの中で脳出血で倒れた。

“巣鴨の父”と呼ばれ、受刑者から感謝状まで贈られた。

 

正真寺

東京都江戸川区

  

隆純地蔵尊

縁起

隆純大僧正 栃木に生る、多年フランスに留学研鑚 仏教の秘奥を極め 大正大学教授として訓育教□に励み 

又深く地蔵尊を崇敬し大慈悲心を体得し 昭和二十四年巣鴨拘置所教誨師に推され 戦争受刑者の□□□□災

厄解除慰安に全力を傾注し 寝食を忘れ助命赦免に東奔西走 遂に目的を達す 真に菩薩の□□連合国を感動

せしめたるもの 巣鴨の父□□□□□□せられたる誠に宣なり 是が過労により病魔に犯され遂に昭和三十二年

七月二十四日地蔵縁日に遷化 歳六十五 茲に檀信徒並有縁の者相議り 地蔵尊を入寂の地正真寺に建立し

大僧正の冥福を祈るとともに 弘く無量無辺の大慈大悲を誓願す

昭和三十三年七月二十四日  嶋田繁太郎

 

田嶋隆純大僧正墓碑

 

軍事裁判

更新日:2007/06/30