 |
 |
重賞２勝を含む３連勝中だったネオユニヴァースが、直線でのサクラプレジデントとの激しい叩き合いを制し、頂点に立った。タイム２分１秒２（良）。イタリアのミルコ・デムーロ騎手は昨年２着の屈辱を晴らす好騎乗を見せて、皐月賞での外国人騎手の優勝は昨年のブレッド・ドイル騎手に続いて２年連続となった。なおダービーの優先出走権は、３着エイシンチャンプ、４着ラントゥザフリーズまでの４頭に与えられた。〔写真左上：激しい叩き合いを制したミルコ・デムーロ騎手はネオユニヴァース（左）の鞍上で大きくガッツポーズ。同右上：ゴール後には“ドウダ！”と言わんばかりに田中勝春騎手（右）の頭をポコリ＝撮影・江角和宏。同下：第６３代皐月賞馬の座をつかんだＳＳ産駒ネオユニヴァース。イタリアの巧腕ミルコ・デムーロ騎手は誇らしげにファンの大声援に応えた＝撮影・金子貞夫〕
霧雨に煙る中山で、皐月賞史に残る壮絶な戦いが繰り広げられた。ミルコ・デムーロ騎手とともに、１２０％の力を発揮したネオユニヴァース。サクラプレジデントとの接戦を頭差制してゴールに飛び込んだデムーロは、体をスタンド側に傾けて左手で何度もガッツポーズ。さらに田中勝春騎手の頭をポーンと叩くおまけまでついた。
平成１１年に初来日してから、１０度目のＧＩ挑戦でつかんだ初の大冠。３人目の外国人クラシックジョッキーの誕生だ。「アリガトウゴザイマス。アイ・ビリーヴ・マイホース…」とクシャクシャのデムーロ。ほおは紅潮し、瞳もかすかに潤んでいる。
「もっといい位置を取りたかったが、外からどんどん来られて思ったより後ろになった。４コーナーでは前にスペースがなかったので、一瞬、脚を余して負けると思った」。しかし女神は見放さなかった。直線に向くとエースインザレースとザッツザプレンティの間に、“まさかの”１頭分のスペースができ、デムーロは瞬時に突っ込んだ。抜けた後はサクラのうちに潜り込み息詰まるデッドヒート。母国イタリアでは４月２０日はイースター（復活祭）。「こんな日にＧＩを勝たせてくれた神様に感謝したい」と子供のような笑顔だ。
６月１日のダービー（東京、ＧＩ、芝２４００メートル）には直行する予定。デムーロ、瀬戸口師とも「勝負根性が素晴らしいし距離が延びても大丈夫」と２冠馬誕生の可能性は十分だ。ただ注目はデムーロが乗るかどうか。２カ月の短期免許はきょう（２１日）で終了。「ダービーも乗りたいが、契約しているイタリアの調教師とも相談する必要があるので今は何とも…」と明言は避けたが、残る短期免許１カ月分をその時使うのか？ きょうイタリア（ミラノ）へと帰国するが、当分の間、その動向からは目が離せない。ダービーでの１番人気が確実となったネオユニヴァース。運命の６月１日に、その背にまたがるデムーロの雄姿が見たい。
|