２冠牝馬ベガを母に持つアドマイヤドンが混線を制し１番人気に応えた。ドンを管理する松田博調教師と藤田騎手は昨年の朝日杯にタガノテイオーで挑み２着を死守したが、テイオーはゴール後に骨折が判明し、予後不良。１年後のレースで悪夢を振り払った。タイム１分３３秒８は、グラスワンダーのレコードにコンマ２秒。中央入り初戦のヤマノブリザードが２着に入った。〔写真右：無傷の３連勝でＧＩを獲得したアドマイヤドン。来春のクラシック候補に一番名乗りだ。同下：昨年の悪夢を断ち切り優勝した藤田は、息子の翔君と一緒に記念撮影。パパの凄さが分かるかな…〕
昨年の悪夢を振り払うガッツポーズだった。スタンドに向けて藤田の左手が高々と挙がる。桜樫の２冠馬ベガを母に、ダービー馬アドマイヤベガを兄に持つアドマイヤドンが、無敗で２歳の頂点に輝いた。
１番人気という以上に、松田博調教師、藤田とも負けたくない一戦だった。昨年は１番人気のタガノテイオーで２着となったが、レース中の骨折が原因で短い生涯を終えた。藤田は今でも「他がどう言おうと、あの馬が一番強いと思っている」と話し、松田博調教師は昨年から中山に１度も足を運ばなかったほどだ。
そして１年後の舞台。ドンは期待にきっちり応えた。レースはデビュー以来、もっともハードだった。好位の５、６番手を進むが、４コーナーでは外から被せられる。しかし、きついマークも根性ではねのけ、直線を向いて前が開くとすぐさま反応。直線は抜群の瞬発力で能力の違いを見せつけた。１分３３秒８はレース史上２番目のタイムだ。
「結構、前にいた馬に閉められたり、イジメられたけど、それでもバランスを崩しながらよく辛抱してくれた」。誰よりも能力を買っていた藤田だけに、当然と言わんばかりだ。
松田博＝藤田コンビは、２年前にも１番人気確実のカーネギーダイアンがレース１週前に回避したことがある。それだけに、「３度目の正直で本当に良かった」と松田師がしみじみと話す。「まだ能力だけで走っている。もうちょっと筋肉がついてこないとアカン。これからもっと良くなっていくと思う」。トレーナーも可能性を感じている。
この後は厩舎で休ませて来年３月から始動予定。世代の頂点を極めて藤田の自信も確信に変わった。「結果を出したので来年はまず３冠を目指していきたい。それくらいできる馬だから」と堂々の３冠奪取宣言。その名の通り、首領として無傷の２歳王者は、堂々とクラシックロードを突き進む。
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