【スプリングS】“飛んで”アップル初重賞!矢の伸び脚見せた
さすがは高レベル重賞で好勝負してきた器。フライングアップルがどとうの末脚で馬群を突き抜けた(撮影・金子貞夫)
スプリングS(18日、中山11R、GII、3歳オープン、せん馬不可、馬齢、芝・内1800メートル、1着本賞金5400万円=出走11頭)皐月賞の最終トライアルは、最後方に待機していた1番人気フライングアップルが直線で矢のような伸び脚を見せ、粘り込みを図ったマイネルシーガルを3/4馬身かわして重賞初Vを決めた。1分49秒0(良)。皐月賞では、これまでアップルが東京スポーツ杯2歳S(2着)、共同通信杯(3着)で2度敗れているフサイチホウオーに、再び真っ向勝負を挑む。
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苦杯をなめた経験がしっかりと身になっていた。重賞では善戦止まりだったフライングアップルがインを強襲。粘り込むマイネルシーガルを並ぶ間もなくかわし、皐月賞へ堂々と名乗りをあげた。
スタートは周りの馬がうるさかった影響でひと息。出足はつかなかったが、パートナーの力を信じる横山典弘騎手は慌てない。後方をリズム良く追走し、じっくり構える。勝負どころを迎えても焦らず、コースロスを避け、冷静にインの空いたところを抜け出す。仕掛けられてからの伸び脚は、これが重賞初Vとは思えないほど、鮮烈だった。
「前半に無理しなかったせいもあるけど、いい感じで伸びてくれたね」と横山典は快勝劇に満足顔だ。「馬場があんまり良くなかったのに、終いは切れたね」と藤沢和雄調教師も笑顔を弾ませた。
重賞初挑戦だった昨秋の東スポ杯2歳Sはフサイチホウオーの2着に善戦。続く朝日杯FSはドリームジャーニーの4着に終わり、共同通信杯は果敢な積極策で再びホウオーに挑んだが、3着に敗れた。もどかしいレース続きだったが、この勝利は世代屈指の強豪に正攻法で立ち向かい、もまれたキャリアがダテではなかったことを証明。意図的ではなかったものの、抑える競馬で結果を出したあたり、アップルの学習能力の高さも特筆できる。
中身の濃い内容でトライアルを制しただけに本番へ向けての視界は良好だ。「本来、スタートはいいからね。前々で競馬のできる馬だし、中山も上手に走れる。きょうは寒かったのでレース前は少し(体が)硬かったから、暖かくなればもっと良くなる」と横山典は明言。「これまで特に問題のあった馬ではないし、このまま順調に行ってくれれば」と藤沢和師に注文はない。
フライングアップルは着実に進化を遂げ、晴れの舞台へ。関東が誇る最強タッグと言っていいトレーナーとジョッキーが戴冠へあと押しする。
(加藤隆宏)
■フライングアップル
父ラーイ、母ローザロバータ、母の父ファイアメーカー。鹿毛の牡3歳。美浦・藤沢和雄厩舎所属。米国・マッキーステーブルの生産馬で、馬主は山本英俊氏。戦績7戦3勝。獲得賞金1億605万3000円。重賞は初勝利。GIIスプリングSは藤沢和雄調教師が96年バブルガムフェローに次いで2勝目、横山典弘騎手も04年ブラックタイドに次いで2勝目。
★本番へ出応え!!…2着マイネルシーガル
3番人気マイネルシーガルは、逃げたショウワモダンに執拗に食らいついていった。V馬の切れ味に屈して僅差2着に敗れたが、本番を前に悪い内容ではなかった。
後藤浩輝騎手は渋面を作り悔しがったが、しばらくして冷静な表情に戻り、言い聞かせるように何度と無く頷いた。「少頭数の外枠。外を回らされるのが嫌だった。でもここまで速いペースになるとは思わなかった。勝った馬にはうまくやられた」。国枝調教師は後藤の報告を受けた後、「前々での競馬は指示。でも位置取りは微妙だったな。それでも、距離(2000メートル)は我慢してくれそうだし、本番ではこんな競馬はしないという意志表示になったと思う」と手応えを感じた様子で語った。
★素質の高さ証明…3着エーシンピーシー
出世レースのセントポーリア賞を勝っての挑戦だった米国産馬エーシンピーシーは好位からしぶとい競馬で3着。今年からマル外も3着以内に入れば優先出走権が与えられることになったため、ギリギリで皐月賞に出走できることになった。「できれば1コーナーで2番手につけたかったが、シーガルに先に行かれたからね。まだススッと動く器用さはないが、ゴール前でも、もう1度伸びていい脚は使っている。やはり能力はある」と蛯名正義騎手は素質の高さを再確認。ただ、蛯名はドリームジャーニーに騎乗するため、本番での鞍上は未定だ。
★イレ込み過ぎ…9着フェラーリピサ
2番人気のフェラーリピサは期待を大きく裏切る9着。「イレ込み過ぎちゃって。レース前からパニック状態」と柴田善臣騎手は憮然とした表情だ。白井調教師も「スピードが乗る芝の競馬を意識してギリギリに体を作りすぎた。力を出し切ったとは思わないし、芝がどうこうの判断はまだ先や」と苦虫を噛みつぶしたような表情。「皐月賞に向かうかどうかは様子を見てから」と微妙な情勢だ。
★後方から伸びず…8着サンツェッペリン
京成杯を逃げ切ったサンツェッペリンは前走とは一転して後方からレースを進めたが、直線で伸びず8着に敗れた。「急仕上げで返し馬の感触も良くなかった」と松岡正海騎手が振り返ったように中間、順調さを欠いたのが響いたようだ。「逃げて目標にされるよりはと控えましたが、不甲斐なかった。でも、叩いて良くなるから」と斎藤誠調教師。「(本番に)つながるレースはできたし、次は逃げます」と松岡は巻き返しへ力強く宣言した。
★フサイチホウオー優勢
スプリングSで皐月賞のTRが終了した。フライングアップルの優勝により、改めて4戦4勝・重賞3連勝のフサイチホウオーの強さがクローズアップされ、ホウオー優位の図式は動かないままだ。フルゲートは18頭。賞金上位馬は、現状では1200万円馬が抽選対象となっているが、今週は阪神で毎日杯(1・2着に賞金加算)が行われるため、状況は変わってくる。