【共同通信杯】クラシックへの通過点!ホウオー無傷の4連勝
着差はクビでも、無敗馬の意地と実力は存分に見せつけた。1番人気フサイチホウオー(右)がデビューから無敗の4連勝を飾り、皐月賞制覇に王手をかけた(撮影・金子貞夫)
第41回共同通信杯(4日、東京11R、GIII、3歳オープン、別定、芝1800メートル、1着本賞金4200万円=出走9頭)安藤勝己(46)騎乗のフサイチホウオーが1番人気に応えて無傷4連勝で重賞3連勝を決めた。タイム1分47秒7(良)。ダービー馬の父ジャングルポケットと親子Vを達成したホウオーは皐月賞に直行。無敗のクラシック制覇に挑む。2着はダイレクトキャッチ、ディープインパクトの弟で2番人気のニュービギニングは4着、交流GI全日本2歳優駿馬で公営・船橋所属のフリオーソは7着だった。
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俺の前には絶対に出させない−。直線の攻防は無敗のプライドを感じさせるものだった。3戦3勝で挑んだフサイチホウオーが、英雄の弟も公営のGI馬も蹴散らして重賞3連勝。父ジャングルポケットも勝ったレースを制し、クラシックロードの先頭に躍り出た。
スタートしてすぐに2コーナーを迎えるトリッキーな東京芝1800メートルにも安藤勝己騎手の頭は冷静だった。「返し馬で左にモタれていたから、先行するより前に壁を作りたい」と、スタートしてすぐに中団に控える。先行勢を射程圏に捕らえたまま3コーナー過ぎに進出すると、直線で先に抜け出したフライングアップルを叩き合いで下し、外から急襲してきたダイレクトキャッチをクビ差封じた。
「4コーナーを回ってからの手応えは、正直、物足りなかった。もっとグンッと弾けると思ったけど…」。アンカツから、無傷の4連勝でも辛口のコメントが出るのは期待の大きさの表れだ。「最近では一番落ち着いていたし、大人になったなと思ったけど、まだ力が付ききっていないし、緩いところもある。これからもっと良くなるよ」と、現時点で世代トップの評価を得てもなお、さらに奥があるというのだから末恐ろしい器だ。
追い切り後に栗東では降雪があり、キャンターでの調教ができず、10キロ増での出走。松田国英調教師は余裕残しの仕上げを打ち明けたが、そんな状態で勝てたことで、無敗でのクラシック制覇が現実的になってきた。
この後は皐月賞(4月15日、中山、GI、芝2000メートル)に直行。ダービー馬の父ジャングルポケットが3着に敗れた牡馬クラシック第1冠もホウオーなら獲得できそうだ。「ラジオNIKKEI杯2歳Sで右回りも経験しています。先行できることが皐月賞の勝敗を左右することが多いですが、ホウオーはそれができますから」と、タニノギムレット(02年)、キングカメハメハ(04年)の2頭のダービー馬を育て上げたトレーナーが自信をみなぎらせる。
朝日杯FSを勝って最優秀2歳牡馬となったドリームジャーニーも東スポ杯で3着に撃破。「負けたらテンション下がるから、無敗でクラシックに行けるのはいいこと」と、アンカツのモチベーションも最高潮だ。負けることを許さない誇り高きフサイチホウオー。こいつを追い抜くことは超困難だ。
(柴田章利)
■フサイチホウオー
父ジャングルポケット、母アドマイヤサンデー、母の父サンデーサイレンス。鹿毛の牡3歳。栗東・松田国英厩舎所属。北海道安平町(旧早来町)・ノーザンファームの生産馬で、馬主は関口房朗氏。通算成績4戦4勝。総獲得賞金1億1425万3000円。重賞は06年GIII東スポ杯2歳S、GIIIラジオNIKKEI杯2歳Sに続き3勝目。GIII共同通信杯は松田国英調教師、安藤勝己騎手とも初勝利。
★関口オーナー「ターゲットはダービー」
コスチュームは真っ赤な背広の上下。関口房朗オーナー(70)が、フサイチホウオーの3枠と同じ色に統一した姿で表彰式に登場すると、スタンドから歓声がどっと沸く。すかさず、投げキッスで応える。ド派手好きな名物オーナーのパフォーマンスは健在だ。
「勝てると確信していたから、平常心で見ていられた。戻ってきた時も息が上がっていなかったし、まだ本気で走っていない感じだな。あくまでターゲットはダービー。手応えは十分やな」と胸を張る。
無傷の4連勝を飾り、クラシックの不動の本命のオーナーとして誇らしげだ。自信度はフサイチコンコルド(96年日本ダービー)、フサイチペガサス(00年ケンタッキーダービー)と同等。この春は“房朗節”が冴えわたることになりそうだ。
★初の芝、中央突破ならず…7着フリオーソ
ダーレー・ジャパンが送り込んだ公営・船橋所属のGI馬フリオーソは、初の中央で芝も初挑戦だったが7着に終わった。内田博幸騎手は「集中して走ってなかった。コースも気にしていた」と振り返ったが、「これなら芝は大丈夫だなという感じ。1度経験したことは大きいし、次はもっと走れる」と感触は悪くない。川島正行調教師は「レースは決めてないけど、芝へ」と、あくまでも春のクラシック舞台を目指す考えだ。
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