【きさらぎ賞】幸四郎、好騎乗で代打V!キングス重賞初制覇!
第47回きさらぎ賞(11日、京都11R、GIII、3歳オープンマル混、別定、芝1800メートル、1着本賞金4200万円=出走8頭)3番人気のアサクサキングスが逃げ切り重賞初制覇。クラシック戦線に存在をアピールした。タイム1分48秒8(良)。落馬負傷の四位洋文騎手に替わり手綱を取った武幸四郎騎手(28、写真)=栗東・フリー=は見事に代役を果たした。2着は札幌2歳S馬ナムラマースで、圧倒的な1番人気に推された武豊騎乗のオーシャンエイプスは4着に敗れた。
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“オレはこれだけ強いんだ”。そう言わんばかりにアサクサキングスが鮮やかな逃げ切りを決めて、オーシャンエイプスとナムラマースの2強を一蹴。初タイトル奪取でクラシック有力候補に名乗りを上げた。
スタートを決めると後続に影を踏ませず逃げ切ったアサクサキングス(撮影・山田喜貴)
「ゲートの裏で、馬が“その気”になっていたんだ。後ろの馬のことは気にせず、フワッと乗った。走るわ、この馬」
レース直後、武幸四郎騎手が熱く語り始めた。スタートを決めると先頭へ。馬の気持ちに逆らわず馬場の荒れていない場所を進む。4コーナーを回り、ハミをかけ直してゴーサイン。一気に後続馬を突き放しにかかる。余裕があり過ぎ、ラスト100メートル付近では内外へフラフラしていたほど。1馬身3/4という着差以上の強さを見せつけた。
幸四郎は四位洋文騎手が7Rで落馬負傷したための代打。オーソリティバイオの出走取消で騎乗馬がいなくなったが、巡ってきたチャンスをモノにした。全くのテン乗りでも色気を持っていた。「競馬前に四位さんから伝言があったんです。『前に行くような競馬をした方がいいと』。この馬のレースは何度も見ていたし、いい馬を頼まれて、楽しみだったんです」。
大久保龍調教師も満面の笑みを浮かべる。「気分よく走れたのが勝因。しぶといところを見せてくれました。クラシックに使える賞金を加算できてよかった」。05年安田記念馬アサクサデンエンなど“アサクサ”の冠名で知られる田原源一郎さんは今年1月4日に死去(享年77)。現オーナーで夫人の慶子さんによると、生前、キングスの活躍をとても楽しみにしていたそうで、天国に捧げる弔いVとなった。
今後は体調を見ながら、皐月賞(4月15日、中山、GI、芝2000メートル)に直行するか、間に1回使うかを決める。
「フサイチホウオーに勝ちたい」。トレーナーの視線の先には昨年暮れのラジオNIKKEI杯2歳S(5着)で後塵を拝した無敗馬がいる。“打倒ホウオー”を胸に秘め、アサクサキングスがクラシックロードを突き進む。
(宇恵英志)
■アサクサキングス
父ホワイトマズル、母クルーピアスター、母の父サンデーサイレンス。鹿毛の牡3歳。栗東・大久保龍志厩舎所属。北海道・千歳市の社台ファームの生産馬で、馬主は田原慶子氏。戦績4戦3勝。獲得賞金6273万9000円。重賞初勝利。GIIIきさらぎ賞は大久保龍志調教師、武幸四郎騎手とも初制覇。
★1番人気、兄・ユタカのエイプス4着
伸びなかった。デビュー戦で持ったまま8馬身の圧勝を演じ、単勝1.3倍と断然の1番人気に支持されたオーシャンエイプスは、中団から動いて4角で2番手まで浮上したが…。不可解な4着敗戦に、武豊騎手も「走らんかったね。なんでだろう」と首をひねるしかなかった。
「返し馬も新馬戦よりよかったのに。調教で見せる走りじゃなかった。(クラシックまで)あまり時間がないだけに予定が狂ったけど、そんな失望することもない」。最後は気持ちを切り替えていた。
父マヤノトップガンも95年、3歳1月の新馬戦でデビュー。4戦目の未勝利戦で勝ち上がり、春のクラシックは無縁だったが、秋を迎え神戸新聞杯2着、京都新聞杯2着から菊花賞を制し、初の重賞がクラシック。さらに同年の有馬記念も優勝した。エイプスは今回、重賞初挑戦で苦杯を喫したが、春のクラシックに向けて反攻が期待される。
★最速の上がりも2着ナムラマース
底力は示したが…。2番人気のナムラマースはメンバー最速の上がり3ハロン33秒9の脚で追い上げたが、2着に食い込むのがやっとだった。「3、4コーナーでズブいところがあったが、それでも最後は伸びてくれた。勝ち馬にはやられたが、負けて強しじゃないか」。1800メートルで初の敗戦(4戦3勝)となったが、オリビエ・ぺリエ騎手は悲観していなかった。このあとは弥生賞(3月4日、中山、GII、芝2000メートル)かフジテレビ賞スプリングS(3月18日、中山、GII、芝1800メートル)を使って皐月賞へ向かう。
★粘って3着…サムライタイガース
アサクサキングスの2番手を追走したサムライタイガースが3着に粘った。ゴール寸前でナムラマースにかわされたが、未勝利Vから3カ月ぶりの実戦で大本命のオーシャンエイプスを抑え込んだ内容は評価できる。「返し馬のときから雰囲気はあった。レースでは真っすぐ走ってくれたし、いいところがあるよ」。レースでは初騎乗だった安藤勝己騎手は善戦を称えていた。
【アラカルト】
◆きさらぎ賞の勝ち馬 近年では90年ハクタイセイ(皐月賞)、98年スペシャルウィーク(ダービー)、99年ナリタトップロード(菊花賞)、03年ネオユニヴァース(皐月賞、ダービー)がクラシック制覇。
◆1番人気馬 1.3倍の断然人気になったオーシャンエイプスは4着。1番人気馬は01年にアグネスゴールドが勝ったのが最後で6連敗。
◆武幸騎手 重賞は今年初Vで、通算20勝目。1月21日の平安Sは騎乗停止中で騎乗できなかったお手馬メイショウトウコンが石橋守騎手とのコンビで勝ったが、今回は四位騎手の落馬負傷で急きょ乗り替わってのV。
◆大久保龍調教師 昨年のユニコーンS(ナイキアースワーク)以来通算2勝目の重賞勝利。
★京都競馬場入場者、前年比3割UP
オーシャンエイプスの出走で話題を集めたきさらぎ賞当日の京都競馬場の入場人員は3万5113人。前年比127.6%と大幅にアップした。エイプスは4着に敗れたが、スター誕生を望むファンの関心は高かったようだ。売り上げは8頭立てで馬券的な妙味が薄かったため、40億6373万1400円で前年比90.9%にとどまった。
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