【阪神ＪＦ】トールポピーが２歳女王！ウオッカに続き角居師連覇

池添騎手が選んだトールポピー（左）が豪快な末脚でＶ。先輩ウオッカ同様、２歳女王が来年目指すのはクラシック制覇だ（撮影・金子貞夫）

さすがの手腕。角居調教師（右から２人目）は１勝馬トールポピーでウオッカに続く連覇を決めた（撮影・安部光翁）

　第５９回阪神ＪＦ（２日、阪神１１Ｒ、ＧＩ、２歳牝馬オープン、馬齢、芝・外１６００メートル、１着本賞金６０００万円＝出走１８頭）池添謙一騎乗の３番人気トールポピーが、直線で鋭く伸び、レーヴダムールとの叩き合いをクビ差制して、２歳女王の座に就いた。１分３３秒８（良）。角居勝彦厩舎は連覇で、黄菊賞２着から抽選をクリアしての出走→Ｖは、昨年の覇者ウオッカと全く同じ。ウオッカはその後にダービーを制覇、ポピーも来年、クラシック制覇への期待が高まる。１番人気のファンタジーＳ馬オディールは４着に敗れた。

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　幸運だけじゃない。２歳女王の座を『能力』で勝負強く引き寄せた。６／１２の抽選を潜り抜けた１勝馬トールポピーが末脚を爆発させて、厩舎の先輩ウオッカに続く、連覇を決めた。

　「ヨッシャー！」

　右手で派手なガッツポーズを決めた池添謙一騎手は、左拳で２着レーヴダムールの藤岡佑介騎手とハイタッチ。「よく頑張ったな」とポピーの首筋に抱きつき、全身で喜びを表した。

　中団のやや後方から直線で大外に持ち出し、外のレーヴとともに末脚を伸ばした。クビ差抜け出す勝負強さは１勝馬らしからぬもの。「手応えは良く見せなかったが、一歩ずつ伸びる。外を回らされたり、ぶつけられたりしたが、精神面がタフで頑張ってくれた」と池添。０４年秋華賞、０５年宝塚記念、０５年エリザベス女王杯をともに勝ったスイープトウショウがこの秋で引退、池添にとっては代わる“女王”の誕生だ。

　「ヨシッ！」。ゴールの瞬間、レーシングプログラムをパシッと叩いた角居勝彦調教師は「（池添が）いい馬をみんな降りてくれた責任を果たせた」。池添は出走確実な２勝馬のレジネッタ、ヤマカツオーキッドにも騎乗できたが、リスク承知でポピーを選んだ。「夏に初めて乗った時に、ＧＩを意識して、『この馬で』と除外を覚悟して行った」。それほど女王は魅惑的だった。

　黄菊賞２着→抽選クリアからのＶは昨年の覇者で、牝馬として６４年ぶりにダービーを制したウオッカと同じ。ポピーも五大クラシック（桜花賞、皐月賞、オークス、ダービー、菊花賞）第１回登録を済ませてある。

　「去年（ウオッカ）は力が抜けていると思っていたが、今年はいい競馬をして来年が楽しみになればと思っていた。来年は、トライアルから桜花賞（４月１３日、阪神、ＧＩ、芝１６００メートル）」と角居師。まずはウオッカが２着に敗れた桜花賞を目指す。その先も「距離が長い方がいいし」と池添のトーンが上がる。来年のＧＩ舞台でも、トールポピーがヒロインとなる。

（森田実）

★キャロット高橋代表「全て運あった」

　トールポピーが抽選を潜り抜けた運を最大限に生かした。（有）キャロットクラブの高橋二次矢代表も「全て運があった。抽選をクリアできたため、ここ（優勝台）に居られるわけですからね」と感激。「池添くん（騎手）の慧眼はさすが。よく騎乗馬を選んでくれた」とジョッキーへの感謝も忘れなかった。

　生産者のノーザンファーム（北海道安平町）はジャパンＣダート（ヴァーミリアン）、ジャパンＣ（アドマイヤムーン）に次いで３戦連続のＧＩ制覇だ。「よく走ってくれました。それもすべて抽選で出走できたことにつきます」と吉田勝己代表。ジャングルポケット（０１年ダービー）の産駒はＧＩ初勝利。ダービー（７着）で１番人気に推された全兄フサイチホウオーはクラシックを勝てなかったが、来春のクラシックで妹がその無念を晴らしてくれそうだ。