【朝日杯FS】圧逃ゴスホーク!上がり最速2馬身半差完封!

ゴスホークケンV厳しい抽選をくぐり抜けたゴスホークケンが完璧な逃走劇。1頭だけ力が抜けていた(撮影・金子貞夫)

ゴスホークケンV厳しい抽選をくぐり抜けたゴスホークケンが完璧な逃走劇。1頭だけ力が抜けていた(撮影・金子貞夫)

 第59回朝日杯FS(9日、中山11R、GI、2歳オープン、馬齢、芝1600メートル、1着本賞金6000万円=出走16頭)1/8の抽選を潜り抜けて出走した、勝浦正樹騎乗の3番人気ゴスホークケンが、最内枠から果敢にハナを切り、上がり3ハロンもメンバー最速の切れ味を繰り出す完璧な内容で、2歳チャンプの座を射止めた。タイム1分33秒5(良)も、04年マイネルレコルトの1分33秒4に次ぐ、02年エイシンチャンプと並ぶ朝日杯史上2位。1頭だけ強さが際だっていた。斎藤誠調教師はGI初制覇。

 すべての流れが、ゴスホークケンを2歳チャンピオンに導いた。8分の1の抽選突破、そして外枠不利の中山マイルでの最内枠ゲットと、“強運”を味方に、GIタイトルを奪取した。

 真っ先にゲートに入ったケンは、セレスハントがゲート入りにてこずっていたため長く待たされた。「ゲート裏でも力んで落ち着きがなかった。スタートだけはと集中して乗りました」と、勝浦正樹騎手はゲートが開くその一瞬に全神経を研ぎ澄ませた。その集中力が最高のロケットスタートを産み出し、「無理なく先手が取れてシメシメと思った」と、マイペースの逃走劇を決めた。

 4コーナーでも手応えは楽なままで、直線もその勢いは止まらず、上がり3ハロン35秒2はメンバー中最速。逃げ馬が一番の切れ味を発揮すれば、ついてこれる馬は当然いない。2馬身半差の完勝に「最後は必死に追いました。GIはもう勝てないと思っていましたから」と勝浦。香港に遠征した田中勝春騎手に替わるテン乗りで、02年NHKマイルC(テレグノシス)以来5年半ぶり2度目のGIを手にして、「夢なら覚めないでほしいですよ」と感激していた。

 1/8の抽選突破を果たした時、「これで6000万円は頂きました」と言っていた斎藤誠調教師は「本当に6000万円頂いてしまいました」。開業2年目、サンツェッペリンの皐月賞でハナ差2着に敗れた借りを、同じ中山で返した。「本当に強運の持ち主ですね」というケン。ただ、抽選を潜り抜け、外枠不利の中山マイルで最内の1番枠を手に入れた運は確かにあったが、実力がなければGIは勝てない。強い上に強運も引き寄せたケンは、2歳チャンプにふさわしい馬だった。

 今後は放牧に出されて来年に備える。「距離は融通が利くと思っています。来年は難しい選択になると思いますが、うまく育てていきたい」。斎藤誠師はマイルだけに絞らず、皐月賞などクラシックにも目を向けていくつもりだ。暮れの中山で誕生したシンデレラボーイの未来は、無限に広がっている。

(高尾幸司)

■ゴスホークケン

 父バーンスタイン、母オールザウェイベイビー、母の父グランドスラム。黒鹿毛の牡2歳。美浦・斎藤誠厩舎の所属。米国・フォーホースメンズランチの生産馬で馬主は藤田与志男氏。戦績は3戦2勝。獲得賞金は7297万6000円。重賞はGI朝日杯FSが初勝利。勝浦正樹騎手、斎藤誠調教師ともに朝日杯FSは初勝利。

美人女優が祝福GI2勝目の勝浦正樹騎手(右)をプレゼンターの田丸麻紀(左)が笑顔で祝福。藤田与志男オーナーもGI初制覇に笑みが絶えない(撮影・佐藤雄彦)

美人女優が祝福GI2勝目の勝浦正樹騎手(右)をプレゼンターの田丸麻紀(左)が笑顔で祝福。藤田与志男オーナーもGI初制覇に笑みが絶えない(撮影・佐藤雄彦)

★藤田オーナー感激!12年目の初GI

 小ぎれいなスーツに身を包んだ藤田与志男オーナー(66)=都内で輸入貿易業を営む=は、トレードマークの野球帽を頭上に掲げ、満面の笑みで喜びを表した。「枠順がよく、先行してスピードと終いの切れで勝負する。見事にジョッキーが乗ってくれました」。馬主になって12年目、初めて味わう、GIの美酒(これまではアポインテッドデイの03年朝日杯FS3着が最高)だ。

 マルターズやシベリアンなどの冠をつける大の犬好きとして有名で、この馬も、大鷹(ゴスホーク)と犬(ケン)を組み合わせた。米マイアミのOBS社の3月のトレーニングセールで、16万ドルで購入した時から、「絶対に走る」と信じて疑わなかった。「セールでは10秒1(1ハロン)で走り抜けていた。調教を積むたびに良くなっていきましたから」。その“相馬眼”には脱帽だ。

(水戸正晴)

★入場・売上

 9日の中山競馬場の入場人員は4万5768人で前年比91.4%。朝日杯FSの売り上げは129億8181万8500円で同94.8%と、こちらも伸び悩んだ。

11R 第59回 朝日フューチュリティ(GI)
サラ系2歳 1600m 芝・右 外
(混合)牡・牝(指定)オープン 馬齢
本賞金: 6000、 2400、 1500、 900、 600万円 発走 15:25
天候:晴   芝:良
着順 馬番 馬名 性齢 負担
重量
騎手 タイム 着差 推定
上り
馬体重 調教師 単勝
人気
1 1 1 マル外ゴスホークケン 牡2 55.0 勝浦正樹 1:33.5   35.2 518 -2 斎藤誠 3
2 2 3 マル父レッツゴーキリシマ 牡2 55.0 幸英明 1:33.9 2 1/2 35.3 460 +8 梅田康雄 10
3 4 7 マル父キャプテントゥーレ 牡2 55.0 川田将雅 1:33.9 クビ 35.4 458 +6 森秀行 4
4 2 4 ドリームシグナル 牡2 55.0 C.ルメール 1:34.1 1 1/2 35.4 460 -2 西園正都 8
5 5 9 マル父マル市スズジュピター 牡2 55.0 柴田善臣 1:34.7 3 1/2 35.7 472 +2 高橋裕 1
6 4 8 フォーチュンワード 牝2 54.0 松岡正海 1:34.8 クビ 36.1 488 +2 古賀慎明 9
7 6 11 ヤマニンキングリー 牡2 55.0 武豊 1:34.8 ハナ 36.0 452 +4 河内洋 5
8 1 2 マル市セレスハント 牡2 55.0 蛯名正義 1:34.8 クビ 36.0 476 +10 松永幹夫 15
9 5 10 マル外エーシンフォワード 牡2 55.0 福永祐一 1:34.9 1/2 36.1 464 -6 西園正都 6
10 3 6 マル市ウイントリガー 牡2 55.0 四位洋文 1:35.0 クビ 35.9 470 +16 山内研二 12
11 7 14 マル外アポロドルチェ 牡2 55.0 後藤浩輝 1:35.0 アタマ 36.1 466 0 堀井雅広 2
12 8 15 マル市ドリームガードナー 牡2 55.0 吉田隼人 1:35.1 1/2 35.7 454 +10 中村均 11
13 8 16 マル父サブジェクト 牡2 55.0 安藤勝己 1:35.2 1/2 35.9 470 +8 池江泰郎 7
14 6 12 マル父ミリオンウェーブ 牡2 55.0 小牧太 1:35.3 3/4 36.2 484 0 宮本博 16
15 7 13 スマートギャング 牡2 55.0 岩田康誠 1:35.4 クビ 36.2 454 +6 畠山吉宏 13
16 3 5 マル父マル市ギンゲイ 牡2 55.0 北村宏司 1:36.2 37.7 468 +8 岩戸孝樹 14
タイム
ハロンタイム 12.3 - 11.1 - 11.3 - 11.6 - 12.0 - 11.9 - 11.3 - 12.0
上り 4F 47.2 - 3F 35.2
コーナー通過順位
2コーナー 1,5(7,8,10,11)(3,9)(4,13,14)(6,12,15)(2,16)
3コーナー 1(5,7)3(4,8)(2,10,11)(9,14)(6,12,13)16,15
4コーナー 1,7(3,5,8)(4,11)14(2,9,10,6)(12,13)(16,15)
払戻金
単勝 1 620円 3番人気 馬連 1-3 8,290円 32番人気 馬単 1-3 13,340円 56番人気
複勝 1
3
7
260円
730円
330円
3番人気
9番人気
4番人気
ワイド 1-3
1-7
3-7
2,590円
1,220円
3,250円
33番人気
15番人気
39番人気
3連複 1-3-7 23,810円 76番人気
3連単 1-3-7 139,620円 438番人気
枠連 1-2 2,530円 14番人気