第３９回シンザン記念（１０日、京都１１Ｒ、ＧIII、３歳オープン、別定、芝・外１６００メートル、１着本賞金４０００万円＝出走１３頭）このレースは、やっぱりユタカだ−。武豊騎乗の朝日杯ＦＳ３着馬ペールギュントが、マイネルハーティーとの壮絶な叩き合いをハナ差制し、断然人気に応えた。１分３５秒７（良）。初コンビを優勝に導いたユタカは、シンザン記念４連覇。重賞２勝目を挙げたペールはスプリングＳから皐月賞とクラシック路線を歩む。３着はマルカジークで、朝日杯組が上位を独占した。〔写真右：マイネルハーティーをハナ差抑えて重賞２勝目をマークしたペールギュント。鞍上の武豊は際どい接戦でＶ４を達成した＝撮影・岡田亮二。同下：ゴールの瞬間、勝利を確信したというユタカは、レース後、検量室のモニターで改めて勝ちを確認し笑みが浮かぶ＝撮影・山田喜貴〕

　ユタカとアンカツ。日本を代表するトップジョッキー同士の息詰まる叩き合いは、ゴールの瞬間もほとんど同時だった。互いに顔を見合わせ、馬上から会話をかわす２人…。写真判定の結果はわずかに武豊騎乗のペールギュントに凱歌が挙がった。その差は判定写真でも１スリットに満たないたった２センチ。史上稀に見る接戦となった。

　しかし、ユタカは「勝ったと思いましたよ」とサラリと言ってのけた。道中は最後方から。３コーナー過ぎに外目をマクッて好位に押し上げ、直線では楽に抜け出すかに思えたが、内から伸びてきたのは前走の朝日杯ＦＳで自分が手綱を取っていたマイネルハーティー。ユタカも「相手が強いのも知っていた」というように、２頭は同じ脚色でゴール板を駆け抜けた。「勝ててホッとしました」と単勝１．５倍の断然人気馬を勝利に導き、京都金杯のハットトリックに続いて今年の重賞２勝目、さらにシンザン記念Ｖ４と絶好の０５年スタートを切った年男・ユタカに笑みがこぼれた。

　同じく酉年生まれの橋口調教師は「ホンマに勝っとるんか？」と判定写真をのぞき込み、ペールの勝ちを確認すると、「人気も背負っていたし、ホッとしましたわ。勝つと負けるじゃ大違いやから」と安堵の表情。調教師にとっては１２年のダイタクリーヴァ以来、シンザン記念２勝目。リーヴァはその後、スプリングＳを１番人気で勝って皐月賞２着。近年では１４年の勝ち馬タニノギムレットがダービーＶというクラシックの登竜門的レースを制してご満悦だ。

　今後はひと息入れて、フジテレビ賞スプリングＳ（３月２０日、中山、ＧII、芝１８００メートル）から皐月賞（４月１７日、中山、ＧＩ、芝２０００メートル）へ向かう。「１度乗っただけで分からないが、少し掛かる馬だから、距離が延びてどうかは…」とユタカ。橋口師も「体型的には距離をこなすはずだが、スローになったときの折り合いがどうか」と同じく課題を挙げた。ユタカ＆橋口師の酉年コンビにとって、０５年がいい年になるかどうか。それはペールギュントの気性の成長にかかっている。