【京成杯】新星誕生!良血馬アドマイヤジャパン快勝

アドマイヤジャパンが京成杯V 第45回京成杯(16日、中山11R、GIII、3歳オープン、別定、芝・内2000メートル、1着本賞金4000万円=出走10頭)ラジオたんぱ杯3着で1番人気のアドマイヤジャパンが、直線で不良馬場を力強く伸びて、デビュー3戦目で重賞初制覇。クラシックに期待の新星が誕生だ。横山典弘騎手は京成杯連覇で、今年は中山金杯に次ぐ重賞2勝目を挙げた。タイム2分7秒4。2着にシックスセンスが入り、関西馬のワン・ツー。ホッカイドウ競馬で4戦4勝を誇り、中央初戦のモエレアドミラルは7着に敗れた。〔写真:泥だらけでも何のその!SS×ビワハイジの良血馬アドマイヤジャパンが重賞初V。楽しみなクラシック候補の誕生だ=撮影・金子貞夫

 肌を刺すような凍てつく雨もこの馬の末脚を止めることはできなかった。デビュー3戦目のアドマイヤジャパンが、“日本”を代表する馬への第一歩としてGIII制覇だ。

 「普通に出たら行こうと思っていたんだけどね」と苦笑する横山典弘騎手の勝負服は、全身にビッシリと泥が着いている。出遅れて後方からというのはいつものパターン。2度目の騎乗のノリはあせらず、動かず、じっと機をうかがった。前走のラジオたんぱ杯2歳S(3着)で見せた上がり33秒台の脚はあるものの、ドロドロの不良馬場では切れ味が殺がれる不安もあった。しかし4コーナーで好位に付け、ゴール前抜け出す完璧な内容で後続の追撃も封じ込めた。

 「ここまで馬場が悪いと、もう少し前でと思ったけど、ゲートが相変わらず」と苦言も呈したが、「将来性はボクが言わなくても、見ている皆さんも分かるでしょ」とニヤリ。昨年のフォーカルポイントに続く京成杯連覇。今年は中山金杯をクラフトワークで制して重賞2勝目の絶好調モードのノリに、クラシックを控えて頼もしい相棒の登場だ。

 降りしきる雨も気にせず満面の笑みで馬を出迎えた松田博調教師は「(賞金を加算してクラシックの)権利が取れたのが一番や」と喜びを爆発させた。「馬場が重いから届かないかと思ったけど、それならしゃあないと思っていた。良く伸びてくれたわ」と愛馬をほめ称えた。これだけの強さを見せつけられても「まだビッシリけいこをやっていない」というのだから恐れ入る。「どこが良くなってほしいというのはない。このまま徐々に大人になってくれれば、それでええ」と、今後は自然な成長をうながすつもり。次走もオーナーと相談して決められるが、一戦挟んで皐月賞(4月17日、中山、GI、芝2000メートル)へ向かう公算が大きい。

 近藤利一オーナーが「最初から惚れ込んでいた馬」で、名付けられたアドマイヤジャパン。数多いアドマイヤ軍団の素質馬の中でも、期待の高さが馬名に表れている。「日本の代表に?もちろんそうなったらうれしいですね」というオーナーの夢は、皐月賞だけでなく、3歳最高峰のダービー(5月29日、東京、GI、芝2400メートル)に向けられているはずだ。

(柴田 章利)
★アドマイヤジャパン
父サンデーサイレンス、母ビワハイジ、母の父カーリアン。栗毛の牡3歳。栗東・松田博資厩舎所属。北海道・新冠町の早田牧場新冠支場の生産馬で、馬主は近藤利一氏。戦績は3戦2勝。獲得賞金は5545万9000円。重賞は初勝利。松田博資調教師はGIII京成杯初勝利、横山典弘騎手は平成16年のフォーカルポイントに続き2勝目。

★地力再確認シックスセンス

 勝ち馬の決め手には屈したものの、中団から大外に持ち出したシックスセンスが、ラストまでしっかり伸びて2着を確保した。「決して道悪は上手じゃないし、勝負所で少しモタモタしていた。それでもこの馬場でよく伸びてくれたよ」と四位洋文騎手。4連覇がかかっていた日経新春杯を振ってまでの中山遠征だっただけに、「勝てれば最高だったけど…」と残念そうな表情も見せたが、「この辺で2着くらいにきてくれないと、大きなことも言えなくなるからね」とパートナーの地力を再確認した様子だった。

★伏兵コスモオースティン3着健闘

 2番手から早めに抜け出した6番人気コスモオースティンが、残り100メートル付近まで先頭をキープする見せ場たっぷりの走り。最後は力尽きて3着に終わったが、一戦ごとの成長をアピールした。「かなりトモを滑らせて、かわいそうなぐらいだったけど、馬場はみんな一緒ですからね。馬も行きたがらなかったし、理想通りの競馬はできたと思う。よく頑張っています」と勝浦正樹騎手も健闘を称えていた。

★小島太厩舎2頭“残念”

 2頭出しで注目された小島太厩舎は、マンハッタンカフェの全弟ニューヨークカフェが、感冒のためレース当日に出走取り消し。ホッカイドウ競馬から移籍後、中央初戦ながら2番人気に支持されたシルクプリマドンナの全弟モエレアドミラルは、初芝の不良馬場にもがいて7着に終わった。しかし、小島太調教師の顔から明るさは消えていない。「きょうの結果には悲観してない。こんな馬場なんてめったにない。ダートを走ってきた馬は滑ったことがないからその辺もある。それでも勝負どころから上がっていけたしね。次はフジテレビ賞(スプリングS、3月20日、中山、GII、芝1800メートル)あたりへ」とサバサバした口ぶり。ニューヨークについても、セントポーリア賞(30日、東京、3歳500万下、芝1800メートル)に改めて照準を定めたことを明かした。

★戦い終わって一言…

◆柴田善臣騎手(イブキレボルシオン4着) 「道中はよかったが、追い出してから滑っていた」

◆内田博幸騎手(ジョウノビクトリア5着) 「グチャグチャの馬場ですからね。良馬場ならもっと切れたと思うけど…」

◆江田照男騎手(カネサマンゲツ6着) 「行く馬を行かせて、折り合いもついた。馬場も気にしていなかったし、健闘だよ」

◆ダリオ・バルジュー騎手(ウインクルセイド8着) 「スタートや道中の感じはよかったが、追い出してからノメッていた」

◆中舘英二騎手(ウォーターダッシュ9着) 「決して一本調子でなかったし、ムキになってもいなかった。慣れてくれば距離も大丈夫だと思う」

◆蛯名正義騎手(ニシノアレックス10着) 「この馬場はいいかと思ったけど、ノメッちゃったね。だいぶ行きっぷりは良くなったが、現状ではダートかも」



2005年1回中山6日( 1月 16日) 11R
第45回 京成杯(GIII)
サラ系3歳 2000m 芝・右
(混)(特指) オープン 別定
本賞金: 4000、 1600、 1000、 600、 400万円 発走 15:35
天候:雨  芝:不良 
着順 馬番 記号 馬名 負担
重量
騎手 タイム 着差 馬体重 調教師 単勝
人気
1 7 9   アドマイヤジャパン 3 56.0kg 横山典弘 2:07.4   486Kg +4 松田博資 1
2 8 11   シックスセンス 3 56.0kg 四位洋文 2:07.6 1 1/4馬身 458Kg +8 長浜博之 4
3 4 4 (市) コスモオースティン 3 56.0kg 勝浦正樹 2:07.8 1 1/4馬身 472Kg 0 高橋裕 6
4 8 10   イブキレボルシオン 3 56.0kg 柴田善臣 2:07.9 3/4馬身 516Kg +2 橋口弘次郎 5
5 3 3   ジョウノビクトリア 3 54.0kg 内田博幸 2:07.9 アタマ 476Kg +4 森秀行 10
6 2 2 (父)(市) カネサマンゲツ 3 56.0kg 江田照男 2:08.1 1 1/4馬身 480Kg -2 久保田貴士 7
7 6 7 (市)(地) モエレアドミラル 3 56.0kg D.ボニヤ 2:08.2 クビ 468Kg -8 小島太 2
8 5 5 (父) ウインクルセイド 3 56.0kg D.バルジュー 2:08.5 2馬身 478Kg +2 鈴木伸尋 3
9 1 1 (市) ウォーターダッシュ 3 56.0kg 中舘英二 2:08.8 1 3/4馬身 510Kg +4 鹿戸幸治 8
10 7 8   ニシノアレックス 3 56.0kg 蛯名正義 2:10.4 10馬身 518Kg +4 手塚貴久 9
取消 6 6   ニューヨークカフェ 3 56.0kg 岡部幸雄         小島太  

ハロンタイム  12.9 - 11.8 - 13.8 - 12.7 - 13.0 - 12.8 - 12.8 - 12.5 - 12.2 - 12.9
上り  4F 50.4 - 3F 37.6
1コーナー  1,4(2,5,7)8(3,9,11)10
2コーナー  1-4(2,7)(5,8)(3,9,11)10
3コーナー  1,4(2,5)7(9,8)(3,11)10
4コーナー  (*1,4)(2,5,7)9(3,11)(10,8)

<払戻金>
単勝 09 260円 1番人気
複勝 09 130円 1番人気
11 180円 3番人気
04 310円 6番人気
枠連 7-8 370円 1番人気
馬連 09-11 660円 2番人気
ワイド 09-11 280円 2番人気
04-09 710円 9番人気
04-11 1,170円 15番人気
馬単 09-11 930円 3番人気
3連複 04-09-11 3,020円 11番人気
3連単 09-11-04 8,190円 25番人気