【NHKマイルC】牡馬蹴散らした!ライン“変則2冠”

ラインクラフトがNHKマイルC優勝 第10回NHKマイルC(8日、東京11R、G I 、3歳オープン、せん馬不可、定量、芝1600メートル、1着本賞金9200万円=出走18頭)牡馬を倒して堂々2冠!! クラシック馬初挑戦として注目された桜花賞馬ラインクラフトが、好位追走から直線で内を抜け出すと、後続を寄せ付けず快勝。史上初の桜&NHKマイルCの“変則2冠”を達成した。1分33秒6(良)。福永祐一騎手(28)は今年の中央G I 3勝目となり、単独トップ。2着に桜花賞3着のデアリングハートが入り、牝馬のワン・ツー。1番人気ペールギュントは流れも向かず4着に敗れた。〔写真:思い通りの騎乗でラインクラフトの“変則2冠”をアシストした福永祐一騎手(右端)はゴールの瞬間、右手でファンにアピール

 甘いマスクは、牝馬の背中によく似合う。桜花賞馬ラインクラフトで牡馬を蹴散らし、今年早くもG I 3勝(ほかにフェブラリーSのメイショウボーラー)と単独トップに立った福永祐一騎手は、ガッツポーズでファンにアピールした。

 「桜花賞馬だから、牡馬が相手だから、ということは考えなかった。ここまでキツい調教も課して、それに応えてきた今日は発表会のつもりでした」と、ユーイチはラインの全能力を発揮させることに集中した。

 1000メートル通過59秒4。流れはあきらかにスロー。それも芝マイルG I を6勝してきたユーイチには想定内。「スローになるだろうと思っていたから、そうなったら前の位置取りというのは考えていました」と読みは的中。「東京は内が開くことがある」というのも予想通りだ。最内を突いて早めに先頭に立つと、あとは桜の女王のワンマンショー。「後ろを見る必要もなかった。どの手応えでどれだけ伸びるかも分かってますからね」と、イメージ通りの会心の勝利だった。

 「桜花賞からオークスではなくてマイルCを使うことにしたオーナーとトレーナーの決断のおかげ。きょうも前半少しハミを噛んでいたし、2400メートルだったらかかっていたかもしれない」と陣営の英断を賞賛するユーイチ。瀬戸口調教師は「血統的背景と折り合い面の不安で」マイルC参戦を決めた。牡馬と初対決にも「(1分33秒5のレコードで桜花賞Vと)時計的に牡馬と同じレベルだと思ったし、桜花賞時より体調も良かった。輸送しても馬体が減らなかった(増減なし)ように、女の子にしては度胸があるからね」と自信を持っての挑戦だった。「この後は放牧に出して秋には秋華賞(10月16日、京都、G I 、芝2000メートル)を狙いたい」と今度は距離延長でタイトルを狙う。

 平成9年シーキングザパール以来8年ぶりの牝馬の勝利。史上初のクラシックホースとして挑んだマイルCで性別を超えた強さを見せ“変則2冠”達成のラインクラフトと、「牡馬はディープインパクトが強いけど、牝馬のレベルも高かったですね」と最高の笑顔を見せたユーイチとの“二人三脚”を遮るものは当分現れそうもない。

(柴田 章利)
★ラインクラフト
 父エンドスウィープ、母マストビーラヴド、母の父サンデーサイレンス。鹿毛の牝3歳。栗東・瀬戸口勉厩舎所属。北海道早来町・ノーザンファームの生産馬で、馬主は大澤繁昌氏。戦績6戦5勝、重賞は平成16年GIII ファンタジーS、17年GII フィリーズレビュー、G I 桜花賞に次いで4勝目。獲得賞金3億1938万6000円。瀬戸口勉調教師、福永祐一騎手ともにG I ・NHKマイルC初勝利。

福永祐一騎手の芝マイル重賞勝利
平成 レース 馬名 人気
11 京都牝馬特別 III マルカコマチ (4)
桜花賞 プリモディーネ (4)
朝日杯3歳S エイシンプレストン (4)
12 アーリントンC III エイシンプレストン (1)
NZT4歳S II エイシンプレストン (1)
13 香港マイル エイシンプレストン (6)
14 京都牝馬S III ビハインドザマスク (4)
阪神JF ピースオブワールド (1)
朝日杯FS エイシンチャンプ (8)
15 デイリー杯 II メイショウボーラー (1)
16 クイーンC III ダイワエルシエーロ (1)
17 桜花賞 ラインクラフト (2)
NHKマイルC ラインクラフト (2)
【注】JRA通算重賞43勝、うちG I 9勝。海外G I 3勝、交流G I は1勝。香港マイルは香港・国際G I

★ノーザンファーム今年G I 4勝目

 ラインクラフトの大澤繁昌オーナーは、「今回は気楽に『無事に走ってくれれば』と思っていましたが、その割に力が入りました」と興奮冷めやらぬ様子。2日前の6日が紅実子夫人の誕生日だったこともあり、喜び二重奏だ。生産したノーザンファームは、高松宮記念(アドマイヤマックス)、桜花賞、皐月賞(ディープインパクト)に続き今年G I 4勝目。吉田勝己代表は「桜花賞路線の馬が今まで使っていなかっただけで、これからは桜花賞からこのレースを使う時代になるのでは」と新たな路線を確立する走りに胸を張っていた。

★牝馬の1・2着

 牡・牝馬混合G I で牝馬がワン・ツーしたのは平成6年安田記念(ノースフライト、トーワダーリン)以来2度目。ちなみにマイルCに桜花賞組が参戦したのは初。


2005年2回東京6日( 5月 8日) 11R
第10回 NHKマイルカップ(GI)
サラ系3歳 1600m 芝・左
(混合)牡・牝(指定)オープン 定量
本賞金: 9200、 3700、 2300、 1400、 920万円 発走 15:40
天候:曇  芝:良 
着順 馬番 記号 馬名 負担
重量
騎手 タイム 着差 馬体重 調教師 単勝
人気
1 6 12   ラインクラフト 3 55.0kg 福永祐一 1:33.6   454Kg 0 瀬戸口勉 2
2 7 13   デアリングハート 3 55.0kg 後藤浩輝 1:33.9 1 3/4馬身 422Kg +4 藤原英昭 10
3 2 4 (市) アイルラヴァゲイン 3 57.0kg 横山典弘 1:34.0 クビ 498Kg -6 手塚貴久 4
4 1 2   ペールギュント 3 57.0kg 武豊 1:34.3 2馬身 498Kg -2 橋口弘次郎 1
5 2 3   セイウンニムカウ 3 57.0kg 安藤勝己 1:34.5 1 1/4馬身 490Kg 0 上原博之 6
6 1 1 (外) エイシンヴァイデン 3 57.0kg 武幸四郎 1:34.6 3/4馬身 468Kg -8 瀬戸口勉 16
7 7 14   ビッグプラネット 3 57.0kg 蛯名正義 1:34.8 1 1/2馬身 458Kg -6 南井克巳 5
8 3 6 (父) パリブレスト 3 57.0kg 田中勝春 1:34.9 クビ 464Kg -6 小島太 12
9 4 8 (父) バブルエスティーム 3 57.0kg 小牧太 1:34.9 ハナ 462Kg +2 鈴木康弘 14
10 8 17 (父) イヤダイヤダ 3 57.0kg 柴田善臣 1:35.1 1馬身 470Kg -6 音無秀孝 8
11 3 5   コパノフウジン 3 57.0kg 佐藤哲三 1:35.1 クビ 448Kg 0 宮徹 15
12 6 11 (市) マイネルハーティー 3 57.0kg 内田博幸 1:35.2 1/2馬身 474Kg 0 中村均 3
13 5 9   ディープサマー 3 57.0kg 藤田伸二 1:35.3 1/2馬身 476Kg 0 山内研二 11
14 8 16 (市) ストラスアイラ 3 57.0kg 吉田豊 1:35.4 3/4馬身 468Kg -2 小島茂之 17
15 4 7 (市) コスモフォーチュン 3 55.0kg 松岡正海 1:35.6 1馬身 468Kg 0 宮徹 13
16 8 18   インプレッション 3 57.0kg 松永幹夫 1:35.7 1/2馬身 498Kg -8 沖芳夫 7
17 5 10 (父) シルクトゥルーパー 3 57.0kg 上村洋行 1:35.7 クビ 450Kg -2 大久保正陽 9
18 7 15 (外) マルターズビクター 3 57.0kg 勝浦正樹 1:35.8 クビ 538Kg -4 手塚貴久 18

ハロンタイム  12.5 - 11.0 - 12.0 - 11.9 - 12.0 - 11.3 - 11.3 - 11.6
上り  4F 46.2 - 3F 34.2
3コーナー  1-(9,14)(12,16)13(4,17)(5,18)(3,2,10,15)(6,7,11)8
4コーナー  1-(9,14)(12,13,16)(4,17)(5,18)(3,2)(10,15)(8,6,11)7

<払戻金>
単勝 12 390円 2番人気
複勝 12 180円 2番人気
13 620円 8番人気
04 270円 4番人気
枠連 6-7 1,160円 4番人気
馬連 12-13 4,890円 16番人気
ワイド 12-13 1,410円 13番人気
04-12 810円 6番人気
04-13 3,230円 37番人気
馬単 12-13 6,410円 22番人気
3連複 04-12-13 12,760円 39番人気
3連単 12-13-04 63,150円 180番人気