【オークス】絶妙の逃げ!エルシエーロが樫の女王の座

ダイワエルシエーロがオークス優勝 6番人気ダイワエルシエーロが逃げ同然の積極的な競馬で押し切り、樫の女王に輝いた。福永祐一騎手(27)は、天才と称賛された父・洋一さん(55)が勝てなかったレースを好騎乗で制し、憧れの東京競馬場で初のGI優勝。タイム2分27秒2(稍重)。単勝1・4倍と断然人気の桜花賞馬ダンスインザムードは4着に敗れ、47年ぶりの無敗での牝馬2冠は達成されなかった。〔写真左:まさかの逃げの手に出た6番人気ダイワエルシエーロ(右)が、スイープトウショウ(左)の追撃を振り切ってV(撮影・金子貞夫)同中:絶妙の逃げを見せたダイワエルシエーロが、後続を振り切って樫の女王の座を奪取。会心の騎乗で東京競馬場でのGI初Vを決めた福永騎手は右手でガッツポーズ、満面の笑みで喜びを爆発させた(撮影・春名中)同左下:天才の名を欲しいままにした福永洋一元騎手(左)。父の成し得なかったオークス制覇を飾ったユーイチ(右)は、確実に父の背中に近づきつつある

福永騎手は右手でガッツポーズ イチかバチかの賭けに、勝利の女神がほほ笑んだ。後方イッキを決めたクイーンCと同じ府中でまさかの逃げ。福永祐一&ダイワエルシエーロが予想外の戦法で樫の女王に襲名した。

 「強い相手(ダンス)がいたし、まともに立ち向かったら敵わない…」

 決戦前夜。ユーイチは作戦を練った。典型的な逃げ馬の不在、さらに土曜の東京のレースから、「馬場は緩いのに時計が速い。後ろからじゃ届かない」と判断。「勝つ可能性が最も高いのは逃げる形。これで一発を狙ってやろう」と決心した。

 スタート後、ウイングレットがハナに立っても冷静だった。ペースが遅いと感じると早め先頭へ。後は「気分よく走らせること」に集中し、4コーナー手前から徐々に加速。「頑張ってくれ!」と叫びながら526メートルの直線を追った。勝ち時計は昨年のスティルインラブ(2分27秒5)を上回る2分27秒2。念願だった東京での初GIに「最後まで頑張ってくれた馬に感謝したい」と右の拳で彼女の首筋を叩いた。

福永洋一元騎手 ウイニングランでは、「人気がなかったせいか、スタンドの反応がもうひとつやった」と苦笑いを浮かべたが、大外枠の不利と2度の接触など不完全燃焼だった桜花賞(7着)から巻き返したのは鞍上の好判断。「思った通りの展開になったし、責任を果たせて嬉しく思います」と、本人も会心の騎乗だった。

 父の洋一元騎手(JRA通算983勝、旧8大競走6勝、昭和45年から53年まで全国リーディング)が勝てなかったオークス(7回騎乗で5着が最高)を制したことも誇りだ。「オヤジは途中でリタイア(落馬で引退)しているし、まだ勝ってないレースは幾つもあるからね。でも、今回は少しだけオヤジに近づける騎乗が出来たと思う。きっと喜んでくれていると思う」と孝行息子は胸を張る。

 エルシエーロは放牧を経て秋には樫の女王としてライバルを迎えるが、「今回は全てがうまくいった結果。まだ勝負づけは済んでないし、迎え撃つなんて立場じゃない」。天才の息子は、気を引き締めて秋に備える。

(和田 稔夫)
★ダイワエルシエーロ
父サンデーサイレンス、母ロンドンブリッジ、母の父ドクターデヴィアス。牝3歳の鹿毛。栗東・松田国英厩舎所属。馬主は大和商事(株)。北海道沙流郡門別町・下河辺牧場の生産馬。通算戦績は5戦3勝。総獲得賞金は1億8356万1000円。重賞はことしのGIIIクイーンCに続く2勝目。福永祐一騎手、松田国英調教師ともにGIオークスは初勝利。

★馬主として63年ぶりの同一年牡・牝馬クラシックW制覇

 オーナーになって約40年、皐月賞のダイワメジャーでGI初勝利を遂げた大和商事(株)の大城敬三社長(80)は、馬主として63年ぶりの同一年牡・牝馬クラシックW制覇。「松田調教師とユーイチ君の判断力のおかげ。来週も頑張れたらいいね」とダービーに弾みがついたようだ。生産者の門別・下河辺牧場は、3冠牝馬スティルインラブに続く2年連続V。「昨年がフロックじゃないという証明になったと思います」と下河辺俊行社長(62)は頬を紅潮させていた。エルシエーロは、平成10年桜花賞で2着に惜敗した母ロンドンブリッジ(オークス10着)の雪辱も果たした。

★松田国英調教師もニッコリ…仕上げは完璧だった

 NHKマイルCのキングカメハメハに続くGI連勝に松田国英調教師(53)もニッコリ。桜花賞後は、中間にプールを取り入れるなどの調整でオークス仕様の馬体造りに専念。「思い描いていた通りの体つきになっていました。自分のスタッフを誇りに思います」と仕上げは完璧だった。カメハメハを送り込む今週のダービーでは、管理馬のクロフネ、タニノギムレットも達成できなかった史上初の“変則2冠”に挑む。「カメハメハは競馬を使う毎に強くなっているし、馬も相当に自信を持っているんじゃないかな。できれば1番人気で勝ちたい」と意欲たっぷりだった。



2004年3回東京2日( 5月 23日) 11R
第65回 優駿牝馬(GI)
サラ系3歳 2400m 芝・左
牝(指) オープン 定量
本賞金: 9700、 3900、 2400、 1500、 970万円 発走 15:40
天候:曇  芝:稍重 
着順 馬番 記号 馬名 負担
重量
騎手 タイム 着差 馬体重 調教師 単勝
人気
1 7 13   ダイワエルシエーロ 3 55.0kg 福永祐一 2:27.2   430Kg 0 松田国英 6
2 1 1   スイープトウショウ 3 55.0kg 池添謙一 2:27.3 3/4馬身 446Kg -2 鶴留明雄 4
3 3 6   ヤマニンアラバスタ 3 55.0kg 江田照男 2:27.8 3馬身 430Kg +2 星野忍 7
4 3 5   ダンスインザムード 3 55.0kg 武豊 2:27.8 ハナ 478Kg +14 藤沢和雄 1
5 4 7 (父) ヤマニンシュクル  3 55.0kg 四位洋文 2:28.1 1 3/4馬身 466Kg -6 浅見秀一 2
6 7 14   マルカフローリアン 3 55.0kg 吉田豊 2:28.1 ハナ 466Kg -8 北橋修二 17
7 6 12   ウイングレット   3 55.0kg 田中勝春 2:28.4 1 3/4馬身 460Kg -4 宗像義忠 12
8 4 8   アズマサンダース  3 55.0kg 蛯名正義 2:28.4 クビ 462Kg -10 藤岡健一 3
9 2 4   ドルチェリモーネ  3 55.0kg 安藤勝己 2:28.6 1馬身 450Kg +4 松田博資 10
10 8 17   レディインブラック 3 55.0kg 北村宏司 2:28.8 1 1/2馬身 436Kg +6 高橋義博 11
11 7 15   レイナシンフォニー 3 55.0kg 石橋守 2:28.9 クビ 474Kg 0 瀬戸口勉 14
12 5 9   ギミーシェルター  3 55.0kg 柴田善臣 2:29.0 3/4馬身 444Kg -2 鈴木康弘 8
13 6 11 (父) メイショウオスカル 3 55.0kg 後藤浩輝 2:29.1 3/4馬身 470Kg -10 安達昭夫 9
14 8 16   グローリアスデイズ 3 55.0kg 岡部幸雄 2:29.2 クビ 458Kg -4 音無秀孝 5
15 2 3 (父) ラグレスロマニー  3 55.0kg 小野次郎 2:29.2 クビ 472Kg -8 清水利章 15
16 1 2 (父)(地) セカンドノホシ   3 55.0kg 梶晃啓 2:29.3 クビ 466Kg +6 境征勝 13
17 5 10   フレンチアイディア 3 55.0kg 勝浦正樹 2:29.7 2 1/2馬身 474Kg -14 瀬戸口勉 16
18 8 18 (父) シルキーフレンド  3 55.0kg 菊沢隆徳 2:29.9 1 1/4馬身 416Kg 0 大和田稔 18

ハロンタイム  12.6 - 11.4 - 12.6 - 13.1 - 12.3 - 12.7 - 12.9 - 12.5 - 12.1 - 11.2 - 11.4 - 12.4
上り  4F 47.1 - 3F 35.0
1コーナー  12,13,8(3,9,11)(5,10)(1,15,16)(2,7)(14,17)-18(4,6)
2コーナー  (13,*12)-(8,9)11(3,5,10)15(2,16)(1,7)17(14,6)18,4
3コーナー  13,12(8,9)11(5,15,10)16,3(1,7,17)(14,2,6)18-4
4コーナー  13,12,9(8,11)(3,5,15,10)(1,16,17)7(14,2,6)18,4

<払戻金・給付金>
単勝 13 2,140円 6番人気
複勝 13 550円 7番人気
01 400円 4番人気
06 510円 6番人気
枠連 1-7 6,700円 20番人気
馬連 01-13 10,080円 23番人気
ワイド 01-13 2,700円 31番人気
06-13 3,140円 34番人気
01-06 3,240円 35番人気
馬単 13-01 30,430円 64番人気
3連複 01-06-13 63,460円 128番人気