『つれれこ社中/雲』

(TSUREREKO SHACHU/KUMO)
《1997年2月16日発売、OFF NOTE ON-18》

1.肉屋/2.田家春望/別廬泰卿/3.炊事節/4.ツレレコ節/5.はいこう/6.鉛の兵隊/7.薮/8.トリちゃんの夢/9.私は笑った事がない/10.日々草の唄/11.去年の雪/12.鰻と梅干/13.煮込みワルツ/14.新大漁節



 わっはっは。なんだこれは。

 というのが最初に聞いた時の感想。いや待てよ。これは実は凄いアルバムなのではないか……。ひょっとすると今年最大の問題作かも知れん。

 ここで展開されているオリジナルはなにやら懐かしい気がする昔の日本の歌。ソウル・フラワー・モノノケ・サミットが演る壮士演歌や労働歌ともちょっと違う。シーサーズが演る民謡とも違う。洋楽の影響が微妙に入り始めた頃の日本の歌のようであり、我々がほとんど忘れかけていたものだ。
 しかも、よく聴いてみると世界各国の民衆音楽の要素も取り入れられているようだ。この人達、ただ者じゃない。


 メンバーは、鈴木常吉(ボーカル、アコーディオン、ギター、パーカッション)、上野茂都(ボーカル、三味線、笛)、桑畑繭太郎(マンドリン、打楽器、カメラ)の3人で、関島岳郎(チューバ、トランペット、リコーダー)、中尾勘二(アルトサックス、クラリネット、トロンボーン、他)などのメンバーがサポートしている。
 2人のボーカリストがそれぞれ個性的でおもしろい。アコーディオンやチューバなどによるリズム(中川五郎氏によると「魔のウォーキングテンポ」)が近年のビートを効かしたロック/ポップスが打ち消して来たものだけにかえって新鮮に感じる。

 花見の席で結成されたというから、最初は、おそらく余興的なバンドなのだろうと思った。時には切なく歌われるが、歌詞に注意するとふざけていたりして(「炊事節」の歌詞は最高)、一体真面目にやっているのかふざけてやっているのかがよくわからなかったりする。
 インタビューを読んだりライヴを観た感じでは、やはり真面目そうな人達である。いっそのことコミックバンドとしてやってしまっほうが売れるのではないかなどと、余計なお世話な事を考えてしまうが、コミックバンドのフリをするぐらいのふてぶてしさを戦略的に持てれば大化けする可能性を持っていると思う。でも、きっとそういう刹那的に売れるバンドじゃないんだろうな、という感じがするのも逆に魅力のひとつか。

 アイデアとしてはコロンブスの卵的であるが、それだけじゃない。
 この音楽の存在意義は非常に大きいと思う。

1997年5月18日 小林アツシ

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