『へぼ詩人の蜂蜜酒/RELIABLE FICTIONS』

(HEBO SHIJIN NO HACHIMITU-SHU/RELIABLE FICTIONS)

《1994年 ON-2 OFF NOTE》
  1.悲鳴/2.光と群青I/3.夜のプール/4.もっと速く/
  5.ふたつと半分の隔たり/6.ヘルメスの伝書鳩/
  7.there's more things/8.’7’/9.メガロパの本棚
  10.reliable fiction/11.幻にすぎない/12.王様をだますためのもの

木村真哉という表現者には、奥深いところがあって、ぼくのようなものがど れほど言葉を重ねようが、本人はぺろっと舌を出し・・・なんてところ なんだろうと感じるのだが・・・。しかし、このまま、誰もこのCDのことを 記述しないと、この作品が世の中から消えてしまう。潜在的にインスピレー ションを受けるであろう人々との出会いもなくなってしまうかもしれない。 そんな思いでこのようなレビューまがいを記述する次第です。かつて・・・ と言っても15年以上も前のこと・・ぼくは木村真哉氏とともにバンド 活動をやっていたという経緯もあるので、さまざまな思いが交錯し、とても 公正な批評なんてものではないだろう。いずれ、正規のレビューをどなたか が執筆された時点で、使命を終了する文章なのでしょう。 彼の言葉や微妙な音使いは、聴くものをしてさまざまなイメージを喚起させ る。夜の新宿新都心の夜、広場にうごめく鯨であったり、そこにファンファ ーレが響く光景であったり、(「夜のプール」)、あるいは大正期の楽隊の パレード(「光と群青I」)であったりする。これらの作品は、それぞれに 独自の時間と空間と歌となっている部分だけでは推し量れない拡がりをもっ ている。 木村真哉に宿った荘厳な世界を元にして、華麗な音色と凝縮された言葉で一 曲、一曲に入魂して丹念に創ったのだろう。その企てをサポートするのが、 当代きってのミュージシャンたちだ。木村氏のサックスが、ダイナミック なうねりを奏するのとは対象的に、大熊亘氏のさまざまな楽器、磯たか子 氏のバンド全体を支えるようなキーボード、随所できらびやかでいながら 叙情をそそる向島ゆり子氏のバイオリン。吉森信氏のシンセ・ベースのノ リの良さ。 このCDに所収された作品群は、しばらく「へぼ詩人の蜂蜜酒」として、 また、「木村真哉ソロアドバンテージ」としてしばらくライブでも楽 しむことができた。 最近(96年に入ってから・・・)は、ドラマー、サックス・プレイヤー としての活動が中心になっている観のある木村氏である。余計なお世話だ ろうが、ぼくはいつでもいいから、彼がこの作品で開いた世界のさらなる 展開に触れてみたい。                             中川一郎

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