早川義夫/花のような一瞬

(HAYAKAWA YOSHIO/HANA NO YOUNA ISSYUN)

《1996年12月12日発売,Sony Rocords SRCL 3741》

1.純愛/2.パパ/3.嫉妬/4.グッバイ
  5.あのころ/6.君でなくちゃだめさ

早川義夫のミニアルバム。1993年に音楽活動を再会してから3作目にあたる。

今の早川義夫の唄の凄みを出すためにはバンドという形態よりもひとりで
の弾き語りのほうがいいと自分はずっと言い続けてきたので、完全ソロの
弾き語りによる今回のアルバムリリースは個人的にすごくうれしい。

歌詞もメロディもすばらしいが、早川義夫の最大の魅力は失速しそうな独
特のリズム感であり、唄そのものだ。
だから、リズムを他の楽器にまかせるのではなく、早川義夫が声を出す時
の呼吸を感じる事ができるこの録音方法は究極のものと言っていい。

ジャンジャンなどでのライヴで一人で演った時の唄は何度も聴いているの
だが、それでもこのアルバムを最初に聞いた時は生々しさに驚いた。
テクニック的には決して安定していない唄が、驚くばかりリアルに録音さ
れている。
しかもあの歌詞……。こんなもの出しちゃっていいのかと思ってしまう、
ある意味ではものすごいアルバムである。

音楽的にはもはやロックではなくラヴソングがほとんどなのだけれど、そ
の生命力と自己の内面を見つめるするどさは、あいかわらずただものでは
ない。


4曲目まではラヴソングがひとつのストーリーになって繋がっている。
「あのころ」は活動再開時のライヴでも披露された曲で、小品だが人間愛
を感じさせてくれる個人的に大好きな作品。
「君でなくちゃだめさ」は、佐野史朗のアルバム『君が好きだよ』に提供
された曲。最後はファンならちょっとドキッとする仕掛けがしてある。

大作や名曲といえる曲が最後に聴けないのが残念。もっと聴きたいと思わ
せるアルバムは成功と言っていいか。
6曲だけじゃなく今まで発表した曲もソロであるいは他の楽器と1対1で演る
というような趣向で聴きたいと思う。
このアルバムの発売によって、現在の未発表曲は今回アルバムタイトルにだ
け使われた「花のような一瞬」、そして「真っ昼間の春歌」の2曲になった。


ジャケットの写真と題字は荒木経惟。モノトーンでアルバムの雰囲気が実に
良く出ている。

発売日のきょう、買ってきたばかりのこのアルバムを聴きながら書いている
のだが、活動再開後のこれまでのアルバムの中でいちばん好きなアルバムに
なる事は間違いない。

                    1996年12月12日 小林アツシ

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