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『URC“発禁”ライブセレクション』



《1998年発表》(PーVINE/PCDー140)

1 プレイボーイ・プレイガール(フォークキャンパース) 2 時代は変わる(高石友也) 3 大・ダイジェスト版三億円強奪事件の歌 4 自転車に乗って(高田渡) 5 腰まで泥まみれ(中川五郎) 6 男らしいってわかるかい(ザ・ディランII) 7 夢は夜ひらく(三上寛) 8 明日なき世界(高石友也&ジャックス) 9 ロール・オーヴァー・ゆらの助(ジャックス) 10 満足できるかな 11 夜汽車のブルース(遠藤賢司) 12 春よ来い(はっぴいえんど) 13 殺してしまおう 14 これがボクらの道なのか(五つの赤い風船) 15 時にまかせて(金延幸子)  机の上に置かれた2枚のCD。「URCライブセレクション 」と書かれた桜の花を あしらったジャケット。もちろん内容は全く同じものだ。ただひとつ違う点は片方の ジャケットには大きな赤い×印が付けられている。  1996年の6月に東芝EMIよりURC復刻シリーズの一環として、「ベストセ レクション」、「シングルセレクション」と共にリリースされながら、歌詞の問題等 から発売直後に発禁、回収の措置が取られた曰く付きのアルバムが’70年代の日本 のフォーク/ニューロックの怒涛の復刻ラッシュに沸いた’98年のラストに奇跡の 再発を果たした。  ここに収められた15曲はURC、しいては我が国の′70年代初頭の音楽シーン の熱気を伝える貴重かつ重要なドキュメントである。オープニングの「プレイボーイ ・プレイガール、勝手な真似するなー!」と歌う若者達の歌声に今日ではすっかりお 目にかかることができない熱気と毒気に満ちあふれている。しかしこれらの歌が今日 の感覚で聴いても何ひとつ古びていないことに改めて気付く。確かに高田渡、遠藤賢 司、三上寛など現在まで一貫したスタンスで音楽活動を続けているミュージシャン達 の歌もここでは多く聴くことができるが、例えば「ロール・オーヴァー・ゆらの助」 の歌詞に出てくる「商売上手のインチキ野郎」が今日ますますのさばり、ましてや「 嘘を知りながらあやつっているマスコミ」の垂れ流す情報を何も考えずにうのみにし て満足している連中の多さに憂いと苛立ちからそれこそ「ロール・オーヴァー(くた ばれ!)」と叫びたくなる。また「殺してしまおう」に歌われる終末感は世紀末の今 日に聴くには不思議なリアリティがある。30年近く前に作られたこれらの歌が今日 なお有効である事、それは単に時代を超えた普遍性という以上の先見の明があるとい うことか。  そんな諧謔と毒気に満ちた歌がライブという極めてスリリングなシチュエーション で展開されたこれらの音源は現在数多く出ているURCのコンビネーションの中でも 最もURCらしい一枚ではないかといえる。しかしURCの数々の作品が我が国の音 楽ファンの間で世代を超えたマスターピースとしてすっかり定着している今日の状況 を考えれば、「発禁」というフィルターを通してキワモノ的に語られることには疑問 を感じる。(もっともそのキワモノ的なところこそがURCの本質ではあるが…。) オリジナルの東芝盤のライナーノーツに寄せられた本作の監修者サニーデイ・サービ スの曽我部恵一(再発盤の帯に書かれた 「某ミュージシャン」とは彼の事なのです よ。)の素直なリスペクトに満ちたコメントが今回は割愛されていることにも残念で ならない。  そういった意味からこのコンビネーションが何故発禁、回収されなければならなか ったのか今一度考え直してみる必要がありそうだ。これまでにもいくつものレコード がレコード会社の「自主規制」により発禁になった例があるがこのような事が今なお 行われている現実に愕然とさせられる。一見何を歌ってもいいような自由な世の中が 実はあまりにも融通の利かないものだったのかと考えさせられる。だがそれ以上に先 頃発売された「URCシングルス」に「イムジン河」(ミューテーション・ファクト リー)がやはり未収録だった事を考え合わせても、現在URCの発売権を東芝が持っ ているという事に複雑な思いを抱いてしまうのは私だけではないだろう。(そもそも URC=アングラ・レコード・クラブが誕生したそのきっかけを知ればなおさらであ る。)                                            《よこやま 愛》

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