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宮沢正一『キリストは馬小屋で生まれた』



《2001年発表(オリジナル・ソノシートは1981年)》(いぬん堂/WC-012)


 '80年代の初頭、そのころはディスクユニオンがまだ渋谷の宮益坂にあってその
店には入口近くに自主制作盤のコーナーがあった。当時、金のない学生だったた
めにレコードはなかなか買えなかったが、買うというよりも見るためによくレコー
ド屋に行っていた。
 「自主制作盤」というのがあるんだという事を伝えたくて友人を誘って店にいっ
た。なかには数百円で売ってるソノシートなどもあって「金が無くてレコードの
内容がわからなくても、これぐらいの冒険ぐらいならできるだろう」という事で
友人とそれぞれ1枚ずつ買うことにした。それで買ったのがこのソノシート。た
しか300円だったと思う。

 ギターの弾き語りによるものでB面の曲にはシンプルなドラムがちょっとだけ
入っていた。
 実に素朴な曲だったが、その2曲は忘れられない曲になった。

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 僕頭が悪くて 見せられてもわからない
 僕頭が悪くて 感じること少ない
             (キリストは馬小屋で生まれた)
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 なぜそんなに触らないの
 なぜそんなに触らないの
 誰か他の人のところへ行ったの
               (メエメエ)
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 宮沢正一は『人中間』というアルバムも出した。こちらはノイジーなエレキギ
ターを使った弾き語りで、ソノシートとはかなり感じが変わっていたがこれも強
力なアルバムだった。
 その後、ラビッツというバンドで活動した後、宮沢正一は音楽活動をやめてし
まったという。

 '90年代に入って、梅津和時の『大仕事アンコール'94 LIVE』というCDで、た
まの知久寿焼が「キリストは馬小屋で生まれた」を歌っていた。


 今年、宮沢正一の作品がCD化された。『人中間』を買ったがその重苦しさは
ちょっと聞き続ける事ができなかった。
 CD『キリストは馬小屋で生まれた』は、前述のソノシートに加えてアコース
ティックギターで弾き語りをしていた当時のデモテープや渋谷アピアなどでのラ
イブなど未発表音源を収録したものだ。これまでたった2曲しかわからなかった
宮沢正一の当時の生々しい曲がはじめて聴ける。

 基本的にはソノシートで出ていた2曲に近い世界。シンプルな弾き語りによる
奥が深い凄みは早川義夫の『かっこいいことはなんてかっこ惡いんだろう』にも
ちょっと通じるものがある(あくまで「ちょっと」だよ。ヘンに期待しすぎない
ように)。

 しばらくして腰をすえて聴く余裕ができたら『人中間』も聴き直してみようと
思っている。

                          小林アツシ 2001.8.25

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