『シェシズ/約束はできない』

(che-shizu/YAKUSOKU WA DEKINAI)

《1984年発売,ZEROレコード0−1284》
A面 1.I'm dancing in my heart 〜祭歌/2.連舞/
   3.君が目/4.火の海/5.月と明り窓
B面 1.約束はできない/2.黒い瞳の/3.カチューシャ/
   4.プレパダ/5.輪舞/6.三度目は武装して美しく無関心

 向井千恵(ボーカル、胡弓、ピアノ)を中心とするシェシズも、活動開始か らもう17年以上になる。84年に発表された本作はまさに「歴史的名盤」と いって差し支えがないほどの素晴らしい出来ばえである。  この間メンバーはかなりの変遷を見ている。ゲストにも故・篠田昌巳や大熊 亘、向島ゆり子、佐藤隆史等そのときどきで多彩なメンバーが加わっている。 本アルバムにおいては、向井の他、工藤冬里(g、p、vo)、西村卓也(b、 vo)、高橋朝(per、vo)という布陣でレコーディングが行われた。  シェシズを特徴付けるのは、なんといっても向井千恵の胡弓とボーカルだろ う。空ろさと力強さ、郷愁と未視の彼方、これらの両者を喚起させるような向 井の声の質は、他にちょっと例を見ない。向井の声は、胡弓の不安定さを伴う 旋律や、工藤冬里の破綻スレスレなギターワーク、高橋朝の独特のドラミング と相まって、ここでは希有なポジティブさを描き出している。曲の素材からす れば、ヘタをすると平板なノスタルジーに回収しかねないところであるが、演 者達の資質と関係性が、即自性を超えたところに作品を結晶化させている。何 年経っても風化することのない、ある種の力強さを湛えたアルバムである。  アルバム中では、A面一曲目の「I'm dancing in my heart 〜祭歌」で見せ る向井の伸びのあるボーカルが特に素晴らしい。西村卓也のベースラインも曲 の高揚に貢献している。現在、西村は継続してシェシズに名を連ねているよう であるが、個人的には是非また、工藤、高橋朝を加えたこのレコード当時のラ インナップでの演奏を聴いてみたいとも思う。  水玉消防団と並んで、CD再発が待たれる1枚。                     1998.1.19 芳仲和彦

●芳仲和彦さんへのメールはこちら

●ディスクレビュー・メニュー(登録順)
●ディスクレビュー・メニュー(アーチスト名索引)
●ディスクレビュー・メニュー(発売年順索引)

●「JARA!!」トップページに戻る