『パンタ&ハル/1980X』

(PANTA & HAL/1980X)

《1980年オリジナル発売,FLYNG DOG FLD-10017》
《1992年2月21日 CD発売,invitation VICL-5134》
  1.トゥ・シューズ/2.モータードライブ/3.臨時ニュース/
  4.Audi 80/5.オートバイ/
  6.ルイーズ/7.トリックスター/8.キック・ザ・シティ/
  9.IDカード/10.ナイフ

1980年に発売したパンタ&ハルのセカンド・アルバム。
パンク/ニューウェイヴ時代の空気を意識しつつ、東京をテーマにした傑
作。
ふつうの人にパンタのアルバムを1枚だけ紹介する時は『マラッカ』を薦
める事にしているが、個人的にはこの『1980X』のほうが気に入っている。

前作『マラッカ』に比べるとシンプルな編成で大作的ではないが、その分
テーマに取り組む真剣さをリアルに感じる。
ソリッドな演奏で「東京との接近戦」を展開したこのアルバムは、1980年
という時代にまさに合っていた。

個人的にも、自分が田舎から東京に出てきた年に発売したアルバムなので
愛着のあるアルバムである。
ラストの「ナイフ」にもずいぶん影響され、「ナイフに愛をこめて」なん
てシナリオを書いた事もあった。

当初、『マラッカ』の次は、「クリスタルナハト」をテーマにしナチスド
イツによるユダヤ人虐殺事件を東京に結びつけようとしていたというが、
結果的には「東京」だけがテーマとなり、「クリスタルナハト」はパンタ
にとって長年の課題となった。

アルバムには、昭和天皇の死をテーマにした「Xデイ」という曲も入る予
定だったが最終的には外され、そのへんのニュアンスは「臨時ニュース」
にも含まれている。
もちろん、「臨時ニュース」はその事だけを歌った曲ではなく、「IDカー
ド」も含め情報化社会と個人との関係を描いた名曲だ。


なお、雑誌『ロック・ステディ』の1980年5月号に、この時期の貴重なイン
タビューが掲載されている。
また、発売当時、NHK FMのサウンドストリートにゲスト出演し、その時パ
ンタは、アナーキーの「東京・イズ・バーニング」をはじめて聞いて非常
に喜んでいた。

                     1996年11月2日 小林アツシ

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