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大熊亘 インタビュー Part-7


「いろいろぴょんぴょんやりながら定点みたいな定まったポイントがあってさ、離れる事によって自分の事も客観視できるし。」



千野秀一+太田惠資
小林: あと、他やってるのでいうと、千野さんとのユニットも何回かやりましたよね。
大熊: こないだので3回目かな? デュオっていうのもすごく……いいなっていうか、千野さんがすばらしいんでね。千野さんとデュオはすごく楽しいよね。スリルもあるしね。
小林: スリル満点って感じですよね。もともとはin "F"で即興みたいにしてやろうっていって……、
大熊: そうだね……別にインプロだけやろうとか一切そういうのがなかったんだけど。
小林: とにかくやろうと。
大熊: そしたら千野さんがじゃああんまり即興だけじゃなくて曲もたくさんやりたいって言ってくれて譜面とかすぐ送ってきてくれてね。千野さんもすごくアンサーを返してくれたっていうか受けとめてくれてるんでね。すごくいいですよ。これも来年ぐらいに録音できたらいいなと思ってるんだけどね。
小林: 譜面地獄だとか最初の頃言ってましたよね。
みわ: (笑)泊まり込みで練習しに行ったりしたもんね。
小林: 譜面はもともとどこで覚えたんですか。
大熊: おおもとはガキの頃、ピアノ教室で五線譜の読み方とか習ったけど……だいぶブランクがあったからね。あとは見よう見まね。
小林: あ、もともとピアノやってたから、それで……もともとがそういうロックとかじゃなくてピアノなんですね。そういう意味では。
大熊: そうなんですよ。すみません(笑)。
小林: でもロックも相当やってたんですよね。
大熊: そうだね……何年か……今もロックだと思ってるんだけどね、実は。……いわゆる電気楽器でもやってました。
小林: 本来の日本のロックというか……、
大熊: 今やってるのが今の自分にとってのロックっていうか……まあ、ロックじゃなくてももういいやと思ってるんだけどね。
小林: 始めたのが'80年ぐらいでしたっけ?
大熊: '79年だけどね、ぎりぎり。
小林: やっぱり、パンクムーブメントに触発された部分が……、
大熊: いや(笑)、無いとは言えないよね、それはどうしてもね。中川(一郎)くんのホームページでもつまびらかになっちゃってるけど、まあ、某大学で、ニューウェーヴ研究会っていうのをね、でっちあげて、とりあえず集まってきた中におもしろくてヘンなやつがいたら、そいつらを集めてバンドにしちゃおうっていうコンセプトだったんだけど……、
小林: そういう名前は付けてたけど、バンドをやりたかったと。
大熊: そうそうそう、バンドをやるためにサークルを作ったって言う感じで。僕はね、言いだしっぺの友達で、まきこまれた第一号みたいな感じだったんだけどね。そうそう黒板に書いてあったんだよ。今、思いだしちゃったよ(笑)。ある日、黒板になんかニューウェイヴ研究会って、何曜日の何時にどこに集まれとか書いてあって、ヘンなヤツいたなと思って、それでまあ、俺が呼びかけられた一号かな。1〜2年上の奴等で、哲学科のさ、もう真っ黒な格好してる、ラリーズ(注)とか灰野さん(注)のライヴに通ってるような奴等がいて(笑)。それがきっかけでライヴを始めるようになってしまった……。
小林: で、まあ今にいたったと。
大熊: そうだよね。
小林: その時、音楽で食って行きたいって思ってたんですか?
大熊: いや、何も考えてないよね。ただこの叫びたい気持ちをどうやったら燃焼できるんだっていう、それが大きい問題だったね。しかも、もうすぐ'70年代が終わっちゃってあと半年で'80年代になっちゃうっていうか、なんかこう、バカバカしい話だけど10進法で小さな世紀末が来るっていう感じでね。なんかとりあえず始めとかなきゃっていうあせりがあったんだよね。
小林: '70年代のうちになんかやっとこうと。
大熊: うん。唾付けとかなくちゃっていうね。
小林: で、実際にマイク持って叫んでたんですね。
大熊: そうだよね。うん。飛び上がってピアノがーんって弾いて壊したりとかして、怒られたりして(笑)。



小林: あとはやってるのなんかありましたっけ?
大熊: あとは、即興のセッションとか、まあ、サム(・ベネット)と坂本(弘道)君と……でね、3人プラスアルファで年に一回ぐらいやってるのかな?
小林: 八王子(注)で一回やりましたね。
大熊: そうだね。
小林: あれはシカラムータとはまた別のものという位置づけなんですか?
大熊: そうだね。もうちょっと……あまり、リハも要らなくて楽しくやれて、しかも面白い事ができる便利なユニットっていうか……、まあ、なんていうのかな、練習して曲っていう形で見せるやり方とは別に普段のいろんなやりたい事とかをこう「ボヨ〜ン」と出せちゃうような、そういうユニットとしてね、あえて練習しないっていう。
小林: サム・ベネットとはいつぐらいから……?
大熊: いつだっけ? いやあ、彼ともそうとう長いんだよね。最初は、トム(・コラ)の友達として出会ったんだけどね。サードパースンってのをやってたからね。
小林: サードパースンってのはバンドじゃなくてやり方の……、
大熊: ユニットだよね。必ずトムとサムの二人がいて、で、三人目のサードパースンを入れるっていう、で、それは決まってなくていつもいろんな人が三人目になるっていう、なかなかおしゃれなコンセプトだと思うんだけど。
それで、そもそもスケルトンクルーっていうフレッド・フリスとトム・コラの二人バンドがあって、途中で三人になったんだけど、それがホントにかっこよかったんですけどね。そのあとスケルトンクルーが解散してトムが一人で毎年来日するようになって、それでトムとすごく親しくなったんだけど。
で、だんだん、トムがそのころ、サードパースンやり始めたと思うんだけど、梅津さんとか、サードパースン関係で来るようになって、それでサムもしょっちゅう来るようになってね。で、サムが'92年ぐらいかな……サムがいろんなセットでインプロのセッションをやるって企画があって、で、一日僕が選んだ人間でやった事があってすごく楽しくてね。で、(サムが)こっちに住みだしたんで、時々はやるようにしようと……。



小林: あと、ベツニナンモクレズマーですか?
みわ: (笑)
大熊: あれもね、メンバー多すぎてね、しかも、なんか皆売れっ子だしね、たいへんだよ。
小林: あれは、もともと梅津さんのコンセプトで呼ばれたって感じなんですか?
大熊: あれはね、梅津さんっていうかね……そもそもマネージャーの野田君が言い出したコンセプトでね。僕もコンセプト段階から話は聞いてたけどね。篠田が死ぬちょっと前だね、篠田にも声かかってたからね、たしか。



小林: そうそうそうそうそう、渋さ知らズ(注)にも入ったとか(笑)。
大熊: 最近ね、いちばん新しい……、
小林: 新入り(笑)。
大熊: なぜか長いこと、接点なかったんだけどね。すごい近いところにいるなあとは思ってたけどね。
小林: 一緒の場でやったのは、寿町が初めてなんですか?
大熊: そうだね。
みわ: それでもまだニアミスだったよね。
小林: あ、会わなかった。時間帯が違って……、
大熊: なんか挨拶ぐらいしたのかなあ。
みわ: 大原さん(注)の……、
大熊: 大原がね、媒介になってるんだよね。
一同: 39才ズ!(爆笑)(注)
小林: まぼろしの(笑)。
大熊: いやもう、39才ズは……、
みわ: 不破さんと出会うためだけにあったようなものだよね。
大熊: そうそう、音楽史の中でも隠れた功績あるよな、39才ズ!
みわ: ただそれだけのために……。
小林: バンド名からして一年以上持たない名前ですよね。
大熊: そうだよな、もうちょっと後の事、考えろよって(笑)。
39才ズ
小林: 大原さんとはその前からもやってたりしたんですか?
大熊: 大原君はソウル・フラワーでゲストでね、いっしょになったのが初めですね。
小林: 意外と最近なんですね。
大熊: そうだよね。『エレクトロ・アジール・バップ』だから……。サイツはね、それ以前には聞いてなかったのかな?
小林: 名前は知ってたけど……、
大熊: 芳垣さんとかはね、クレズマーで……クレズマーも実は長いよね、5〜6年やってるのかな、篠田(が亡くなった)以前だから……6年ぐらいかな?
大原もね、ちょっと気になってるヤツなんだけど……。
管楽器だと2ホーンで表をやりつつまあバックもいてっていう、4〜5人でやるっていうのすごい面白いんだよね。かけあいつつテーマもハモったりユニゾったりして、それが相手がながらく見つけられなかったんだけど……、なんか一緒に話しても面白いしさ、いいかなと思ってるんだけどね。
小林: シカラムータもそういうのやりたいのかなみたいな感じはありますよね。桜井さんとユニゾンになったりとか、関島さんとユニゾンになったりとか
大熊: そうだね。
小林: 普通だとチューバがいきなりソロを取りはじめたりとか、一緒にユニゾン(注)とったりとかちょっと考え難いですよね。
大熊: そうかなあ。俺、なにもさあ、普通なのキライとか普通じゃないのがいいとか、口では言ってるけど、自分の普通な事をやってるだけなんだよね。普通って言うか自分が面白い事?
小林: あえてヘンな事をやろうとしているわけじゃなくて……、
大熊: 別に奇をてらってるわけじゃなくて、こうすれば面白いだろうっていう事をやりたいだけで……、まあ、どう見えようと関係ないんだけどね。
小林: あちこちでいろいろやりながら、面白いだろうと思ってやってみたら面白くなかったとか、失敗したらそれはそれでいいやみたいな。
大熊: それはあるよね。
シカラムータのメンバー
小林: そういう繰り返し。
基本的にひとつのバンドだけじゃなくて、あっちやったりこっちやったり、いろいろやりたいっていう志向なんですか?
大熊: そうです。「思い付き人生」ですから(笑)。
小林: まあわりと、シカラムータのメンバーもそういう人の集まりみたいな感じですよね。
大熊: うん。度が過ぎるとホントにこまっちゃうけどね、都合が大変でね。
でも、こう、ぴょんぴょんやりながらわりと定点みたいな定まったポイントがあってさ、パーって移動しながらもだいたいその形をもちつつ、だけど離れる事によって自分の事も客観視できるし、みたいな、そういう動き方があると思うけどね。
まあバランス取るのは難しいけどね、人生をやりつつ(笑)音楽もやるという事だからね。


[注]

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