『ふしぎ魔法ファンファンファーマシィー』全48話のひみつ #1
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新しく引っ越してきた街の商店街「にこにこ銀座」を探検していた主人公、ぽぷりは、くすり屋「ファンファンファーマシィー」の女主人、ふきこさんが魔法を使っているのを偶然目撃する。次の日、好奇心を押さえきれないぽぷりは「ファンファンファーマシィー」を訪ねるが……。
ぽぷりが魔法を使うためのアイテムとしてふきこさんがくれたのは「アルデルの小瓶」。その中にふきこさんが調合した魔法の種を入れてお祈りすると……。
ぽぷりの魔法は、魔法の種の力で自然の精霊を呼び出して、その力を借りる、というもの。初めて呼びされたのは風の精霊ピンチィ。呼び出した精霊に「名前を付ける」ことでその力を借りることができる、というのはなかなかファンタジーの世界を「わかっている」設定。従来の魔法ものアニメではこういうのはなかったように思う。
因みにキャラクター商品として発売された「アルデルの小瓶」はたまごっちライクな精霊育成ゲーム(笑)。
にこにこ銀座に現れたはちみつ泥棒の正体は……なんと空から落ちてきた仔熊座だった(!)、というメルヘンタッチの掌編。 原作のエピソードをほぼ忠実に脚色しているものの、「地球に落ちてきた熊」というモチーフは小中千昭氏にとっては非常に思い入れの深いもので(前項「小中千昭のひみつ」を参照)、このエピソードを原作の中からセレクトするにあたっては氏の趣味がしっかり入っていたとのことである(笑)。
ひょんなことからさかな屋の店番を任されてしまったぽぷりがはちまき巻いて奮戦する……というたいへんかあいらしいお話。
今回初登場の精霊は水の精霊シブ。
「おかいもの」というシチュエーションでにこにこ銀座を本格的に紹介する一編。ミュージカル仕立てなのがアニメとしてはちょっと異色の演出かも(笑)。なお、ふきこさんとぽぷりの歌う「にこにこ銀座でお買い物」は小坂明子氏がこのために作曲したもの。
『ファンファン』という作品の特徴は、このにこにこ銀座の人たちの存在感に支えられている面が大きく、1年間のエピソードを通して観ると、ほとんどのキャラクターに必ず一度はスポットがあたっている。それから、にこにこ銀座は伊藤郁子氏が原作をもとに地図を描き起こして、それをベースに演出が行なわれているとのこと。
なお、今回初登場の精霊は木の精霊グリム。
ある日、ファンファンファーマシィーに風邪をひいた雪だるまが訪ねてくるが……。
『はちみつどろぼう』もそうだが、実に日本的な商店街であるにこにこ銀座の日常的なリアリティと、こういうメルヘンタッチのストーリーが違和感なく共存できているというのが、『ファンファン』という作品の持ち味、といえるかも(それは原作の持ち味でもあるのだが)。
なお、風邪を治してあげようとしたぽぷりが呼び出した精霊は、今回初登場の光の精霊リック。
ふきこさんの留守中にピンチィを呼び出したぽぷり。空を飛ぼうとするがほうきではうまく飛べず、傘で飛ぶことに(笑)。
傘にぶら下がって飛びながら「傘で飛ぶ魔女なんてきっとあたしが初めてね」とのたまうぽぷり。世の中には「メリー・ポピンズ」という人がいるんだけどなあ(これには後日談(笑)あり)。
やっと飛べたと思ったのもつかのま、気まぐれなピンチィに振り回されたぽぷりは森の中に落下。そこでぽぷりはふしぎな声を耳にするが……。
今回はあの世界における魔法の位置づけについてのエピソード。「魔法はどこにでもある」がキーワードか。魔法は万物の中にすべからく内在しているもので、魔女というのは、その声に耳を傾けることができる存在。
小中千昭氏の芸風として、シリーズの初期のうちにロジカルな意味できちんと世界観を打ち出すようなエピソードを挿入しておく、というのはあるように思う(『ティガ』の第3話「悪魔の預言」とか)。
因みに、この回に規定された「魔法」の定義は、最終回においてもキーとなる設定として改めて語られることになるが、それはまた別の物語。
お祭りごとの好きなにこにこ銀座の人たちだが、今年はなかなか桜が咲かず、お花見の気分が今一つ盛り上がらない。ところが桜が咲かなかった理由は実は……。
これもまた、原作にあるエピソードのストレートな脚色。今回の話のキーは「春の精霊」だが、この後、各季節の精霊のエピソードはちゃんと1年で一巡りする趣向になっている。
今回はパン酵母の話。学校帰りにお気に入りのカニパンを買おうとパン屋に立ち寄ったぽぷりだが、パン屋さんはいつものように膨らんでくれないパン生地を前に困り顔。一計を案じたぽぷりは……。
ファンタジーに「パン作りの原理」というちょっと科学的な理屈をからませるあたりは小中千昭氏の確信犯的な脚本か。個人的には今回みたいな話はかなり好き。因みに、パン酵母の気持ちを探るべくが呼び出されたのは今回初登場の心の精霊ラルゥ。
作画監督は伊藤郁子氏で、やっぱりちょっとした表情とかのかあいらしさが他の作画監督と一味違う。
なお、今回は冒頭で、ぽぷりの本名が「西野かおり」というごく普通の名前であることが明らかになる(笑)。とはいえ、「気に入った名前があるのに他の名前で呼ばれるのってヘン」と主張するぽぷりの性格って、由来は絶対アン・シャーリーだよねえ(笑)。
今回はなんと花粉症の話(笑)。季節柄、にこにこ銀座の人たちのくしゃみが止まらなくなり、ファンファンファーマシィーの前には薬を求める人の行列が。時ならぬ大量のお客さんをさばき終わって一息ついたファンファンファーマシィーに記憶喪失の芋虫が訪ねてくるが……。
お客の来ないファンファンファーマシィーですっかりお昼寝状態のふきこさん(笑)。そんなふきこさんを店に残してニボシはにこにこ銀座をぷらぷらとお散歩。そんなニボシを尾行して、ぽぷりは普段足を踏み入れたことのないにこにこ銀座の裏通りを探検する。
このお話も原作のエピソードの脚色だけど、種明かししてしまっては実もふたもないお話なので、詳細は略。ヒントは五月の節句ね(笑)。
今回のポイントはちゃんと「使い魔」しているニボシとふきこさんの関係と、にこにこ銀座の裏通りの古風な街並み。ぽぷりが迷い込んだ大きなお屋敷のおばあさんは、後に#33『こころのわすれもの』で重要な役割を演じることに。
今回はいつもとは雰囲気の異なるオカルト風の異色編。にこにこ銀座のカメラ屋さんの撮る写真はなぜだか風景ばかり。そんなカメラ屋さん愛用のカメラのファインダーを覗き込んだぽぷりはそこに和服の似合う女の人の姿を見るが……。
カメラ屋のおじさんの古い恋の記憶がぽぷりの奮闘で「苦い思い出」から「幸せな思い出」に昇華されるという泣かせるストーリー。原作とは味わいの異なる小中千昭氏の本来のテイストと思われるストーリーを貝澤SDの抑制された演出が的確にツボにハメた、という印象。これは傑作。
ふきこさんがうっかり取りこぼした黒い種を気がつかないで使ってしまったぽぷりのアルデルの小瓶から電気の精霊(?)ガルが生まれ、街の電気をどんどん吸い取ってしまう。ふきこさんに頼らずに自分で問題を解決しようとするぽぷり。見習いなりに魔女の自覚に目覚めつつある、といった感じ?
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