深山の温泉山小屋 ■概要 歩かないと行けない山の中の温泉に行ってみることにした。天然記念物の噴泉丘がある湯俣(ゆまた)温泉晴嵐荘(せいらんそう)を訪れた。 東京電力の高瀬ダムからダム湖のほとりを歩いて3時間ほど。登山道から細い吊橋を渡って、急流の近くに晴嵐荘がある。もちろん山小屋の雰囲気。周囲は切り立った深い渓谷だ。 ![]() 湯俣温泉は北アルプス登山道の拠点のひとつで、野口五郎岳に通じる竹村新道があり、川を遡って槍ヶ岳の北鎌尾根に通じるクラッシクルートにもなっている。 源泉は晴嵐荘前の河原を少し掘った湯溜まりで、そこからポンプでお湯をくみ上げている。夜はポンプを止める。川原には何箇所か手堀りの露天風呂がある。 ![]() 晴嵐荘の開業は1927年。大正末期の古い高瀬渓谷の発電施設の完成とほぼ同じ時期だ。山小屋だが電気は来ている。 ■所在地 長野県大町市大字平高瀬入国有林2118 TEL:0261−22ー0165 |
![]() ■印象 古い建物だが、よく手入れされてて気持が良い。浴室は別棟になっていて、イオウの香りがしてくる。脱衣場、浴室とも小さい。 4人入れば満員の浴槽に、やや熱めのお湯がドバドバ注がれかけ流されている。タイルの浴槽は黄白色に染まっている。 湯色は、青みかかっていて、わずかに青白色に濁っている。くんでもくんでもドンドンお湯が溢れるのはとても気持が良い。 浴感はややキシキシ、あまい硫黄の香りがする。味は薄い茶渋のよう。酸味はほとんどない。やや熱めなので、お湯が歩き疲れた体にしみこんでくる。 源泉は宿から30m先の河原の自然湧出泉だ。泉質は単純硫黄泉(硫化水素型)、源泉の温度55.3℃、pH=6.3、成分総計1121mg。(1996年の分析) 露天風呂は源泉湧出口から下流に向かって、小さいものがいくつかつながって作られている。宿に近い大きな穴は昔の露天風呂だったそうだが、湯脈が変わって今は使えない。 露天風呂はキャンプサイトのすぐ近くなので女性は入りにくいかもしれない。訪れたときは適温の露天風呂は浅めの2人用くらいの大きさだった。 北アルプスの登山ルートの一角にある貴重な温泉だ。自然湧出のお湯おだが快適な温度になっている。ふんだんにくみ上げてかけ流されるお湯に感激した。 健脚ならば朝早く向かえば、日帰りも可能だろう。泊は9000円。 |
■営業
■交通 長野自動車道の豊科ICを降りて、オリンピック道路の県道310号線、306号線を北上する。大町市街の手前で国道147号線に合流する。大町市街を過ぎ、一中東交差点を左折して県道326号線に入る。大町ダムを過ぎ七倉まで。七倉からタクシー(2100円)で高瀬ダムに行く。高瀬ダムから9km、徒歩3時間程度。 ![]() 調査日:2008年7月 |
■湯俣温泉への行きかた |
![]() 湯俣温泉までの行程中ほどまでは、車が通れるトンネルとダートの林道だ。ダム湖の湖畔からの眺めはとてもすばらしい。北アルプスの深い谷と、少しだけ顔を見せる雪渓が残った高峰が日本の景色とは思えないほどだ。 ![]() 行程の中ほどから先は登山道のようになる。登山道も要所に木道が整備されていて歩きやすい。東京電力による整備なのだろう。なかなか立派な道だ。途中には避難小屋の「無名小屋」がある。 ![]() 高瀬川の右岸をずっと歩いていくとついに湯俣温泉に着く。最後はつり橋を渡って晴嵐荘に向かう。 |
■高瀬渓谷の噴泉丘 湯俣温泉からさらに登山道を歩いて20分で噴泉丘に着く。水俣川と湯俣川の合流点から湯俣川を遡って400mほど。湯煙がもうもうと上がっているので遠くからでも位置がわかる。 噴泉丘には急流を渡らないと近づけないが、この日は水量が多く渡れない。対岸から観察した。 ![]() 噴泉丘はドーム状、先端が飛び出しているのでオッパイ型だ。流れ出たお湯が川に流れ込むところに小さな露天風呂が造られている。付近はイオウの香りが漂っている。 噴泉丘の露天風呂には浸かれなかったが、右岸にもお湯の湧いているところがある。いくつか手作りの露天風呂があったので、いちばん具合のよさそうなところに入ってみた。 ![]() 噴泉丘のパノラマ |