田沢温泉ますや旅館★★★★


お湯の良い有形文化財の温泉宿

■概要

田沢温泉は長野県の上田市の西にある小さな温泉地だ。共同浴場の有乳湯(うちゆ)が有名だが、古い木造旅館がよい雰囲気だ。今回はますや旅館を訪れた。

小さな温泉街には石畳の道がある。車が一台やっと通れる道幅だ。道の右手の木造3階建ての大きな旅館が「ますや旅館」だ。木造の大きな建物が4つあって、渡り廊下で結ばれている。



玄関を入ると骨董品のような時計や時代劇に出てくるようなカゴなど飾ってある。明治・大正の最盛期の雰囲気が伝わってくる。建物あちこちには花がかざってあって、宿の矜持が伝わってくる。

ますや旅館の創業は明治元年(1868年)だ。今の建物は大正の頃のものという。文化庁の登録有形文化財に指定されている。木造で3階建てで現役に使っている建物はそう多くない。見るだけでも面白い。



周囲は山に囲まれていて、標高が高いのでずいぶん涼しく感じる。仲居さんは、田沢温泉から上田まで降りていくとずいぶん気温違うのですぐ帰りたくなるそうだ。

文豪の島崎藤村がながく泊まったことは宿の自慢だ。玄関から右手の2階に「藤村の間」がある。声をかければ見学させてくれる。

■所在地

長野県小県郡青木村田沢温泉
TEL:0268−49−2001



■印象

渡り廊下をずっと歩いて一番奥の浴室棟にたどりつく。浴室は新しい造りだ。浴室に入るとほんわかと硫黄の香りがする。

透明でトロリとした感じのお湯がかなりの量をかけ流されている。ぬるめの源泉そのままだ。硫黄の香りにつつまれて気持がよい。

田沢温泉2号泉、3号泉(どちらも掘削自噴)の混合。泉質は単純硫黄温泉、源泉の温度38.5℃、pH=9.53、成分総計213.2mg。源泉かけ流し、加水なし、冬季加温。



お湯を飲んでみると薄いタマゴ味と苦味がある。お湯の中には綿くずのような湯花が漂っている。しばらく浸かっているとフワーと気が遠くなるようにリラックスできる。

露天風呂は塀があって遠くは見えないが、周囲の木々と竹が覆いかぶさるように見える。こちらも大量かけ流しだ。木の葉が落ちてきてもすぐに流されていく。



本館地下に旧浴場があって、家族風呂になっている。こちらもぬるめのお湯がかけ流されている。

あまり知られていない温泉地だが、良い雰囲気の温泉宿だ。お湯ももちろん良い。熱い季節にはとてもよいところだと思う。お勧めする。

■営業

営業時間 10:00−22:00
休館日 無休
料金 500円

交通

上信越自動車道の上田菅平ICを降りて、国道144号線でJR上田駅前へ。上田駅からは国道143号線で松本方向に行く。青木村役場前を過ぎたら案内に従って田沢温泉への細い道に入る。宿の駐車場は少ない。有乳湯の上の共同駐車場が利用可能。



調査日:2008年7月

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