岩下温泉★★★


山梨最古の温泉

■概要

山梨県の石和温泉の北に県内で最も古い温泉があると聞いて、行ってみることにした。甲府盆地の北辺の田圃や果樹園が散在している地域に岩下温泉がある。国道から少し奥まった場所にあって、静かな雰囲気だ。

岩下集落までの狭い道を入ると小さな川の西平等川があってその岸に岩下温泉がある。山梨最古の温泉で1700年前からあるそうだ。旧館と新館があって、新館は宿泊用、源泉の風呂はいまでも旧館にある。



岩下温泉の新館は最近のものだが、旧館は明治時代の建物だそうだ。豪華な瓦の玄関はどっしりとした感じだ。玄関からの廊下の左手が加熱の浴室、右手の半地下が源泉浴槽だ。源泉浴槽の上に休憩室がある。



■所在地

山梨県山梨市上岩下1053
TEL:0553−22−2050
FAX:0533−22−2067



■印象

廊下の右下に源泉の浴槽がある。廊下からそのままのぞける。半地下で石壁の浴室だ。隅に小さな祠がある。浴槽は中央に仕切があるが、男女別ではなく混浴だ。

廊下の反対側は男女別に分かれた普通の浴室だ。そこで服を脱いで源泉風呂に入る。最初は冷たく感じる。プールよりはぬるいが体温より低い微温泉だ。
しばらく浸かっているとちょうど良く感じてくる。

刺激のないやわらかいお湯だ。泉質は単純泉(緩和性微温泉)、源泉の温度は28℃である。



普通の浴室は小さめだ。加熱の温泉浴槽と、小さな源泉浴槽がある。源泉に長く浸かって冷えた体を温め直すことができる。

付近に立ち寄り湯も多いせいか日曜でも空いていて静かな雰囲気だった。静かな源泉浴室に居るとここは昔の温泉の姿を残しているような気がする。真夏の暑い時期にここの微温泉に浸かるのが良いと思う。

■営業

営業時間 9:00−20:00
休館日 確認せず
料金 300円
入浴休憩 1000円

交通

中央自動車道の一宮御坂ICを降りて、国道20号線を甲府方向へ。向町二交差点を右折して笛吹川を渡り、石和温泉の温泉街を通り抜ける。国道140号線に出て北へ向い
、JR中央線春日居町駅前を過ぎて最初の信号を左折(小さな看板有り)。狭い道を3分ほど走る。駐車場は新館裏に10台ほどある。
JR中央線春日居町駅から歩いて15分ほど。



調査日:2001年9月


温泉起源を一考

浴室にあった説明文を少し長いが引用する。

「当温泉は、古来より著名の霊湯として奉られ、その発見の年代も詳(つまびや)かではないが、温泉の西隣に祀ってある走湯(そうとう)神社は湯權現様とも言う少名彦命を祀ってあり、延喜式内社である金桜神社の縁起によると、人皇第十三代成務天皇の御宇(みよ)の頃に存在した事になるから、今より千七百余年の昔であり県下最古の温泉である。」

これに興味がそそられたので少し調べた。

延喜式とは平安時代927年に作られた法令の施行細則で、その中に全国の3132ヶ所の神社の目録がある。つまり延喜式内神社とはその時代からあった由緒正しい神社ということになる。
金桜神社は金峰山を本尊とする古い神社で県内3ヶ所にある。走湯(そうとう)神社は金桜神社の縁起(起源の伝承文献)に出てくるという。

少名彦命(すくなひこのみこと)は、出雲の大国主命と協力しながら出雲の国造りをした神様で、医薬・温泉の神として崇拝されているので、あちこちの神社で祀られている。

成務天皇は古代の天皇で、生没が西暦131年から190年と言われている。岩下温泉が成務天皇の時代にあったとすると、少なくとも岩下温泉の歴史は1810年以上あるはずだ。

温泉の説明では「今より千七百余年の昔」とあるのは明治時代の解説と考えると納得がいく。とにかく古いということはわかる。走湯神社はいまでも岩下温泉の隣にあって、毎年10月下旬にお祭りがある。
ぶどう狩り



せっかく甲府に来たので帰りにぶどう狩りをした。9月から10月がベストシーズンだが、品種によってとれる時期が違うので、目当ての品種があったら確かめてからいくとよい。

 TOP  温泉みしゅらん