【初歩のTA】

TAとはなにか その5

2018年12月25日
参考書籍 『セルフコントロールの医学』 池見酉次郎 日本放送出版社
参考書籍 『続セルフコントロールの医学』 池見酉次郎・杉田峰康・新里里春 創元新書

【初歩のTA】

生きがいの分析
芝居の分析では、登場人物全てに超課題(スーパーテーマ)を考える。
例えばテネシー・ウイリアムズ作『罠』という戯曲では、二人の登場人物の超課題は、一貫して次の通り。
娘ベシーは、体の復調をもって、ブロードウェイーに復帰することであり、
母親にとっては、娘がヴァーノンと結婚して、ブルーマウンテンに定住すること。
その上で、それぞれの超課題を達成する為に生まれるアクション、
すなわち『罠』の中でのそれぞれの葛藤と対立・衝突が、劇的な展開を見せ、芝居として作品となる。
交流分析では、その将来にどのような希望や抱負、生きがいを持っているか。
将来への展望というべき『生きがい』について考える。これは芝居の登場人物達の超課題と同義なのかもしれない。
しかし実人生での『生きがい』という人生の目標や夢は、成長とともに書き換えられて行く可能性の高いものだ。
人生の生きがいを支える基本は、年齢、性格、生活環境などに応じて、次の三つのレベルの欲求であると考えられている。

1、本能的な欲求。
衣食住、性、安全の欲求、ベッタリとしたふれ合い(スキンシップ)への欲求。…… Cレベル

2、現実に即し、個性に即した創造的な自己実現への欲求。
仕事(労働)の欲求、所有欲、自己顕示欲、互いに利用し合う交流(社会的交流)への欲求。……Aレベル

3、責任存在としての欲求。
周囲や自然との調和のもとでの、自己実現への欲求。自己存在の意味を問う心。
責任と感謝を伴う人格的なふれ合い(共感的交流、和)への欲求。……Pレベル

私達が生きがいを求めて生きるとは、これらの中のいずれかの欲求の充足を求めて、対人交流を営んでいる姿といえる。
これらの欲求の実際の満たし方を観察・評価することによって、成長のレベルに即した生きがいを考えてゆく。

個々の、生き甲斐を求める行為を分析する具体的な方法の一つとして、
次のようなふれ合いのありかたに、どれほどの時間を費やしているか考えてみよう。
即ち『時間の構造化』について分析してみる事だ。
交流分析における『時間の構造化』には、『親交・雑談・儀式・自閉・ラケット、ゲーム・活動(仕事)』の6種類が考えられている。

時間の構造化:とは
交流分析では私たちが朝起きて夜眠るまでの生活時間の計画を立てることを、
「時間の構造化」と呼んでいる。私たちは日常生活においてほぼ無意識的にこの時間の構造化を行っている。

コミュニケーション=ストローク
TAは言語、非言語を問わずコミュニケーションが無ければならない。それをストロークという。
ストローク:人が他者に与える認識、注意、反応であり、肯定的または否定的なものである。
「挨拶をしたり、話し掛けたり」といった行動。人の心の中には無視されたくない、
自分の存在を認めて欲しいという基本的欲求がある。
人は他者からの認識や肯定的なストロークに飢えており、それがたとえ否定的な認識であっても、
どんな種類のストロークでも人は求める。
乳幼児期には「タッチストローク」と、認知的または心理的ストロークが不可欠である。
特に乳幼児期に「タッチストローク」が不足すると、身体的にも様々な障害が出る事も判明している。

1.親交Intimacy
相互の人格や価値観を尊重し合いながら、本音と本音で真実の交流を深めていくという時間の使い方。
それを構造化と呼ぶ。相互信頼に根ざした理想的な人間関係の構築と関係している。
・信頼と愛情に裏づけられた真実の交流。Pレベル。
・本音で交流することは非常にリスクが大きいが、最も報われることも多い構造化の方法。
・オープンで正直な信頼関係の中で感情や考え、経験を分かち合える関係。
・これは最大のストロークを生み出すが、私たちはそれを予測出来ず、危険を冒すものとして避けようとする。

2.雑談、社交Passtimes
『趣味・社会問題・読書・天気・恋愛・噂話・スポーツ・仕事』などに関する
他愛の無い雑談をして楽しむという時間の使い方である。
・表面的な対談のレベルでのふれ合い。Aレベル。
・一つの目標を達成しようとせず、単に何かについて話をしている状態。
・会話のガイドラインに沿って比較的無害な話題を展開し、ストロークの交換を行います。
・これが出来ないとそれ以上の関係に入ることが難しくなります。
但し、目標がないため、問題解決には向きません。

3.儀式Rituals
伝統や習慣、常識によって規定される『定型的な対人関係・コミュニケーションのパターン』によって、
ストロークを得ようとする時間の使い方である。
・個人的、直接的なものでない、間接的なふれ合い。AまたはCレベル。
・決められた作法で予測されたストロークを交換する方法です。
・この形式的なやり取りからストロークを得ている人が多く存在します。
・お互いが深く知り合うことはありません。

4.自閉Withdrawal
自分が傷ついたり落胆することを恐れて、『他者とのコミュニケーション・交流』から離れて、
自分ひとりで自己愛的な時間を過ごそうとする。
・自分の欲求の満足を他者に期待できず、自己愛のカラに閉じこもろうとしているもの。Cレベル。
・一人や他人といるとき、心理的に他者を排除して独りになります。
・自分の中だけでストロークを生産するため、一番感情的にリスクをとらない安全な方法です。
・自分の世界に入り込みすぎ、現実から遊離する危険があります。

5.ラケット、ゲーム(Rackets、Games)
相手を自分の思い通りにコントロールしようとして行われる不毛なコミュニケーションをゲームと呼ぶ。
雑談(社交)以上の深い人間関係を求めて、ゲームによる時間の構造化が行われることがある。
ゲームによる時間の使い方は、正攻法では相手の『肯定的ストローク』を得るのが難しいので、
歪んだ方法や誘導的な技術によって『相手の否定的ストローク』を引き出そうとするところに特徴がある。
好意のある相手にわざと嫌がらせや挑発をしたり、会話の取っ掛かりとして
皮肉めいた批判や意地悪な発言をするというのも、
ゲームによる時間の構造化であり、素直に相手に好意や興味を伝えられない人に多く見られる。

ゲームの時間の構造化(相手を操ろう、利用しようとする計画を無意識に秘めたコミュニケーション)は、
『雑談(社交)』よりも親密な人間関係を築きたいという欲求に基づいているが、
本来であればお互いに存在を認め合う『親交(親密さ)』に向かうべきものが、
傷つけられる不安を回避しようとして『ゲームの悪循環』に陥りやすくなっている。
相手をコントロールしようとするゲームでは、他者から十分なストロークが得られないので、
非生産的で不快な結末を迎えるゲームが繰り返されやすくなる。
・結果が予測される一連の裏面的交流を伴った相補交流。
・密度の濃いストロークを交換出来ます。
・「自分も他人もOKではない」とする交流。こじれる人間関係の原因となる。

6.活動(Activities)
『生産的な活動・社会的な仕事・義務的な役割』を介在させることで、
他人と関わりを持とうとする時間の使い方である。
・エネルギーが目標達成や課題解決などに向かった状態。
・結果に直接ストロークを与えられることが多く、人によっては主要なストローク源となります。
・中には「やり遂げるな」というメッセージに突き動かされている人も存在します。

生き甲斐の分析は、対象者がこの六つの様式のいずれかを用いて、どのように生活時間を充実させているかをみる。
生き甲斐を考えるにあたって、「時間の構造化」のあり方が、重要な意味をもつものと考えられる。
対象者が一番積極的に時間を費やす様式が、生き甲斐の方向や影を示していると考えられる。


TAの理解:
演出はなぜTAの理解が必要なのか。演出が理解するTAとは何だろうか。TAは人の営みの理解の手助けになるものだろう。
TAは今目前に居る人間を、丸ごと受け入れる為の手助けとなってくれるものだろう。
これはまた、演出としての自分自身が『いま、どのようにここに立つか』を定義するものでもある。
人間の有様について目指す所、交流分析の基本的な見解を抜き出してみよう。
演出も完全な人間ではない。自分自身の未熟な所や欠けている所を理解し、舞台創造の為に仲間の知恵を集め、
どうやって舞台作品化して行くかを考えなければならない。
そのための基本的な心構えとして、様々な知識や経験を通じて、心身を鍛錬して欲しい。

1.人はみなOKである:
人は誰もが、正当性、重要性、平等性の敬意を受けることができる。
人はみな価値があり、重要であり、幸せになる権利がある。
人はさまざまな行動をとる。その「行動」は受け入れられなくても、その人の「存在」はOKだ。
OKとは、人に【認められている。受け入れられている。安心感がある。】

2.人はみな(僅かな例外を除いて)、A(Adult)として、考える能力を持つ。
特殊な例外を除いて、人間はみな考える能力を持っている。つまり問題解決能力を持っている。
従って人生に何を望むかを決める責任は自分自身にある。
源は自分。誰もが自分で選択し決断して生きている。

3.人はみな、それぞれの物語と運命を、決定する。
しかしその決定は、変更が可能なもの。人は自分の運命を決め、また、その決定を変えることができる。
三つ子の魂百までというように、私たちは幼いころに幼児決断をした。その決断に従って今も人生を生きている。
良い決断もあればそうでない決断もある。
もしあなたが望むなら、自分の能力の発揮を拒む決断があれば、変えることもできる。
なぜなら自分で行った決断だから再決断することができる。
人生の定めを上書きして、書き換える。
つまり運命は変えることができる。

4.子供の頃に埋め込まれた『人生脚本(Life Script)』からの脱却。
「環境不適合というストーリー」からの脱却は、『不公平で不誠実な「今・ここ」の人生に基づいた感情、不適切、虚偽』、
からの解放のために求められている。
即ち、子供時代の苦悩、自己への同情、他人の心理戦、強制的な行動、人生の失敗の繰り返しといったものからの解放です。

5.交流分析は、目標思考であり、問題思考ではありません。
交流分析の目標は、『自立性、自発性、親愛性』を高め、「逃避」や「受身」といった問題を解決し、新しい選択肢を学ぶことです。
あるいは新しい選択肢を発見することです。

★「自律性の向上」:個性を自由に表現しながら、周囲と健康的に関わることがよりできるようになること。
この目的を達成するために「気づきの能力」「自発性の能力」「親密性の能力」を高める。

★「気付き」の能力:今怒っている自分に気づく、今自分が緊張していることに気づく、
またはリラックスして呼吸が深くゆっくりしていることに気づくということ。
つまり、今ここでの自分の思考、感情、行動に「気づく」能力です。

★「自発性」の能力:人前で話をするかしないかを自分で決めることです。話はうまく出来ないかもしれない、
でも話すか話さないかは自分で決めることです。多くの場合、私たちは何かのせいで「〜できない」ということがありますが、
多くは自分がしない、またはしたくないのです。そして、「しない」ことも自分で決めていいのです。
今ここでどのようにするかを自ら選択し行動し、その責任を負える能力です。

★「親密性」の能力:今ここで自分の気持ちを感じることができ、素直に自分を表現できる能力です。
また人の気持ちや思いを一緒に感じることができる能力です。如何に自己表現すれば相手に伝わるのか、
如何に相手の気持ちがわかるのか、つまり共感できる能力を「親密性」といいます。

TAをどのように演出に活かすのか
演出は戯曲を台本化して、一群の台詞がどのような場面を組み立てているか、
言い換えれば、観客へどのようなメッセージを提供して行くのか、場面ごとに整理して行かなくてはならない。
ただ「これだ」と思っても、実際の俳優達の稽古の結果、演出の予想しなかったものが誕生してくる事がある。
それはそれで良いのだと思う。演出が未熟だったか、俳優がより優れていたか、とにかく場面ごとのまとまりは必要だ。
作家がある場面で何を描いているのか、その理解の一助として台詞のやり取りの大雑把な括りを、
TAの分析を活用してみよう。<モリエール『女学者』>

用語解説

交流分析のストロークとは:
交流分析では、人間の成長や幸福、自己肯定のために必要な
対人的刺激をまとめて『ストローク(Stroke)』という。
ストロークは人間を対人コミュニケーションへと動機づける基本的な感情的刺激であり、
生まれたばかりの新生児(乳児)もスキンシップや声掛けのストロークを求めていることから、
ストロークの刺激を求める欲求には生物学的根拠がある。
ストロークには身体接触(スキンシップ)や授乳、愛撫といった
乳幼児期に感情を安定させる『肌のふれあい』もあるが、
成長するに従って肯定・賞賛・承認といった『心のふれあい』を促進させる
言語的なストロークの重要性が高まってくる。
乳児に親(養育者)の手厚い愛情や保護のストロークが与えられるか否かは
乳児の生存(健康状態)さえも大きく左右してしまう。
人間の対人コミュニケーションや互助的な社会生活は、他者からのストロークや
社会的な承認・評価を求めて行われているのであり、
ストロークとは他者から自分の存在が認められることが伝わってくる刺激として解釈することができる。
ストロークには、自分の存在が肯定される快適な刺激である『肯定的ストローク(陽性のストローク)』と
自分の存在が否定的に取り扱われる不快な刺激である『否定的ストローク(陰性のストローク)』とがあるが、
いずれも自分の存在が他者に認知されるという作用を持っている。
一般的には、『批判・叱責・罵倒・否定・拒絶・値引き』といった言動として与えられる
陰性のストローク(否定的ストローク)は受け取りたくないものであるが、
幼少期から長く陽性のストローク(肯定的ストローク)が与えられていないと、
相手を挑発したり怒らせたり困らせたりすることで、
陰性のストロークを受け取ろうとする行動パターンが形成されることがある。
これは相手に完全に無視されて存在を否定されるよりかは、
批判や軽視、叱責といった陰性のストロークを受け取ったほうがマシだという
無意識的判断に基づく行動パターンであり、陰性のストロークを求めることで
『ひねくれ者・天の邪鬼・偏屈な人』という印象を周囲に持たれやすくなる。

「ラケット感情(racket feelings)」とは:
交流分析において、本物の感情(authentic feelings)は、
「喜び(glad)、悲しみ(sad)、怒り(mad)、怯え(scared)」 の4種類しかないと考えるのが一般的です。

これらの4つの感情をそのまま表現することが出来れば、
感情はストレートに相手に伝わるので「ミスコミュニケーション」を起こすことがありません。

・「怒り」は「現在の問題を解決するため」
・「怯え(恐れ)」は「未来に予測される問題を解決するため」
・「悲しみ」は「過去の問題を解決するため」の手段として適切に機能させることができます。
※「喜び」は「解決する問題がない」状態なので割愛

そして、その4つの「本物の感情」以外の感情は「代用感情」ということになるのです。
多くの人は幼い頃に家族や属する集団の中で奨励されたり禁止されたりすることによって、
特定の「本物の感情」を常に別の「代用感情」で置き換えてしまうことを習慣化してしまいます。
この、「本物の感情」に置き換えられる「代用感情」のことを交流分析では
「ラケット感情(racket feelings)=ニセモノの感情」(racketとはペテンとか不正とかの意味)と呼びます。

例えば、幼い頃に「怒り」をストレートに表現することを禁じられ、「怒り」を感じた時に「泣く」(本来は「悲しみ」の表現)ことを
習慣化してしまったり(女性に多い)、「怯え(恐れ)」を表現することを奨励されない環境に育つことで、
常に「ヘラヘラ笑い」(笑い自体は本来「喜び」の表現)を浮かべてしまうようになったり。
また、もともとが「ニセモノの感情」に置き換えることで「本物の感情」を表現することで得られなかった
「欲しいストローク」を獲得することを可能にし、その経験を繰り返して習慣化するため、
人はストレス下に置かれるとその「ニセモノの感情」(ラケット感情)を自ら求めるような行動(ラケット行動)を
とるようになってしまいます。
ここで問題になるのは、「ニセモノの感情」には「本物の感情」のような「問題解決機能」がありませんので、
いくら「ニセモノの感情」を表現しても、そのストレスの元となっている「問題の解決」には何一つ役立たないということです。
「ニセモノの感情」自体が悪いワケではありません。それは、各個人がより「欲しいストローク」をもらうために
学習した一つの「よりよく生きるための戦略」です。
しかし、その「ニセモノの感情」が覆い隠している本来の「本物の感情」に自分で気づくことが出来ていないと、
「強いストレス」を感じたときに「問題を解決」することが出来ません。

5つのドライバー
禁止令に拮抗するという意味で拮抗禁止令と呼ばれるものが「5つのドライバー」です。
交流分析(TA)では、人は誰でも幼児期の両親をはじめとする養育者とのやり取りから「自分をしばるもの」を身につける。
少し成長してからそれを乗り越える「上手く生きていく知恵」を身につけて、この世の荒波を乗り越えようとする。
その中で利き過ぎて自分を「駆り立てるもの」となってしまったものが「ドライバー」と言われるものである。
「駆り立てるもの・ドライバー」は、人生の重要な場面やストレス状態で行動の癖として現れ、トラブルや不幸の基になっている。
「駆り立てるもの・ドライバー」は人によって身につけているものが異なる。
いつもイライラしている人は「急げ」に駆り立てられているのかもしれない。

「駆り立てるもの・ドライバー」には次の5種類がある。まず、自分が持っている「駆り立てるもの」、即ち、
「いつも自分を急き立てているもの」から解放されれば、自分らしい楽な自分に変身出来る。
・「完璧であれ」・「他人を喜ばせよ」・「努力せよ」・「強くあれ」・「急げ」

1.【完全であれ・完璧であれ】
何かしようとするとき、繰り返し「完全にやりなさい」と言われていました。
大人になっても「完全にやらなければならない」と、自分は勿論、他人に対しても完全を要求します。
また、好い格好をしたいので、大げさに言ったり、余計なことを言ったりします。
また、他人の短所をつい指摘したくなります。途中での中断が嫌いです。
相手の質問に答えられないと、惨めな思いがこみ上げ、焦ってうろたえます。
(身体の特徴:緊張・肩こり・頭痛・正しい姿勢・高い声で語尾が下がる・オーバーなジェスチャー)

2.【他人を喜ばせろ】
繰り返し「喜ばせなさい」と言われていました。他人には優しく心から喜んで貰えるように努めます。
また人が私を喜ばせるのは当然のことと思っています。また、他人への思いやりは強く、
自分を犠牲にしてまでも他人につくすので自分が不自由です。
人からどう思われているか気になり、冷たくされたり、拒否されるのは、とても恐ろしいことです。
(身体の特徴:胃痛・無理をする・低姿勢・丸い背中・うなずき・前かがみ・穏やかな声・和顔)

3.【一生懸命にやれ・努力せよ】
繰り返し「一生懸命やりなさい。努力しなさい」と言われていました。
大人になっても「何事も努力が肝心だ」と思っています。結果よりも努力が大事です。
ただ努力さえしていれば大丈夫です。努力!努力!これ以外にありません。結果は二の次です。
私は「質問にずばり答えないで、歯切れがわるく煮え切らない」と人に言われることがあります。
これは一生懸命に、より良い答えをしようとする努力の表れです。
(身体の特徴:肩こり・胃に緊張感・かたい姿勢・早口・いつも説得調・力強いジェスチャー・厳しい表情・前のめり)

4.【強くあれ】 
親から繰り返し「泣いてはいけない、こらえなさい、我慢しなさい」と言われていました。
大人になっても喜怒哀楽を表にださず厳しく自分をいましめています。
弱い自分をさらけださないように、自分のしたことを周囲に知られないように注意します。
映画をみたり、小説を読むときも、感動、感激したりしません。
他人が簡単に泣いたり、喜んだりするのをみると嫌になります。
私の話し方は単調で抑揚がないためか「強がってて、何を考えているのかわからない」などと
いわれ、無性に腹が立つことがあります。
(身体の特徴:胃潰瘍・腕組み・脚組み・低音で大声・への字の口・無表情・反応に間)

5.【急げ】
繰り返し「急ぎなさい」「早くしなさい」といわれたので、大人になっても、私はいつもセカセカしています。
時間を気にしてよく時計を見ます。本を読んでいる時でも、次は何をしようか考えていることがあって、
どこを読んでいるのかわからなくなります。待つことが苦手で、何かしていないと気が落ち着きません。
駅で電車を待っているときでも、読書、メール、足踏み、何か動作をしていることが多いです。
いつも焦って、早めに仕事をこなしますが、じっくり検討する時間も惜しむので、中途半端になりがちです。
(身体の特徴:セカセカしている・前かがみ・イライラ・大声で早口・ポイントしか話さない・
話を中断する・眉間に皺・目つきが悪い・目つきが突然変わる)

人生の重要な場面、ストレス状態では、これら5つのドライバーが強力に現れる。
それを実行していることに自分が気づいて、「完璧であれ」・「他人を喜ばせよ」・「努力せよ」・「強くあれ」・「急げ」と
駆り立てる思いを手放せば、人生が変わる。変化して行く自分に恐れる事なく、勇気を持って人生を築いて行こう。




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