精進ケ滝

 精進ヶ滝は、鳳凰山地蔵ケ岳の北面に発し、釜無川の支流である大武川に注ぐ石空(いしうとろ)川にあります. 日本の滝百選にも選ばれ、駐車場、散策道も整備されていますが、比較的静かなまま残っているのはうれしいことです.滝の落差121メートルは、 山梨県でもトップクラスの高さを誇ります.この精進ヶ滝の展望台までつけられている歩道には、魚止の滝、初見の滝、見返の滝の3つの滝があって これらをまじかで見ながらの容易な渓谷散策を楽しむことができます.

九段の滝 九段の滝
 この滝を前にしたとき、精進ケ滝の元にいくことはできないことがわかった.滝見台からも見えている九段の滝と呼ばれて いる急流は近ずくとちょっと登る気にはなれないような巨大なものであった。滝の前には、花崗岩の作り出した真砂の純白の河原が広がっていた. 足跡のみつからない白い沢底に一歩踏みいれ、水しぶきを降らす主を見上ると、今日は本命にたどりつけなくてもかまわないという気持ちに私はなれた.
 正午を越えた夏の日の光が容赦なく降り注ぐ砂の上から、涼しげに水の滑り落ちる岩肌を見上げると、汗ばむ暑さが一瞬消えてしまったような爽快さを感じた. なんとすばらしい滝だろうか.そしてこの感動は今私ひとりのものである.

精進ケ滝を訪れる
魚止めの滝 初見の滝
見返しの滝
歩道まじかの3つの滝.左上:魚止の滝.左下:見返の滝.右:初見の滝.
竜洗峡
竜洗峡
 以前私は冬にこの滝を訪れたことがある.そのときには渓谷を流れる水は半分氷かけ、寒々としたあたりの光景とあわせて、 いまひとつ迫力のない滝に思えたものである.雪でもあればまた別であろうが、あまりにも規模が大きすぎるこの滝の、 冬の姿は閑散としているだけであった.
 やはり、新緑の色濃い夏か、紅葉の秋がこの滝には似合うのであろう.梅雨のまだ明けない7月はじめの日曜日の朝、中央本線の 各駅停車を乗り継ぎ、久しぶりにJR中央線日野春駅に降りた.もう10時を過ぎていて、冷房の効いた電車から外に出ると蒸し暑さ が襲ってくる.駅前に止まっていたタクシーに乗り込み出発する.まずは釜無し川に向かって急坂を下っていく.このあたりの中央本線は塩 川と釜無川、2つの河川の侵食で残された高台の背を走っている.下りきると釜無し川の橋を渡り、国道20号線に沿った武川村の中 心部に出た.甲斐駒ケ岳の入口でもある横手集落に向かう道路へ入り、この村の名所である神代桜のある山高の集落に向かう.
九段の滝
九段の滝
 高台に点在するこの集落を終えると御座石鉱泉に向かう林道に入った.標高1000メートルほどの見返り峠という名の峠を越えると、 道は緩やかになった.林道脇の滝見のための駐車スペースからは、対岸の山の中ほどにはっきり白い筋を見ることができる. 前回は、氷結しかけた細い流れをここで確認したのだが、今日はここのところ降り続いた雨のせいか水も増えているようである.
 この滝の散策者のために設けられた駐車場でタクシーを降りた.滝を訪問する者のために作られた広い駐車場と、石空川にかかる 鋼鉄製の巨大な吊橋は、まったく無駄にしか思えない.年間どのくらいの人数がこの橋を渡るのだろうか.いくら滝百選に選ばれているとは いえ、こんな山間の滝は観光資源として大々的に開発できるものではない.橋のあるのはありがたいが、利用に応じた程度というものがあ るはずだ.
 吊橋を渡り精進ケ滝遊歩道に入ると、魚止め、初見、見返りの3つの滝が連続して現れる.このうち見返りの滝は、高さもあり、 見ごたえもある.滝を登るためにつけられている鉄製の階段を登る途中がこの滝を見るためのベストポイントだった.
 3つめの見返りの滝の釜の上にかかる吊橋を渡り左岸にもどると滑らかな花崗岩の沢底が美しい竜洗峡に入る.ここで渡渉し沢に 沿って進むと、大岩に架けた鉄製のはしごがあって、岩の上に登る.ここで対岸に向けて岩の上を渡した鉄橋が架けられている. 対岸の夫婦岩を巻いて登ると、すぐに滝見台に出た.所要時間は駐車場から20分といったところで、非常に手軽な散策である.
 滝見台の前方には九段の滝が流れ落ち、その上方に垂直に落下する精進ケ滝が姿を見せている. 残念なことに、散策道はここまでで、これ以上精進ケ滝に近づくことはできないし、ここから見える滝も下半分は手前の木々に覆われてしまっ ていて全貌はわからない.
 滝見台から九段の滝までは、残り100メートルほどしかないのであるが、道はつけられていない.ここまで来ると肝心の精進ケ滝が見えなく なってしまうから、遊歩道が作られなかったのだろうと思う.おかげで静かなまま残されたのはうれしい限りである.隠された滝の雰囲気が漂い、 訪問は楽しいことこの上なかった.水につかり、いくつか岩を乗り越えると滝の直下に立つことができた.

2000年7月2日訪問

syoji kudan
滝見台からみた2つの滝.左:精進ケ滝.右:九段の滝.
Syojigataki 冬の精進ケ滝 1997年12月14日
 標高1400メートルと高所に位置するこの滝は、冬季には氷結します.これらの写真は、前回私が冬に訪問した時のもので、 滝はちょうど氷瀑にかわる過程にありました.
Syojigataki_1taki
精進ケ滝一の滝 [魚止めの滝]

Syojigataki_2taki Syojigataki_3taki
二の滝 [初見の滝]三の滝 [見返りの滝]

<地形図> 韮崎(五万分の一)
<交通機関> JR中央本線日野春駅下車.タクシー25分(料金4000円強)または徒歩(10キロメートル).
<情報を得る> 武川村ホームページ 
<私のサイトで関連したページ> ドンドコ沢  精進ケ滝から尾根ひとつ越えた南には、滝の続くドンドコ沢という名の急流があります. 尾白川渓谷 甲斐駒ケ岳の麓の清流尾白川にも 渓谷散策道が整備されています.



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