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伊予ヶ岳山頂からみた富士山 |
房総半島は山深い。小さな山が密集している。羽田空港から飛び立つ飛行機は
房総半島の上空を旋回することがある。窓の下には、切れ間なく敷き詰められた山地と、その間のひだの間の狭
い平地を走り抜ける道路が展開し、その道筋に散在する家々の姿が印象的であった。
高さの点では、これらの山々の最高峰である愛宕山であっても408メートルしかないから、まったくとるに足らないと
思えるかもしれないが、家々の裏にあるごく普通の裏山がそそり立つように険しく感じられるのは、房総の岩質を反映
しているからだろうか。
最寄りの駅は内房線の岩井駅。時刻表をみていくと、各駅停車の数が少なくて、思うようにこの駅まで到達しない。 土曜休日には、新宿駅から特急さざなみがが出ているのでこれを利用することにした。指定席券を買って乗ったのだが、 客車はがらがらで、一両に数人しか乗っていない。自由席はさらに空いていた。夏であれば岩井浜に向かう海水浴客を 乗せそれなりに客もあるのであろうが、この時期だとこれといった行き先がないから無理もない。
小学校の前を過ぎると、田畑の真ん中に大規模な道路を作っていた。国道127号バイパスのものであろう。南にはトンネルも掘られ ている。このあたりから少しづつ勾配が急になっていく。道の脇には山間に点在する家々の後ろには富山の双峙峰が構えている。 左に折れ平久里川を渡り、国保病院前の前に出た。すぐ向かいが終点コミュニティーセンターのバス停であった。 バスを降りると左前にの田畑の先には、頂上に岩の突き出した伊予ヶ岳の南峰が見えている。これから登らなければならない山 は一目瞭然である。道路を歩いていくと、蛇行する平久里川の橋を渡り、天神郷バス停前に出た。標識にしたがって左に曲がれば、 2本のくすの大木がならんでいて、その奥に神社がある。隣の平群小学校との間の道路が登山道の始まりである。 よく整備された道を登っていくと、家々がよく見渡せる段畑の上に出る。ここを過ぎると林中の道になった。温暖な地だけに、この時期にな っても、まだ色づいたままの枯れ葉が残っている。登り初めてから、20分ほどで富山の分岐へ出れた。この分岐から少し登ると視界が開け てくる。そのすぐ上には展望台が整備されている。上に見えている山頂の岩も、もうすぐそこにある感じである。 ここから上の歩道は少しだけ荒れていて急だ。5分ほどで南峰に着いた。岩の上は鎖で囲まれている。ここに立つと視界は360度ある。 西北にまん丸い小さな山が見えている。地形図でみる津辺野山であろう。その右手には富士山が見えていた。房総から見る富士山はみごと な円錐形をしていて、視界を遮るような高い山も手前にはないから、まさに独立峰そのものだ。東京湾の大海原には、貨物船が行き交って いる。 南の方で突き出しているのは須崎であろう。北に目をおくっていくと、富山の2つの峰が構え、その先の海辺には、浮島のあたりの小さな 山々が連なっている。その背景には、少し曇ってみえているが、三浦半島であり先端には城ヶ島がある。3本の煙突が並んで立っているあたり が久里浜あたりであろう。さらに北に目をやると東京湾の奥にも煙突が見えている。その手前には鋸山の稜線が横たわる。 反対をむくと、ゴルフ場を挟んで、頂上に白い筒がのった山が見える。これは自衛隊基地のレーダ建屋のものである。この基地のある 愛宕山は千葉県の最高地点である。 南峰の岩の元には336.6mとかかれた標識が立っているが、これは鞍部の先にあるとがった峰、三角点のある北峰の高さであって、 今いる場所は330mしかない。せっかく登ったなら最高地点までいくべきだろう。5分で行ける何でもない道であるが、ピークの下の急坂の砂利 がよく滑る。三角点が埋められたピークの上はとても狭い。四方はみごとに切り立ち、急な斜面が一気に家々のある道路脇までおりている。 富山は頂上附近まで道は細いが車で登れる。富山に向かう道路が左に現れたのでここを左折した。車道とはいってもかなり急な坂で、登っていく のはけっこうきつかった。車道が終わり、岩井の海岸あたりが見渡せる展望台に出る。ここは、鞍部であって、左右それぞれ南峰、北峰へ向かう道が分 かれている。 まず、南峰に行くことにした。左手の平らな道を進むと伏姫籠穴の分岐に出る。ここから頂上に登る歩道は崩落のため通行止めになっている。 観音堂に向かう道の方を進むと礎石が並んぶ門の跡にでた。前の石段を登っていくと広くなっていて、奥に観音堂が建っている。お堂の脇から頂上に向かう 踏み跡があって辿ると342mの南峰。荒れたあずまやが残るだけであり訪れる人もないようだ。 展望台までもどって、今度は北峰に向かう。山頂附近は切り開かれていて、芝の植えられた広場には展望櫓も建つ。 観光地となっているだけあって、ここからの眺めはじつにすばらしかった。伊予ヶ岳からも見えていた須崎がまず目に着く。西に傾きはじめた太陽は海面を 輝かせている。伊豆半島から富士山も見えるのだが、曇っていて見えなかった。海岸のすぐ向こうには三浦半島がある。東京湾も入口の浦賀水道では 対岸までの距離は思ったより短い。 展望を楽しんだあとは、駅にもどるだけである。伏姫籠穴に向かう道を下ることにした。降りていくと沢に沿った急な歩道であった。もし登りに使った らうんざりするであろう。そのぶん下るには時間はかからい。10分ほどで車道に出てしまった。車道を降りていくと途中には籠穴の入口があった。 今日はもう急ぐ必要もないので立ち寄った。「南総里見八犬伝」は滝沢馬琴によって江戸時代に書かれた読本であるが、ここはその舞台である。 車道を下り、岩井中学校の前に出た。東側から見ると山姿のはっきりしていた富山も、西側からは山々の中の一つに過ぎず、小さいながらも見え ている頂上附近のアンテナと展望櫓によって特定できるだけである。右に折れると、朝バスで通った県道に出た。工事現場を通り抜け、小学校の前を通過 し、踏み切りを渡ると駅はすぐだった。 |
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南峰頂上の岩場と富山 | ||||||||||
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<交通機関> JR内房線岩井駅。駅前に冨山町町営のバス乗り場がある。天神郷が登り口のバス停であるが、 午前中にはコミュニティーセンターまでの便しかでていない。コミュニティーセンターから天神郷は歩いて5分ほどであるので、乗り継ぐ必要はない。 <WEB> 富山町 |
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