2003年10月


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新幹線品川駅開業
2003年10月1日(水)

たまたま今品川に通っており、日々
「ああ出来てきたなあ」と感じていました
が、とうとう開業。

特に新幹線使う用事もないし、鉄道ファン
でもないので、通り過ぎてゆく話題ですが。


子供の頃家にあった新幹線の駅にパチンコ
玉をはめていくゲームがあり、終点が
「岡山」であるのが、なぜ岡山なのだろう?
と不思議でした。


さて、不思議といえば、
「シンカンセン」と言った場合に胸をよぎる
のは、歴史のヒトコマです。

「シンカンセン」という元気な女の子を
主人公にした巴里夫さんの『5年ひばり組』
というまんががありました。ありましたと
いうか“あったそうです”というのが正確か。
アンソロジー本とか再録で数話しか読んだこと
ないし。

日本のTVアニメにおいて、最初の女の子
向けの番組は『魔法使いサリー』という
ことになっています。

製作会社の東映動画では、この
“最初の女の子向け番組”を企画するに
あたって、
横山光輝の『魔法使いサニー』と
巴里夫の『5年ひばり組』をコンペに
かけた結果、「サニー」(スポンサーの
都合で『サリー』と改題)に決まった
そうです。

歴史に「れば・たら」はなく、“もしも”
が展開するのは『ドリフ大爆笑』しか
ないのですが、
もしも『5年ひばり組』があの時点で
アニメ化されていたら、どうなっていたか。

魔術や超常現象を伴わない女の子の
学園アニメが、日本の生活に定着した
可能性もある。

魔法なしの女の子アニメは、
「何があったっけ?」と、思い出すのも
困難。
『あかねちゃん』とか?
のちに人気まんがもの(キャンディとか
はいからさんとか)でいくらか出たけど。

学園ものは実写化(おくさまは18歳とか)
ということになっちゃったんだよね〜。


少女=魔法使い、という公式が成立した
現代日本において、そうでなかった
パラレルワールドを一瞬感じた、
新幹線品川駅開業という出来事でありま
した。

スタンリー・キューブリック
2003年10月2日(木)

■第9位 11本 (11/12)■

【観た11本】
「現金に体を張れ」(56)
「突撃」(57)
「スパルタカス」(60)
「ロリータ」(61)
「博士の異常な愛情」(64)
「2001年宇宙の旅」(68)
「時計じかけのオレンジ」(71)
「バリー・リンドン」(75)
「シャイニング」(80)
「フルメタル・ジャケット」(87)
「アイズ・ワイド・シャット」(99)



ここから観た本数でのベストテン監督という
ことになりますか。



キューブリックのことは去年
「博士の異常な愛情」を中心に書いたし
(今年も書いたか)、あんまりしつこいと
嫌われますかナ。
今回は切り口を変えて、出会いの頃を
ちょこっと。


私が映画を観始めたころは「バリー・リンドン」
と「シャイニング」の間。古本屋で買った
『ロードショー』のバックナンバーで、
テイタム・オニールちゃんの記事を読んだ際に
お父さんのライアン・オニールと
「バリー・リンドン」のロケ地で一緒に
写っている写真を見た覚えがある。
父子で剣を構えているショットで、すごく
かわいかったです。
キューブリックの話になってませんか?


雑誌「ぴあ」の名作投票“もあテン”で
「2001年宇宙の旅」が毎年ベスト・ワンに
選出されていた。上映機会もなくて、
みんな見たがっていたようだ。ビデオも
無い時代だったし。

時あたかも「未知との遭遇」「スター・ウォーズ」
によってSFブームとなり、そんな後押しも
あって1977年の暮れだったか、
「2001年宇宙の旅」がリバイバル公開され
ました。テアトル東京だったかな。私はムーブ
オーバーした有楽町シネマで見ましたが、
大混雑していてビックリしました。
感想は・・・少し寝てしまいました。

翌78年、中学2年ですが、担任のT先生
(前年に新任だった若い男先生)と
進路の面接の時に、この映画の話をした
ことがあります。
どのような経緯かというと、私が週番の
時に週番日誌に毎日、自分が「スター・
ウォーズ」という映画にどれだけ期待して
いるか(=公開前だった)をめんめんと
書き綴っていたのですが、
面接ではT先生から
「お前、少ししつこいぞ!」とお叱りが
あり、そこからSF映画の話になって、
「2001年」に至ったワケです。


T先生「あの“モノリス”って何だと思う?」
わたし「サッパリわかりません。寝てたし」
T先生「あれは、人類の進化を測る“物差し”
なんじゃないかねえ・・・」

というやりとりだったか。
キューブリックも、東洋の進路指導室で
語られているとは想像していなかったろう。


「フルメタル・ジャケット」のラストは、
若い兵隊たちが

「ミッキーマウス・マーチ」

を歌いながら何処へか歩いていくシーンで
締めくくられていました。

戦争とアニメソング。

もう老いた私が徴兵されることもないが、
これから若者が戦地に行く場合、死の恐怖を
忘れるために何を歌うのか。

「♪あるこ〜 あるこ〜 
わたしは〜 げんき〜」

というトトロの「さんぽ」か。
ブラック・ユーモアもいいところだな。
そういうことが無いようにと思いながら
来月の選挙は投票しよう。
キューブリックの話になってませんね?


【未見】
「非情の罠」(55)

ビリー・ワイルダー
2003年10月3日(金)

■第7位 13本 (13/25)■

【観た13本】
「失われた週末」(45)
「サンセット大通り」(50)
「第十七捕虜収容所」(53)
「麗しのサブリナ」(54)
「七年目の浮気」(55)
「昼下りの情事」(57)
「翼よ!あれが巴里の灯だ」(57)
「情婦」(57)
「お熱いのがお好き」(59)
「アパートの鍵貸します」(60)
「あなただけ今晩は」(63)
「シャーロック・ホームズの冒険」(70)
「フロント・ページ」(74)



半分ぐらいしか観てないんですけどね・・・。
どの作品も「面白いな〜」とうなりながら
観ました。


川本三郎氏の著作で読んだのか、
ワイルダー氏の入国した時のエピソード。

戦前のドイツ映画界で活躍していた氏は
ユダヤ系なので、身に危機が迫る。
(母親は強制収容所で死んだらしい)
フランスから、アメリカへ渡ろうとする。

アメリカに着いて入国管理局で書類の
不備が判明し、帰国させられかかった。

その時、事務局員が「職業は何?」と
聞くのでワイルダーは「映画脚本家」と
答えた。それを聞いた事務局員は

「良い映画を作れ」

と言って不備書類に バン! と
ハンコを押して入国させてくれた・・・

という。

われわれが世にも面白いワイルダー映画を
楽しめるのも、

一人の人間の「寛容」

からだったかと思うと、なにやら胸に
迫るものがある。
(エピソードが記憶違いだったらスマン)


【未見】
「深夜の告白」(44)
「ワン・ツー・スリー」(61)
「ねえ!キスしてよ」(64)
など

しおかぜ運動会(1)
2003年10月4日(土)

10月4日土曜日の朝。
家の前のH小学校から絶叫にも似た場内
アナウンスが鳴り響き、寝ている私の耳を
刺す。どうやら運動会であるらしい。

12時ごろいったん静かになる。お昼休みか。
12時40分に、吹奏楽団の演奏が始まった。


ここで時は8年前にさかのぼる。

1995年に私はこのH町に引っ越してきた。
時は3月で、しばらくは穏やかな毎日が続いた。

それが、学校が夏休みに入った7月末、朝8時
になると窓から大音響が飛び込んでくるように
なった。

プ・・・プワ〜〜

ホワ〜

小学校の吹奏楽団が、校庭で練習を始めたので
ある。
なぜ朝から・・・。
きっと、日中は暑いからだろう。

そして、夏は始まった。毎朝8時に

プワ〜〜

ブンガ ブンガ

まあちょうど起きる時間(当時)だからいいけど
すごい騒音である。
レベル的にも、音を鳴らすのが精一杯といった
ところ。

しかし日が経つと、だんだん旋律らしきものを
奏でてようとしているらしいことが判明した。
ある日、同居人が言った

「これって・・・もしかして
『ラピュタ』の曲じゃないの?」

よくよく聴いてみると、たしかに
「君をのせて」
を演奏しているらしい。しかしこれ以上ヘタクソ
な「君をのせて」もないだろう。

お盆も過ぎ、9月になって学校も始まったが、
「朝練」なのか、毎朝8時から鳴らしている。

涼しい風が吹くようになると
「なんだか うまくなってきたね」
と言える出来になっていた。
音に力が入ってきて、全体のまとまりも出た。

そして、運動会当日。たまたま家にいたので
ベランダから本番の演奏を聴いたのですが、
「君をのせて」
は すごく良い出来で、拍手ものでした。

子供は成長するもんだなあ・・・と、父兄でも
ないのに胸を熱くした、夏から秋への出来事
した。


ヒッチコック監督の「裏窓」という傑作映画が
あります。足を怪我して家から出られない主人公
のアパートでの事件を描いた映画です。このアパ
ートに作曲家が住んでいて、住民はその楽器が
ウルサイ、と思っているのだけれど、映画の後半で
今まで断片的に鳴っていて騒音だと思っていた音
が美しい交響曲として完成して、それを聞いた
自殺しようとしていた女が思いとどまる・・・と
いうエピソードがありました。

生活のなかで芸術の完成過程に立ち会う、という
のは面白いものです。

(続く)

しおかぜ運動会(2)
2003年10月4日(土)

(続き)

H小学校の吹奏楽団はその後も活動を続け
レパートリーも年々増えている。

そして今年の夏も、毎朝うるさかった・・・。

本番当日は来た。10月4日12時40分、
演奏開始。



1曲目「オブラ・ディ・オブラ・ダ」

これは楽団初期からのレパートリーである。
「である」って偉そうに言っているけれど、
別にウォッチャーなワケではない。

2曲目「聖者が街にやってくる」

スカに続いてジャズと、生意気な小学生バンド
である。When The Saint Go Marching In
といえば私は名作映画『五つの銅貨』での
ダニー・ケイとルイ・アームストロングが
掛け合いで唄うバージョンが大好き。

3曲目「世界で一つだけの花」

今年の新曲。小学校の付近住民も
「ああ、今年はこれをやるのかあ」と
感慨深かった曲。

4曲目「鉄腕アトム」

これも楽団初期からのレパートリーでは
あるが、同居人に言わせると
「ずいぶんテンポのゆっくりなアトムだこと」
ということになるが、TVの1分間バージョン
と一緒にされては困る。



と、いった曲を演奏して、観客から盛んな
拍手を受けていた。今年もまあ成功といって
いいでしょう。

私は4曲目のあたりで
「洗剤を買いにいかなくっちゃ」(石橋蓮司風)
ということで出かけることにした。

小学校の前を通ると、ちょうど演奏を終えた
楽団の連中が引き揚げてきたところだったが
見てびっくり。

全員、女の子だ!

あれ〜昔は男の子もいたのになア。
いつのまにかガールズ・ブラス・バンドに
なっていたようだ。音だけでは変化に気付かな
かったヨ!



校門の横には「しおかぜ運動会」という看板が。

う〜ん、地理上は海の近くではあるけれど・・・。
石油工場のある工業地帯なんですけど。まあ気分
だけでも。

統一テーマは

みんなで 力を合わせて 
せいいっぱい がんばろう


でした。

(続く)

しおかぜ運動会(3)
2003年10月5日(日)

ガールズ・ブラス・バンドの話から変わって、
音楽のことで一つ。

なにかの競技の選手入場の音楽が、
松田聖子の
「天国のキッス」
のインスト版でした。

この曲はご存知の通り、東宝映画
「プルメリアの伝説」(1983年)
の主題歌でした。松田聖子と中井貴一が
共演した映画。

1983年の春、私は横浜市金沢区にある大学
の一年生でした。部室にいると、部の先輩が
やってきて曰く
「駅前の××(←喫茶店の名前)で松田聖子
の映画のロケやってるぞ!」
とのこと。

めんどうくさがりなので見に行かなかったが、
その後メメ喫茶(←ねじ式じゃないっつーの)
に行ったら、確かに撮影の時の写真が貼って
ありました。

7月の「プルメリアの伝説」の封切りは
見ませんでした。でも東宝の後続作
「嵐を呼ぶ男」(マッチ主演)はしっかり
封切りで横浜東宝で観た。同時上映のトシちゃん
の公演ドキュメンタリー映画も観た。

結局冬に、併映の「刑事物語2・りんごの詩」
ともどもオールナイト5本立ての中で見た。
たしか池袋東宝だったと思う。
「プルメリアの伝説」は予想通りお寒い出来で、
いつか金沢八景の喫茶店が出てくる・・・と
いうモチベーションが無ければ寝ていただろう。
メメ喫茶はわりと綺麗に撮れてたと思います。
さすがに20年前のことで細かく覚えてないけど。

朝やけの池袋の街を歩きながら、やっぱり
俺は松田聖子より酒井和歌子(刑事物語2に
出てた)の方が好きだなあ・・・と思った。

と、いうことを、運動会の曲を聴いて
思い出した市大です、じゃない次第です。


松田聖子については別の機会にもうすこし
真面目に書きます。

しおかぜ運動会(4)
2003年10月5日(日)

さて、運動会の華といえばやはり
「リレー競争」
ということになろうか。各団体が送り込んで
きた精鋭たちの俊足ぶりには胸を熱くさせる
ものがある。

小学校から高校まで楽しく観戦していたが、
今でも脳裏に浮かぶのは1977年、
中学一年の時の我が1年10組のリレー
チームの勇姿である。それは
「ドリームチーム」と言っても過言では
なかった。

4人が選抜された時から「こいつら速い
よな〜」と思い、練習を見ても「こいつら
はえーよ」と感じていたが、本番では
もう「感動した!」としか言えなかった。
いや、言葉も出ないほど感動した。
そこで、26年の歳月を経て言葉にしてみよう。


ドリームチームの4人は、こんな男たち。

第一走者のタテノ君。
彼はバレー部で、背は高くなかったがいつも
顔が赤く、クチビルが丸いので「タコはん」
と呼ばれていた。
彼のことで何より記憶に残っているのは、
当時ヒットしていた松崎しげるの
「愛のメモリー」の歌マネが抜群に巧かった
ことだ。この曲、最後に
「♪わ〜たしは わすれ〜はし〜ない〜
ハーーーーーアーーーアアアアアーーーー」
と絶唱する箇所があるのだが、これがもう
松崎しげるにクリソツ。

第二走者のヤマギシ君。
彼は、背が高い。ムダにデカい、という印象。
教室では一言もしゃべらない。女子には
「ヤマケン」と呼ばれていたが、
名前に「ケン」が付かないので、何故そう
なったのかは謎だ。
風貌は今で言えば「ミスター・ビーン」に
似ていて、運動神経も悪そうに見えるが、
実は足が速い、という意外性の男だった。

第三走者のオオハタ君。
羊のような表情をした、おっとりした宮さま
風の少年で、「ハタじい」と呼ばれていた。
昔心臓の手術をしたとかで胸に縦一直線の
手術跡(首の下からヘソまで)があり、
着替えやプールの時に周りはドキドキしたが、
本人は別に隠すでもなく、ひょうひょうと
していた。
外見とは似合わずハード・ロックが好きで、
レッド・ツェッペリンの大ファンだった。
背は高くないが筋肉質で、走ると普段の
性格と全然違う力強さを見せた。

第四走者のシカクラ君。
なんのヒネリも無く「シカ」と呼んでいたが、
陸上をやるために生まれてきたような体格。
私は幼稚園でも同じクラス(ふじ三くみ)
だったが、昔から大きい男だった。中1で
もうすっかり声変わりしていて、俳優の
ような発声をしていた。
走る姿は後のカール・ルイスのようと言おうか
サラブレッドの走りのように美しかった。


この、選び抜かれた精鋭は、もう本番でも
ブッチギリだった。

土煙を立てて荒野を走るジープのように

自由を求めて駆けたクンタ=キンテのように
(当時放映されたドラマの主人公)

おそろしいスピードで駆け抜けた男たち。
今でもドドドドドという音が聞こえるようだ。

もう、他のリレーチームのことは一つも
覚えていないけれど、この時のことだけは
なぜか鮮明に覚えています。

運動会シリーズ 終わり

クリント・イーストウッド 
2003年10月6日(月)

■第9位 11本 (11/23)■

【観た11本】
「恐怖のメロディ」(71)
「アイガー・サンクション」(75)
「ガントレット」(77)
「ブロンコ・ビリー」(80)
「ファイヤーフォックス」(82)
「ダーティハリー4」(83)
「ペイルライダー」(85)
「バード」(88)
「ホワイトハンター ブラックハート」(90)
「許されざる者」(92)
「スペースカウボーイ」(00)



なんと言っても「許されざる者」が凄いよ。
飛び抜けてる。神話級の傑作。
それ以外は、まあ出来はいいよね、といった
ところ。というのが個人的な見解。


「許されざる者」にちょっと関係する話。

イーストウッド監督映画で初めて見たのは
テレビでの「アイガー・サンクション」
だったと思う。「人間の証明」(1977年)の
ジョージ・ケネディが出てるというので見たが、
あんまり面白くなかった。

さて、1978年の正月映画(1977年12月封切)
にイーストウッドの「ガントレット」があった。

ちなみにこの時の正月映画は
「007/私を愛したスパイ」「カプリコン1」
「オルカ」「ジョーイ」などがあった。

たまたま1月ちゅう有効の映画館のもらった。
松竹系の洋画封切館で、「ガントレット」が
上映中。それを観に行けばいいのに、1/28
封切りの「黄金のランデブー」を見てしまった。

なぜ、「ガントレット」ではなく「黄金の
ランデブー」を選択したのか。

(1)「アイガー・サンクション」がいまいち
だったので、イーストウッド作品に不信感が
あった
(2)「黄金のランデブー」はアリステア・
マクリーン原作だった。私は「ナバロンの
要塞」が好きだったので、期待感があった
(3)リチャード・ハリスはその頃
「カサンドラ・クロス」「オルカ」と大作
主演作が続いていて、それなりに人気があった

といったところか。
25年の月日を経て、私の選択は誤っていた
ことは明らかだ。「ガントレット」は今なお
評価の対象となり、「黄金のランデブー」は
歴史の闇に消えた。しかし、私には後悔は無い。

で、東洋の一少年を煩悶させた2映画の主演者
は、「許されざる者」で共演した。
監督のイーストウッドがハリス氏を招聘。
“イングリッシュ・ボブ”という難役を、
リチャード・ハリスは見事に演じて傑作映画の
評価を高めた。

1978年1月の横浜ピカデリー劇場と
「許されざる者」は直結しているのである。
私の脳内では。
「ダーティハリー4」もここで観ました。


【未見】
「荒野のストレンジャー」(72)
「マディソン郡の橋」(95)
など

やぎさんゆうびん
2003年10月6日(月)

ここで書くのもいかがなものかという感も
あるのですが、通信コーナーに変身。
昨日「ナージャよりどれみが良かった」
という大変感心で慧眼のお嬢さんのコメント
をメールでご紹介いただいた私のお友達(笑)
はどなたでしょうか?
本文は読めたのですがヘッダーとアドレスが
文字化けしていたもので、どなたから
いただいたのかわからないんです〜。
その子を養女にいただきたい(嘘)ので
連絡お待ちしています。名前書いてネ。

ロバート・ゼメキス
2003年10月7日(火)

■第7位 13本 (13/13)■

【観た13本】
「抱きしめたい」(78)
「ユーズド・カー」(80)
「ロマンシング・ストーン」(84)
「バック・トゥ・ザ・フューチャー」(85)
「世にも不思議な
アメージング・ストーリー」(86)
「ロジャー・ラビット」(88)
「バック・トゥ・ザ・フューチャー
PART2」(89)
「バック・トゥ・ザ・フューチャー
PART3」(90)
「永遠に美しく・・・」(92)
「フォレスト・ガンプ」(94)
「コンタクト」(97)
「ホワット・ライズ・ビニース」(00)
「キャスト・アウェイ」(00)



(13/13)=コンプリート。全作観てる。
何故だろう?って、やっぱり気になるから
でしょうか。

この人の映画は、
“面白い”と“つまらない”
がハッキリしてるんだよね〜。

“つまらない”グループは
「ロジャー・ラビット」
「永遠に美しく・・・」「コンタクト」
「ホワット・ライズ・ビニース」
「キャスト・アウェイ」
共通する特徴は、短編小説だったら面白い
だろうな、というアイデアを2時間の映画
にしてしまっているところ。
どれも、30分の・・・
『ミステリー・ゾーン』みたいな
ドラマだったら、おお、良いねえ〜
ということになってたと思う。
たぶん、特撮(という言い方も古いか。
SFX)の部分に絶対の自信があるから
こういう失敗をするんだと思う。

対して、“面白い”グループは
「ロマンシング・ストーン」
「バック・トゥ・ザ・フューチャー」
「フォレスト・ガンプ」
どれもシナリオが良い上に、SFXも
含めたディディールが最高。
元々ボブ・ゲイルとコンビの脚本家として
世に出た人(『1941』など)だけに、
おハナシの面白さではスピルバーグも
かなわない。

ここのところ“つまらない”グループの
作品が続いていてちょっとガッカリして
いるんだけど、またそのうちビックリ
するような映画を見せてくれるでしょう。


ちなみに、私が今まで見た中で
「いちばん泣いた映画」
(鑑賞中に放出した涙の量が最も
多かった映画)
は、このゼメキス監督の

「バック・トゥ・ザ・フューチャー」

(一作目)なのです。
オープニングからラストまで泣きっぱなし。
元々“時間もの”に弱いんだけど、これ
にはやられました・・・。

ジョン・ランディス
2003年10月8日(水)

■第6位 14本 (14/19)■

【観た14本】
「シュロック」(71)
「ケンタッキー・フライド・ムービー」(77)
「アニマル・ハウス」(78)
「ブルース・ブラザース」(80)
「狼男アメリカン」(81)
「トワイライト・ゾーン」(83)
「大逆転」(83)
「カミング・スーン」(83)
「眠れぬ夜のために」(84)
「スパイ・ライク・アス」(85)
「サボテン・ブラザース」(86)
「星の王子ニューヨークへ行く」(88)
「オスカー」(91)
「ブルース・ブラザース2000」(98)



そういえば、今までランディス監督のことを
書いていない。「ブルース・ブラザース」の
ことだけしかふれていなかった。
これほど好きなのに。


最近の映画ジャーナリズムに対して
声を大にして言いたいことがある。

ジョン・ランディスを
“おバカ映画”の作り手
−と紹介するのをやめろおおお!!!


“おバカ映画”という単語を書くのも
イヤだが、オースチンパワーズとか
そんな類の映画を指すらしい。

オースチンとランディスが一緒だなんて
絶対に言ってはいけないよ。


ランディス映画は 一貫して
「集団にとけこめない個人」という
モチーフを描出し続けている
作家の映画です。

もう少し柔らかい言い方をすると、
クレージーキャッツの“お呼びギャグ”
を繰り返している、というところか。

どの映画でもいいけれど、例えば
黒ずくめのミュージシャン(BB)
狼男(アメリカン)
映画俳優(サボテン)
・・・といった人が異なる集団の中で
浮き上がって違和感を感じたり
滑稽な行動を取らざるをえない・・・
というのがランディス映画の構造です。

MTVの代表作『スリラー』も
ゾンビ集団の中に投げ込まれた女性を
描いているし、
『トワイライト・ゾーン』の一編も、
ユダヤ人のドイツでの受難をシリアス
に撮っています。


まあ確かに、くだらないギャグもたくさん
含まれているけれど・・・。
「アニマル・ハウス」という映画は、
私と兄貴の間では
“ドナルド・サザーランドが尻を出す映画”
と呼ばれています。このように。


『トワイライト・ゾーン』の事故以来、
本調子に戻らないのは確かで、最近は
ご無沙汰してしまっている。

しかし当方、
先日もランディスが8歳の時に見て
監督業を志したという映画
「シンドバット7回目の航海」(1958年)
をテレビで観て 原点を追求しようと
したりしており、
まだまだ期待しておりますですよ。


【未見】
「アメリカン・パロディ・シアター」(87)
「イノセント・ブラッド」(92)
「ビバリーヒルズ・コップ3」(94)
「ステューピッド」(96)
「スーザンズ・プラン」(98)

ジャン=リュック・ゴダール
2003年10月9日(木)

■第5位 15本 (15/51)■

【観た15本】
「勝手にしやがれ」(59)
「新七つの大罪」(62)
「女と男のいる舗道」(62)
「軽蔑」(63)
「カラビニエ」(63)
「はなればなれに」(64)
「男性・女性」(65)
「気狂いピエロ」(65)
「アルファビル」(65)
「彼女について私が知っている二、三の事柄」(66)
「ウイークエンド」(67)
「ワン・プラス・ワン」(68)
「ヒア&ゼア」(74)
「映画史」(98)
「愛の世紀」(01)



作品数の多い人であり、三分の一も観てない
ので、知った風なことはいいません。
でもフランス映画ニガテな私にしては見て
いるほうだなあと思う(あくまでも私の中
でのハナシ)。
今までゴダールのことを言ったり書いたり
したことは無いのですが、それは
「下手に話題を出して難しいことを言われ
たら困るなあ・・・」という非・積極的な
動機によります。映画の本や雑誌でゴダール
について書かれたものは・・・難しくて
ワケがわからない(大森一樹を除く。この
人のゴダール論はムズカしくなくて好き)。

ゴダールの映画のどこが好きかというと、
・画面に写された光がきれい
・人物の“しぐさ”がカッコいい
・音の使い方が面白い
といった、外面的なところです。
特にモノクロ時代の作品はビジュアル
が良いです。


などと言いつつ、本当のところは。

■■■■■■■■
■ウルトラセブン■
■■■■■■■■

日本のテレビ特撮番組の金字塔ですが、
ここがゴダールの入り口でした。
そういう人は多いはず。


「ウルトラセブン」の中で

実相寺昭雄

が監督した作品
「狙われた街」(第8話)
「第四惑星の悪夢」(第43話)
「円盤が来た」(第45話)
は、みんな強い印象を受けたと思います。
(もう一話監督しているらしいが覚えが
ない)


実相寺昭雄の著作
『ウルトラマンのできるまで』
( ちくまプリマーブックス13、
筑摩書房, 1988年刊)
にも書いてありますが、
「第四惑星の悪夢」というのは
ゴダールのSF映画「アルファビル」
をやってみたかった、ということで
製作された作品だったそうなのです。

ウルトラセブンの実相寺昭雄から入って
ゴダールへ到る、という道すじ。

この経路をたどった人は私だけではない
でしょう。でも間違いなく
「第四惑星・・・」も「アルファビル」も
カッコいい映像なのです!

特撮を使わず、映像の切り取り方で
東京やパリの街が未来都市になってしまう
不思議・・・。

大学の時に、嗜好を同じうする仲間と
スパイ映画を製作し、東京・横浜の風景を
“大西洋沖で独自の文明を築いた島国”
として描こうとしましたが、お察しの通り
見事に失敗しました。


やっぱりゴダールにはなれないよ。

幾万の映画青年がつぶやいたのと同じ
セリフを発してしまった1986年の記憶。

ワン・アンド・オンリー、それが
ゴダール − というのが結論。

実相寺昭雄もスゴいけど。ああ、セブンの
「狙われた街」「円盤が来た」が急に
見たくなって来た!!


【未見】
「女は女である」(61)
「右側に気をつけろ」(87)
など多数

リチャード・レスター
2003年10月10日(金)

■第4位 17本 (17/21)■

【観た17本】
「A HARD DAY'S NIGHT」(63)
「ナック」(65)
「HELP!」(65)
「ローマで起った奇妙な出来事」(66)
「僕の戦争」(67)
「華やかな情事」(68)
「不思議な世界」(69)
「三銃士」(73)
「四銃士」(74)
「ジャガーノート」(74)
「ローヤル・フラッシュ」(75)
「ロビンとマリアン」(76)
「さらばキューバ」(79)
「新・明日に向って撃て!」(79)
「スーパーマンK」(81)
「スーパーマンL」(83)
「新・三銃士」(89)



今まで映画監督についてつらつらと書いて
きましたが、まあ普通の映画ファンとあまり
変わらない、特徴の無い鑑賞履歴であった
と思います。
唯一ランキングで「個性」が感じられると
したら、このポジションでリチャード・
レスター監督が登場する − という
ことでしょうか。

洋画では一番好きな監督ですね。

もう引退しちゃってる人ですが。


ミュージシャンの小西康陽氏なんかが
大ファンらしく、色々なところで語って
いるので、特に付け加えることは無いの
ですが、一言紹介だけ。


ニューヨークに旅行で行ったときに
伝記本を買ったのですがタイトルは

THE MAN WHO "FRAMED" THE BEATLES

(のちに翻訳出版、邦題は
『ビートルズを撮った男』)

これに象徴されるように、
「A HARD DAY'S NIGHT」「HELP!」
というビートルズ映画を撮った人
・・・というのが一般的な知られ方。

観た人にはご理解いただけると思いますが
特徴は
○抜群の画面レイアウト
○抜群の編集センス
そして
○マルクス兄弟的にナンセンスな笑い
といったところです。


読んだ人に「リチャード・レスターって
すごいじゃん」を感じていただきたく、
いくつかエピソード列挙。
読んだ人が感じる(推測)「すごいじゃん」
の度合いを目盛り(■)の累積で表現。

(1)二本のビートルズ映画の間に撮った
「ナック」でカンヌ映画祭のグランプリを
とった。■

(2)「ローマで起った奇妙な出来事」は
アカデミー編曲賞受賞。■■

(3)映画「HELP!」の"TICKET TO RIDE"の
ナンバーで画面に写るピアノを弾いている
手はレスター(演奏できる!)だという噂
■■■

(4)「僕の戦争」「不思議な世界」は
“わけがわからん”という理由で日本で
公開されず。■■■■

(5)「スーパーマンK」公開時に来日、
手塚治虫と『キネマ旬報』誌上で対談
する。■■■■■

(6)上記対談で、実はスタンリー・
キューブリックと友だちだということが
判明。■■■■■■

(7)同じ来日時に記者会見で、
「皆さんにどんな理由で映画監督になったか、
どんな映画監督に影響されたか、などという
ことを聞かれますが、私は若い頃は歌手
なりかったのです!」と発言。■■■■■■■

(8)若はげ。■■■■■■■■

(9)天才児で、飛び級で15才で大学に
入学。■■■■■■■■■


うん、ぐいぐいと目盛りが上がりましたね。
すごい人だ。特に(6)は相当すごいと思う。


・・・というのが一般的な話で、
今回はこのイントロダクションにとどめて
おきます。
個人的には中学三年の時(1979年)に
「新・明日に向って撃て!」を観て認識し、
1983年の春休みに「A HARD DAY'S NIGHT」の
リバイバル公開を観てからの大ファン。
詳しくは別の機会に書きましょう。



【未見】
「とんだりはねたりとまったり」(60)
「月ロケット・ワイン号」(63)
「マネーハンティングUSA」(84)
「ゲット・バック」(91)

フランシス・フォード・コッポラ
2003年10月11日(土)

■第3位 20本 (20/21)■

【観た20本】
「ディメンシャ13」(63)
「大人になれば・・・」(67)
「フィニアンの虹」(68)
「雨のなかの女」(69)
「ゴッドファーザー」(72)
「カンバセーション」(73)
「ゴッドファーザーPARTK」(74)
「地獄の黙示録」(79)
「ワン・フロム・ザ・ハート」(82)
「アウトサイダー」(83)
「ランブルフィッシュ」(83)
「コットンクラブ」(84)
「ペギー・スーの結婚」(86)
「友よ、風に抱かれて」(87)
「タッカー」(88)
「ニューヨーク・ストーリー」(89)
「ゴッドファーザーPARTL」(90)
「ドラキュラ」(92)
「ジャック」(96)
「レインメーカー」(97)



あと三人・・・って、野球の応援みたいだが。

語りつくされている大巨匠だけに、
今日はまず


じんせいの ふしめふしめに こっぽらが

(人生の 節目節目に コッポラが)


この見事に決まった五七五の一首をテーマに
書いてみましょう。

【第一景】
1980年2月、やっとのことで高校入試が終了。
合否はともかくホッと一息。
試験終了日の夜から、こんな感じで映画を
観ました。

2月28日
試験終了。夜TVKでW・ホールデン主演の
『ピクニック』を観る。

3月1日
土曜日。渋谷パンテオンでリバイバル公開の
『十戒』を観る。

3月2日
日曜日。日比谷有楽座で、座席予約してあった
『地獄の黙示録』を観る。

長い受験期が終わって感じたもの。1980年の
春に15歳の私が感じたのは、1930年生まれの
人が15歳の1945年(昭和20年)8月15日に感じた
解放感にも近かったかもしれない。
1年ぐらいの受験勉強と15年戦争は違うか。

で、やっとのびのびと映画と向き合った
時に観たのがコッポラの『地獄の黙示録』
だったのです。

【第二景】
1983年3月、やっとのことで大学入試日程を
終了。合否は微妙で浪人かな・・・と思いつつ
一休み。日にちは覚えていないが、久しぶり
に観た映画のしょっぱなは、
自由が丘武蔵野推理劇場で観た
「ゴッドファーザー」
「ゴッドファーザーPARTK」
の二本立てでした。あら、またコッポラ。

たしかその次が横浜東宝で見た
「うる星やつら/オンリー・ユー」。

【第三景】
♪就職が決まって 髪を切ってきた時
・・・という1987年3月20日、東京ディズニー
ランドで「キャプテンEO」オープン。
コッポラが監督の映画。
これを観たさに一人で浦安へ行き
ました。これが学生時代に見た最後の映画
になって、4月1日に会社に入社。

【第四景】
1991年3月に結婚して、奥さんと最初に
行った映画が、ちょうど当時封切られた
「ゴッドファーザーPARTL」でした。

【第五景】
2002年2月2日「地獄の黙示録 特別完全版」
公開。失業給付手当でチケットを購入し、
観る。


【まとめ】
このように、人生の折節に現われる
コッポラ映画。

「喜びも悲しみも幾コッポラ」

といったところか。

この調子だと、

“死ぬ前に最後に観る映画は
「ゴッドファーザーPART10」”

といったことにもなりかねないナ・・・。
引き続き彼の動向に注視!



映画の内容についても語りたいんです
けど・・・またいつかね。


【未見】
「グラマー西部を荒らす」(61)
→デビュー作ということになっているらしい。

スティーヴン・スピルバーグ
2003年10月12日(日)

■第2位 22本 (22/22)■

【観た22本】
「激突!」(72)
「続・激突!/カージャック」(73)
「ジョーズ」(75)
「未知との遭遇」(77)
「1941」(79)
「レイダース/失われたアーク」(81)
「E.T.」(82)
「トワイライト・ゾーン」(83)
「インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説」(84)
「カラーパープル」(85)
「太陽の帝国」(87)
「オールウェイズ」(89)
「インディ・ジョーンズ/最後の聖戦」(89)
「フック」(91)
「ジュラシック・パーク」(93)
「シンドラーのリスト」(93)
「ロストワールド」(97)
「アミスタッド」(97)
「プライベート・ライアン」(98)
「A.I.」(01)
「マイノリティ・リポート」(02)
「キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン」(02)



(22/22)=コンプリート。

映画を観ない人も含めて日本で一番名前を
知られている監督さんってスピルバーグです
よね。二番は井筒和幸か。

これだけ有名な人に対して、何をコメント
すればいいのか・・・。

・・・わからないので、各作品を観たシチュエー
ションと一言感想のみ記述してお茶を濁そう。



「激突!」
小学校の時に、いとこと兄とTVで見た。
本来TVムービーなので正しい見方か。
面白かった。
次週予告は「イージー・ライダー」
だった。これをゴールデンタイムに
やっていたのが、70年代だなあ。

「続・激突!/カージャック」
大学の時にビデオで観た。
ニューシネマ入ってて、ちょっと調子が違う。

「ジョーズ」
高3の受験前に横須賀で観た。逃避だったか。
怖い映画と思ったら、すごく面白かった。

「未知との遭遇」
中学2年の時に封切りで観た。横浜東宝。
前評判高かったが、私には今ひとつだった。

「1941」
中学卒業後の春休み、元卓球部の連中と
横浜ピカデリーで観た。
失敗作と言われたが、私は結構好きだ。

「レイダース/失われたアーク」
高2の12月、横浜東宝。土曜日に掃除を
終えてから観に行った。
感動。一番好きかも。

「E.T.」
高3の12月、横浜ピカデリー。
期末試験が終わった日に行った。
学校の人が何人もいた。
感動。一番好きかも。(←↑どっちよ)

「トワイライト・ゾーン」
大学1年か。相鉄ムービルにて。
オムニバスの一編だけど、自己模倣っぽくて
いまいちだった。

「インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説」
大学2年、横浜東宝・・・かな?
究極の娯楽映画。面白かったけれど、この
あとどうする?という不安を感じた。

「カラーパープル」
大学3年。封切りで観たが、映画館の記憶
なし。
熱心に撮ってるなあ・・・とは思ったが感銘は
薄かった。

「太陽の帝国」
以後社会人。封切りを逃してビデオで鑑賞。
デビッド・リーンをやりたい気持ちは判るが
・・・と困った気持ちになった。

「オールウェイズ」
これもビデオ。
困った×2=弱った。

「インディ・ジョーンズ/最後の聖戦」
封切りで観た。横浜東宝かな?
主人公の若い頃を演じたリバー・
フェニックス君がムチャかっこよかった。
アクションシーンの工夫はさすがだなあ、
と感心。

「フック」
ビデオ。
困った×3=参った。
スピルバーグも終わったか・・・と
悲しい気持ちになった。

「ジュラシック・パーク」
封切りで観た。横浜東宝だろう。
映画の映像に驚くのも久しぶり。
スピルバーグは終わっていない・・・と
嬉しい気持ちになった。

「シンドラーのリスト」
渋谷の映画館で観た。
みごたえのあるドラマで、アカデミー賞
受賞も納得。

「ロストワールド」
WOWOWで観た。
旧作「キング・コング」へのオマージュ
だと思うが、それだけ・・・という気もした。

「アミスタッド」
これもWOWOW。
真面目に撮ってるのは結構だが、退屈で、
本で読んだほうがマシだと思った。ごめん。

「プライベート・ライアン」
これまたWOWOW。
アカデミー監督賞をとるほどのものかな〜?
でも映像は力強かった。

「A.I.」
封切り、近所の映画館にて。
前半のキューブリック調は中々良かった。
この映画はやっぱり
テディ(熊のぬいぐるみ)
に尽きる。

「マイノリティ・リポート」
封切り、近所の映画館にて。
あまり評判芳しくなかったらしいが、
スピルバーグの映画マニアぶりが爆発して
いて、微笑ましく楽しかった。

「キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン」
封切り、近所の映画館にて。
やっぱり作家というのは自分の青春期を
送った時代を描くとハツラツとするようだ
・・・と思いました。



と、いうように、だらだら書いてしまいま
したが、どの作品も面白く見ています。

特殊才能の持ち主だね。
今後も観続けることになるでしょう。

アルフレッド・ヒッチコック
2003年10月13日(月・祝)

■第1位 24本 (24/53)■

【観た24本】
「レベッカ」(40)
「海外特派員」(40)
「断崖」(41)
「逃走迷路」(42)
「疑惑の影」(42)
「白い恐怖」(45)
「汚名」(46)
「ロープ」(48)
「見知らぬ乗客」(51)
「泥棒成金」(54)
「ダイヤルMを廻せ!」(54)
「裏窓」(54)
「ハリーの災難」(55)
「間違えられた男」(56)
「知りすぎていた男」(56)
「めまい」(58)
「北北西に進路を取れ」(59)
「サイコ」(60)
「鳥」(63)
「マーニー」(64)
「引き裂かれたカーテン」(66)
「トパーズ」(69)
「フレンジー」(72)
「ファミリー・プロット」(76)



作品数の多い人なので、半分も観てない。
特にイギリス時代(初期作)を全然観て
いないし・・・。
それなのに、自分のなかで一番本数をみて
いた、というのは意外で、当惑。

特別ヒッチコックのファンじゃないんだけど
ねえ・・・。でもまあ面白いから観てるわけ
ではあるが。

有名監督なので、ここで“いまさら”の
映像論を展開しても面白くないので、
相変わらずの小ネタで。


ヒッチコックの映画で最初に観たのは
「逃走迷路」。
未公開映画で、私が中3の時に初めて公開
された。たしか水野晴郎のIP(インター
ナショナル・プロモーション)社の配給
だったかな?
たまたまラジオ局に試写会の応募ハガキを
出したら当たったので観ました。
新宿の朝日生命ホール。
面白かったんだけど、地味な映画で誰にも
話題をぶつけられず、孤独感を深めた14歳
でした。


孤独といえば、中3の修学旅行。
京都の旅館で、新聞を見たら関西ローカル
局で深夜に「ダイヤルMを廻せ!」を
放映することがわかった。
同室の皆に夜はこれを見よう!と主張したが
「なんでテレビなんか見なきゃいけね〜ん
だよ」とアッサリ却下。当然である。


♪15の夜 盗んだバイクで 走り出す

ではなくて、私が15の春、ヒッチコック
が死にました。
ちょうど高校で新聞部に入ったところで、
ガリ版刷りの新聞の編集後記に一行、
ヒッチコックが死んだ、とか書かせて
もらいました。

思えば、これが私のマス・コミュニケー
ション活動(←?)の第一歩だったわけで、
そんなところでも縁があったのかと思うと
感涙を禁じえません(←?)。

ともあれ、追悼ということで続けてテレビ
放映された「サイコ」「北北西・・・」なんか
を観て、おお凄いじゃん!とやっと認識
したわけです。


高校2年の時に映画研究部で撮った8ミリ
映画で、「北北西に進路を取れ」の音楽を
使用しました。
学生映画はライセンスフリーだからイイネ。

悪の組織の陰謀により、宇宙から地球に核
ミサイルが向う。それを阻止しようと必死に
秘密基地で操作をする諜報部員。
バーナード・ハーマンの音楽のおかげで
盛り上がる最高のシーンになりました。
サンキュー、ヒッチ。(←何様のつもり)


大学1年の冬、映画研究部で一本映画を
撮らせてもらったのですが、ワンシーンで
「サイコ」のシャワー・シーンを再現して
みようか・・・と思い立ちました。

シャワー・シーンといっても、アニメで
ヒロインが意味もなくシャワーを浴びるの
をねっとりと撮る・・・とサービス場面では
なく、殺人鬼に女がナイフでメッタ刺しに
されるやつです。

先輩からビデオを借りて、絵コンテに起こす。
再生して巻戻して、このシーン30回ぐらい
見たかな。
で、撮ってみたんですが、
結論は言うまでもなく、失敗しました。

たぶん、このプロセスは全世界の映画青年、
累計10万人ぐらいが経てきていると思う。
私も浜の真砂の一粒にすぎない・・・。
余談だが、一粒で二度おいしいのはアーモン
ドグリコ。


私もその後は穏やかなヒッチコック人生
(殺すか殺されるかのサスペンス生活)を
送っています。
TVヒッチコック劇場で声をあてられた
熊倉一雄さん、いつまでもお元気で!
所属する劇団=テアトル・エコーには
素晴らしい声のお仕事をされている人が
たくさんいます。「ダーマ&グレッグ」の
ダーマ役、雨蘭咲木子(うらんさきこ)さん
好きです。


【未見】
「バルカン超特急」(38)
「スミス夫妻」(41)
など

30人を書き終えて
2003年10月14日(火)

「観た本数での監督ランキング」の
ベスト30を駆け抜けてきたわけですが、
やっぱりあんまり観てないなあ〜と思う
ばかりで。
映画を観始めて四半世紀(25年)、という
区切りでやってみたお遊び企画でしたが、
次の四半世紀で・・・64歳か。定年?

それまで生きていられるかわかりませんが、
まあ今後も面白い作品やいい監督さんと
であえるといいなあと思います。

文脈とは関係ないけど、一つ言いたいことが。

最近の映画は上映時間が長い!
「なんでこの内容で2時間以上?」という
のがゴロゴロ。
1時間45分にまとめろよ!と叫びたい。
以上です。

これがぼくの愛
2003年10月15日(水)

さて、ひと月にわたって古い話題に没頭
してしまいましたが、世の中はどんどん
動いています。


9/28に放映された「決定!これが日本の
ベストテン」の「アニメ最強名場面!!
幻の第一回&涙の最終回スペシャル」。

見るつもりはなかったのですが、
番宣でオバQ(新オバQ)の映像が
チラッと流れたので、やむなく・・・。

新オバQの最終回、Q太郎の両親が
迎えに来て、オバケ界に帰る事になる。

この顛末が、かなり長時間にわたって
うつしだされました。

やっぱりO次郎とかP子とか、最高に
かわいいよな。俺の愛の原点。

ああ新オバQ全部見たいな。



と、いうように、
世の中は日々動いていました。

長山藍子(小鳥遊こずえ役)
2003年10月16日(木)

さて、テレビでは番組改編期ということで
ドラマが次々終わりました。

「ニコニコ日記」もその一つ。

木村佳乃主演。人から教えてもらって
途中から見たのですが、良かったです。
(原作まんがは未読)

木村佳乃は、「失楽園」「模倣犯」といった
森田芳光監督の映画(新作「阿修羅のごとく」
にも出演)で“演技うまいな〜”と思って
みていました。CMなんかより、ドラマの
方がいいと思います。

大塚寧々をみるのは久しぶりだったけど
この人も相変わらず芝居が巧い。

でも私が一番好きだったのは木村佳乃の
母親役の長山藍子さん。このドラマでは
確実に求心力となっていました。さすが
TV版の「男はつらいよ」で“さくら”を
演じた人だけにチャーミングで魅力がある。

・・・と言うと、同居人から

「おば専」

という冷たい言葉が。
しかし、よくよく考えると昨日の「オバQ」
とも係っているので、なかなか巧いコメント
である。


【書き忘れ】

そういえば、「ニコニコ日記」の最終回、
学園祭でニコが舞台に立っているときに
舞台袖で心配げにのぞいている
「演劇クラブの顧問のオザワ先生」
というのは、作者の小沢真理さんだったの
でしょうか?
その役名といい、固い演技といい、
なんとなく特別出演ぽかったのですが・・・。

ホワイトフィールド
2003年10月17日(金)

10/3にはテレビ東京で
「とっとこ秋だ!ハム太郎まつり」
という特番がありました。

特番と言っても、通常の作品
「第169話 
とっとこメカじろう!逮捕なの〜」
と、OVA作品
「ハム太郎のおたんじょうび
〜ママをたずねて三千てちてち〜」
の二本立て、というのが内容。


「逮捕なの〜」
は、語尾に“なの〜”を付ける可愛い
「くるりんちゃん」を初めて見ました。
こんなのを可愛い、とアッサリ思ってしまう
俺ってやっぱりダメ人間?と落ち込みました。


「三千てちてち」
“てちてち”というのはハム太郎の世界の
尺貫法の単位のようです。例えば
一里=〇・四キロメートル強
ですが、“てちてち”については作中で
明確な定義はなく、ハム太郎本人たちも
良く理解していないようでした。

ともかく、「お母さんがいる」とわかった
ハム太郎が、仲間の協力を得て長旅をして
まだ会った事の無い母をたずねて行く・・・
という話でした。

結末はここでは言いませんが、作品冒頭、
ハム太郎の飼い主のロコちゃんが
「これがハム太郎のお母さんだよ」
と見せてくれる写真。まだ目も開かない
赤ん坊のハム太郎に添い寝しているのが、
お母さんのユキちゃん。真っ白で、優しい
表情のハムスター。
「これが・・・僕のお母さん・・・」と目がうるむ
ハム太郎。


真っ白な優しい母親との邂逅を願う気持ち。

ハム太郎は死ぬ時にこうつぶやくのかも

「綿の国だ とてもすてきだ」

ごめんね 素直じゃなくて
2003年10月18日(土)

10/4から始まった実写版
「美少女戦士セーラームーン」。
土曜朝七時半からTBSで放映中。

特に見るつもりもなかった(←ホント)が、
「話のタネに一回ぐらいみとくかナ?」
と 先日、第二回(10/11)を見てみた。

私はここで何とコメントすれば良いのだろう
か。誰か教えて下さい。

「自分の心に素直に・・・」

と耳の奥に声が。そうか、思ったとおりに
言えばいいんだ。(← 一人芝居)


猫のルナはぬいぐるみなのですが、声は
テレ朝のアニメと同じ藩恵子さん。
唯一の継承性である。


主人公の「うさぎ」役の女の子、
高校の時に同学年に似た顔の女子が
いたよ。


今回のロケ地は今注目のスポット・品川
だった。


水野亜美ちゃん役の子、普通の人かと思っ
たら、青いズラをかぶると
セーラーマーキュリー顔になっている。
驚き。ここだけ心が動いた。


と、いったところでしょうか。
特撮やアクションは、あまりにも寒い。
さすがの私もつきあいきれません、と
思いました。


そして今日、10/18。
第三回のマーズ登場編を見ている私が
いました。これはどういうことなのか。
「一回ぐらいみとくか」
では無かったのか。

世の中、不思議でいっぱいです。
♪月の光に導かれ 何度も めぐりあう
なのでしょうか。

日曜日の日記
2003年10月19日(日)

いや〜参った。
ここのところ肩コリがひどいな、と思って
いたら、昨晩は肩がムチャ痛くて眠れず。
寝返りもうてなかった。

痛みに耐えつつ一日を過ごす。
いかにも日本シリーズの季節、という
黄金の日差しを眺めるが、痛くて首が
動かない。

気晴らしにドンパチもの映画なんかどうか
な、と日曜洋画劇場で録画した
「ダイ・ハード3」を見てみる。

ムチャクチャなアクション・シーンの連続
にアキれる。殺伐としていて、気が晴れな
かった。

それでは西部劇でも、と思いBSで録った
「マーヴェリック」を見てみる。

騙し騙されを描いた映画だけれど、あまり
にも凝りすぎていて、もうどうにでもなれ、
という気になってしまった。

そうこうしているうちに痛みがおさまり・・・
となってくれたら良かったけど、そうは
うまくいかない。

かくして日曜の午後は過ぎ去った。
そんな日もあるよね。以上、日記でした。

孤島まんが(前編)
2003年10月20日(月)

数日前にテレビドラマの話題を出しましたが、
夏のシーズンでは「Dr.コトー診療所」
が一番視聴率が良かったとか。一度も見ま
せんでしたし、原作まんがも読んでいないの
ですが。

ただ、“孤島での医療”ということで
個人的に想起されるまんがが二つありまして、
それについて。


一つは、むか〜し『少年ジャンプ』で短期
連載された

「太陽の島」

というまんが。ご存知ですか?
タイトルに島とあるように、島に渡った
青年医師の話だったと記憶しています。

ず〜っと忘れていたのですが、元ジャンプ
の編集長・西村繁男氏のインタビュー本
『まんが編集術』の巻末に歴代連載作品リスト
が載っていて、つらつら眺めていたら
このタイトルに遭遇し「ああ、こんなの
あったね〜」と思い出した次第。
著者は「手無功」という人(知らない)で、
1973年36号〜45号に掲載とのこと。
私は8歳。30年前か。
鮮明に覚えているのは、

(以下、下の話題あります。すみません)

動物の肛門に手を突っ込んで排便させる
場面とか、回虫の患者の治療方法に悩む
主人公医師があえて感染し、手持ちの薬を
片っ端から飲んで自らを実験台にするシーン。
最後に飲む薬の名前が「ポキール」。
ポキールってお尻に貼る試験紙じゃないの
かな? と当時疑問に思いましたが、深くは
追求せず。

このように結構熱いまんがで楽しみに読んで
いたのですが、唐突に終わってしまい
ガッカリしました。人気なかったのかな・・・。
即打ち切りがジャンプの掟だと知ったのは
後の話。

ともあれ、部数の多い雑誌に載った作品は
たとえ短くても、話題にならなくても
多くの人の記憶に残っているのだろうなあ、
と思います。

孤島まんが(後編)→軽部潤子さん(前編)
2003年10月21日(火)

昨日の「太陽の島」は大昔のまんがですが、
今日のは、現在連載中のまんがで、こちらが
本題。

『Kiss』で連載中の軽部潤子さんの

「青空クリニック」

すでに単行本が第三巻まで出ています。
「Dr.コトー診療所」は書店で平積み、
たくさん売れているようだけれど、
「青空クリニック」は棚差しのみで
あまり話題にもなっていない模様。

私は軽部潤子さんのまんがが好きなので、
ここで微力ながら宣伝することにします。

軽部潤子さんといえば1994年講談社漫画賞
受賞した
「君の手がささやいている」
が有名ですね。
聾唖者の女性を主人公にした話。
私は武田真治のファンで(菅野美穂も)、
ドラマを先に見てから原作を読んだクチ
です。

その「君の手がささやいている」ですが、
良いという人もいれば、受け入れがたし、
という人もいる。後者の意見としては
「甘すぎる」ということらしい。
少なくとも「遥かなる甲子園」ぐらいに
現実の厳しさを描かないといかん、と。

社会的な問題を取り上げると、
「それは甘い、偽善だ」
という意見が待ち構えています。

ここから、私の微弱な意見。

軽部潤子さんは「君の手がささやいている」
でデビューしたわけではなく、その前に
読みきり作品をたくさん描いています。
私が読んだ限りでは、普通の恋愛もの
ばかりです。
ただ、この人は初期作から一貫して
「気持ちが伝わらない」
ということだけにエンエンとこだわり
続けていたようです。

そんな内的テーマと、物理的にコミュニケ
ーションが困難という題材が、うまくマッチ
して、代表作といえる作品を生んだようです。

たしかに「お前は聾唖者のこと何も知らない
だろ」と言われればそうなのだろうけれど、
テーマ的には作者が長年抱えていることを
描いているので、読んでる私は
「ウソだろ」と言う気にならない。
事実の描き方として間違いがあったとしても、
心情的にはウソが無いと思う。

残念ながら一般的に、
社会的な問題を取り上げた作品には
その時だけの問題意識で「手先で」描いた
作品も、よくある。
でも、これはあてはまらないと思う。

「君の手がささやいている」は、
コミュニケーションの問題に関する
作者の意見と「希望」が描かれた作品で、
私はそこが好きです。
ただ、ファンタジー的に描かれた「希望」
を、感覚的に受け付けない人もいるかも
しれない。それは認めます。

絵柄的にも、そんなに突出した巧さが
ある人でもないしね。
特別な作家、特別な作品と持ち上げる
つもりはありませんが、誤解・曲解され
やすいタイプの人だけに、ここに断固
支持を表明しておきます。

量産のきかない人(と推測)なので
掛け持ちでは長期できなかったと思われる

「ケイ先生の通信簿」

(単行本全二巻・絶版)
も熱烈に推薦しておきます。


で、長期連載「君の手がささやいている」
を終えた軽部潤子さんが新たに連載して
いるのが、孤島の僻地医療をテーマにした
「青空クリニック」なのです。

もう孤島うんぬんはいいや。
「軽部潤子さんについて」にテーマ変更して、
明日に続く。

軽部潤子さん(後編)
2003年10月22日(水)

「青空クリニック」について

■あらすじ
(単行本@〜Bまで)
東京の大病院に勤める藤井優は有能だけれど
人間味にかける若い女性医師。彼女は僻地
から来た青年医師と難病の少女のふれあい
を見て、自らも医師を志した原点を探ろうと
北の島の医師に志願する。恋人とも離れ、
設備のない診療所でのはたらきはじめる
優だが、生来 人付き合いの下手なことも
ありなかなかうまくいかない・・・


題材から読者は「理想を持った主人公が
周囲の協力もあって困難を越えて
人助けのためにはたらく」という展開を
予想しますが、まあ、おおむね、そこから
外れるものではないです。こちらを驚かす
ような視点や、う〜んと唸るような深みが
あるわけでもないです。

「『青空クリニック』について」などと
宣言してとり上げると、さぞや隠れた傑作、
と思われてしまうかもしれませんが、
メジャー出版社のメジャー雑誌の連載です
から、まあ読みやすいウェルメイドな
作品、というだけであります。ふつうの作品。

でも、何で「好き」なのかと申すしますれば、
やはり ひっかかるものがあるからで。

前作「君の手がささやいている」から
引き続いて、もうひたすら
コミュニケーションがうまくいかん、
ということを描き続けているんだよね。

このテーマは特別なものでもないし、
誰でも抱えてるものだよ、と言ったら
それで終わりだし。

しかしな。
推測だけど、作品を読むと本当に
悩んだ人のように思える。俺には。
たぶん、商売だけで書いてないと思う。

他人に向き合わないと成立しない「医者」
という職業の人を、孤立する環境に
追い込んで、自分の弱いところを克服する
物語を描こうとしている。
自分のテーマと向き合って、しかも
キリキリせず淡々と描いているのは、
短期燃焼せず、長く取り組もうと言う
姿勢のようで、そんなところもいいと
思っているのです。

どうもうまく書けませんが、
4巻がそのうち出るはずなので、
その時にまた書きます。

つらいよ
2003年10月23日(木)

「男はつらいよ 寅次郎物語」(1987)
を観ました。シリーズ第39作。
あまり熱心なファンじゃないんですが、
これは秋吉久美子さんが出るので見てみま
した。

このシリーズは平均水準が高いと言われる
けれど、作品によって好不調の波がある
ようで、この一編は今ひとつ、の方でした。
なにより久美子ちんがでてくるまでに
一時間もあるんですよ!大問題。

秋吉久美子さまは普通でしたが、
この映画では、チョイ役で出てた
河内桃子さんの方が良かったな・・・。


やっぱり森川信が出てるの以外は、
あんまり面白くないな〜このシリーズ。

グリースvsソッシュ
2003年10月24日(金)

10/6から始まった月曜9時のドラマ
「ビギナー」を見ています。
司法研修生たちの群像劇ですね。

堤真一が出ているのだけれど、この人は
私と同学年(1964生)。もうこの年代って
オヤジなんだなーと思う。

1回目は、映画「ペーパーチェイス」
「ブレックファスト・クラブ」
「今を生きる」などを意識したような
場面が散見された。

気付いた人が多いと思うが、第2回で
草野球のシーンがあるんだけど、主人公
たちが対戦するチームの名前が
「ソッシュ」というので苦笑。
ご存知の通りコッポラ監督の映画
「アウトサイダー」における山の手チーム
の名称ですね。

いまどきのクリエイターの人たちが
リファレンスしている作品も、昔とは
世代が変わってますね・・・。

竹野内豊は背が低い
2003年10月25日(土)

ドラマの話ばかりでスンマセン、と詫びつつ
「ヤンキー母校に帰る」。
10/10から始まったドラマですが見てます。

たまたま先日、このドラマの原作の一つで
ある「ヤンキー母校に生きる」という本を
人が貸してくれて読んだばかりだったので。

原作のこの先生面白くて、何か問題を発見
すると

「その時怒りが頂点に達した」
「その時怒りのボルテージは最高点に達した」

という記述とともに、周辺の器物を損壊する、
という繰り返しになんとも言えないおかしさ
があります。笑うところじゃないんだけど。

ドラマはかなりデフォルメが入ってて
現実とはゼンゼン別の創作物になっています。

お手柄・パンボラ兄弟
2003年10月26日(日)

ここのところ無かったので安心していたら
持病の関節痛が出てきて、昨夜は手首の
激痛で眠れず。明け方まで苦しむ。

最終的に「おまじない」的に患部に
「くまのぬいぐるみ」を置いてみたら
何となく痛みが引いて、やっと眠れました。


殊勲賞のこの「くま」。

正確にはぬいぐるみというより
「ゲーセンのUFOキャッチャー」で
とったマスコットなのですが。
名前は「パンタ」で、異母弟の「ボラン」
がいます。
この二人の数奇な運命については
稿をあらためる必要があるでしょう。

「蕗子の春」
2003年10月27日(月)

読書の秋−ということで、読書感想文を
書かないと季節的におさまりがつかない
状況であります。何か取り上げましょう。
「読書の秋」と語呂が似ているので、
「蕗子の春」にします。まんがですが。


不世出のまんが家・千明初美さんの作品の
中でも、一番知られている作品ではないで
しょうか。というのも、「りぼんマスコット
コミックス」シリーズの中で、巻末の広告で
千明初美作品集のカットとして使われている
のが「蕗子の春」の一コマなので。千明作品
を読んでない人でも、この絵は知っているで
しょう。しかし「ラブレターの束を抱えて
舌を出している」というのは最も非・千明的
な絵なのですが・・・。


「蕗子の春」のストーリーは・・・
高校に入学した活発な少女・蕗子が
おとなしい少女・なおみちゃんと友達になる。
なおみちゃんが蕗子のおさななじみ・ヒコに
想いを寄せることを知り、助け舟を出すが
自分がヒコが好きだったことを知り悩む。
なおみちゃんとヒコがおつきあいを始めて
蕗子の初恋は終わりを告げる
・・・というもの。


この作品は千明初美さんの第一作品集の
表題作。それまで増刊で書いていた千明
さんの『りぼん』本誌初登場作です。
そのせいかどうかわかりませんが、外見的には
他の作品とやや趣が違う。「男の子にドーンと
アタックする話」と言い切ってしまうと、
やや違和感がある。編集者の意見などもあった
のでしょうか。わかりませんが。


さて、ここで千明作品の特徴をあげてみると

(1)コンプレックスを抱えた人物の内的葛藤
を描いた作品

(2)家族間の心理的葛藤を描いた作品

(3)他人との関わりで自己を研鑽する人物を
描いた作品

(4)若く未熟な自己を悔恨する作品

(5)漂泊する人物を描いた作品

があります。それぞれ該当する作品として

(1)「ちひろのお城」「七夕」
「雨のぬくもり」

(2)「12歳の春休み」「バイエルの調べ」
「クレオパトラ」

(3)「ときめき」「灰色の日々」

(4)「ぎんなん物語(シリーズ)」
「なずな物語」

(5)「雪の夜の物語」「なでしこによせて」
「夏のなごり」「松尾芭蕉の一生」

を挙げてみました。
このように書くと、メジャー作品の題名
(「いちじくの恋」など)が欠落している
ようにも見えますが、代表的な作品はこれら
多様な要素を包含しているように思います。


「蕗子の春」も、複眼的な作品です。
タイトルロールの蕗子は学園ものの主役に
ふさわしい活発な性格の人物ですが、やはり
作者としては「なおみちゃん」の方に重きを
おいているかのように見受けられます。

少し脱線しますが、うちの同居人は
この作品についてこのような感想を述べて
います。
「蕗子のあきらめが早すぎるのもおかしいし、
なおみの性格にはイライラする」
との事。
たしかに好きな人の机を拭いてるだけでいい
の・・・という発想は、武闘系の女子には
首肯できないかもしれません。


千明作品における

「活発少女&内向的な人物」

という人物配置は当作以外も
「いちじくの恋(シリーズ)」
「先生と2年E組」「灰色の日々」
など、『りぼん』本誌での作品に目立ちます。
(制約の少ない−と思われる−場所では
内向的な人物を主人公にした作品が多い
のですが)


ちょっと脱線しますが、1990年代の
樹村みのりさん作品にもこの配置は多い。
もっとも、千明作品が
「活発少女=登場人物、
内向的な人物=作者」
と思えるのに対して、樹村作品では
「活発少女=作者、
内向的な人物=作者」
に感じられる違いがあるが。
樹村作品の人物対立には「対話」はあるが、
「ドラマ的葛藤」が希薄・・・という意見も
あるが、私としては

樹村みのり=「レノン&マッカートニー」論

という珍説で返答したい気持ちがあります。
この珍論を読みたい、という人はいますか。
いればいつか同人誌に投稿してみますが・・・。


閑話休題。
いずれにしても千明作品では主人公と思われる
人(活発な方)が話をリードして、作品の実体
としては内向的な人の方のドラマとして展開
して決着するので、そのへんに違和感を感じる
人もいると思います。


この作品は、なおみちゃんの成長物語として
感動的ですよね。
「自分は強くなっていく」
と発言したところでドラマとしての葛藤には
決着がついてるといえるでしょう。あとは
極端に言えば おまけで。
前にも書きましたが、千明作品は一見「暗い」
人が現れても、その人物が「光に向かって」
小さい一歩を踏み出す姿が描かれているので
読後の印象は明るいんですよね。

しかし、蕗子。性格悲劇というか、ラスト
の絵は泣けてしまいます。

普通ならば、蕗子・なおみ・ヒコの
三角関係になるところなのですが、
なおみが弱い(弱かった)ために、三角関係に
ならない。
通常作品における 蕗子VSなおみ
というバトルが無いので、普通のまんが慣れ
してる人は戸惑うかも。

この悲劇を視点を変えて見てみましょう。

なおみのようでいてなおみでない眼で見ると、
「自分の弱さゆえ、それをサポートしてくれた
人に対して深刻な影響を与えてしまっていたの
かも知れない」という悔恨が感じられないで
しょうか。

作中でそのような表現はされていませんが、
そういう見方もできるかもしれません。

一つのハッピーエンドの影に涙あり。

さっき書いた
“なおみのようでいてなおみでない眼”
というのは、作者の眼なのでしょうね。
非常に重層的な感覚が、この作品を印象深い
ものにしているように思います。個人的には。


などということだけではなくて、本当は
書きたいことはほかにある気が・・・。

たとえば、本格的な学園ものだけに、
描き込まれた学校の描写・・・
教室の天井とか、渡り廊下、窓枠
・・・そういった視界の深度の深い
ビジュアルが好きだし、

群集シーンにおける、脇っちょの人物の
表情がすごく面白いとか

そういうことを本当は賞賛したいんですけど。


ともあれ秋の夜長の読書に好適な千明作品。
繰り返し復刻を希望、を表明しつつペンを
置かせていただきます。
次に書く時は「ときめき」について
書こうかな・・・。

きょうだい映画
2003年10月28日(火)

とある地方新聞を読んだところ、投書欄に
「私は兄弟が10人いる」という17歳の
投稿文が載っていました。以前は嫌だったが、
今ではとても幸せに思う、というような文意
でした。ふーん。


一人っ子でない人には、兄弟というものには
それぞれ思いがあるでしょう。夫婦・親子・
兄弟、というのは最小・基本でいて最も身近
な社会であります。

大学で「社会学」ゼミに席をおいていた私と
しては真面目な家族論を展開したいところ
ではありますが、やはりサブカルチャーの
話に強引に持って行きます。


■「兄弟」が印象的に表現された映画■


古今東西、無数にあると思いますが、
あくまで私の記憶に残っているものだけ
です。
ちなみに「兄弟」は「姉妹」も含みます。
ヤクザ映画の「義兄弟」は含みません。
製作者側が兄弟という「マルクス兄弟」
「コーエン兄弟」も含みません。
「ホイ三兄弟」に未練はありますが。


その1・コッポラの映画

私が知る限りでは、コッポラほど兄弟関係
をしつこく描いた人はいないでしょう。
「ゴッドファーザー(1&2)」における
コルレオーネ兄弟。ジェームズ・カーンの
武闘系長男、ジョン・カザールのダメ次男、
アル・パチーノの三男。
特にPART2における弟パチーノとダメ
兄貴カザールをめぐる描写が出色。1で
カーンの下でスポイルされてるパチーノも
リアル感がある。
コッポラのモチーフとしては
「兄貴にはかなわない」
というのがあって、それを非常にハッキリ
出しているのが「ランブルフィッシュ」。
タイトルで兄への献辞が出るので、分かり
易過ぎるの感もあるが、この映画は最高。
兄役のミッキー・ロークが良かった。
他にも、親は影もなく兄弟だけの「アウト
サイダー」がある。
本数的には少ないかもしれないがコッポラ
の映画の兄弟濃密度はかなりのもの。
たとえばスピルバーグの「E.T.」を
見れば、兄や妹は出てくるが関係性は薄く、
作者の関心がそこに無いことがわかる。
コッポラのこだわり、特に弟クンの
「ヘコタレ描写」には共感できるものが
ある。


2.市川崑の映画

女きょうだい関係が多い。
岸恵子と川口浩が姉と弟を演じた名作
「おとうと」、ゴージャス美女四姉妹
「細雪」が代表作か。
小さいけど これも姉・弟の「幸福」、
浅丘ルリ子がいっぷう変わった妹を演じた
「太平洋ひとりぼっち」、
兄弟・姉妹だらけの「犬神家の一族」、
百恵ちゃんが生き別れの双子の姉妹を一人
二役で演じる「古都」。
ちなみに市川崑さんは女きょうだいの中の
男一人の末っ子。ポジション的には
樹村みのりさんの「転校生」の登場人物
“柿川くん”のごとしです。


3.大島渚の映画

「少年」「戦場のメリークリスマス」など、
小さな弟がチョコチョコ後をついてくる
イメージあり。「儀式」で最も強い印象を
残す、満州の土の下に埋められた子供は弟
だったか?「絞死刑」の朝鮮人死刑囚・Rの
幻想の姉もインパクト強い。


4.秋吉久美子さん

自ら演じた妹役がタイトルに冠されている
映画が
「妹」
「あにいもうと」
と二本もある、日本を代表する「妹女優」。
しかし、そう断言すると
「その称号は倍賞千恵子に与えられるべき
ではないか?」
という反論がありそうだ。
それを言うならP子だろ、
と百家争鳴になりそうなので議論は
やめておこう。他に「昭和枯れすすき」と
いう映画で高橋英樹扮する刑事の妹役もあり
完璧。その三本だけ、という説もあるが。


5.単品作品について。パターン別に。

今までこの日記で言及してきた映画ばかり
なんですけどね。
兄弟描写があるから好きなのか、たまたま
好きな映画に兄弟描写があるだけなのか。
知らん。


【姉−弟】

「キューポラのある街」
吉永小百合が姉・ジュンで、弟・タカユキが
故・市川好郎。このコンビは最高。まじめな
姉にガキ大将の弟、という日本の原風景。
ジュンがタカユキに対していつも詰問調なの
がおかしい。

「泥の河」
キューポラ・・・の浦山監督の弟子筋の小栗監督
のこの映画。薄幸な姉弟の描写がかなしい。
特に姉さんの静かなたたずまいが。


【姉−妹】

「若草物語」
四姉妹といえば「細雪」とコレですな。
日本のアニメ版(TV)も良いけど。

「となりのトトロ」
アニメの姉妹と言えば、共に“五月”を
あらわす名前の姉妹「サツキ」と「メイ」。
作品の別名は「姉貴もつらいよ」。
思えば封切り時に併映の「火垂の墓」も
きょうだい映画だったわけだ。あちらは
「兄貴はつらいよ」か。

「おもひでぽろぽろ」
その高畑勲監督の映画。妹のタエ子は
「分数で割り算をする」ことの意味が理解
できず、姉にバカにされる。私も理解でき
ないので安心してほしい。

「恋する女たち」
斉藤由貴の姉さん役が原田貴和子。妹が
太ったね、という観客の錯覚を生む。

「プリティ・リーグ」
ダメ妹のロリ・ペティの思いつめ感が良い。
この間見たインタビュー番組によると姉役の
ジーナ・デイビスは撮影寸前まで野球した
ことなかったという。アンビリーバブル。
これはかなわん。

「恋する人魚たち」
隠れた佳作。ウィノナ・ライダー&クリス
ティーナ・リッチという、後にティム・
バートン映画ヒロインを演じるクセモノ女優
がチビ姉妹を演じる。こいつらを仕切れる
のはシェール・母のみ。納得のキャスティ
ングだ。

「ハンナとその姉妹」
ハンナは長女なので「ハンナと妹たち」が
正しい、という邦題への批判がある。
今さら言ってもね。

「ピクニック」
美人の姉(キム・ノヴァック)とサエない妹
(スーザン・ストラスバーグ)。
生ネタだけど、来月再録される樹村みのり
さんの「また明日、ネ」を読んで、
がんばれ!妹。

「ロシュフォールの恋人たち」
ドヌーブ&ドルレアックの美人姉妹が双子と
いう設定。かないません。

「モスラ」
上を書いてて思い出した。
上を書いてて思い出した。
小美人=ザ・ピーナッツ。
小美人=ザ・ピーナッツ。
(セリフをハモる感じを表現してみました)


【兄−弟】

「リバー・ランズ・スルー・イット」
これを観て、
「美しい弟は破滅するんだよな・・・
俺みたいに」とつぶやいたら同居人に
「バカバカしくて話にならない」
と言われた。さらに
「だったら貴様も死ね」とまで言われた。
どう思いますか、皆さん。

「マンボ・キングス」
アントニオ・バンデラスとの出会い。
やっぱり弟はカッコいい(のがいいね。
映画は)。

「レインマン」
ダスティン・ホフマンとトム・クルーズ。
トム・クルーズのベスト・サポーティング・
アクトに拍手。

「ラスト・ショー」
ボトムズ兄弟共演。ティモシーの弟、サム
が知的障害の弟役を演じる。その死が象徴
的に描かれるが、彼は「地獄の黙示録」で
ベトナムに転生。こんどは頭のおかしい
米兵役で、この変遷もある意味で象徴的。

「狂った果実」
兄・裕次郎、弟・津川雅彦。それぞれの
実際の兄、慎太郎と長門裕之がチョイ役
出演しているのが笑いを呼ぶ。

「男たちの挽歌」
ジョン・ウー監督。犯罪者の兄と刑事の
弟のドラマ。泣かせます。

「マーズ・アタック!」
脳が筋肉系の兄貴は半ケツさらして火星人
に焼き殺され、ひきこもりの弟が地球を
救う。私がこの映画を好きなのは、これが
理由ではありま・・・せん。

「用心棒」
加東大介の弟が仲代達矢。日本映画史上
「似てない兄弟ベストテン」入選作。

「素晴らしき哉、人生」
兄が池に溺れかけた弟を助ける。その弟が
ラストで・・・(泣)

「独立愚連隊」
弟の死に不審をいだく兄貴が危険な戦場で
その謎を探る。

「俺は待ってるぜ」
海外に渡った兄が迎えに来るのを港町
(横浜です)で待つ弟(裕次郎)。
しかし−。
「兄さん、待ってたんだよ・・・」という
セリフに涙が落ちる。

「江分利満氏の優雅な生活」
母の葬式で悲しむ江分利(小林桂樹)が
兄貴(平田昭彦)に「玄関の電灯が暗い」
と言われて激怒。泣きながら茶漬けを食う。

「悪名」シリーズ
「続・悪名」で非業の死を遂げたモートル
の貞(田宮二郎)。「新・悪名」でその弟
の清次(田宮二郎)が出現し、カツシンは
驚く。


【兄−妹】

「あゝ野麦峠」
結核で倒れた妹(大竹しのぶ)を兄
(地井武男)が迎えに来る。
彼に背負われ家に帰ろうとするが・・・。
涙で画面が見えましぇん。

「燃えよドラゴン」
殺されてしまうのだが、冒頭で闘うリーの
妹はムチャ強い。演じていたのは女活劇
スターのアンジェラ・マオらしい。

「ロッキー」
エイドリアンの兄・ポーリー(バート・
ヤング)は現代映画を代表するダメ兄貴。

「ホルスの大冒険」
グルンワルドの妹・ヒルダ。悪い兄貴に
したがわなくちゃいけないのが可哀想。

「アラバマ物語」
兄さんっていうのはよくわからないわ。
妹より。

「スター・ウォーズ」
結局彼と彼女って兄妹だったのよね、奥様。


【番外編】

あんまり好きじゃないミュージカル映画の
「略奪された7人の花嫁」。
いくらなんでも、7人兄弟と7人姉妹が
結婚する、という話はムチャだよ・・・。
3組ぐらいは相思相愛かもしれないけど、
残りはもう本人の意思は無いように思う。
その無念さを思うと悲しくなる。冗談が
通じなくてスマン。


こんな感じ。また思い出した映画が
あったら書いてみよう。

でもやっぱり映像作品では、
兄貴・弟・妹が顔をそろえる
「オバケのQ太郎」
が最高作だろう。これが今回の結論。

明日は「まんが編」です。

きょうだい まんが
2003年10月29日(水)

きのうの映画編に続いて、まんが編

■「兄弟」が印象的に表現されたまんが■

これはもう世の中に無数にあると思われる
が、あくまで私が読んだ範囲で記憶に残っ
ているもののみ。
でも記憶に残っていても学年誌の「てんと
う虫のうた」を挙げる気にもならないし、
まあ印象に残っているもののみ。
読書範囲の狭さを世間に宣伝するような
ものですが。


1.樹村みのりさんのまんが

親子関係の中での
“きょうだい間の扱いの違い”
(→という表現が適当か疑問だが・・・)
を描いた諸作
「海辺のカイン」「悪い子」「無花果の木」
といった作品は非常に胸をうつものがあり
ました。
その要素も含みつつ姉妹間の葛藤を描いた
「姉さん」「カッコーの娘たち」も名作。
特に「姉さん」、
主人公が二段ベッドの上で制服のまま横に
なって
「家を出て不良になるんだから!」
と言う場面は読むたび泣いてしまう・・・。
ラスト2頁の描写が感動的。長い時を経て
描かれた「また明日、ネ」とあわせ読むと
万感胸に迫るものがある。そして「家族の
風景」の姉妹の穏やかさにこころやすまる
の感。
「おとうと」という傑作もありましたね。

唐突に。
樹村みのりファンである私だが作者への不満
が一つある。
樹村先生が「兄−妹」を描く場合、
兄さんがカッコ良すぎる!
「海へ・・・」「晩秋」「わたしたちの始まり」
「犬・けん・ケン物語」「あざみの花」・・・
どれも知恵があり落ち着いた良いお兄さん像
が描かれている。
これ、当世ギャル風に言えば
「ありえな〜い」
(イントネーションに注意)。
世の中に対して、存在しえない
「賢兄幻想」
を流布した樹村さんの創作行為を弾劾したい
(←冗談です)。このへんはいつか
「樹村みのり批判」
として論文にまとめたいと考えています。


2.あべりつこさんのまんが

ちばてつやさんのアシスタントをしていた
ことと関連があるのか、大人数の兄弟を
描く作品が多い作家さんですね。
「でっかいちゃんと集まれ!」は四人
「すえっ子台風」は五人
「チビのへんしん」も五人
という具合。
また、双子ものとして
「ふたごっこ四重奏」
「ひっこめ!全ガキ連」
がある。
しかしメインは姉妹もの。
「あわ雪物語」「さよならスモーキング」
は生き別れの姉妹の再会。
「アルカディアの少年」
「しょっぱい涙の物語」
は容姿の美しさに差のある姉妹の葛藤を
描いている。
そもそもデビュー作の
「おにいちゃんとトコとX 」
からきょうだいもので、この作品における
兄の妹への理不尽な虐待(?)は非常に
リアリティがある。この兄ちゃんも成長
すると「ノンノンプラス3」のように
良い兄貴になるのかも?


3.千明初美さんのまんが

バリエーションは少なくて、一貫して
「キツい姉さんと気のいい弟」
像を描き続けている。
「ときめき」「12歳の春休み」
「お二階は診察室」「5月のゆううつ」
と、ひたすら弟クンは姉貴に怒鳴られ、
泣かされている。自伝的?と思われる
「黄村家物語」シリーズの第三話
「富士額の太郎少年」にとどめをさす。
“いとこ”関係の「あゆちゃん&マー君」
シリーズもこの姉弟パターンの変奏と
言えるか。作者のこだわりである。
珍しい姉妹ものに「展子の日記」がある。
優秀な妹を持ったダメ姉さんの心理描写が
秀逸な初期の佳作。単行本未収録なのが
惜しい!
あと学習漫画の「クレオパトラ」でも
妹の劣等感が印象的に描出されています。


4.単品作品。パターン別に。


【兄−弟】

あまり印象に残る作品がないな〜。
「はだしのゲン」ぐらいか。
男きょうだいの埃っぽさをあえて読みたく
ない気持ちが、記憶を欠落させているの
だろうか。
「光る風」兄弟みたいな殺伐感が頭を
よぎるが。

「ノアをさがして」
矢代まさこさんの歴史的傑作。主人公の
少年の兄が、弟に他人を見る視点がいいです。

「野球狂の詩」
の一編、「北の狼 南の虎」。
捨て子された双子の兄弟が別の親に育てられ、
プロ野球選手としてグラウンドで対決! 
張り扇たたいて語るがのごとき講談調の
面白さ(版元は講談社)。

「アドルフに告ぐ」
ベルリン・オリンピックの最中に弟を殺され
た峠草平。彼の弟の名前は「勲」という。
だから何って・・・書いてみただけです。


【姉−妹】

「いよっ!勝盛くん」
高倉あつこさんの『りぼん』デビュー作。
勝盛くんの彼女のお姉さんがいい味出して
ます。

「半神」
萩尾さんの傑作短編。何も言えない。

「ケーキ ケーキ ケーキ」
萩尾さんの初期作。肩の力の抜けた娯楽編
だが、スポイルされた妹=塩崎カナの心理
に説得力がある。

「舞姫〜テレプシコーラ」
山岸さんの傑作長編、連載中。姉に圧倒され
ている妹も、素質はありそうだ。今後の
展開が楽しみ。

「がきデカ」
モモちゃんとジュンちゃん。
コメントは避けておきます。

「ミセス・ロビンスンのおじょうさん」
秀才の姉と美人の妹。大和和紀さんには
「ごきげんふたごちゃん」という双子もの
もある。

「ケイ先生の通信簿」
軽部潤子さんのシリーズ佳作。
その一編、第9話「意地」。
やっぱり女きょうだいには潤いがある
(ような気がする)。

「花びら日記」
上の姉さん二人を「オネマ」「コネマ」と
呼称するのが面白い。末っ子主人公の姉さん
観察の記述が興味深い。


【兄−妹】

「忍者武芸帳」
坂上主膳と蛍火という悪役兄妹。多くの人と
同様に私も蛍火の大ファンだ。彼女以上に
戦闘能力の高い同居人もいる。

「あほんだら」
いつもユッコユッコって・・・。
しかたないじゃん。兄貴は我慢しなよ。

「ドラネコロック」
主人公・しげるが妹を「ラブ・チャイルド」
と呼ぶ意味の無い一景など。


【姉−弟】

「永遠の野原」シリーズ
昨今では最も有名な姉・弟ものといえま
しょうか。連載後半も構成が荒れなかった
のが凄い。

「スヌーピー」シリーズ
のルーシー&ライナス。上がうるさいと、
下はオタク風になりやすい。そのパターン
の原型。

「シリーズ春・夏・秋・冬」
ささやさんの連作。弟の姉さんへの気持ちと
いうのは私には理解しがたい。

「サイボーグ009」
しかし物干し台で一緒に流れ星を見てみたい
気はする。

「ケイ先生の通信簿」
シリーズの第6話「隠しごと」。
ラストの弟の作文が泣ける。

「白眼子」
白眼子と姉さんの関係が面白い。姉さんの
バッド・グッドマンぶりが作品に活気を
与えている。山岸さんの作品は一筋縄では
いかない。

「ジョジョの奇妙な冒険」
第一部で有名な「明日っていつよ!」を
発したポコの姉ちゃん。
まんがの名セリフの一つで、日常でも
よく使われる(ウチでは)。



最近のまんがを読んでないもので、中途半端
に古い作品ばかりですみません。
まあ今後も関心を持って社会学の研究を続け
ていきたいと思います。
「あ、明日やってやらあ!」
「明日っていつよ!」
おわり

「しょっぱい涙の物語」
2003年10月29日(水)

秋の読書感想文・その2。

刊行物が全て絶版であるためにナカナカ
若い人に作品を読んでもらう機会の少ない
まんが家の「あべりつこ」さん。

単行本未収録の作品も多いのですが、
昨年ファンの方のご好意で読ませていた
だく機会を得た

「しょっぱい涙の物語」

(『なかよし』1973年8月号掲載)という
作品について感想を書いてみます。

尚、作品の核心部分に触れていますので、
未読の方は ここは読み飛ばされることを
お勧めします。すみません・・・。


ストーリー)
メガネ・ソバカスの素子はさえない高校生
だが、美人の妹・麗子が同じ学校に入学
したことから注目されてしまい、おもい
がけずも学級委員に選出される。あこがれ
ていた長田くんと委員の仕事をすることに
なり密かに喜ぶ素子。そんなある日、素子
の同居の祖母が倒れる。一学期が終わり
委員の仕事が終わった時、長田君は妹・
麗子と交際することを宣言する。ボーゼン
とする素子。いそいそデートにおもむく
妹を横目で見送る気まずい夏休み。
寝込んだ祖母の腰をさすってあげる素子。
そんなある日、祖母の容態が急変。一時
危篤になるも意識をとり戻した祖母が
呼んだ名前は「素子」だった。
素子に面倒を見てくれたことの礼を
言って祖母は逝った。


ある人はこの作品を評して
「あべワールド」全開、
とおっしゃられた。

私もそれは適切な評言だと思うが、
しからば「あべワールド」とは
何なのか?

今回は以下の(1)〜(3)の三点に
絞って書いてみたいと思います。


(1)
まず誰でも指摘するのは「おばあちゃん」
が主要登場人物として登場することだろう。
他に「みーなの涙」という佳作もあるし、
おばあちゃんと言っては失礼だが やや
年配の母親を描いた「チビのへんしん」
もある。

ともあれ、「しょっぱい涙の物語」
「みーなの涙」のどちらも祖母と孫娘の
関係を描いている。

で、この「描写」に特徴があって、あべ
作品ではベタベタ感がなく、なんというか
「スクエア」な感じがする。
えてして、レディコミとかで同一テーマ
(祖母と孫)の作品を読むと、どうも緊密
感が強すぎる。テーマに合わせて関係性を
捏造しているようなきらいがある。
ところがあべ作品は、「みーなの涙」に
顕著だけれど非常に客観的です。
普段は忘れてる・・・とか。でも、
ここを公平に述べないことには、自然な
感情は描けないでしょう。これを単語で
表現すると、「正直、誠実」ということ
も出来る。

本作「しょっぱい涙の物語」では、祖母と
素子の関係はいかにも普通の家族。具合が
どうかと問いかけたり、背中さすってと
頼んだり。ことさらに哲学的な話をする
わけではない。ただ、祖母の穏やかな存在
のそばで、素子の中では悔しさや悲しさと
いう感情が渦巻いている。

そんな素子の満たされない心を知ってか
しらずか、祖母は最後に全存在をかけて
素子にスポットライトを当てる。
接点が少ないかに見える祖母と孫娘、では
あるが、スピリチャルなメッセージの交感
に驚きを覚える。読者もまた主人公の素子
と一緒に祖母の伝えんとしたことを考える
ことになるだろう。先に題名を挙げた
「みーなの涙」にしても「チビのへんしん」
にしても、信頼を寄せ合う二人の心情は
伝わり合う、と作者は信じているようだ。
もちろん読者もその真剣さを信じている。


(2)
タイトルに「涙」が付く二つの作品、
それぞれの涙の意味は何でしょうか。

「みーなの涙」では祖母が死んだのに、
悲しいはずのお葬式で泣けない自分・・・
という率直な表現があり、その後、祖母の
自分への思いを父から聞いた時に初めて
涙を流す。非常に独特なあべ作品の瞬間で
ある。
「わたしのネコ子」で手を洗って歯を磨いた
後に突如悲しみが噴出する場面とか、
「でっかいちゃん」が警察の厄介になった
三美を叱責しようとする次郎を止めて
「じぶんを大切にしてほしい」と涙を流す
シーンなど、きわめてユニークな表現だと
思う。なぜそう思うか。これらの涙はセンチ
メンタルなだけではないから。力を尽くした
ものが、なお届かぬ地点を見つめる瞬間。
それは「運命」? 猫の死はいかんとも
しがたいし、肉親とはいえ、他人である
妹の行動はいかんともしがたい。それを
受け止めつつ、それでもなすべきことが
泣くことであり、これを単語で言えば
「愛情」ということになる。

「しょっぱい涙の物語」では素子がたくさん
の涙を流す。初恋の感傷であり、愛情の
不公平への嘆きもある。そんな感情に振り
回された素子ががラストで、窓辺で流す
自分の涙を意味づけを語っている。祖母から
受けた信頼。信頼を受けた人間は強い。
うつむき続けていた素子が涙を通して空を
見上げるラストには何とも言葉がみつから
ない。


(3)
通常の少女まんがフォーマットでいえば、
美人の妹に憧れの人をとられた、となれば
代わりの誰かをあてがって、読者を安心
させる・・・ということになるのだろうが、
この作品ではそうでない。祖母の「気持ち」
を受け取って、空を見上げるだけである。
これをもって「何なの?何が言いたいの?」
という読者もいたかもしれないが、これぞ
「あべワールド」としか言いようがない。

たとえば「テキは強いぞ!手ごわいぞ!」
という、非常にユニークな構成の感動作品
があるけれど、人はこの作品の何に感動
するのだろうか?「薄幸な友達が幸せな
結婚をして良かったね」だけではない
だろう。私も言語化できないが、主人公
と友人が遭遇した「ある瞬間」の感覚に
読者は胸を打たれるのでしょう。言葉に
出来ない人の心のありよう、これは「魂」
というのでしょうか。魂の交感を描こうと
している、ということは・・・これは
「芸術」作品だと断言できます。物語
(ストーリー)を書こうとしているレベル
の上のレイヤー(階層)を描こうとして
いることは間違いないでしょう。
なので、「テキは」もそうですし
「ママの王子さま」もそうですが、
結末のネームが詩的で、ストーリーの
オチを書いてないんだよね。そこが、
私みたいに「ストーリーだけを読む人」
には「結局どうなったのォ?」と感じさせ
てしまうところか。ちゃんとした感性を
持つ読者には、届いてるのでしょう。
で、「しょっぱい涙の物語」でも、結局は
男女交際とかそういうレイヤーを超えた、
祖母との魂のふれあいが描かれて作品は
幕を閉じるわけで。まさに「あべワールド」
な終わり方である。


と、いうように感想を書いてみました。
「しょっぱい涙の物語」は非常にユニーク
な特性を持つ作家の一人である
「あべりつこさん」の特質をよく伝える
作品の一つです。
未収録のままは惜しい!
他の作品ともども、広く読まれて欲しいと
しか言えません。
以上

このむしじゅうまんどる
2003年10月30日(木)

最近はDVDの「BOXセット」というのが流行
っていて、5・6本のセットで1万5千円
ぐらい、で広告の下のほうに「当面バラ売り
の予定はありません」と記されている。

一本あたりにするとそんなに高価ではない
んだけれど、そのうちの一本だけ見たい、
という場合に非常に困るのよね。1万5千円
などという気の遠くなるような金額は、
そうそう支出できるものではありません。

さて最近、
「ケイリー・グラント
生誕100周年記念ボックス」
というDVD−BOXが発売になりました。
http://www.spe.co.jp/video/dvd/200309/bp-144.html
この中の、
「此の虫十万弗」(このむし じゅうまんドル)
という映画だけ見たいんだけど・・・。


大学に入学して、映画研究部に入部する前に
ひと月ほど人形劇団に在籍していたのだけれど、
その時に私が上演企画として出したのが
「此の虫十万弗」と「おこんじょうるり」
だったんですよね。
ああ、ちなみに人形劇団に入ったのは、
『りぼん』読者なら納得してもらえると思い
ますがデコたん(太刀掛秀子さん)の連載
「まりの 君の声が」の影響です。
それはそれとして。


「此の虫十万弗」は 映画は観る機会が
無かったのですが和田誠さんの著作
(だったかな)でストーリーを知って、
いいなアと思ったもので。

話は、
貧乏なプロデューサーが、ある少年の
飼っている芋虫が「音楽に合わせて踊る」
ことを知り、それで一儲けを企むが
・・・というもの。
モスラの幼虫みたいな造形が出来たら
面白いかも・・・と企画しました。

見る予定がある人は退避して下さい。
以下、 話のオチを書きますよ。


さて、肝心の公演を前にその虫がいなく
なってしまう!どうしてか、というと・・・
美しい蝶になって飛んで行ってしまうん
ですよね・・・。
ああ、なんともはや。矢代まさこさんの
まんがでもそういうのがありました。

アメリカ映画らしい語り口が楽しめそうなので
見てみたいものだ。いつかバラ売りされたら
借りて観てみよう。
「当面」とはどれくらいの期間を指すのかな・・・

「陽だまりのグラウンド」
2003年10月31日(金)

WOWOWで放映された映画
「陽だまりのグラウンド」(原題「Hardball」)
を観ました。
キアヌ・リーブス主演の少年野球映画。
あまり期待もせずに見た割りに、結構面白
かったです。

スポーツ試合のノミ行為で危ない橋を渡って
いる男(キアヌ)が貧しい地区の少年野球チーム
のコーチを引き受けることになる、という話。
ダメコーチとダメ少年チーム、ということだと
「がんばれ!ベアーズ」とか「飛べないアヒル」
なんかを思い出します。

事前に情報が無かったんですが、学校の先生役
でダイアン・レインが出てました。この間彼女
について書いたときに「ダイアン・レインは
フケ顔のBUSU」みたいな印象をあたえて
しまったかもしれませんが、違います。
「演技力のある美人女優さん」です。この映画
も、いいですよ。出番少ないけど。

キアヌ・リーブスが「とても少年たちを善導する
ようには見えない男」に適役で、いい味出して
いました。昔だったらスペンサー・トレーシー
(「少年の町」か)あたりの役どころですが、
時代も変わりましたネ。

さて、この映画を観て驚いたのは、アメリカの
スポーツ映画特有の無理矢理な盛り上げが無い
ことです。なんだか「日本映画」のようなホド
ホド感がある。後半、ある主要人物が死んじゃう
のですが、ここの時制処理が黒澤明の「生きる」
の構成になっていました。へぇー、です。

ヘッドフォンでラップミュージックを聴いてない
と投げられないピッチャー、というのが楽しく、
これは「野球狂の詩」の酔いどれ投手・日の本盛
のようでした。

コーチが子供達をポケットマネーでシカゴ・
カブスの試合に連れて行くシーン(サミー・
ソーサ出演)が感動的なのですが、ちょっと
樹村みのりさんの名作まんが「40−0 
フォーティー・ラブ」を思い出しました。

あまりにもアクの強いアメリカ映画にヘキエキ
している人にはいいかもしれませんが、ちょっと
薄味かな。私はわりと気に入りましたが。


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