2003年9月


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「ターザン」
2003年9月1日(月)

民放地上波で放映されたディズニーアニメ
「ターザン」を観ました。

金城武も良かったけれど、ゴリラ界の父母を
演じた内海賢二氏と藤田淑子さんの吹き替え
が抜群でした! いまさら誉めても、という
殿堂入りの人たちだけれど、いやあ本当に
良かったなあ!


さて、アニメ「ターザン」を観て思い出した
ことが一つ。たぶん、たくさんの人が感じた
ことだろうけれど。

ターザンは筋骨たくましいガタイ。そして、
顔の特徴は、アゴがとがっている。

この二つの特徴を兼ね備えた人は、
アントニオ猪木。

それで思い出したんだけど、猪木ってむかし
ジョニー・ワイズミューラー版のターザン
映画の吹き替えをやってたことがあるんだよね。

スッカリ忘れていました。
私が観たのは、『ターザンの猛襲』とあと一本、
タイトル忘れた。

「ターザン、ジェーン好き」
とか
「ボーイ、来い」
とかいったセリフしかないので、やりやすかった
ろうけれど、でもやっぱり猪木っぽいテレが
あって、好ましく観た(聴いた)覚えがあります。

『ターザンの猛襲』は映画としてもなかなか面白く、
最後に象の群れが悪人たちのキャンプ(?)を
潰滅させるスペクタクル・シーンなんかすごい
迫力でした。


あと、アニメ「ターザン」で面白かったのが、
ヒロインのジェーンが、なんというかその

サザエさん

みたいな性格なんだよね。

「あらいやだ、ホホホ」

みたいなセリフばっかりで。

猪木とサザエさんとくれば無敵だよな。
ディズニーの日本戦略の周到さははかりしれない
ものがある。

「KILL BILL」
2003年9月2日(火)

ようやく来月10月、クエンティン・タラン
ティーノ監督待望の新作

「キル・ビル」

が公開される。うれしいことであります。
内容はともかく、この作品タイトルは
なかなか味わい深いものがあります。

製作が決まった時、何かの映画雑誌でその
ニュース記事が載りました。女性ライターの
人が書いていたと思いますが、こんな風に
伝えていました。


タランティーノ監督の新作タイトルは
「KILL BILL」、日本語に訳せば

「ビルっ、こ、殺すっ!!」

といったころろでしょうか。


いい訳だね〜。ほれぼれ。
別の人(やはり女性)は、

「ビル、ぶっ殺す!」

と訳していました。作品内容もそうらしいの
ですが、何か女性の復讐衝動に火をつける
タイトルのようです。

私は、「キルビルミチル」(チルチルミチル)と
いうような語感にもフィットして、親しみを
覚えています。


少々疲れているので脳軟化な内容で失礼しました。
まだ暑いしね。

バス曲
2003年9月3日(水)

落雷の影響でJRが不通になり、帰りのバス
がメチャ混み。

“♪ぎゅうぎゅう づめの バスのなか〜”

という榊原郁恵の「バス通学」という歌が
ありましたが、こんな不愉快な状況で

“♪ゆめごこち〜”

になれるなんて、「奇人変人コンテスト」に
出場したほうがいいよ、と頭の中で叫ぶ。


バスといえば、

“♪バスを〜まつあいだに〜”

の「バスストップ」が有名ですが、
私としては浅野ゆう子さんが外人ダンサーと
踊って歌っていた
「セクシー・バスストップ」も捨てがたい
ですね。この頃の彼女のディスコ曲は好き
でした「ムーンライト・タクシー」とか。

いまどきの子は“ねこバス”でしょうか。
あのテーマ曲、カッコいいよね。

つらくても
2003年9月4日(木)

9月の上旬というのは、どうにもツラい時期
です。

カレンダーをめくって、「夏も終わりだなあ」
と思い、そして

“♪そして季節は 秋に かわった”

の「セプテンバー」(竹内まりや)をくちずさ
んでしまうと、

「気分は秋」

なのですが、残暑がキビしい。

夏だと思っていれば暑くて当たり前、と過ごせる
のだけれど、

“♪いまは〜 もう あき〜”

と秋気分でいると暑さが身にこたえて、もうダメ。
しかしここは、その
「誰もいない海」
の歌詞をかりてあえてこう言おう

♪つらくても つらくても 死にはしないと

(おおげさ)

○○チュウ
2003年9月5日(金)

久しぶりに神奈中(神奈川中央交通)バスに
乗る。

料金210円で、300円出そうとしたら
「お釣りは出ないので両替してください」
と言われた。

今でもそうなのか。

ちなみに車体は黄色く、カナチュウと書けば
一文字違いで「ピカチュウ」に近い。



ここのところ毎日、頭痛が抜けない。

キビしいっス(←市川美日子ふうに読んで)

『なぞの転校生』
2003年9月6日(土)

先日「NHKアーカイブス」枠で放映された
少年ドラマシリーズの一編

『なぞの転校生』

を見ました。総集編、ということでの1時間。

1975年、ということは私が小学5年の時の
作品。ずいぶん久しぶりの再会ということに
なりましたが。

ショボくてガッカリするかな・・・とおそる
おそる見たのですが、さてその結果は。

話は、覚えていた通りでした。というのは、
当時原作本(眉村卓)を買って持っていて
何度か読んでいたので、本のストーリーと
して頭に残っていたわけで。映像的には、もう
ホボはじめて見るような感覚。

これがね・・・。なんと申し上げたらいいか、
この張り詰めた緊張感は何? 

人物のたたずまいとか、セリフ、それらが
ユルんだところがないんだよね。
これはある意味で「演劇」を見るような緊張感。

シーンやカットで時間や空間が分断される映像
作品でありながら、これだけ持続する感覚って
なんだかスゴイな。総集編で見ているのに。

NHKだと「中学生日記」なんかでもそうだった
ように、限定された空間で生硬なテーマを取り
扱うとこうなるのかもしれないが。

それにしても、このケレンの無さってすごく
新鮮です。もう、創作物への真剣さってテレビ
作品では持てないのでしょうか?
たぶん、アジア映画を観るしかないでしょう。

虚構の表現が、ウソ臭さではなく異界への
入り口になる、ってことはもうないのかな。
作る側も見る側もすっかりスレッカラシに
なっているから。


同居人に「『なぞの転校生』見たよ」と報告
したところ、
「あの、暗い階段を上っていくところがスゴク
怖かったんだよね〜」
と言ってましたが、よく覚えているものだ。
「思い出しただけで鳥肌が立つよ」
と、ホントにトリハダ立ててました。
人間の記憶とは。

横顔
2003年9月7日(日)

近くの商店街を歩いているとき、
若い女性とすれ違った。
見覚えがある。誰だろう。

しばし歩いてから気が付いた。
ああ、うちの近所のコンビニの、
バイトのおねえさんだ。

本人は気付かずとも有名人。
そのような存在。

観てないものだ・・・
2003年9月8日(月)

5月発売の映画雑誌『プレミア日本版6月号』に

「監督大名鑑 全650人」

という100ページくらいの小冊子が付録で
ついていました。
外国映画の主要な監督がアーウィン・ウィンクラー
から始まって(五十音順)ワン・シャオシュアイ
まで、フィルモグラフィ付きで掲載されています。
まあ『ロードショー』の昔から、映画ファン雑誌
にはよくあるフロクです。

外国の監督650人か・・・どれくらい観てるの
かな? 
映画を観るようになって25年
(1978年=中学2年から・・・として)
四半世紀という区切りでもあるし、
という名目で、毎日寝る前にチョコチョコ
蛍光ペンでチェックしてました。

やっと集計がまとまったので報告してみましょう。


掲載されている650人のうち、

一本でも作品を観ている監督は356人
一本も見ておらずご縁が無いは294人

ということになりました。

どうなのかな?半分はご縁がある、ともいえるし
半分もご縁がないの?ともいえるし。

新しい冊子なので、ミニシアター系のアジアの監督や
ヨーロッパの監督が載っていて・・・そのへんはほぼ
全滅だ。まあ自分の“傾向”を客観的に見るいい機会
になりました。


一応“映画ファン”を自称しているわりには、
こんな監督を一本も観てないの? というところも
あり、例えば

キング・ヴィダー、ラオール・ウォルシュ、
ダグラス・サーク、プレストン・スタージェス
・・・なんていうビッグネームを見逃してるし

ジャック・フェデーを一本も観てない、なんて言うと
びっくりされそう。

アントニオーニ、パゾリーニ、サタジット・レイ
・・・といったアート系も

最近注目の人では
ケン・ローチ、デビッド・フィンチャー、
バズ・ラーマン なんかも今のところ未見。


ちょっと恥ずかしい告白大会になってしまいましたが、
これから観るものがたくさん、と思うと楽しくなって
きました。

次回は、本数を見ている監督さんのランキングを
発表します。

観た本数での監督ランキング
2003年9月9日(火)

自分でもチェックしてみるまで誰が一番なの
だろう? と判らなかったのですが、意外な
結果になりました。

項目は 順位、観た本数、監督名、
カッコ内は (観た本数/全作品数)です。

それでは発表。七本以上でちょうど30人
挙がりました。


第1位  24本 アルフレッド・ヒッチコック (24/53) 
第2位  22本 スティーブン・スピルバーグ (22/22)
第3位  20本 フランシス・フォード・コッポラ (20/21)
第4位  17本 リチャード・レスター (17/21)
第5位  15本 ジャン=リュック・ゴダール (15/51)
第6位  14本 ジョン・ランディス (14/19)
第7位  13本 ロバート・ゼメキス (13/13)
第7位  13本 ビリー・ワイルダー (13/25)
第9位  11本 スタンリー・キューブリック (11/12)
第9位  11本 クリント・イーストウッド  (11/23)

第11位 10本 ロマン・ポランスキー (10/19)
第11位 10本 マーチン・スコセッシ (10/22)
第11位 10本 フランソワ・トリュフォー (10/25)
第11位 10本 ハワード・ホークス (10/42)
第11位 10本 ジョン・フォード  (10/114)

第16位  9本 ティム・バートン (9/10)
第16位  9本 ルイ・マル (9/21)
第16位  9本 ジョン・ヒューストン (9/33)
第16位  9本 チャールズ・チャップリン (9/34)
第16位  9本 シドニー・ルメット  (9/35)
第16位  9本 ウイリアム・ワイラー (9/38)

第22位  8本 ニキータ・ミハルコフ (8/12)
第22位  8本 ジョージ・ロイ・ヒル (8/13)
第22位  8本 ウディ・アレン (8/31)
第22位  8本 フランク・キャプラ (8/32)

第26位  7本 セルゲイ・M・エイゼンシュテイン (7/8)
第26位  7本 ピーター・ボグダノヴィッチ (7/14)
第26位  7本 デビッド・リーン (7/16)
第26位  7本 ルネ・クレール  (7/20)
第26位  7本 ブライアン・デ・パルマ (7/21)


【ランキングを眺めてのコメント】

まあ、いかにも70年代末から映画を観始めた人、
という感じですね。

アメリカの監督ばかりだし。一般的な映画ファン
像ここにあり、的な。

チェックしてみる前は「たぶんコッポラあたりが
一番ではないか?」と思っていたのですが、
意外や、トップは往年の巨匠でした。

それよりも意外だったのが、“もっとたくさん
観てるハズ”と思っていた人が、本数見ていなかった
ことで。「えっ!ワイラーの映画9本だけ?!」
みたいな感じ。脳内での存在感と見た本数は
また違うんだなア・・・。

と、いうことで


せっかく名前を挙げた人たちを、このまま
お帰しするのも(←どこへ?)失礼なので、
この30人の方々に この際ひとことコメントする
ことにしましょう。
明日から。

ブライアン・デ・パルマ
2003年9月10日(水)

■第26位 7本 (7/21)■

【観た7本】
「キャリー」(76)
「フューリー」(78)
「殺しのドレス」(80)
「ミッドナイトクロス」(81)
「スカーフェイス」(83)
「アンタッチャブル」(87)
「ミッション:インポッシブル」(96)


代表作を数本見ているだけなんですが。

この人は60年代から撮っている人なので
キャリアは長い。今では「ハリウッド大作」
もこなしてそれなりのポジションがあるよう
だけれど、究極的には

“のぞき魔”と“殺人鬼”

の映画を撮りたいだけ、という、ある意味
では欲望が明確でわかりやすい人だ。

ベテラン監督にも関わらず、いつまでも
「ヒッチコックの出来損ないのような映画
を作る若造」という評価がくつがえらない
のが凄い。


私は、いつまでも忘れられないのが
「ミッドナイトクロス」。
ジョン・トラボルタが良い演技をしていた
けれど、ヘンテコなサスペンスで・・・
恋人を殺人鬼にさらわれた主人公が、
追跡中に「気絶をしてしまい」、目覚めて
追いかけるも間に合わず・・・という、
なんとも間抜けな展開にあきれた。
息詰まる場面で、「気絶」は無いでしょう。
10分眼が覚めないのか、3時間眼が覚め
ないのか判らないじゃないの!
編集テクが冴えていただけに、傑作になり
そこねたのが惜しい。

余談ながら、大学の学園祭の実行委員を
やった時に一緒になったのが“黒須”君と
いう青年。思わず
「『ミッドナイト黒須』?」と聞いたら、
「いいえ『カサンドラ黒須』です」
と返されました。
閑話休題。


なにより、ブライアン・デ・パルマといえば
日本一の人気まんが「ジョジョの奇妙な冒険」
の作者、荒木飛呂彦氏が好きだと明言し、初期
作で影響のほどを見せていたのが特筆されます。
特に「バオー来訪者」。
敵の、悪の組織の名前が“ドレス”
(「殺しのドレス」からでしょう)
だし、ある話の扉絵が「フューリー」の宣伝
ポスターの絵柄をそのまんま使っていて、
笑いを誘いました。

最近のインタビューで、自分の双子の妹のことを
「悪魔のシスター」(←ブライアン作品名)と
呼ばわっていた荒木氏・・・。


私は、ブライアン・デ・パルマというと
ニューヨークの街角のこんな光景がまぶたに
浮かびます。
少女と母親との街角での出会い。

親子連れ、歩いてくる
ブライアン・デ・パルマ氏、前から来る
少女「おじちゃん、こんにちは」
ブ氏「やあ、こんにちは」
双方、通り過ぎる
少ししてから
少女「ブライアンおじちゃんだったね」
母親「そうだね(ため息)」
少女「何?」
母親「ブライアンおじさんも、もういい年
なんだけど・・・。変な趣味はもうほどほど
にしたらいいのにねえ・・・」

良識人から ため息をつかれてしまうオタク
おやじ。それが私にとってのブ氏のトータル
イメージです。


この監督30人シリーズ、ヒッチコックもどき
のブライアン・デ・パルマで始まって、
本家のヒッチコックで終わるとは、なにやら
因縁じゃのう。


【未見】
「ファントム・オブ・パラダイス」(74)
「カジュアリティーズ」(89)

ルネ・クレール
2003年9月11日(木)

■第26位 7本 (7/20)■

【観た7本】
「イタリア麦の帽子」(27)
「巴里の屋根の下」(30)
「自由を我等に」(31)
「巴里祭」(32)
「そして誰もいなくなった」(45)
「夜ごとの美女」(52)
「夜の騎士道」(55)



これまた、代表作を数本見ているだけなんで
すが。

さて、今ではテレビ局の編成担当の人も
世代が変わりましたが、70年代のNHK
教育テレビの「名画劇場」は
・1930年代のフランス映画
もしくは
・1940代後半のイタリア・ネオ
リアリズモ
−が偏重されていました。
よく放映されてましたね。

兄貴はそれを見ていてフランス映画好き
だった模様。つまり私は父兄(父と兄)が
揃ってフランス映画好き・・・だったの
だが、どうにも理解出来なかった。
「望郷」見て寝たり(笑)してたし。


ルネ・クレールの映画を観たのは大学に
入ってからで、まあ「喜劇映画の歴史」を
勉強するような気持ちで臨んだわけですが
・・・これが面白くて。

“笑い”の感覚は古びない、というテーゼ
を絵に描いたような例です。

作品によって人情ものだったり風刺もの
だったりするのですが、テンポも良くて
楽しめます。まあ、どの作品も語りつくさ
れているけれど、例えば「巴里祭」で
キスしてる恋人を子供に見せないように
する家族の繰り返しなんか、なんとも
いえない感覚である。


つくづく思うのは、映画というメディア
も若く、“トーキー”という新技術に
嬉々として取り組む映画製作者の熱意と
創意である。なんと新鮮!
線路沿いの乱闘にかぶる列車音、なんて
いう表現はパターンだけれど、それを
創出した「巴里の屋根の下」では
どれほど効果的か。
“最初にやった”ものはいつまでも
腐らないものだ。


わりと観てる人が少ないと思うのが
「そして誰もいなくなった」。
クレールが戦時中アメリカに渡っていた
ときに撮った映画。高校1年の時に
リバイバル公開された「第三の男」の
併映で観たが、なんともおっとりした
映画で、ハッピーエンド(!)である
のにも驚いた!


【未見】
「ル・ミリオン」(31)
「沈黙は金」(46)
など

デイヴィッド・リーン
2003年9月12日(金)

■第26位  7本  (7/16)■

【観た7本】
「幸福なる種族」(44)
「オリヴァ・ツイスト」(47)
「旅情」(55)
「戦場にかける橋」(57)
「アラビアのロレンス」(62)
「ドクトル・ジバゴ」(65)
「ライアンの娘」(70)
「インドへの道」(84)


ちゃんと数えたら8本観てるな。まあいいか。
マジメな監督さんのことはマジメに書かなけ
ればならないような気がしてしまいます。
前に「戦場にかける橋」のことを書きましたが
とにかくスゴイ監督さんです。この作品以降は
みんな超大作です。
“大男 総身に知恵が 回りかね”という言葉
がありますが、リーン作品はその真逆で、
こんな大作なのになんでこんなに緻密なの?
と驚くばかり。この底力、食べてるものが違う
のかなあ、なんて思ったり。

「旅情」は人間ドラマで大作仕様ではないのですが、
なんか知らんスケール感があります。K・ヘップ
バーンが堀に落ちるシーン(&再現しようとした男
が誤って転落する)なんか。「オリヴァ・ツイスト」
のクライマックス群集シーンも迫力ありました。

映画の本や雑誌で見るリーン監督の写真は、
デカイ撮影機材の横でディレクターズ・チアーに
据わって鋭い眼光をひからせている男。
巨大なんだよね〜。身体サイズを超えた巨大感。
それが、作品にも反映されているようです。


「ロレンス」以降の音楽はモーリス・ジャールが
手がけていてどれも素晴らしいのだけれど、
「ドクトル・ジバゴ」の“ラーラのテーマ”。
これが、昔実家の電話の待ちうけオルゴールの
曲だった。電話でこれを聴いていた人は、ロシア
の長い冬を思いながら耐え、春を待つ気持ちに
なっていたことでしょう。良い選曲でした。


デイヴィッド・リーンというと昔の人・・・と
感じる人が多いと思うけど、私は遺作になって
しまった「インドへの道」だけは封切りで観る
ことが出来てヨカッタ。東銀座の東劇にて。
もひとつラッキーだったのは、「ロレンス」を
リバイバル上映で映画館のスクリーンで観れた
ことです。高校の時、横浜ピカデリーにて。

キューブリック、リーン、黒澤 といった
映像の巨人の作品は絶対にスクリーンで観たい
ものです。常時リバイバル希望。

【未見】
「逢びき」(45) 
「大いなる遺産」(46)
など

ピーター・ボグダノヴィッチ
2003年9月13日(土)

■第26位 7本  (7/14)■

【観た7本】
「殺人者はライフルを持っている!」(68)
「ラスト・ショー」(71)
「おかしなおかしな大追跡」(72)
「ペーパームーン」(73)
「ニッケルオデオン」(76)
「マスク」(84)
「ロブ・ロウのおかしなおかしな探偵物語」(88)


70年代に映画ファンを始めた人には忘れら
れない名前です。って、懐古ムードな文章で
過去の人にしてしまってすみません、なので
すが・・・最近も色々撮っているようですが、
どうもね・・・。

やはりこの人は「ラスト・ショー」
「おかしなおかしな大追跡」「ペーパームーン」
の三本に尽きる、というのが大方の意見では
ないでしょうか。映画ファン出身の監督という
ことで軽く見る人もいるけれど、
「ラスト・ショー」という傑作をつくっただけ
でももう殿堂入りだと思います。

「おかしなおかしな大追跡」は中学の時に
三軒茶屋の名画座で三本立てで観たけれど
私がバーブラ・ストライザンドのファンに
なるきっかけとなった思い出深い作品です。

でもやっぱり「ペーパームーン」、これに
とどめをさします。
推測で書くけれど、映画の評価以上に愛されて
いる作品ではないかなあ〜。なにかこう、
他の映画とは好かれ方の質が違うような気が
する。うまく書けないけど。
中学の時にたしか渋谷の名画座ミラノで観た
けれど、非常に良かったです。その後TVと
ビデオでも観たけれど、役者もいいし、白黒
の撮影も優れ、昔の映画の調子で撮られている
けれどテクニックは現代的で、感心しました。


「ピーター・ボグダノヴィッチ」という名前を
持ちだした時に、ある感覚を共有できる人が
うようよいると思いますが、それを名付ければ
やはり“70年代に映画ファンを始めた人”と
いうことになるんでしょうかネ。


【未見】
「ラスト・ショー2」(90)

ジェフ・ブリッジスのファンだけど、さずがに
あの名作の続編・・・を今・・・ってナニ?
という気がして観ませんでした。なんだか〜。

セルゲイ・M・エイゼンシュテイン
2003年9月14日(日)

■第26位 7本 (7/8)■

【観た7本】
「ストライキ」(25)
「戦艦ポチョムキン」(26)
「十月」(28)
「全線−古きものと新しきもの」(29)
「メキシコ万歳」(31)
「アレクサンドル・ネフスキー」(38)
「イワン雷帝 第一部・第二部」(44・46)


元・映画研究部らしい名前が出てきました。
うちの兄貴は「営繕マン」と呼んでいたけど、
電気や水道のメンテナンスをしてくれる人
ではなくて、ソ連の高名な映画監督です。

大友克洋のまんが「気分はもう戦争」で
アメリカの軍人が「ソ連の戦争映画は
階段を乳母車が転がるだけでつまらない」
というようなコメントをする場面がありまし
たが、もちろんエイゼンシュテインの
「戦艦ポチョムキン」
のことを言ってたわけですね。画像も
付いていてわかりやすかったけど。

いや〜 でも、エイゼンシュテインの映画は
カッコいいよ。マジで。
人物や風景の切り取り方に独自のセンスが
あって、美しいんだよね。美学系の人が
観るとハマると思う。私はその系統では
ないけれど・・・。

さっきの乳母車、いわゆる“オデッサの階段”
の場面は「モンタージュ論」の実践として
最高の事例と言われているけれど、
そういう「お勉強」的な観点抜きで、本当に
カッコイイです(そういう軽薄な表現をしては
いけない、民衆弾圧の場面なんだけど・・・)。

ブライアン・デ・パルマが「アンタッチャブル」
でこのシーンを楽しく(?)再現していたのが
有名ですが、もっとC級のパロディ映画で、
掃除機が階段を転がっていく・・・という
シーンを見た覚えがあります。

コッポラ監督がエイゼンシュテイン好きで、
ゴッドファーザーやら地獄の黙示録やらの
クライマックス・シーンの編集は「それ風」
です。彼が脚本を書いた「パットン大戦車軍団」
で、馬を橋の上から落とすシーンがありますが
これはエイゼンシュテインの「十月」のパクリ
(オマージュ?)でしょう。

私も大学の時に作ったアクション映画で
絶叫する男の顔のアップと池の鯉のアップを
重ねて編集して、「これは“アトラクションの
モンタージュ”なんだよ」と悦に入っていた
ことがあり、赤面の限りです。

しかし、若き創作者を魅了するその映像。
音楽でいえばザ・ビートルズに相当する
始原のパワーをお見逃しなく、若人よ!
「アレクサンドル・ネフスキー」の
メチャクチャな戦闘シーンを見てトリップ
して下さい!

フランク・キャプラ
2003年9月15日(月・祝)

■第22位 8本 (8/32)■

【観た8本】
「或る夜の出来事」(34)
「オペラハット」(36)
「我が家の楽園」(38)
「スミス都へ行く」(39)
「群衆」(41)
「毒薬と老嬢」(44)
「素晴らしき哉、人生!」(46)
「ポケット一杯の幸福」(60)


サイレント時代の作品は観ていないし、
いわゆる全盛期の代表作だけの鑑賞なのです
が・・・。

しかし、マーチン・スコセッシのコメント
だと記憶しているけれど、


フランク・キャプラの映画が
アメリカという国の理想そのもの


という指摘には納得。

ブッシュのアホ面を見るたび、また俗悪な
TV番組「ジェリー・スプリンガー・ショー」
を思い出すたび、ダメな国?とも感じる
アメリカ合衆国を憎みきれないのはやはり
フランク・キャプラの映画を観ているせいも
あるのでしょう。

特に「オペラハット」と「スミス都へ行く」
の二本が素晴らしいな〜。

お恥ずかしい話だが、高校の時に
「スミス都へ行く」を観て、国会議員が
何をしているのか初めて理解しました(!)。
赤面。立法活動してたのね。

多分に「アメリカのホラ話」的なユーモアを
交えつつ、理想を追求する主人公を描いた
この映画には感銘を受けました。ただ、10年
ぐらいしてから社会人として再見したときには
このひたむきな理想の追求って危険? と
ちょっと醒めた見方をしてしまいましたが。

「オペラハット」は最近「Mr.ディーズ」と
いうタイトルでリメイクされました(未見)。
ものすごい遺産を相続した田舎の詩人が
ゲーリー・クーパー。後半の裁判のシーンの
彼の存在感はもう素晴らしいの一言。
展開の面白さといい、キャプラ映画の最高峰
でしょう。

奇妙なキャラクター群、巧みな話術と
ヒューマニズム。あまりに屹立していて
継承も困難だけれど、アメリカの映画監督
たちには がんばって追い求めて欲しい
方向です。


個人的な関心事項で一つ。
「ポケット一杯の幸福」は“文通もの”として
代表の一つと言える映画で好きです。
貧乏なリンゴ売りのおばあさんが、外国にいる
娘に自分は金持ちだと嘘を言って仕送りしている
が、立派に成長した娘が、母のところにやって
くるという! さあ困った。ばあさんの知り合い
のギャングが見かねて打って出た作戦とは・・・!?
花登筐のドラマのようだ!!

ちなみにジャッキー・チェンがこれをリメイク
したのが「奇蹟<ミラクル>」で、こちらも
ナカナカ良い出来でした。

【未見】
「一日だけの淑女」(33)
→そもそも「ポケット一杯の幸福」はこの映画の
リメイク。タイトルがネタバレになってますが(笑)。
オリジナル版を是非観てみたい。

ウディ・アレン
2003年9月16日(火)

■第22位 8本 (8/31)■

【観た8本】
「アニー・ホール」(77)
「インテリア」(78)
「マンハッタン」(79)
「カメレオンマン」(83)
「カイロの紫のバラ」(85)
「ハンナとその姉妹」(86)
「ギター弾きの恋」(99)
「おいしい生活」(00)


松本伊代の歌の歌詞で

♪シーン15 走り出して
それじゃまるで ウディ・アレンね

というのがありました。確か尾崎亜美の
提供した「時に愛は」「流れ星が好き」の
EPシングルのどちらかのB面曲です。

閑話休題。


コンスタントに作り続けるウディ・アレン。
まあ私は本当に数本観てるだけで、みてます、
っていうのもおこがましいレベルなんですが。

でもまあ、観た映画はどれもホドホド感が
あって面白い。むちゃむちゃ支持、とは
言いませんで、観れば満足、といったところ
でしょうか。

いちばん好きなのはなんだろう・・・
「カメレオンマン」かな。語り口が
マニアックでおかしい。

作品総体としては好きでないんだけど
「ハンナとその姉妹」。
アレン扮する人物が死にたい・・・と思っている
けれど、たまたま入った映画館でマルクス兄弟の
「我輩はカモである」を観て、生きる意欲を
取り戻す(!)シーンが・・・いいねえ!
“マルクス主義者”の面目躍如。

実は私も似たような経験があるのだが、
その作品は何だったかは口が裂けても言えません。
でもヒントはアイドル映画。松本伊代じゃない
ですよ。


【未見】
「ブロードウェイのダニー・ローズ」(84)
「マンハッタン殺人ミステリー」(93)
「世界中がアイ・ラヴ・ユー」(96)
など多数

ジョージ・ロイ・ヒル
2003年9月17日(水)

■第22位 8本 (8/13)■

【観た8本】
「マリアンの友だち」(64)
「明日に向って撃て!」(69)
「スローターハウス5」(72)
「スティング」(73)
「スラップ・ショット」(77)
「リトル・ロマンス」(79)
「ガープの世界」(82)
「リトル・ドラマー・ガール」(84)



昨年亡くなられた時に長々と綴ったし、
大方の作品はこの日記でもちょこちょこ
ふれたいるのでもう書くことがないですが、
一言だけ。

「リトル・ロマンス」っていうのはワリと
評判も良かったのですが、私は今ひとつ
好きになれなくてね・・・。主役の二人に
共感できなかったし、ローレンス・オリビエ
も考えすぎって感じで。

ダイアン・レインって同い年なんだよな。
1965年生まれ。学年は違うけど。
「リトル・ロマンス」の時14歳の少女。
観てた俺も14歳の少年だったか。フッ。
14才、むずかしい年頃だからねえ。
エヴァンゲリオンのチルドレン達の年だし。
素直に初恋ムービーを楽しめなかった
自分を許そう。

ダイアン・レインに唯一共感できるのは、
彼女は「フケ顔」だったので初めて見た
頃と今現在とほとんど容貌が変わっていない。
わたしはすっかり老いてしまったが中学の
時は「顔がフケてる」とからかわれていたので
彼女もそんな悩みがあったのかな・・・ト。

コッポラ監督の「ジャック」という映画の
お母さん役がすごく巧くてビックリして
見直しましたが、近年はアカデミー賞に
ノミネートされたり活躍しているので僕も
がんばります。
「リトル・ロマンス」の悪評高きイメージソング、
「サンセット・キッス」を口ずさみながら私は
生きていきます。


この項目は何?ジョージ・ロイ・ヒルじゃなくて
ダイアン・レインの話になってるヨ!


【未見】
「モダン・ミリー」(66)
「華麗なるヒコーキ野郎」(75)
など

「夕凪の街」
2003年9月17日(水)

ちょっと割り込み。

他の掲示板で知り、読んでみたまんがを
緊急推薦!

9/16(火)発売の雑誌
『WEEKLY漫画アクション』
9月30日号(No.37)
に掲載されている短編

「夕凪の街」(こうの史代・作)

が非常に良いです。
http://www.futabasha.co.jp/new/action_latest.html
表紙には

“感動読み切り!
ヒロシマに生きた少女の物語・・・”

とあります。30ページ。

正直なところ、この作者さんの名前は
初めて聞くし、『漫画アクション』を
ラーメン屋以外で読んだのも初めて。
ま、それはそれとして。

「良いです」と言っておいて、何がどう
とうまく言えませんが、8月でなくて
今、九月に読むのがすごく効いて来る
反戦物語です。そう書くと何かがすべり
落ちていくの感がありますが。
柔らかいで描かれた人物、トーンでない
書き込みの背景がいいです。

次の号が出るまで、9/21(日)までは
売ってると思いますので書店・コンビニで
ご一読を。それを逃したら近所のラーメン屋
さんでバックナンバーを。

ニキータ・ミハルコフ
2003年9月18日(木)

■第22位 8本 (8/12)■

【観た8本】
「愛の奴隷」(76)
「機械じかけのピアノのための未完成の戯曲」(77)
「五つの夜に」(79)
「オブローモフの生涯より」(79)
「絆」(83)
「ヴァーリャ!愛の素顔」(83)
「太陽に灼かれて」(94)


すみません、チェックのミスで7本しか見て
ませんでした。「ウルガ」をみたつもりに
なっていたようだ。失礼。

それはともかく、好きな監督です。
“チェーホフ的”と評されることが多い
ようですが、チェホフ未読なのでコメント
不能。

私が好きなポイントは、「光と風」に
尽きますね。黒澤明が同じようなことを
コメントされていたようですが、この描写
が魅力なんですよね。

そもそもロシアの初夏がそうなのでしょうか、
あの光と、あの風。美しくスクリーンに定着
されていてホレボレします。

スターリン時代の圧制を描いた「太陽に灼かれて」
を見ると少々作風が変わったのかな?とも
思いますが、初期作の瑞々しさは特筆したい。
特に「愛の奴隷」のラストシーンの映像は
鳥肌モノです。


【未見】
「黒い瞳」(87)
→一番メジャーな作品なのに見逃し・・・
「光と影のバラード」(73)
→デビュー作で、西部劇風らしい。見たい。

ウイリアム・ワイラー
2003年9月19日(金)

■第16位 9本 (9/38)■

【観た9本】
「我等の生涯の最良の年」(46)
「探偵物語」(51)
「ロ一マの休日」(53)
「必死の逃亡者」(55)
「大いなる西部」(58)
「ベン・ハー」(59)
「噂の二人」(62)
「おしゃれ泥棒」(66)
「ファニー・ガール」(68)


え〜9本しか観てないんだ〜と驚く。
脳内メモリー占有量と比例しない。
一本一本が大きいんだなあ・・・。

アンケートで「一番尊敬する映画監督は
誰か?」という設問があったら、

ウイリアム・ワイラー

と回答記入するかもしれません。

お遊びで、「誰かの助監督についていい
って言われたら誰に付きたい?」と
問われたらやはり私は

ウイリアム・ワイラー

と回答することでしょう!

技術的にも内容的にも、まさしく
「お手本」と言うべき存在です。
観た映画はどれも格調高い傑作ばかり!
作り手の品性なのかな・・・。

技術的にはガッチリした構成、メリハリ、
完璧な人物配置による端正な構図・・・
うまいな〜とほれぼれするばかりです。

どの映画もバリバリに語り尽くしたいの
ですが、意外と語られない「探偵物語」に
ついて一言。原題は「Detective Story」で
実際には「刑事の物語」なんですけどね。
主人公の刑事・カーク・ダグラスを中心に
怪しいたくさんの人物がおりなすドラマで
興奮しながら見ました、中学の時に受信状態
の悪いTVK(テレビ神奈川)で。
戯曲の映画化が多いようですが、いわゆる
“舞台調”のモッタリしたところはなく
映像的に展開されます。


そもそも・・・
「おしゃれ泥棒」を小学校の時にテレビで
観て、面白いって思ったのが事始めだった。
家族が出かけてて、家に一人でいたときに
たまたま観て。
まあ ある意味、映画を観る面白さを実感
する始原体験の一つがこの監督さんの映画
であったとも言えます。


と、クドクド言わなくても、日本で一番
愛されている洋画

「ローマの休日」

の監督サンですからね!!
他に何を言う必要もなかったカナ。


【未見】
「この三人」(36)
「偽りの花園」(41)
→リリアン・ヘルマンもの

「嵐が丘」(39)
「ミニヴァー夫人」(42)
「友情ある説得」(56)
→いますぐビデオ屋に行って見るべきだろう

「コレクター」(65)
→むかし“沢田研二吹き替え版”を録画して
いたのに、テープにカビが生えてしまって
観れなかった・・・痛恨作品。

シドニー・ルメット
2003年9月20日(土)

■第16位 9本 (9/35)■

【観た9本】
「十二人の怒れる男」(57)
「女優志願」(58)
「未知への飛行」(64)
「オリエント急行殺人事件」(74)
「狼たちの午後」(75)
「ネットワーク」(76)
「ウィズ」(78)
「評決」(82)
「旅立ちの時」(88)



分母(作品数)が多いので、そんなに見てる
わけじゃないんだが。どっちかというとこの
監督はうちの兄貴が好きなんだよねー。
彼は「ネットワーク」のTV番組のテーマ曲
まで覚えてるから変人だよ。

さてルメット監督といえば“社会派”と
言われる人で、たしかにそのような名作が
多い。けれども娯楽作「オリエント急行殺人事件」
で見せた職人技は鮮やかでしたな。ポアロが
12人の乗客を聴取していくんだけど、一組
一組が違う演出で撮られてる。コメディ調あり、
アクション調、新派調・・・と編集や演技パターン
に変化がつけてあって大変楽しかったです。

久しく忘れていたらリバー・フェニックス主演
の「旅立ちの時」なんていう小品佳作を撮って
いたりするので、なかなか注意の必要な監督
さんです。

【未見】
「質屋」(64)
「セルピコ」(73)など多数

チャールズ・チャップリン
2003年9月21日(日)

■第16位 9本 (9/34)■

【観た9本】
「キッド」(21)
「黄金狂時代」(25)
「サーカス」(28)
「街の灯」(31)
「モダン・タイムス」(38)
「独裁者」(40)
「殺人狂時代」(47)
「ニューヨークの王様」(57)
「伯爵夫人」(67)



短編も含めるともっと見ていると思うが
記憶曖昧でもうどれがどの作品か特定でき
ないのでこの9本ということにしておこう。

チャップリンについてはここでも

♪語り明かせば 下宿屋の
おばちゃん 酒持って やってくる

−というほど語りつくしているので
これ以上書くことも無いが、
「文章で何を書くか」という問題を
チャップリン映画でブレイクスルーした
私としては、初等・中等教育における
チャップリン映画の活用を、今後も
文部科学省に対して続けて進言していく
所存である。


【未見】
「巴里の女性」(23)
「ライムライト」(52)など

ジョン・ヒューストン
2003年9月22日(月)

■第16位 9本 (9/33)■

【観た9本】
「マルタの鷹」(41)
「キー・ラーゴ」(48)
「アフリカの女王」(51)
「白鯨」(56)
「天地創造」(66)
「007/カジノ・ロワイヤル」(67)
「ロイ・ビーン」(72)
「勝利への脱出」(80)
「アニー」(82)



「007」は共同監督の一人です。
これまた、たくさんの作品のうち数本を
見ているにすぎないんですが。特に好きな
監督でもないし・・・。

でも「白鯨」は良かったな〜エイハブ船長の
グレゴリー・ペック。画面が特殊処理をほど
こした銅版画みたいな画調で、凄く雰囲気が
出ていた。吉田戦車のまんが「伝染るんです」
で、“お父さんが『白鯨』のビデオを頻繁に
借りてくる”、という4コマがあったけれど、
ヒューストン作品は狂った男の話が多いので
このマンガはギャグじゃないんだよね。

クリント・イーストウッドの映画
「ホワイトハンター・ブラックハート」で
「アフリカの女王」製作時のヒューストンの
奇行(?)が描かれているけれど、そうとう
吉田戦車的な人だったようです。
「お母さん、お父さんがまた象を撃ちにいった」
「お父さん、何故象撃ちなんですか・・・」
「(家族泣く)」
みたいな感じ。


早すぎたサッカー映画「勝利への脱出」は
封切りで観ました。今、公開するなら
香港映画の向こうを張って
「囚人サッカー」と改題か。
ビル・コンティの音楽がよかったです。

「アニー」は「グリース」で当てた若手の
ランダル・クレイザー監督が降りて、何故か
大ベテランのヒューストンに交代したという
フシギな映画。ミュージカルシーンがダイナ
ミックで「やるなあ」と思いました。


娘のアンジェリカ・ヒューストンが引き続き
活躍中。最近イーストウッドの映画にも出た。
彼女はディズニーランドの立体映画
「キャプテンEO」
の女王サマがステキでした。


【未見】
「黄金」(48)
「ザ・デッド」(87)など

ルイ・マル
2003年9月23日(火・祝)

■第16位 9本 (9/21)■

【観た9本】
「沈黙の世界」(56)
「死刑台のエレベーター」(57)
「恋人たち」(58)
「地下鉄のザジ」(60)
「鬼火」(63)
「ビバ!マリア」(65)
「ルシアンの青春」(73)
「プリティ・ベビー」(78)
「さよなら子供たち」(87)
「五月のミル」(89)



「沈黙の世界」はクストーに協力した共同監督
作品。ちなみにこの映画をTVで観ていて、
「いい音楽だなあ」と観ていたが「あれ、
でもどこかできいたことあるぞ」と思いなおして
何だろう何だろう・・・と考えたらわかった。
「これ、『ザ・ディープ』の曲だよ!
勝手に差し替えるんじゃねーよ!」


自殺しようとする男の心理を描いた「鬼火」
が代表作と言われているけれど、すみません
私は退屈でウトウトしながら観てたもので
内容をゼンゼン覚えていません。

「地下鉄のザジ」や「ビバ!マリア」といった
コメディ作品から入ったもので。
それにしても「地下鉄のザジ」は本当に
素晴らしい。カラー映画での最高のスラップ
ステック喜劇でしょう。幻想的だし。
そういえばこの「地下鉄のザジ」をビデオ屋で
かりようとしたとき(初見ではなかったが)、
店員のアンチャンが「これ面白いよ」と
言っていたなア。

「プリティ・ベビー」みたいなタイハイ的?
な作品が資質、ということだけど、そのへんは
よくわからないもので。

「ルシアンの青春」は対独協力者の青年を描いた
なんとも痛ましい作品。あまり語られる機会が
無いが、鑑賞を強くおすすめしたい。しんどいけど。

ルイ・マルといえば、自らの少年時代に遭遇した
事件をもとにしたという
「さよなら子供たち」
この一本に尽きるような気がする。戦時下フランス
の田舎の寄宿舎で、身分を隠したユダヤ人少年と
出会ってからの出来事。
えてして、製作者の思い入れと作品の出来栄えは
相反する場合が多々あるけれど、この映画は
すぐれた映像センスと作品内容が見事に結実した
素晴らしい作品となりました。辛い内容なんだけど。
なんでもないシーン、二人が夕暮れてきた林の中を
黙って歩く場面なんかが、頭を離れないです。


奥さんがキャンディス・バーゲンだったんですよね。
彼女のTVドラマ『マーフィー・ブラウン』は
とても面白くて大好きだった。藤田淑子さんの吹き替え
も最高。NHK、再放送してくれないかなあー。


【未見】
「私生活」(62)
「ダメージ」(92)など

ティム・バートン
2003年9月24日(水)

■第16位 9本 (9/10)■

【観た9本】
「ピーウィーの大冒険」(85)
「ビートルジュース」(88)
「バットマン」(89)
「シザーハンズ」(90)
「バットマン リターンズ」(92)
「エド・ウッド」(94)
「マーズ・アタック!」(96)
「スリーピー・ホロウ」(99)
「PLANET OF THE APES/猿の惑星」(01)



他に製作作品
「ナイトメアー・ビフォア・クリスマス」(93)
もあります。


初期短編を除いて、長編劇映画は全部観て
いますが、この監督は“現在”いちばん
新作が期待される監督です!!!

現在ハリウッドでも跋扈する、いわゆる
「OTAKU」(おたく)系監督
のハシリとも言える人ですが、
クリエーターとしての才能はズバ抜けて
いると思います。

この人の作品には、テクニックだけじゃなくて、
怪獣とか宇宙人といった“異形の者”への
愛があふれているんですよね・・・。
そんなところが、うちらTV世代の魂にも
ビンビン撃ち込まれて来るところなんでしょうね。
その意味で代表作は、
ハサミ人間(バルタン星人?)の悲劇を描いた
「シザーハンズ」
ということになりましょうか。


この人は「空飛ぶ円盤」が好きで、「エド・ウッド」
のオープニング・タイトルで飛び回っている円盤は
もう最高! 「マーズ・アタック!」ではさらに
数を増しており、これまた大満足です。
私のパソコンの上にも同型の円盤が一個、置いて
あります。


最近読んだ映画雑誌のニュースによると、
ロアルド・ダールの「チョコレート工場の秘密」
を撮るかもしれないとのこと。これまた楽しみ
です!



【未見】
「フランケンウィニー」(84・短編)
「ジャイアント・ピーチ」(96・製作作品)

ジョン・フォード 
2003年9月25日(木)

■第11位 10本 (10/114)■

【観た10本】
「若き日のリンカーン」(39)
「駅馬車」(39)
「怒りの葡萄」(40)
「わが谷は緑なりき」(41)
「荒野の決闘」(46)
「三人の名付親」(48)
「黄色いリボン」(49)
「静かなる男」(52)
「捜索者」(56)
「西部開拓史」(62)



「西部開拓史」は共同監督の一人。

(10/114)となっていますが、監督作品数が
114本っていうのは・・・1年1本でも
100年以上じゃん、と思うけど1917年から
短編を撮りまくっているので、それも含めて
のこの本数のようだ。


「ジョン・フォード」といえば、日本での
「黒澤明」と同じような監督の代名詞。
数本観てるだけの私がなにをかいわんや、
というところです。

スピルバーグ監督の「E.T」で場面が引用
されている「静かなる男」。うちの同居人に
見せたら、「アイルランドの人たちは昼から
酒飲んで遊んでばかりいてムカつく」と
怒っていました。うらやましかったのか?


この人の映画の美しい画面は、ちょっと比類が
ないですね。

「捜索者」のラストシーンとか
「荒野の決闘」の日曜の朝のシーンとか
「若き日のリンカーン」の読書シーンなど。

ほとんどテレビかビデオだけれど、二本だけ
例外が。

「怒りの葡萄」は高校の時に京橋のフィルム
センターで観た。ちなみに敬愛するまんが家の
KMさんも学校帰りに制服姿で映画館で観た
とエッセイで書かれていた。だから何と言わ
れると困るが。

「荒野の決闘」が「いとしのクレメンタイン」
という原題に近いタイトルでリバイバル公開
された時に映画館で観た。関内アカデミー
だったか。やっぱり大きい画面で観るのは良かった。


TVKで一度観ただけの「わが谷は緑なりき」
なんか再見してみたいなあ。
「静かなる男」も時々見返したくなる。あの映画の
最後の喧嘩シーンに流れる音楽は、やはりスピル
バーグ監督の「1941」の乱闘シーンに引用
されていますネ。


【未見】
「男の敵」(35)
「リバティ・バランスを射った男」(62)
など多数

ハワード・ホークス
2003年9月26日(金)

■第11位 10本 (10/42)■

【観た10本】
「暗黒街の顔役」(32)
「赤ちゃん教育」(38)
「ヒズ・ガール・フライデー」(40)
「脱出」(44)
「三つ数えろ」(46)
「赤い河」(48)
「紳士は金髪がお好き」(53)
「リオ・ブラボー」(59)
「エル・ドラド」(66)
「リオ・ロボ」(70)



面白い映画を作る監督、としかいいようがない。
「リオ・ブラボー」「エル・ドラド」「リオ・ロボ」
という町名三部作(?)の西部劇の楽しさと
いったらないですね。

キャサリン・ヘップバーン主演の「赤ちゃん教育」
のおかしさ。ボグダノヴィッチ監督は「おかしな
おかしな大追跡」で参考にしているし、スピルバーグ
監督の「ジュラシック・パーク」のラスト、恐竜の
遺骨粉砕シーンはたぶんオマージュ(?)でしょう。

「紳士は金髪がお好き」は小林信彦氏がコラムで
書いているけれど、

「男が美人を選ぶように 女は金持ちの男を選ぶ」

という結論が凄い。恐ろしい監督である。



【未見】
「コンドル」(39)
「ヨーク軍曹」(41)
「ハタリ!」(61)
など多数

フランソワ・トリュフォー
2003年9月27日(土)

■第11位 10本 (10/25)■

【観た10本】
「大人は判ってくれない」(59)
「ピアニストを撃て」(60)
「突然炎のごとく」(61)
「華氏451」(66)
「アメリカの夜」(73)
「アデルの恋の物語」(75)
「逃げ去る恋」(78)
「終電車」(80)
「隣の女」(81)
「日曜日が待ち遠しい!」(82)



訃報を目にした時はビックリしました。
1984年、52歳。

トリュフォーについては、うちの兄貴が専門
なのでそちらに聞いてください・・・と言いたい
ところだが、彼も仕事で忙しいようなので。

とはいえ、語れといわれても「突然炎のごとく」
や「隣の女」といった激烈な愛の話を語るすべを
持たないので、パス。

私には「アメリカの夜」の人だということで。
映画製作の内幕を描いたこの作品の面白さは
比類がない。

「華氏451」は失敗作と言われているけれど、
けっこう好きだなあ。

とても明るい「日曜日が待ち遠しい!」が
遺作になってしまった、というのが 何ともはや。
作中に映画館が写るが、上映中なのがキューブリック
の「突撃」。もろに映画ファンだった・・・。


大学映研で新入生歓迎の時期に「ワッペンを作ろう」
という話になって、その制作を拝命。
「未知との遭遇」のスナップをもとにした
和田誠さんのイラストを無断で借用して、
スピルバーグとトリュフォーの横顔をあしらった
ワッペンを作ったことがあります。
1986年のことかな?



【未見】
「柔らかい肌」(63)
「野生の少年」(69)
など

マーティン・スコセッシ
2003年9月28日(日)

■第11位 10本 (10/22)■

【観た10本】
「ドアをノックするのは誰?」(68)
「タクシー・ドライバー」(76)
「ラスト・ワルツ」(78)
「レイジング・ブル」(80)
「キング・オブ・コメディ」(83)
「アフター・アワーズ」(85)
「ハスラー2」(86)
「最後の誘惑」(88)
「ニューヨーク・ストーリー」(89)
「ケープ・フィアー」(91)



「ニューヨーク・ストーリー」はコッポラ、
アレンと三人でのオムニバス映画。
スコセッシ編が一番良かったです。


彼はものすごい映画ファンだった人のようで、
インタビュー番組なんかみると映画タイトル
がバシバシ出てくるし、あの語りの熱さは
さすがイタリア系。
映画マニア特有のひ弱さは無くて、
映像の力強さにはまったく圧倒されます。

やっぱり「タクシー・ドライバー」が出合い
でした。
私はたしか高校の時に新宿の怪しげな映画館
で観たのですが、みてる途中で後ろの人に
いきなり頭を殴られてビックリしました。
「頭がじゃまだから下げろ」という意味だった
ようなのですが、映画が人を暴力的にした
ところもあったのかも?
私がこの作品について「後頭部を殴られた
ような衝撃を受けた」と書いたとしても、
それは修辞上のことではないのですよ!

あまり書きたくない余談ですが、私は背が
低いけれど座高は高いので・・・映画館では
再び殴られないよう注意しています。
ちなみに山上たつひこ氏のまんが「がきデカ」で
「立って 小さな こまわり君
座って 大きな こまわり君」
というギャグがありましたが、笑えません。


昔『ロードショー』を読んでいた時は名前の
表記が「スコルセージ」だったり「スコーセージ」
「スコルシージー」など二転三転した結果、
業界的に「スコセッシ」に落ち着いたようです。
(Scorsese)



【未見】
「アリスの恋」(74)
「グッドフェローズ」(90)
「エイジ・オブ・イノセンス」(93)
「ギャング・オブ・ニューヨーク」(01)
など

ロマン・ポランスキー
2003年9月29日(月)

■第11位 10本 (10/19)■

【観た10本】
「水の中のナイフ」(62)
「反撥」(64)
「袋小路」(65)
「吸血鬼」(67)
「ローズマリーの赤ちゃん」(68)
「チャイナタウン」(74)
「テス」(79)
「フランティック」(88)
「赤い航路」(92)
「戦場のピアニスト」(02)



たしかコーエン兄弟がポランスキー好きらしく、
そう言われると「バートン・フィンク」なんか
それ風に思える。
「密室」「じわじわ感」「息苦しさ」「強迫観念」
・・・といったポランスキー作品のキーワードが
ぽろぽろと。

「ポランスキーが好きだ」と言うと「おかしい」
と言われそうで怖いが、まあ人は誰でも頭のどこか
おかしいワケなので・・・。


ポランスキーといえばそのバイオグラフィーの

ユダヤ系ポーランド人の両親は強制収容所に入れられ
母は死亡、彼自身もゲットーに入れられるが脱走、
親戚の家を転々として逃亡・・・

という少年時代の記述がいやでも気にかかる。
作品そのものと監督の過去は関係ないんだけど、
頭を離れない。


最初にTVで見た「ローズマリーの赤ちゃん」は
ただ「こわいなあ」ぐらいしか思わなかったけれど、
むちゃくちゃ意識するようになったのは
「フランティック」からかな。
ハリソン・フォード主演のサスペンスもの、の
つもりで観たら、パリを舞台に自分を失ってしまう
男を描いたヨクワカラン映画で、見てからしばらく
頭が変になりました。怖い映画です。


代表作は「反撥」ということになるのかな。
美しいカトリーヌ・ドヌーブが可哀相な映画。

面白さで言ったら「チャイナタウン」。
雰囲気の描写が最高。ただ、犯罪の中身は救いようが
ないほど悲惨なんだけど・・・。
ジャック・ニコルソンの鼻を切るために登場する
監督自身(笑)の演技がスゴすぎ。


「テス」はナスターシャ・キンスキーが最高に美しい
傑作。
1979年の作品だが当時私は中学生で、購読していた
雑誌『百万人の英語』でこの映画のセリフが解説されて
いたことが思い出されます。ラジオ番組で音楽も流れ
ましたが、いい曲でした。


今年三月のアカデミー賞、「戦場のピアニスト」で
監督賞を受賞。おめでとうございます。
主人公が隠れてる部屋の「し〜ん」としている描写が
まさしく監督独自の感覚でした。



【未見】
「マクベス」(71)
「死と処女(おとめ)」(95)
など

9月を振り返り、10月を迎える。
2003年9月30日(火)

監督シリーズはあと10人、という
ところで ちょっとブレイク。


この9月は残業が多くて疲れました。
まあでも祝日も多くて休めたからなんてこと
はないか。

それにしても、暑さ寒さも彼岸まで、とは
よくいったもので、ようやく涼しくなり
ましてケッコウケッコウ。

今月のトピックスとしては、まんが部門では
西谷祥子さんの文庫が2冊出て、これが
たいへんよございました。続刊に期待します。

田渕由美子さんの新刊も嬉しかったッス。

TVドラマの「すいか」終了。最終回は見逃し
たが、白石加代子が良かったね〜。

終了といえば、“傑作選”として放映されて
いた「美少女戦士セーラームーンS」が完結。
どうも来週から日曜朝6:30のセラムン枠
は無くなるみたい・・・。
ああ、とうとう見るアニメが0本になって
しまった。
鉄分が不足すると体調が悪くなるように、
アニメを見ないと精神を病んでしまう。
何か見ないと。でも今更「サザエさん」と
いうわけにもいかんし。どうするか。
喫緊の課題である。


10月のお楽しみはと言うと。
NHK−BS2で小津安二郎監督の映画を
何本か放映する。
あと、見たかった映画
「逢びき」(デビッド・リーン監督)
「偽りの花園」(ウイリアム・ワイラー監督)
を放映してくれるのもありがたい。

個人的な好みで言うとテレビ東京にて
秋吉久美子さんがマドンナの「男はつらいよ
寅次郎物語」があったり、
「とっとこ秋だ!ハム太郎まつり」なる
アニメ特集があったりするのが見逃せない
ところか。

10/30にBSで吉永小百合主演の
「いつでも夢を」
という映画をやるようだが、この作品は
たしか親戚の伯父さんの住んでた近所で
ロケをした部分があるらしい。
見てみるかナ。


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