1999.04.13
『学校の怪談3』を観た(WOWOW)。
金子修介監督作品としては『ガメラ』『ガメラ2』のように「傑作!」と叫べる作品ではないが、
子供向けの夏休み映画として楽しめる一作である。
実は1・2を観てないので、シリーズのフォーマットとかお約束があるとしたらそれを知らずに
書いているのでご容赦願いたい。
田舎の小学校が舞台。男1、女2のグループが運動会の夜「タイチ」という名の幽霊の謎を見極
めるべく集結。その日、彼らの担任のヤツハシ先生が図工室から外に出してしまった「タイチの
鏡」によって、みんな鏡の世界の中へ取り込まれてしまう。彼らは妖怪達の襲撃を避けつつ元の
世界に戻ろうとする。出会ったタイチは生前病弱で運動会に出られなかったことを知る。彼らの
協力で二人三脚をしたいというタイチの夢が果たされ、彼らは元の世界に戻れた。という話に、
主人公の男の子の母の再婚、再婚相手の子供(弟妹)との関わりの話が絡む構成。
お話しは単純なので趣向で見せて面白ければ成功−というところだが、その趣向の部分、子供た
ちに襲いかかる危機−のイメージにオリジナリティを感じられないところが多かった。厨房=ジ
ュラシックパーク、壁が迫る部屋=スターウォーズ、転がる大玉=レイダース、飛ぶ妖怪=ゴー
ストバスターズ、といったところは作る側もパロディ的にやっているわけだが、もういいよ、と
いう気もする。きちんと段取りしてあってシラケはしなかったのだが。
じゃあどこが面白いのかと言うと、やっぱり金子修介的な部分ということになる。女の子二人は
演技も巧いし、妹役の子は「ラブラブ〜」とか叫ぶかなり異常な役柄だが作品世界に違和感なく
存在しており、このへんは金子映画の特異な個性だな〜といつもながら感心してしまう。また、
二人三脚のシーンの『無法松の一生』的な高揚感、ヤツハシ先生(西田尚美、良い)の子供への
スクエアな接し方など、新旧の感覚のバランスもいい。そして、金子映画の魅力の一つのラスト
シーン。この人の映画は、いつも何か白日夢めいた終わり方をするのが特徴で、例えば『恐怖の
ヤッちゃん』の駆けて行く少年達、『就職戦線異状なし』の飛んでくる軟球ボール、といった
「どこへ?」「どこから?」といったイメージで締めくくられることが多い。本作でも、赤白の
ハチマキ、遠くへ去って行く車、川と町のロングショットが印象深いラストシーンであった。