1999.03.15


岩井俊二監督の『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』を見た。

ビデオでCM無しで見たこともあるがTVドラマという気はセズ、映画として鑑賞した好編。
「IFもしも」というシリーズの一編?途中でもしも××だったら...という仮定が入り展開
する?条件モノと推測される(資料未調査)。
田舎町。夏休みの登校日かつ町の花火大会の一日。少年たちが「打ち上げ花火は横から見ると
丸いか平べったいか」を賭け、それをみきわめるべく町外れの灯台へ向かう。同じクラスの少
女ナズナは親の離婚で夏休み明けに転校する事になった。少年グループの一人のノリミチは、
ナズナの家出?につきあうことに。そんな夏の一日の朝から夜までのお話。

出演者は私の知らない人ばかりだが、みな好演。特に主役級の少年二人、ノリミチとユースケ
が相異なるタイプで良い。少年達パートの騒々しさと少女絡みのシンとしたところとの緩急が
巧い。ロケも、どの地方なのか判らないが良い雰囲気。冒頭走り抜けた後に遠く見える岬、ナ
ズナと行く駅、灯台も見えぬ長く続く道。
この作品のポイントは、夏の一瞬。季節であり、気持ちであり。きらめいて、はかないもの。
正直言ってナズナの方がどういう気持ちなのかよくわからんが、夜のプールのシーンに集約さ
れるような、神々しいもの?を仰ぎ見るような?「少年の感じたもの」は伝わってくる。それ
は、最後の最後を締めくくるあの花火をみんなが仰ぎ見ることでも反復され、だれもが夏の終
わりに抱く胸をかきむしるような感情がよみがえる。久し振りに映像の力を再認識させてくれ
た作品であった。観ることが出来てうれしい。


戻る