1999.02.19


石井克人監督の『鮫肌男と桃尻女』を見た。

観終わって若い人たちが「面白かったネ」と言い合っていた。わたしも面白く
観たが、良かったかといわれるとちょっと...それはなぜだろうか。

面白いのは、若人あきら。ありえない人間像。突出している。これが目立つと
いうのは、他が単調だからという気もする。部分が面白くて、それだけ。

ひとことで言って、映画じゃないナという感想をもった。
主演の男女が話しを転がさないから、映画としての流れに欠ける。

こうなると、凝れば凝るほど空転する。いかにもコンテ切りましたの構図・
編集、奇をてらった会話−は感覚的には面白いが、それだけ。ホーローをはじめ、
思い付きで放り出した感じのものが多い。おなじみ「三つ巴」も、明快にパロ
ディであれば笑えるが、そのまんまなので、いまさら...と思ってしまう。
最後の回想(銀行)シーンももったいつけたわりに効かない。

石井監督はすぐれた映像感覚の持ち主のようなので、今後に期待したい。


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