高校二年の時(1981年)に書いた作文

「『映画の日』と映画料金考」

2002.08.06


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今から21年前、1981年(昭和56年)に書いた作文が出てきた。
高校二年の「現代国語」で、800字・題目自由−という作文の課題と思われる。


題名

「映画の日」と映画料金考

段落
 2年H組3番 大久保 勲
第一段落 1  十二月一日は「映画の日」。今年から「フ
2 ァン感謝デー」として、全国二十都道府県で映
3 画館の入場料金が半額に割引された。少しで
4 も観客の映画離れを防ごうと、映画館経営者
5 の全国組織である全国興行環境衛生同業組合
6 連合会が企画したものである。この試みは大
7 成功で、東京・川崎・横浜地区の洋画ロード
8 ショー劇場のこの日の観客動員数は約八万人
9 で、前日(月曜)の約四・五倍、興行収入は
10 二・五倍になり、前々日の日曜日に対しても
11 動員は一・四倍(興行は76%)になる。
第二段落 12  割引のねらいは大成功で、潜在的な映画フ
13 ァンはまだかなりいる、と考えられる。しか
14 し、「映画の日」の盛況は、デパートでバー
15 ゲンセールに人がどっと集まるのと同じこと
16 で、これを毎日やるわけにはいかないし、割
17 引日を増やせば恒常的に動員数が増えるとい
18 うわけでもない。
第三段落 19  それにしても、料金が高すぎる(大人千五
20 百円)のが人々の映画離れの原因の一つであ
21 ることは事実で、客の減少を入場料金の値上げ
22 で補い、それがまた客の減少につながるとい
23 う悪循環に陥っているというのが映画産業の
24 現状である。
第四段落 25  はっきり言って、今の映画産業が危機を脱
26 出するためには、料金を値下げするしかない。
27 しかし、二、三割の値下げでは中途半端で客
28 の呼び戻しにはならないので、例えば平日だ
29 け料金を安くしたり、旧作名画や興行価値の
30 低い作品などを安くするというように作品に
31 よって料金格差を設けるなど、従来の一律料
32 金制打破するような新しい料金制を考える
33 べきである。いつでも、どこでも、何でも、
34 全部千五百円というのはおかしい。こんない
35 い加減な料金制なのは映画ぐらいなものだ。
第五段落 36  「映画の日」の半額割引の成功を機に、今
37 こそいろいろな興行形態を考える時だろう。
38 とにかく、料金が安くなければ客が来ないの
39 は明らかなのである。


(教師のコメント)

 日本人は「定価」というものに弱く、自分にとっての物の
価値というものを考えてみる機会が少なく柔軟性に乏しい
といえる。娯楽を買う場合にも割合と鷹揚に出費を惜しま
ないようです。


2002.08.06/37歳の講評

 それにしても、この時に初めて行なわれた“映画の日・料金割引”は画期的なことで、いちおうそのインパクトが文章から伝わってきます。
 たしか『朝日新聞』と『キネマ旬報』の記事を引用したという記憶があります。

 今では、毎月の「映画の日」、それから「平日割引」「女性割引」「レイトショー割引」、「シニア料金」など、いろいろな割引もなされているようです。

 最終段落の「料金が安くなければ客が来ない」という主張に対しては、それだけじゃないだろう・・・と説教モードに入りたいところ。

 映画そのものの質という「ソフト面」、映画館の設備という「ハード面」、映画館の「サービス」、それに「料金制度」。これらはこの20年、色々な試行錯誤を経て良い方向に向かっているのではないかなアと思います。

 さて、近所のシネコンへ行って「スター・ウォーズ/エピソード2/クローンの攻撃」を観ようかな。レイトショー割引で・・・。


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