2002.08.05
今から22年前、1980年(昭和55年)に書いた作文が出てきた。
高校一年の「現代国語」で、900字・題目自由−という作文の課題と思われる。
題名
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アニメ映画の製作・公開について |
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段落 | 行 |
大久保 勲
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第一段落 | 1 | 今年の正月・春休み・ゴールデンウィークと、映画街 |
2 | は例年になく盛況で、特に、最近までは閑古鳥が鳴きっ | |
3 | ぱなしだった邦画もヒットしていた。しかし、そのポス | |
4 | ター・看板にはテレビで見たような題名が目立つ。「ル | |
5 | パン3世」・「家なき子」・「ドラえもん」・「あした | |
6 | のジョー」など。そしてどれも若者や親子連れなどで劇 | |
7 | 場前には長蛇の列ができ、劇場内は大入り満員。ついに | |
8 | 邦画も復活かと思わせるような光景である。しかし、一 | |
9 | 抹の不安も残る。しれは、その大ヒット中のテレビアニ | |
10 | メの再編集版劇場用映画である。 | |
第二段落 | 11 | 「鉄腕アトム」から始まったアニメブームだが、はじ |
12 | めのころはアニメはテレビだけのもので、映画とは全く | |
13 | 関係なかった。しかし、日本映画がだんだん斜陽化し、 | |
14 | 映画会社はテレビで人気のあるアニメ番組を映画化する | |
15 | という企画を考えた。そして「宇宙戦艦ヤマト」が公開 | |
16 | されると予想外の大ヒットとなり、テレビアニメの映画 | |
17 | 化はブームとなり、テレビアニメのキャラクターを使っ | |
18 | た新作なども公開されるようになった。 | |
第三段落 | 19 | テレビアニメや雑誌の人気劇画を映画化したものには、 |
20 | それらの固定ファンが見に来るので、比較的安全に観客 | |
21 | 動員が得られる。だから、映画会社はそれらをどんどん | |
22 | 映画化する。しかし、現在はよくても、このままではま | |
23 | た日本映画はだめになってしまうのではないだろうか。 | |
第四段落 | 24 | アニメ映画を公開しても、アニメの人気が上がるだけ |
25 | で、本当の映画に目を向けさせる事はできない。それに、 | |
26 | テレビアニメを映画にする場合、そのテレビ局が製作に協 | |
27 | 力するため、すぐにテレビで放映される事になり、今ま | |
28 | で映画館に足をむけていた人も、千何百円も払って見る | |
29 | 事もないと思うようになるだろう。これでは邦画はまた | |
30 | 斜陽化するだろう。 | |
第五段落 | 31 | 結局、テレビと同じ事をしても邦画のためにならない |
32 | のだから、邦画各会社はアニメ映画偏重主義をやめ、テ | |
33 | レビでは味わえないような娯楽性・感動を持った、本当 | |
34 | の映画を多く公開すべきだ。邦画の真の再建のためには、 | |
35 | アニメ映画を製作・公開すべきではない。 |
2002.08.05/37歳の講評 最終行の「アニメ映画を製作・公開すべきではない」という主張、今見るとギョッとします・・・。 この文章を書いた15才の大久保君にまず言いたいことは、 11〜13行目の記述が全くおかしいということと、 4〜6行目に挙げている映画を君は観ているのか? ということです。 「『鉄腕アトム』から始まったアニメブームだが、はじめのころはアニメはテレビだけのもので、映画とは全く関係なかった」って、キミ、長い日本のアニメ映画の歴史を否定しちゃダメだよ!それと、この時点でのアニメブームは『ヤマト』以降のものでしょう。 ここで書いている「ルパン三世」(3世じゃないよ)は前年79年12月15日封切りの「ルパン三世/カリオストロの城」(宮崎駿の劇場用映画監督第一作)、「家なき子」は3月8日封切りの出崎統監督の映画、「ドラえもん」は3月15日封切りの「ドラえもん/のび太の恐竜」(シリーズ第一作)、「あしたのジョー」は3月8日封切りの映画です。歴史に残るそうそうたる映画群に因縁つけてることになります。 文章では「お手軽な再編集映画で商売すんな」って言いたいのだろうが、例にあげてる「カリオストロ」も「のび太の恐竜」も劇場オリジナル版だよ!ちゃんと観るなり調べるなりしてから書くように。 小さい頃からアニメが好きだったのだが70年代後半のアニメブームによる“粗製乱造”で、ちょっとアニメに裏切られた?ような気持ちを抱いていた時期でした。また、映画少年になって「日本映画=邦画」にシンパシーを感じていた時期でもあったので、それが混ぜ合わさって、こんな「アニメ映画を製作・公開すべきではない」なんていう極端な結論をヒネリ出してしまったようです。 しかし22年を経た現在、たくさん封切られているアニメ映画の広告を穏やかな気持ちで眺めています。公開中の「猫の恩返し」を観に行こうかな・・・。 |