私が心の底から「名作」と信じ人に推薦できる作品を選びました。
推薦なので、現在書店で入手できない作品は挙げませんでした。
『マカロニほうれん荘』鴨川つばめ
(1977年「少年チャンピオン」連載開始)
これ以上に感性の奥深く入り込んできた作品はありません。究極の無意味さに達した瞬間
が随所にあり、今でも私の心をふるわせる。『ドラネコロック』も勿論サイコー。
『ジョジョの奇妙な冒険』荒木飛呂彦
(1987年「少年ジャンプ」連載開始)
異常な傑作。巻を重ねても衰えぬ奇想と熱くたぎる正義の心、何度読み返しても読み飽き
ることなし。大きな判での単行本化熱望。『バオー来訪者』も心熱き傑作。
『野球狂の詩』水島新司
(1972年「少年マガジン」連載開始。当推薦は月イチ連載の短編群が対象)
この浪花節はヒューマニズムだ−と断定したい。どの短編も良いが岩田鉄五郎が神格化
される前(「よれよれ18番」等)がgood。里中満智子共作の“10番編”も感動作。
『童夢』大友克洋
(1980年から「アクションデラックス」「漫画アクション増刊・スーパーフィクション」に不定期連載)
絵に仰天する−これにつきる。風景、人物、空気、そのとらえ方。どれだけ模倣者が出ても独自
性はいまなお失われない巨大な存在。『気分はもう戦争』(矢作俊彦原作)も推薦。
『女(わたし)には向かない職業』いしいひさいち
(「小説現代」など初出。1997年単行本発行)
朝日新聞掲載『ののちゃん』でもおなじみの理想の女性、藤原瞳センセイの生きざまを描く爆笑巨編。
なんでこんなに笑えるのか不思議だ。こんなマンガが存在していいのだろうか。全人類必読かもしれない。
『ナニワ金融道』青木雄二
(1990年「コミックモーニング」連載開始)
絵が苦手...と避けてる人が多い様だが、絶対に読もう!重層な面白さ。強烈な人間群像、
はからぬ大阪ユーモア、社会への反骨精神。中学・高校生の夏休み課題図書に強力推薦。
『忍者武芸帳』白土三平
(単行本1959年初刊行)
最近まで読んだことがなかったが、読んで驚愕!ダイナミックな絵、雄大なスケールのストーリー、
多彩なキャラクター。今尚まったく古びていない一大傑作。きみ読まずに死ぬことなかれと願う。
『デビルマン』永井豪
(1972年「少年マガジン」連載開始)
永井豪はキライなんじゃが、これはどうしても外せない。まさに何かに憑かれたような異常な
ハイテンションの作品。後半の加速度的展開はもう凄いのひとこと。
『ブラック・ジャック』手塚治虫
(1973年「少年チャンピオン」連載開始)
信じられないようなハイレベルの傑作短編集。毎週こんな作品を書いた人がいたとは現代の奇跡か。
『火の鳥』『ブッダ』『アドルフに告ぐ』...ベスト10が手塚氏作品のみでも可。
『サイボーグ009』石森章太郎
(1964年「少年キング」で連載開始、1966年から「少年マガジン」、他誌もあり)
機械の身体に人間の心。人知れず続く平和のための戦い。ベトナムの戦場でも戦った
彼らは私の反戦シンボルです。後世に長く読み継がれんことを強く願う。
人にすすめるのは「どうかなあ」「趣味にあわないかもなあ」「どこがいいんだと言われそう
だなあ」と、ちゅうちょしてしまうけれど、やはり挙げておきたい独断のベスト作品です。
現在書店で入手しにくいものも入れ、短編もOK−としました。
『ペーター・キュルテンの記録』手塚治虫
(1973年「漫画サンデー」1月10日増刊号掲載)
連続殺人者を主人公にした作品だが、異常さを突き抜けて極限の夫婦愛が胸を打つ傑作。
読むたび涙が止まりません。鶴見俊輔の著作をもとにした52頁の中編。
『ぐうたろう千一夜』手塚治虫
(1975年「中一時代」4〜6月号掲載)
さえない少年が女の子に出会う白昼夢のような話。すぐ醒める夢そのもののようにはかなくて
切ない作品だ。“わたしーもよんでーた”(山口百恵)の旺文社「中一時代」に三回連載の小編。
『とろりんなんぼく』石坂啓
(1979年「マンガ少年」6月号掲載)
これまたさえない少年が主人公。おちこぼれて映画三昧の彼が自分を発見するまでのストーリー。
のちの連載『下北なあなあイズム』につながる、石坂啓デビューの短編。
『ぎゅわんぶらあ自己中心派』片山まさゆき
(1982年「ヤングマガジン」連載開始)
大友『AKIRA』ヤンマガ連載時、「こんな絵でも同じ原稿料か」(わけない)とみんな
に言われてたが。屈託なくとことんミーハーな明朗麻雀まんが。絵が大好きです!
『試験(テスト)あらし』聖日出男
(1974年「少年サンデー」連載開始)
頭が悪く、母を泣かさぬためカンニングし続ける少年の激闘録。その準備作業の入念さ、困難をもの
ともせぬ必死の実行は行き違えた努力なのだが、何故か心を打った。