茅ケ崎市自然環境評価調査no.4

茅ヶ崎市・パシフィックコンサルタンツ・平塚市博物館長が平塚市民を利用して進める
茅ヶ崎市自然環境評価調査事業


小林



 今年1月19日情報公開請求したが不開示決定となり異議申し立てをしていたプレゼンテーションに関する資料が10月13日一部を除き開示された。
 茅ヶ崎市自然環境評価調査事業は、2003年6月議会において補正予算が可決され事業が始まった。7月事業者選定に関する要綱の制定、企業に説明、8月企画提案書、実力書の提出、書類選考により3社に絞り込み、8月29日プレゼンテーション開催、9月5日契約を結んでいる。プレゼンテーションとは、企業が企画案を説明することである。
 プレゼンテーション資料を見て気づいたことは、

(1)現在参加している茅ヶ崎市の団体が掲載されている。有識者欄もあるが黒塗りだった。
(2)自然環境評価調査の核心である分析についての説明が漠然としている。
(3)政策誘導を自然環境の分析より優先している。
(4)業務実績として、茅ヶ崎市、平塚市の自然環境評価マップの作成が明記されている。などだった。

 私は今まで今回の調査はパシフィックコンサルタンツの企画提案されたプロセスにさらに平塚市の生きもの調べの手法が追加されていると考えていたが、平塚市の生きもの調べの手法は既にパシフィックコンサルタンツのノウハウとして企画提案書に組み込まれていた。企画提案書には、自然環境研究者、学識経験者の協力調査、学識経験者の指導により市民がデータを取得とあり現状と一致している。
 またパシフィックコンサルタンツの業務実績とする平塚市の自然環境評価マップは、2000年平塚市環境基本計画により作成されたが、元となっている生物データは平塚市博物館生きもの調べに参加した平塚市民によって得られたデータその他である。データを加工しただけで業務実績と言えるだろうか。 2004年平塚市博物館夏季特別展「平塚の生きもの地図」図録の終わりに浜口館長は自然環境評価マップを紹介している。(マップの情報に猛禽類などの分布情報を元に仮に作成とあるが、平塚市の猛禽類調査はアジア航測に委託されておりデータの出典が疑われる。)博物館の生きもの調べは、博物館と浜口館長、参加市民による共同研究であるが、参加した市民を無視しデータを転用しパシフィックコンサルタンツと既に共同研究を進めていたのである。つまり既に平塚市民は浜口館長とパシフィックコンサルタンツに利用されていたのであり、その情報が載った企画提案書を見て委託契約を結んでいるのであるから茅ヶ崎市も平塚市民を利用しているのである。
 市民参加については、「三翠会」「小出川に親しむ会」「茅ヶ崎野外自然史博物館」など9団体を「協力を得ることが望ましい市民団体」として提案し、パシフィックコンサルタンツの事業の枠組に参加する形となっている。市民の独立性、公平性、民主性を確立していないので市民参加とは言えない。
 次に契約過程について述べる。結果から見れば、茅ヶ崎市の書類選考基準の妥当性、的確性、独創性、実現性に、パシフィックコンサルタンツ企画提案「政策誘導、市民との協働による評価システムの開発、わかりやすいマップ作成、関係部署との調整」が評価を得たかの様に見えるが、平塚市の契約過程と比較すると実に細かく茅ヶ崎市がパシフィックコンサルタンツの特徴を選考実施要綱、仕様書に書き込んでいることが分る。インターネットで調べると、1997年環境科学シンポジウムにおいてパシフィックコンサルタンツ社員梶井公美子(今回の事業に参加)・山田和人・笠井睦の3名が「実効性ある環境基本計画づくりのためのコンサルタントが果たす役割」と題し、「指標生物を用い座長とコンサルタントによる政策誘導を導く分りやすい自然環境評価マップは汎用性を持つ」と報告している。1997年の時点で、パシフィックコンサルタンツは現在の手法の展開をもくろんでいたのであり、パシフィックコンサルタンツの発表済みの企業戦略を茅ヶ崎市が実施要綱、仕様書に詳細に記述する行為は、パシフィックコンサルタンツが受注するインセンティブとなる。したがって、茅ヶ崎市はパシフィックコンサルタンツの受け皿なのである。
 ところが茅ヶ崎市の自然環境評価マップも既存資料の加工であることから、自社のノウハウと言うためには、生物調査から事業を組み立てる必要があった。しかし経験もなく植物、魚類、哺乳類などの専門家を集める能力も持たないので、ネットワークを持ち、経験もあり、知名度もある浜口館長を座長に据え、浜口館長をパシフィックコンサルタンツに取り込むことで自社のノウハウとして事業を完成させる予定なのである。浜口館長は、今まで手がけて来た生き物調査をGIS(地理情報システム)処理により研究のまとめができるので喜んで参加しているのであろう。今回の事業は、平塚市博物館の生きもの調べとパシフィックコンサルタンツのワークショップなどの政策誘導事業をセットにし、パシフィックコンサルタンツの商品としてパッケージ化する変換プロジェクト及びデモンストレーションであり、環境基本計画へ織り込む市民参加の生物調査というマーケットの開発を目指し巧妙に仕組まれたパシフィックコンサルタンツの企業戦略だったのである。
 しかし、座長がリーダーシップをとり、調査は市民と専門家が行ない、パシフィックコンサルタンツはデータの取りまとめ等をしていると浜口館長は述べている。あなた任せの調査で20475000(うち税975000)円稼ぐパシフィックコンサルタンツの仕事ぶりは驚愕である。
 また憲法、地方自治法、地方公務員法、行政手続法など、今回の事業は多くの法律違反を犯している。法律が機能しない地域社会において、環境が良好に保たれるとは到底考えることはできない。
 

職員の懲戒処分( 平成17年10月24日)

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