茅ケ崎市自然環境評価調査no.2

茅ケ崎市・パシフィックコンサルタンツ・平塚市博物館長が
地方公務員法に違反し進める茅ケ崎市自然環境評価調査


 小林




 前号において、平塚市博物館生物学芸員(4月から館長)が、「パシフィックコンサルタンツが受託している茅ケ崎市自然環境評価調査事業にボランティアで献身的に従事している」と書いたが、謝金を受け取っていたことが判明した。企業への従事は、地方公務員法38条営利企業等の従事制限があり任命権者の許可を得なければならない。しかし現・館長は受けていない。この問題を市長への手紙として提出したが、茅ケ崎市の協力依頼文書を理由に法律違反を問わなかった。しかし茅ケ崎市環境政策課伊澤氏によると、「協力依頼文書は公務中茅ケ崎市の会議等への出席が必要な場合の要請であって今回の事業は該当せず、個人参加についてはパシフィックコンサルタンツにより説明済み」と述べており、現・館長が説明を受けた時点で手続きをする必要があった。また、博物館器材の調査への持ち出しについては、平塚市は器材の持ち出しはないと回答があった。しかしこれは、現・館長が自ら述べたことである。またパシフィックコンサルタンツは、器材の使用について情報を公開していない。平塚市は、法律違反と器材の持ち出しについて根拠のない判断をしたことになる。平塚市長は、厳然たる対応をとるべきである。
 また茅ケ崎市自然環境評価調査事業には、神奈川県、横浜市の職員も参加している。二人の県職員を調べたところ、パシフィックコンサルタンツの事業委託には関係のない協力依頼を課長自らがそれぞれの職場に出向き行なっていた。そのため横浜市も神奈川県も法律違反を認識していない。
 今回のようにパシフィックコンサルタンツに全面委託するのではなく、有識者の枠を設け地方自治法に則った手続きを進めるべきで、なぜ茅ケ崎市が全面的に委託する方法をとったのか疑問である。
 茅ケ崎市自然環境評価調査事業への現・館長の座長提案は、パシフィックコンサルタンツのプレゼンテーションで行われている。企業が裏付けもなく公的な場で個人名を述べるとは考えられないので、現・館長とパシフィックコンサルタンツが何らかの確認をしていたと推察される。結果的に現・館長が企業活動を支援したことになる。
 また市長への手紙では、職務専念義務も問いただしたが、平塚市は義務違反を認めなかった。しかし、茅ケ崎市で行なっているワークショップは平塚では開かれていない。市域全体の様々な生物調査も行なわれていない。生きもの地図の分析や発展的な研究も行われていない。市民参加による環境評価調査も平塚市に情報提供されていない。また、博物館として詳細な生物調査を博物館の本来の活動で取り組んでいれば、2004年平塚市自然環境評価事業のアジア航測への委託は必要なく1197万円の税金支出は削減されたのであり、現・館長と平塚市環境政策課の計画性のなさは問題である。
 平塚市博物館は今年30年を迎えようとしている。ところが平塚市における生物資料は惨憺たる状況にある。インベントリー(目録)があるのは、植物、直翅類、淡水魚(古い)、貝くらいで、昆虫全般、哺乳類、植生などバランスを考えた調査となっていない。生物調査は博物館の基本的な取り組みである。さらに環境特性、生態系、経年変化などのとりまとめも不充分である。またそうした活動は博物館参加者と継続的に行なわれるべきだが、現・館長は植物史調査会を博物館の研究活動に位置づけ、植物史調査会会員とのみ活動を続けた。一般参加者は単純な調査に限られ、協働による資料の取りまとめは行なわれていない。現・館長は市民参加による調査を何冊も本にまとめ収入となっているが、参加した市民の手元にホッチキスで綴じた活動記録以外成果物はなく悲惨な結果となっている(筆者は15年参加)。博物館は公共機関であり、公平性、公益が求められる。一般市民が排除される任意団体を博物館の研究活動に位置づけるのは問題であり、本来の参加者が継続し研究を続ける活動に組み替えるべきである。また現・館長は、神奈川県、茅ケ崎市、任意団体の市民とは協働で報告書を作成、作成中であり平塚市民軽視である。
 ところで茅ケ崎市には、元文化資料館に勤務され茅ケ崎市の生物調査や環境保全に尽力されたKさんがいらっしゃる。私は、座長はKさんの仕事だと考える。なぜ茅ケ崎市は彼の実績を評価しないのだろう。地方分権の考えでは、地域のことは地域に委ねることが求められている。また現状ではパシフィックコンサルタンツのノウハウは認められず、不適切な依託契約をした茅ケ崎市環境政策課の責任が問われる。現在の茅ケ崎市自然環境評価調査事業は、市民による調査が主だった内容となっており、地方公務員法にも違反しており、茅ケ崎市は問題を調査し枠組みを見直すべきではないか。
 平塚市博物館は、相模川流域の自然と文化をテーマに掲げている。しかし、地方自治法「第1条の2 地方公共団体は、住民の福祉の増進を図ることを基本として、地域における行政を自主的かつ総合的に実施する役割を広く担うものとする。」とあり、福祉(みんなのしあわせ)を目的としなければならないのであり、職員もそうした姿勢が求められるのである。法律を遵守し、公正に、自治に基いて、市民や環境を大切にする仕事を求める。

一般参加者と取組はまったくしないで、神奈川県植物史調査会(任意団体)との協働に熱心な浜口館長
博物館日記 2003 12/4 標本整理のボランティア
博物館日記 2005 2/3 植物誌調査会での読書会
博物館日記 2005 3/17 寄贈品コーナーの飾り付け。
博物館日記 2005 2/18 「植物誌調査会」採集してきた資料を調べる作業
            2/10 湘南コケの会での博物館まつりの展示準備。↓



(営利企業等の従事制限)

第38条 職員は、任命権者の許可を受けなければ、営利を目的とする私企業を営むことを目的とする会社その他の団体の役員その他人事委員会規則(人事委員会を置かない地方公共団体においては、地方公共団体の規則)で定める地位を兼ね、若しくは自ら営利を目的とする私企業を営み、又は報酬を得ていかなる事業若しくは事務にも従事してはならない。
2 人事委員会は、人事委員会規則により前項の場合における任命権者の許可の基準を定めることができる。

 

 

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