横浜市金沢区における

横浜市金沢区における 中途障害者ピア・カウンセリング活動報告(その5)


ピアズ金沢 幹事 笠井




 ピアズ金沢はサポネット・カード(サポーター・ネットワーク・カード)創設を提案しています。今回はこれについて述べたいと思います。

 1、縦割り福祉サービスに対する障害者の悩み
 前回も述べたように現代の医療や福祉システムは縦割分業体制になっています。もしそこで、病院や行政などの関連受け皿がお互いに横の連絡を取り合い流れ作業のように途切れのない連続した医療・福祉サービスを提供できれば理想的です。たとえば、退院するとき病院は行政へ引継ぎをし、行政は福祉受け皿の関連各機関へ情報連絡し、当事者も交えて引継ぎを行い必要な医療や福祉サービスが途切れなく受けられるようにする。
 しかし、現実には病院や行政には守秘義務が課せられており図1に示すようにサービス提供者サイドで自主的に横の連絡を取ることは制約されており横の連絡を取ることは困難なようです。
 そのため、横の連絡はサービス需要者である障害者や家族が自分でマネージしなければなりません。とはいえただでさえ突然脳血管障害という重病になって気が動転している状況で、予備知識のないこれらのことを情報もなくマネージするのは大変な負担となります。その結果情報さえあれば享受出来たサービスを知らないため受けられなかったという人が多いのです。

 2、サービス供給サイドの悩み
 一方、サービス提供者サイドもプライバシーの制約で必要な情報が入手できず、例えば「震災時に障害者がどこに住んでいるかを把握したいが情報がない」とか、「障害者に適切な福祉サービスを提供したいが、担当地区に障害者が何人いるのかということすら把握出来ていない」との悩みを抱えているとのことです。

 3、サポネット・カード・システムの創設
 このようにサービス提供サイドも需要サイドも不満に思っているプライバシーによる誤謬を解決する方法としてサービス需要サイド、すなわち障害者が自分の情報を自分が認めたサービス提供者に知らせても良いという意思を表明したカード・システムを創設することによって解決できるのではないでしょうか。
 具体的には図2のように病院入院時に障害者が自分の障害情報を退院後お世話にならなければならない地域福祉サービス提供者(区の福祉サービス課、社協、社会保険庁、地域の民生委員、消防署、障害者受け入れ機関…等、)に提供することに同意するという障害情報連絡カード・システム(仮称 サポネット・カード)の創設です。
 もちろん、提供する情報や提供するサービス提供者を障害者が選別出来るようにすれば不必要なプライバシー情報の流出は防止できます。

 4、運動の推進
 このシステムの創設は行政、あるいは社協が中心になるのが適当と考えます。ただ、行政や社協だけに頼るのではなく障害者も声を上げることが大切だと考えております。そういう意味で障害者や障害者団体にも声をかけ運動を広げて行ければと思っています。
  
 5、ピア・カウンセリングによる補完
 サポネット・カード・システムが出来れば総て上手くいくというほど甘いものではないでしょう。そこでサポネット・カードを補完するためにピア・カウンセリングも必要だとピアズ金沢は考えております。
 それとともにこのシステムの運用を行政に頼るのではなく障害者団体が運営受託すれば障害者のサイドに立った木目細かい運用が出来るだけでなく、障害者の社会参加にも資すると思います。

 6、他福祉システムへの応用
 このようなサービス提供者と需要者とのプライバシーによる齟齬は障害者福祉だけでなく、育児の問題、高齢者の問題、その他で起こっています。このサポネット・カード・システムはそれらの問題の解決にも応用できるのではないでしょうか
 
         連絡先      西金沢ケアプラザ      
                  Tel 045−788−222  
                                    グループ・ピアズ(脳血管障害者の広場)

 
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