横浜市金沢区における

中途障害者ピア・カウンセリング活動報告 (その3)


ピアズ金沢 幹事 笠井




 今回は中途障害者の地域受け皿について述べます。残念ながら日本はリハビリ後進国であり、地域の受け皿も中途障害者の自立をサポートするには程遠いようです。
 本報告がその改善の一助になればと思います。
   1、後遺症の改善状況と望ましい社会の受け皿
 体調が厳しく、生きるのに必死で、また、食べる、着る、歩く、排便する等の日常生活(ADL)を取り戻すために後遺症と闘っている1年目と、体調も少し快復し生活に少しゆとりが出てくる2年、3年では必要とされる障害者受け皿の性質も変化します。

   A: 個人差はありますが発症後1、2年目は文字通り生きることに必死であり、それをサポートする社会的受け皿も「A」の部分ADL(Active Daily Living 日常生活機能のリハビリ)中心のものになります。

 しかし、2、3、4年と時が経過し後遺症が改善するとともに障害者がQOL(Quality Of Life 生甲斐)を求めるようになると、その人の人生観の違いとともに必要とされる社会的受け皿は変わってきます。現在、「A」については病院のリハビリ施設、行政の機能訓練教室など、十分とはいえないまでもある程度の社会的受け皿があります。
 問題はQOL段階での障害者受け皿が日本では未整備であるということです。

   B: 引籠もりを防止する。あるいは障害者仲間と楽しく過ごしたいという人の受け皿はこの「B」になります。このような地域の受け皿は横浜の場合それなりにあります。特に女性の場合協調性があり、また生きてゆくのが上手いというかそれなりに地域受け皿で友人を作って楽しくやっているように思われます。しかし、支援してくれるボランティアが女性中心ということもありイベントの内容が女性向きで男性からは「チイチイパッパ」に付き合っておられるかとの批判もあります。男性の価値観に配慮した内容のイベントを開発する必要があるようです。

   C: 生甲斐を達成感にもとめる中途障害者の「このまま朽ち果ててなるものか」の思いを受け止める受け皿はほとんどありません。中途障害者が復職以外に社会参加する道はほとんどないのが実情だと思います。とはいえ、そういう中でも自分で、あるいは自分達でそのような世界を自主的に開拓している先進的な中途障害者もいます。

   D: 幸運にも職場復帰できる人は「D」に分類されます。
 健常者と同じペースでは働けないため復帰当初こそ周りが配慮してくれますが、時が経つにつれて周りの目も厳しくなりストレスが過重にかかるようです。
 もし、上司・人事部などの会社側の立場の人と主治医・ケースワーカー、あるいはピア・カウンセラーなど障害者をサポートする立場の人と本人・家族の3者が定期的に話し合い理解しあうことによって過重なストレスを回避できるような社会的制度があれば状況は随分改善すると思われます。
 機能後遺症は外から見えますが体調後遺症や精神的後遺症は外からは見えず理解されにくいのです。また、健常者の生活のスピードと障害者の生活のスピードは違います。このスピードの違いが周囲に影響を及ぼし、一方では障害者にストレスとなって跳ね返ってきます。これを少しでも改善するため職場の上司や同僚・人事部などに機能後遺症だけでなく、体調後遺症や精神的後遺症、またスピードの違いについても理解してもらう活動が必要になります。


文責  ピアズ金沢 幹事 笠井 
連絡先      西金沢ケアプラザ      
Tel 045−788−2228 


                                     グループ・ピアズ(脳血管障害者の広場)

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