日常茶飯

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目次

夢声日記

 先日の連休に本屋を幾つか廻った。 去年までは、ちくま文庫の『内田百閒集成、全24巻』が平積みに並べてあった。 あのクラフト・エヴィング商會による装幀の懐かしさを感じさせるデザインはよかった。
 ところが、いまは一巻ずつ棚に並んでいて帯も消えていた。 よく覚えていないけれど、抜けている巻もあったかも知れない。
 書店に並ぶ本は消えるのが早い。 新刊書は一日あたり200点出版されるそうだから、 新しい本が少し前に新しかった本を追い出すのだろう。 それで近頃では、すぐには読まないけれども、 いずれ読んでみたいと思う本は見つけたときに買うようにしている。
 そう云う意味で買ったのが、徳川夢声(むせい)の『夢声戦争日記 抄』(中公文庫)である。 今すぐ読むつもりではないけれど、やがてゆっくり読んでみようと思っている。 百閒の『東京焼盡』については以前に少し書いたけれど、 60年前の戦争について、文士の書いた戦中日記を読んでみたいと思っている。 戦後60年と云うことは、70歳の老人は戦後の教育を受けていることになる。 それ以上の高齢者の戦争体験と云っても、それはミクロの体験であって全体像を知るものではない。 その時代を知るには日記を読むのがよいと思うのだ。
'05年05月15日

迷惑メール

 きのうWebブラウザMozilla 1.7.8とFirefox 1.0.4の英語版がリリースされたが、 きょうはFirefoxの日本語版がリリースされている。 Mozillaの方が使いよいので英語版にアップデートしたが Mozillaはこの次にリリースされると開発を終了する。 そのときはFirefoxで我慢しようと思う。
 ただしFirefoxとペアのメールソフトThunderbird(サンダーバード)はよく出来ている。 少しだけ試したが、メールを受信するときにヘッダだけをダウンロードすることも出来て、 これは手動でのウィルスメール対策になる。 また迷惑メールフィルタで、迷惑メールを自動的にゴミ箱に直行させることが出来るそうだが、 試していないので知らない。
 しかし、迷惑メールはメールソフトで対策しても余り意味はない。 受け取ることが迷惑なのであって、受け取って仕分けして見てももう遅い。 だからメールサーバでフィルタリングするのが本道である。 私が利用しているプロバイダは迷惑メールを受信拒否してくれているが、 時々フィルタを潜り抜けて来るのがある。 そのときは、フィルタの条件を加えている。 フリーメールとHTMLメールを受信拒否すると効き目があるようだ。 今のところは殆ど来ない。
 受信をブロックされた迷惑メールは一週間は留置場みたいな所に保管されている。 時々その檻を覗いて見ることがある。 すると、矢っ張り毎日のように来ていたのである。 送り主は決まっていて、同じメールを阿呆のひとつ覚えのように何度も送り続けているのだろう。
 さて、この「迷惑メール」の送信者を取り締まる法律がきょう成立した。 余り報道されていないようだけれど、 改正特定電子メール法が成立し今秋にも施行されるそうだ。 改正法では違反者には懲役または罰金の直罰規定が盛り込まれた。 これまでは違反者には改善命令などの行政処分が課せられ、 行政処分に従わなかった場合に限り罰則が課せられるから埒が明かなかった。 この法改正で、警察などが直接捜査を行ない取り締まることが出来ると云う。
'05年05月13日

小津安二郎 新発見

 社会性がないといけないと言う人がいる。
人間を描けば社会が出てくるのに、
テーマにも社会性を要求するのは早急すぎるんじゃないか。
ぼくのテーマは〝ものの哀れ〟という極めて日本的なもので、
日本人を描いているからにはこれでいいと思う。

 2、3年前に出て直ぐに買った松竹編の『小津安二郎 新発見』(講談社+α文庫)の中にある語録である。 この文庫はOZUファンには値段840円でお得な小津辞典であると何処かで読んだことがあるが、 そうだと思う。 仕事とプライベートを含む写真が約400点収録され、全作品の解説もよくできている。
 小津安二郎のお墓には一度だけ訪ねて行ったことがある。
 鎌倉の円覚寺にあるそのお墓は、丸い御影石に、ただ一文字「無」と刻まれていた。 その墓前には花と日本酒が供えられていたのを今でも思い出す。
'05年05月12日

アサブロ

 ASAHIネットのブログサービス、アサブロ(朝風呂)のベータ版が始まった。 利用申し込みの窓口を開設して十数分で定員に達したそうで、気が付いたときには締め切られていた。 しかしこのブログ、見ているとまだまだ使いにくそうである。 この欄もブログに移ればコメントやトラックバックが出来るようになり、その方がいいのかもしれない。 まあ急ぐことはないので、ゆっくりやろう。
 ブログにも色々あるようで、商品の紹介を行って見た人が購入すると手数料を貰うと云った、 成功報酬型のネット広告のブログもある。 小遣い稼ぎで始める人もいるそうだが、アマゾンがやっているのに似たものだろう。 以前、いろんな人のホームページやブログに、 本やDVDの写真がどれもアマゾンにリンクされているので何だろうと思ったら、 アマゾン・アソシエイトと云うものだった。
'05年05月09日

胡堂(こどう)

 野村胡堂と云えば銭形平次の原作者で、盛岡中学時代の友人に石川啄木がいる。 明治15年生まれの昭和38年没だから相当古い人だし長生きしている。 中学の時分に啄木が書いた新体詩を直してやるのだが、おそろしく下手くそだった。 だから後年、啄木があんなに有名になろうとは夢にも考えなかったと書いている。 また「啄木という男は、社会人としては、厄介な人間であった。 ほら吹きで、ぜいたくで、大言壮語するくせがあり、 まことにつき合いにくかったが、その反面、無類の魅力を持った人間でもあった」と評している。
 これは中公文庫の『胡堂百話』から引いたものだが、その他に「夏目漱石」と云う短い一文がある。 はじめて漱石の書斎を訪ねたときのことを、50年後に回想したものである。 何時のことかは不明だが、漱石邸にいた「吾輩は猫」から三代目の猫が死んで一と月くらい後だとある。 漱石の風貌については、「黒く、つやつやした髪をキチンと分けて、 鼻下の短く刈り込んだヒゲが、わずかに胡麻塩になっていた。 江戸ッ子らしい機才と、西欧流のユーモアと、それに深い学殖とが、 三位一体となっていて、ちょっと形容の出来ない複雑な風格である」と描写する。 健康は、もういいのですかと尋ねると、 「デリケートな時計のぜんまいみたいなもので、こう見えても、すぐ狂います」と、 打てば打ち返す機鋒が現れる。 「あの風格は、忘れ難いものがある。 『漱石』と記さず『夏目金之助』とだけ書いたあの黒ずんだ表札と共に」と思い出を述べている。
 こう云う昔の人の文章は好きである。 百年前の出来事が、まるできのう書かれたかのように鮮やかに蘇(よみがえ)るようで読んでいて気持ちがいい。
'05年05月08日

砂書帖 ・ セキュリティ

 ▼ 今月のマイクロソフトのセキュリティ修正パッチは1件で、来週の水曜日12日に公開するそうだ。 また、ウィルス駆除ツールの新版も公開すると云うことだが、 余り役に立ちそうにはないから前に公開されたときは入れなかった。 笑い話か悪口だか知らないが、以前公開されたとき、 このツールはパソコンがウィルスに感染するまでは使い物にならないと云う一口話が流行った。

 ▼ 2006年サッカーワールドカップの内容でメールを送りつけるワームが現れたそうだ。 最近ではワームメールはほとんど無いが、スパム(迷惑メール)が来るようになった。 プロバイダーのスパムブロックで受け取らずに済むようにしているが フィルタをすり抜けて来るのもある。 その度にブロックする条件を追加するのだけれど、段々と要領を飲み込んだ。 一番簡単なのは無料メールとHTMLメールを受信拒否するとよい。
 無料メールは元もと素性が怪しいから受け取ったら見ないでゴミ箱に捨てると云う人も多い。 HTMLメールはウィルスが潜んでいる可能性があるので、 以前から送らないのが常識で送ること自体が迷惑メールに類する。 だから迷うことなく、これらはブロックしている。 すると、効果覿面(てきめん)来なくなった。
'05年05月06日

PDF ファイル (続き)

 以前、PDFを作成するソフト Acrobat を購入しようかと思ったが、 値段が高い気がするので迷っていた。 Standard版が3万6千円、Professional版が5万7千円と云うのは値頃ではない。 気に入らないからその儘(まま)迷っていたら、 一年前にフリーソフトが現れたのでそちらを使うようになった。
 以来、記録しておきたいWebページなどはPDFに変換して残すようにしている。 特に、登録や申し込みをするときに入力したページを PDFに変換しファイルで保存することが出来るので便利に使っていた。
 先月、アドビ社は廉価版の Acrobat 7.0 Elements を発売した。 5千円なら安いから購入した。 Standard版に比べて機能がどれほど落ちるのか少し気になったが、 不満なら後でアップグレードすればいい。 アップグレード価格は5千円ほど安いので、はじめからStandard版を買うのと値段に違いはない。
 さて、使ってみた感想である。 PDFは本来、元の文書の書式や体裁をその儘保持し印刷するソフトである。 だから、用途に応じて品質とファイルのサイズを選んでPDFを作成出来る。 フリーソフトとの違いはこの点だけで、 どんなPC環境でも正確に表示・印刷したり、 或いはメールに添付するのに出来るだけサイズを小さくしたい場合は Elements版は価値はある。 しかし、ただ表示するだけでいいのならフリーソフトで充分である。 だがPDFを直接編集するには、Standard版でないと出来ない。 当分はElements版で我慢していようと思う。
'05年05月04日

PDF ファイル

 アドビ社のPDFは電子文書として最も成功したソフトだと思う。 ワープロ・ソフトは複数のメーカーがあり、 それぞれ違う仕様のファイルなので互換性の問題がある。 それに対して、PDFは唯一のファイル形式に標準化されているから互換性の問題がない。
 成功したのは閲覧ソフト Adobe Reader を始めから無償で提供したからで、 今では全てのパソコンに入っている。 ほとんどのマニュアルはPDFで提供されて電子文書の標準になっている。
 PDFの閲覧ソフトは最初は Acrobat Reader と呼んでいた。 確か94年に現れた。 当時ニューヨークタイムズは新聞のダイジェスト版をPDFを使って新聞紙面のような体裁で提供していた。 その写真付きの新聞を見るのに閲覧ソフトを知ったし使っていた。 今と違ってその時分は、ニューヨークタイムズが紙の新聞から電子出版事業への転換を試行していたときで、 ダイジェスト版は無料でダウンロード出来た。
 朝日新聞はニューヨークタイムズの真似っ子だから、 ホームページを写真付きの新聞紙面の様にした。 気に入って私は毎朝欠かさず見ていた。 あれはよかった。 それが何年か前に止めてしまったので、朝日新聞のホームページは見なくなった。 何だか話が他の方に飛んでしまった。 続きはまた今度書こう。
'05年05月03日

タイミング

 日経新聞の土曜の朝刊は「NIKKEIプラス1」と云う生活情報紙が付いている。 その中の仕事常識と云う欄は、先週の予告では「通勤電車で座るには」と云うテーマの筈だったが JRの列車事故で、「仕事に役立つ魔法のひと言」に変更されていた。
 営業で顧客を5時に訪問するときに、 そのアポイントを取る際は「5時3分に伺います」と切り出すのが魔法のひと言だとか。 「5時ちょうど」ではなく、まして「5時ごろ」でもない。 細かな数字を上手に取り入れることで強く印象づけられ、 しかも5時3分ジャストに訪ねれば、時間に正確だと信頼感も高まるらしいが、本当だかどうだかは知らない。
 人を訪ねるときに、時間より少し前がいいのか、それとも時間ちょうどかと迷うことはある。 尤も、時間ちょうどと云うのは少し前と余り変わりはないのである。 しかし相手にもよるけれど、時間より遅れた方がいいなどと思ったことはないようである。
 ドイツ文学者、高橋義孝の随筆「実説百閒(ひゃっけん)記」に、内田百閒を訪ねるこんなくだりがある。 「先生のお宅へは度々呼ばれて御馳走に与(あずか)った。 六時に来いと云われるので、六時五分前位に伺うのが礼儀だろうと考えて、 六時五分前に伺ったら、そんなに早く来られてはこっちの手順が狂ってしまうと叱られた。 その次には、ではとばかりに六時五分過ぎに伺ったら、 遅刻されては困る、六時から六時五分までの間の、 まだかまだかの苛々とした緊張はからだによろしくない。 何だ、この糞じじい、こんどはプンクト六時に行ってやるぞと、 その次には六時かっきりに門を叩いたら、そんなにぴしゃりと来られては、 びっくりしてしまうではありませんか」と。 百閒先生では難しい。
'05年05月01日

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