チューチューロケット

セガのDC製造中止の報道の直後にこのタイトルの発表があったのには少なからず衝撃を受けました。だって、GBAと同時発売ってことは少なくともかなり前 (それこそ半年以上は) からGBAに参入の意思を伝え開発を開始してたってことですからねぇ。そんなに前からDC撤退を決めてたんだとしたら、ユーザー (というか株主の方が影響は大きいか) に発表すべき・・・というか何処かしらからそういう情報が漏れてきてもおかしくなかったのにそういう前触れが無かった (隠し通した) というのが脅威でした。もっとも、実際にGBAソフトの開発を行っていたのが外注だったとしたら話は別ですけどね。

しかし、チョット前までは任天堂のハードでセガのゲームが出るってだけで騒がれてたものですが (コラムスとか、サクラ大戦とか・・・ヘッドオンの時はそうでもなかったか (笑))、時代は急速に流れていますねぇ。そういや、サクラ大戦GBって最近大量に投げ売りされてますけど、やっぱりク○ゲーだったんですか?いや、この場合のクソ○ーってのは『いくらGBCで頑張っているとはいえ、GBCで次世代機のようなムービーや音声が出る訳無いって分かってるのに、その手の演出を目当てにゲームを買っているサクラ大戦ファンが買う訳無いじゃん、誰だこんな○ソゲーの企画を立てたヤツは』って意味です (笑)

さて、話を本題に戻しましょう。このゲームはDCでリリースされたモノをGBA用に移植したモノです。ポリゴンを使った格闘やらレースゲームなどのマニアックなゲームの中にあって、2Dで非常にチマチマしたネズミやネコ (には見えないんだけどね、一見しただけだと (笑)) 印象を受けるゲームですが、非常にルールが分かりやすくて多人数 (4人まで可) で盛り上がれるアクションゲームです。WEBやiアプリ用のゲームとしてリリースされていることからもルールの簡単さと面白さが分かってもらえるのではないでしょうか (もっとも、これらはその一端であるパズルモードだけなので対戦の面白さは分からないですが)。

フィールド上に矢印の描かれたパネルを置いてネズミ達 (チュ〜チュ〜) をネコさん (カプカプ) に食べられないようにロケットまで導くというのが基本ルール。矢印パネルは同時に3枚までしか置けない (4枚目を置くと最初の1枚は消える) ので闇雲にパネルを置けば良いという物ではないところがポイント。如何に効率良く自分のロケットにチュ〜チュ〜を導き、カプカプを相手のロケットに送り込めるか (ロケットにカプカプが侵入すると、ロケットに運んだチュ〜チュ〜の数が2/3になってしまう) が勝負です。もっとも、最初のうちは自分のロケットにチュ〜チュ〜を導くのでさえ一苦労。他人のことまでかまっていられないというのが実状でしょう (少なくとも私はそう (苦笑))。その上、フィールド上にはネコさん以外に様々なアイテム (良い効果をもたらすモノもあれば不幸をもたらすモノもある) があり、特にルーレットによるイベントは一発逆転のチャンス (場合によってはピンチ) をもたらします。特にこのGBA版では1人1台の画面を使って対戦することを活かした『夜になった! (自キャラの周囲の一部しか画面が見えなくなる)』などのGBAならではの新しいルーレットイベントが追加されていて単なるベタ移植じゃないのが良いカンジです。

今回の移植でエライと思うのは操作系に関する部分。オリジナルのDCは無闇にコントローラーが大きくて持ちにくい・・・なんてことはどうでも良くて (笑)、ボタンが4個以上付いていました。で、パネルを置くのもちょうど十字の位置にボタンが配置されていたので (N64におけるCボタン、PSにおける○△□×ボタンと同じ) 直感的に置くパネルを決めることが出来たのです。しかし御存知の通りGBAではL/Rも含めてやっとボタンが4個。普通に考えればA/B/L/Rにキーを割り当てるという風にすると思うのですが、そうなるとかなり難しくなるのは明らかです。そこで、ソニックチームが出した回答は、全く異なる3種類の操作パターンを用意すること。1つ目は、前述のA/B/L/Rにキーを割り当てる方法。最初は分かり難いけど、慣れれば1発でパネルが置けます。2つ目はAボタンと十字キーを押すことでパネルを置く方法。例えばAを押して十字キーの左を押せば左向きの矢印パネルが置けるというもの。かなり直感的に近く、慣れてくると1つ目と変わらないくらいの早さで置けます。3つ目はAボタンあるいはBボタンを押す毎に矢印の方向が変わるというもの。システムとしては一番単純明解で初心者向けなのですが、上向きの矢印が1回で出せる反面、下向きの矢印は3回押さないと出せないという欠点があります。ただ、カーソルを動かさないかぎりいつまでも方向転換が可能なので場合によっては (チュ〜チュ〜とカプカプの選び分けなど) 便利です。DC版で遊びまくってた人には違和感アリアリでしょうが、この仕様によりGBAでもかなり遊びやすくなったと言えるでしょう。GBAはボタンの数が少ないとかいう意見を良く聞きますが、作る側のアイディア次第で何とかなるという良い例ですね。ホント、ソニックチーム (つーか、セガ) の開発姿勢には頭が下がる思いです。

グラフィックに関しては、かなり良く出来てると思います。元々、ポリゴン使ってどうこうというモノではなかったし、ゲーム性を考えると多少変わっても問題無いと思ってたのですがここまで綺麗に仕上げてくれると嬉しくなります。動き自体もOK。昔のGBだったらどうだったかは分かりませんが、さすがに 32bit CPU を積んでいるだけのことはあります。これだけのキャラが出てきてもほとんど動作が重くならないのはサスガだと思いました (ハードの性能はもとより、セガの技術力もスゴイ)。さらにグラフィック関連で言えば、GBA版ではキャラエディットモードが追加されています。これはチュ〜チュ〜やカプカプ等のグラフィックを描き換えるモノで絵心のある人にとってはナカナカ楽しいモードになると思います (そういや、餅月あんこ仕様のチューロケってのがありましたね)。モバイルアダプタGBに対応して、グラフィックデータがダウンロード出来る仕様になっていればもっと良かったのですが。ただ、デフォルトのキャラデータのような凝ったモノは作れない (横向きの絵しか作れない) ので実際のゲームに使用するには不向き。横を向いているので左右に動くと思ったら上に動いたりする (横向きのまま上下移動する) のでゲームにならないのです (パズルモードなら何回かやれば動きを覚えちゃうでしょうけど)。あと、エディタの操作がチョット煩雑 (というか、直感的に操作が分かり難い)。まぁ、それでも自分が作ったキャラが動くというのはちょっと感動モノですね。

1人用には通常のバトルモードとステージクリアモードとパズルモードがあります。バトルモードは人数が集まれば4人まで、1人だけでもCOM相手に対戦することが出来ます。ただ、さすがに液晶画面が小さいだけに、このモードは非常に窮屈というか、かなり接近戦になるのがキツイですね (まぁ、キャラをコレ以上小さくする訳にもいかないし仕方の無いことではあるんですが)。バトルモードでは、ハンデも付けられますから経験の有無に関わらず白熱の対戦をすることが出来ると思います。

ステージクリアモードは、通常のルールに基づいてプレイし、条件を満たせばステージクリアになるモードです。たとえば、30秒以内に画面上のチュ〜チュ〜をすべてロケットに誘導せよ、とかカプカプに食べられないように脱出させよ、といった具合。基本的に制限時間があり、リアルタイムでコトが運ぶのでかなりの反射神経と頭脳が要求されます。このモードを全てクリア出来るくらいの実力があれば実戦でもかなり強いはずです。ほとんどクリア出来てない私は言うまでもなくヨワヨワです (苦笑)。ちなみに、このモードではA/Bボタンでパネルを回転させるキーコンフィグはちょっとツライかもしれません。時間制限は結構シビアです。もっとも、慣れないキーコンフィグでもたついてしまっては元も子もないですけど (笑)

DCのネットでも評判が高く、iアプリとしてもリリースされてるパズルモードは、ステージクリアモードと違い使用出来るパネルが制限されています。いってみれば詰め将棋ならぬ詰めチュ〜チュ〜といったところでしょうか?チュ〜チュ〜の本質を見極めるのに有効なこのパズル、今回なんと2500問も用意されています。1日に100ステージクリアしても1ヶ月近く遊べる計算になります (笑)。実際には1日に100ステージもこなせないでしょうからもっと長く遊べると思います。個人的には、これもモバイルアダプタGBに対応させて問題がダウンロード出来るようになっていればもっと良かったと思うのですが、まぁステージエディットモードが付いているので雑誌やWEBの問題を自分で入力して楽しむことも出来ますね (ある意味そっちの方が手軽で良いか?)。ちなみに、このパズルモードの2500問全部正解した人の中か抽選で10名にフロリダ旅行が当たるキャンペーンをやるらしいです (6月末まで応募可)。腕に覚えのある人は挑戦してみてはいかがでしょうか (私は最初っから諦めてます (苦笑))?しかし、セガはこんな事に金を使って大丈夫かね (96万円ってのが微妙)?!

DC版のサウンドってあまり真剣に聴いたことが無いので比較は出来ませんが、単純にGBAのサウンドとして聴いた場合、コミカルで良いサウンドになっていると思います。無論音源はPSGなのでFM音源とか、CDから再生される生音に慣れてる人にはショボく聴こえるんでしょうけど、GBで育った (?) 私としては非常に満足のいく作りです。数少ないPCMのチャンネルは音声に割り当てられているようです。ちゃんと喋るのもスゴイです (最初のソニックチームのロゴの所でも喋ってるって知ってた?ちょっと声がこもっちゃってるけど)。

まだまだ修行不足の私が言うのも何ですが、このゲームは間違いなく買い!です。1人用のモードも充実していますし、何より対戦が楽しいです (対戦する機会が無い人はちょっとオススメ度が下がるかも)。元々大きな画面で相手の動きを見ながら対戦するゲームなので個別に画面を持っていても大きなメリットは無いんですが (逆に画面が小さいのでツライ)、そこら辺セガはちゃんと分かっているというか、前述の『夜になった!』イベントなど個別の画面を使う意義をちゃんと見出しています。操作性に関しても完全とは言わないまでも新たな回答を示してくれてます。ここら辺のアレンジの上手さが、ただ単に昔のゲームをそのまま移植するような3流メーカーと違う所ですね。これからもセガにはハードの限界を引き出すのではなく、ハードの特性を活かしたゲーム作りをして欲しいものです。

そうそう、このソフトはチュ〜トリアルも良い味出してます。まだ見てない人はぜひ1度ご覧あれ。

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