トルネコの大冒険2アドバンス

チュンソフトの代表作不思議のダンジョンシリーズの第1作目トルネコの大冒険の続編であるトルネコの大冒険2がPSでリリースされたのが99年。それから2年経っているとはいえ、今年のアタマにGBで風来人のシレンGB2がリリースされていること&チュンソフトの開発期間の長さ (笑) を考えるとこんなに早い時期にGBAで不思議のダンジョンシリーズが遊べるのというのは奇跡です (ぉぃ)

とは言っても、まぁタイトルを見てもらえば分かる通りPS版のリメイクでまったくの新作ではありませんから開発に時間がかからなかったとも言えます (SFCやGBで任天堂のハードに対するスキルも高かったでしょうしね)。ただ、完全なベタ移植ではなくGBAに合わせてグラフィックの調整や、難易度のバランスの見直し、バグの修正 (壊れてしまう黄金のつるはしが壊れなくなった (笑)) など、きちんと調整している所はサスガです。ちなみに、私は不思議のダンジョンシリーズはシレンしかプレイしておらずトルネコに関してはSFCもPSも未プレイだったりします。そういう観点 (初心者が見たトルネコ、シレンとの比較など) からこのゲームについて書いていきたいと思います。

まず、最初に目に付くグラフィックから。さすがにGBAの液晶はキメが細かく非常に綺麗です。セーブ画面に出てくるクレイ人形のグラフィックなんかも良いカンジで表現されてます。モンスターがたくさん出てきてもGBの様にスプライトの限界でチラついて訳が分からなくなるようなこともほとんどありません。グラフィックに関しては最強に強まったカンジがします・・・が、やっぱりダンジョンの中が暗く感じるのがチョットねぇ。まぁ、明るいダンジョンというのも雰囲気出ないんで仕方ないとは思うんですけど。普段部屋で遊んでる分には特に問題は無いんですが、ちゃんと光源が確保出来ない乗り物の中とかではキツイです。1度部屋に入る前に入り口付近に何かが動いているのが見えたので銀の矢をぶちかましたらあっという間にトルネコの正面に来て1発で昇天させられました。そう、モンスターじゃなく店主のバーサーカーだったんですね (苦笑)。まぁ、これは極端な例としてもモンスターの姿が見えずに迂闊に突っ込んで先制攻撃をされてしまったという事態は良くありますね (Bダッシュを多用するのも悪いのかもしれないけど)。

あと、ちょっと残念だったのが、マップとメッセージの表示。両方とも半透明処理がされてないんでマップだと全画面、メッセージでも画面の下の方がまったく見えなくなります。まぁ、マップ表示に関してはそんなモノだと納得出来ないことも無いんですが (GBシレンの頃からだから慣れっこだしね)、メッセージの方はちょっとクセモノ。画面の下方約2キャラ分くらいが隠れることになるのかな?ま、それ自体は問題無いんだけど、レベルアップとかアイテムを拾うことでメッセージウインドウが開いた場合に、放っておいてもしばらくすればウインドウは閉じるんですが、当然みんなメッセージの早送りしてウインドウを閉じる為にAボタンをしますよね。そうすると、実はメッセージウインドウの下にモンスターが隠れていて (というか、すぐ近くまで来てるのを確認する間もなくメッセージウインドウが開いてしまって気付かなかったといった方が正しいのか)、うっかりボタンを押していると不意打ちを喰らってしまうということがあります。これは、メッセージウインドウが半透過処理されていれば回避出来ることであり、また非常に重要なことである為、技術的に難しくないんだったら是非とも実現して欲しかったところです。もっとも、前述のような場所で遊んでいる場合には半透過処理していても真っ暗で見えないという可能性はありますが (苦笑)

もうひとつの演出の要であるサウンドですが、コレは非常に良く出来ていると思います。CDから生音を垂れ流すのとは違ってそれなりにアレンジされてはいますが、雰囲気は出ていますし、レベルアップした時の音を聴くと『あぁ、ドラクエやってるんだなぁ』という気になります。町の広場、家の中、城の中、ダンジョン (洞窟や屋敷などでも違う) のそれぞれの場面で雰囲気にあった曲が流れてくるので非常に世界に入りやすいです。

次に操作性ですが、風来のシレンGB2ではGBAを使ってもイマイチな操作性でガッカリでしたが (GBAで遊ぶ時にコンフィグを変えるくらいは出来たと思うんだけどなぁ)、本ソフトではLボタンで全体マップの表示、Rボタンと十字キーの併用で斜め歩き、Rボタン単独だと方向転換、とGBのそれに比べるとかなり遊びやすくなっています。特にRボタンの存在意義が大きいですね。まぁ、願わくばGBA自体にあと2つボタンがあれば・・・という気がするのですが、まぁそれは言っても仕方の無いことですね。操作系に関しては概ね良好なのですが、ちょっと気になったのがBダッシュの挙動。GBシレンだとBダッシュしている時に何かに引っかかった時 (十字路とか)、Bボタンを離してもう1度押せば再びBダッシュが始まったんですが、本ソフトではそれではまったく動きません。止まった後はBボタンではなく十字キーをもう1度押し直さないとBダッシュしないのです。これはちょっと戸惑いました。というか、シレン歴が長いので未だに慣れません。コレってシレンGB以外はみんなそうなのかな?Bダッシュを多用する身としてはちょっと納得のいかない仕様です (ま、時間が経てば解決することだとは思うけど)。

操作といえばメニューでアイテムを倉庫に入れたり、売ったりする時に必要な物だけマークを付けて一度に扱えるようになったのは嬉しいですね。従来の1個ずつ選んで決定してっていうのを繰り返すのは結構タルイ作業でしたから。メニュー自体の階層も深くなく、必要な情報にすぐアクセス出来るので非常に良いと思いました。

ゲームの流れですが、前作を知らなくても特にストーリーに入っていけないということはなさそうです。もちろん、前作のエピソードというか隠しエッセンスが入っていて知らないと損をするという可能性もありますが、一通りプレイしたカンジでは特にそういう問題にはぶち当たりませんでした。ストーリー自体も結構やってることはハードなんだけど登場人物達の雰囲気というか、作品全体のテーマのせいか、全体的に和やかなカンジがしてとても良いです。シレンシリーズは結構殺伐としたカンジが強いんですが、トルネコではそういうカンジが無いです。まぁ、どっちが良いとは言えませんが (というか、どっちもそれぞれの個性だしね)。

シレンでもそうでしたが、不思議のダンジョンシリーズは最初から色んなダンジョンに行ける訳ではありません。本作でもそれは踏襲されているのですが、初心者をターゲットにしているというのもあるんでしょうか (PSで初めての不思議のダンジョンシリーズでしたからね)、とにかく最初はレクチャーも兼ねてかなり簡単です。つーか、わざと失敗 (ちなみに、7回連続でクリア出来ないと・・・) しない限り最初のダンジョンをクリア出来ない人はいないでしょう。そして、段々と潜れるダンジョンが増えていく訳ですが、ダンジョンごとにテーマが決まっていて、巻き物しか出ないとか、杖しかでないとか、はたまたお金しか落ちていないので必要なアイテムは店で買わなければならないとか、段階を経て使える物が増えていきます。これは、個々のアイテムの使い方や戦い方などを学習するには非常に有効な手法だと思います。おそらくこれまでに不思議のダンジョンシリーズで遊んだことの無い人でも無理なくゲームの楽しさを感じることが出来るのではないでしょうか?そして、段々とプレイヤーのスキルが上がっていき最終ダンジョンをクリア出来るようになったら今度はオマケのダンジョンの登場。本作では、ダンジョンが増えるだけでなくトルネコの職業を買えることが出来るのが凄いところ。商人として冒険する以外に、戦士として色々な技を繰り出して戦いながらダンジョンをクリアしていったり、魔法使いとして魔法を駆使しながら (というか、魔法以外使えない) 冒険することが出来るのです。ハッキリ言って色んな要素が詰め込みまくり状態。このゲームを骨の髄までしゃぶろうとしたら、それこそキャッチフレーズの1000回じゃ絶対に足りません。というか、生きてるうちに極めることが出来るのか?!ま、少なくとも私には無理です (苦笑)

さて、本作というか不思議のダンジョンシリーズでもっとも重要なこと、それはセーブ方式です。行動を起こす度に変わる状況を逐一セーブして、ほんのちょっとの失敗が命取り、というスリルがあるからこそプレイヤーは知力の限りを尽して作戦を練るし、力尽きてアイテムを失った時の言いようも無いくらいの脱力感を感じるのだと言えるでしょう (死に際の伝説もこういった仕様があってこそ)。GBやSFC、N64では半導体メモリの特性を活かしてオートセーブを実現していましたが、PSやDCなどの光ディスクではオートセーブに対応しておらず、階段ごとのセーブというちょっと面倒かつイマイチな (死ぬ前にリセットすればセーブ地点から復活出来るのかな?やったこと無いからちょっと分からないけどもしそうならすごく簡単になりそう) 仕様になっています。で、肝心のGBA版ですが・・・何もそこまでPS版を踏襲しなくても・・・そう、ダンジョン内は階段でのセーブしか出来ません。また、未クリアのダンジョンに至っては、トルネコの家でセーブしてダンジョンに潜れば力尽きて倒れてもリセットすれば、セーブしていた状態に戻るので何回でも成功するまで挑戦出来るというスグレモノ (ぉぃ)?ただし、一度でもクリアしたダンジョンではこの方法は使えませんけどね。あと、階段でセーブした場合、不正に電源を切るとセーブファイルが壊れてしまうので電池切れなどにはかなり注意しなくてはなりません。うーん、携帯機で遊ぶ意味が・・・。一応、レジューム機能が付いているので好きな時にゲームを中断することは出来るのですが、それでも何らかの拍子に電池が切れる可能性は無きにしもあらずですからね (カバンの中に入れてたら何かにぶつかって電源切れちゃったとか)。まぁ、フラッシュメモリは書込みが遅いのでオートセーブなんかにしてたらゲームにならないだろうし、揮発性のメモリ使うにはカートリッジが小さすぎてバックアップ電池が入らないとか色々あるとは思うのだけれど・・・。ゲームの本質に関わる部分であるだけにちょっと残念ですね。

こっからはちょっと雑誌のインタビューの受け売りですが、魔法使いになった時、PS版ではメガンテ使ってイチかバチかの経験値稼ぎが出来たらしいんですが、本作ではそれは出来なくなっているとのこと。また、吸出しの巻き物、分裂の壷というアイテムの無限増殖に欠かせないアイテムが出現しないらしいです。さらに、全シリーズにおいて普遍的とも思われた大部屋の巻き物&吹き飛ばしor場所がえという泥棒テクニックが本作では通用しない (バーサーカーの店主にはこれらの杖の効果が効かない) らしいです。これは厳しい!不思議のダンジョン経験者でも結構苦戦するのではないでしょうか?まぁ、私の場合はトルネコ未経験なのでPS版の恩恵云々というのはまったく関係ありませんけどね (笑)

とりあえず、一区切りつく所までクリアした訳ですが、ゲーム自体の手触りというのかな、やっててストレスが溜まるようなことはほとんどありませんでした。セーブの問題はあるにしろ、とにかく携帯機で気軽に不思議のダンジョンシリーズが遊べるのはやはり嬉しいですね。しばらくはトルネコの稼働時間が長くなりそうです。

P.S. 個人的には、サウンドノベルシリーズも出して欲しいところ。GBAなら電車の中とかでも単行本読む感覚で遊べると思うしね。

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かまいたちの夜アドバンス

チュンソフトの名を知らしめたサウンドノベルシリーズの第2作目かまいたちの夜。94年にSFC版でオリジナル、98年にPSでリメイクされ、その後ケータイとかパソコン版の発売に合わせ、本GBA版もリリースとなりました。GBAでは既にプレイノベル・サイレントヒル幽霊屋敷の24時間など、同種のソフトが発売されている訳ですが、それらのソフトの礎ともいえる本作品が果たしてどのようにリメイクされたのか、ファンならずとも気になる所でしょう。少なくとも私はPS版をプレイしていないので非常に期待していました。

GBA版は、SFC版よりも格段にグラフィックとサウンドが向上しています。実写取り込みの背景はより木目細かになり、サウンドも臨場感溢れるクオリティの高いBGMや効果音など迫力満点 (要ヘッドフォン!)。まぁ、ハードの性能を考えると当然かもしれませんが、数年前まで据え置き機で凄いと言われていたことが携帯機で出来るというだけで感動してしまいます。個人的には、カーテンがはためいていたり、シルエットが滑らかに動いているのを見てオォ!と思いました (いや、GBAならこれくらいのことは出来て当然なのかもしれないけれど (苦笑))

あと、グラフィック関連でいえば、画面の輝度と彩度を変更出来る機能が付いているのが、非常に嬉しい心遣いだと思います。どうしてもテキストとかぶってしまうので背景のグラフィックは暗目になっていますが (まぁ、ゲーム本編の雰囲気自体もあまり明るくはないんですが)、この機能を使えばユーザーの好みに合わせて画面を設定出来ます。ただ、DOOM に付いていた同機能に比べると、あまり劇的に変化するというカンジではないのが少々残念なところ。まぁ、あまり明るくし過ぎると今度はテキストが読めなくなってしまうという問題 (大き目のフォントで縁取りもされてるから全く読めなくなることは無いと思うけど) が出てきますけどね。

SFC版に比べて最も変わったのは、フローチャート機能が付いたことでしょう。これは既にPS版で搭載されていた機能ですが、物語の節目、あるいは選択肢のパートをフローチャートの形で表したもので、一度プレイした個所はフローチャート上で選択することによりすぐにその場面に移動することが出来ます。昔のサウンドノベルでは、選択肢までのスキップ機能が付いていましたが、それよりも洗練されたシステムと言えるでしょう。選択肢の表示では一度選んだ選択肢が色分けされているので、自分がどのルートでどういった結末を迎えたかも一目で分かります。この機能のもっとも便利な点は、シナリオ全クリアにかかる労力をかなり減らすことが出来ること。実際、SFC版では自分がどのルートを辿ったかを逐一チェックし、しかも新しい選択肢が出てきたらそれが出てきた条件も含めてさらにチェックし直さなければならず、全クリアするには (攻略本などを見なければ) 大変な労力を必要としました。まぁ、ピンクのしおり見たさに頑張った人はいたかもしれませんが (笑)、私は途中で挫折しました。一歩間違うと単にクリアをする為だけの作業になってしまいがちですが、逆に『この選択肢は選らんだっけ?』『次はこの選択肢だな』みたいなことにとらわれずに、純粋にシナリオを読むことに集中出来る (選択肢の分岐を後で簡単に確かめられる) という特長があります。コマンド選択方式のアドベンチャーゲームが出てきた時も否定する声が多かったですが、純粋にシナリオを楽しむという意味では少しでもユーザーに余計な負担をかけさせないシステムが重要なのはいうまでもありません。その意味で、本システムの採用は個人的には良かったと思っています。

もちろん、そういったシステムに耐えうるだけのシナリオが必要なのはいうまでもありませんが、本ソフトの場合はそういった心配は皆無。我孫子武丸先生のシナリオは本編だけでなくオマケというかアナザーストーリーのシナリオも力が入ってます。BAD END の終わらせ方も良く、この後どうなってしまうのだろう?とかTRUE END の場合はどういったストーリーになるのだろう?と思わせ、ついつい何回も読み返してしまう所はサスガといったカンジです。弟切草以降、色々なサウンドノベルが発売されましたが、コンシューマーに限っていえばこれほどクオリティの高いシナリオのゲームはあまり無いように思います (って、言えるほど遊んでないけどさ (苦笑))。ホラー仕立てで突拍子の無かった弟切草 (これはこれで好きなんだけどね、ゴンゲ〜とか (笑)) に比べても、サスペンス仕立ての本作はストーリーの流れが自然で非常に読みやすいです。もちろん、シリアスな本編にあってもおちゃらけた選択肢が用意されており (しかもリアクションも凝っている)、展開が単調になっていないのが良いところ。まぁ、細かいことを言い出すと矛盾とかも色々とあるんですけど (特にスパイ編の TRUE END とか)、それらをカンジさせないストーリー展開に時間を忘れて入り込んでしまうことでしょう。

操作性については、おそらくこれで何も問題はないというカンジのボタン設定になっています。個人的には、Rボタンで開くメニューをセレクトなり、スタートなりに入れ替えててくれると、片手で操作が出来て良かったようにも思うのですが、WSと違って横長のGBAの場合にはどうしても両手で持たないと納まりが悪いので (少なくとも私は両手で持って遊んでる)、ごく自然に使えるカンジです。

実際に遊んでみて不満に思ったことはほとんど無いのですが、とりあえずオートセーブに対応して欲しかったですね。まぁ、ゲーム中いつでもメニューを開いてセーブをすることは出来るのですが、電車を降りる時など急いでいる時にはセーブしないで電源を消してしまいがち (苦笑)。まぁ、エンディングを迎える毎にセーブするかどうか聞いてくるし、最悪の場合でもシナリオ一つ分やり直せば済む話では有りますけどね。

あと、やっぱりGBAでここまで出来るのだから、リメイクではなくて新作を遊びたかったというのが正直なところ (時事ネタとか、ハード上の制約でテキストが変更になっている部分は結構あるけど、本筋にはほとんど影響ない)。PS2持ってないしね>私 (苦笑)。会社の経営方針として、携帯機などへのリメイクで資金を貯えてメインプラットフォームの開発につぎ込むというのは分かるんですけどね。PS版のような追加シナリオがあれば少しはマシだったんですが・・・。とりあえず全てのエンディングを見て金のしおりを出したんですが、まだ選んだことの無い選択肢が残ってるので全チェック目指してみたいところ。なんか、ゲーム中に気になるメッセージがあったしね?!

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