悪役なのに主人公。ゴリラなのにネクタイ (笑)

ドンキーコング

Produced by (c) 任天堂
1994.06.14 発売 (\.3900)

任天堂躍進の立役者であり、代表作のひとつである (実際には池上通信機が開発したんだけど) ドンキーコング。実際、色んなカタチで任天堂のハードに登場しているゲームですが、意外にもアーケードの構成をしっかり持ち込んでいるのはGB版だけだったりします。


鉄棒を使って大車輪も出来る!!

ただ、オリジナル発表当時は新鮮だった4ステージ構成も、10年以上経った時点では特に驚きも無く、いくらGBとはいえそのままの移植では誰も振り向かないだろう・・・という判断があったのかどうかは定かではありませんが、本作にはオリジナルには無かった要素がたくさん詰め込まれています。まず、オリジナルの4ステージの他に100近いステージが付け加えられています。これらは単にデザインが変わっているというだけでなく、新たな仕掛け (叩くとハシゴや床になるブロックなど) や敵が加えられ、またアクションだけでなくパズル要素を含んでいるモノも多数あります。特に、ステージの出口を開けるためのカギはスタート時には出口から遠い所にあり、これを拾い出口まで運ばなければならないのですが、カギを持ったままではハシゴを登ることが出来ません。そのためにカギを放り投げて移動させるのですが、マリオの手から離れたカギは一定時間が経つと元の場所に戻ってしまいます。放り投げる場所はもちろんのこと素早く移動しなければクリアすることは出来ません (ここらへんの難易度が絶妙)。ともすれば、適当にブロックを動かしたり、穴を掘ったりするというような仕掛けを付け加えるだけでパズルアクションと銘打っているゲームもありますが、このゲームの場合にはステージ上の仕掛けだけでなく、徘徊している敵の存在にも意味があり、これら全ての要素を考慮に入れてクリアするというホントの意味でのパズルアクションに仕上げているあたり、さすが任天堂といったところでしょうか。


逆立ちキックでタルをはじいてコングに投げ返せ!

また、スーパーマリオシリーズでは多彩な才能を発揮しているマリオのアクションにも注目。従来はジャンプすることしか出来なかった (ハンマーを取れば敵を叩き潰すことが出来ましたけど) 彼が、本作ではバク転 (進行方向と反対のキーを入れると同時にジャンプボタンを押すとバク転して高いジャンプが出来る=ハシゴを使わずに素早く上の階に移動出来る) やモノを持ち上げる/放り投げる (ドラム缶などを持ち上げて投げつけるのはもちろん、ステージをクリアするためのカギを拾い、時には上に放り投げたりする)、逆立ちが出来るようになっています。特に逆立ちは、この状態でジャンプすると通常のジャンプよりも高いジャンプが出来る他、上から降ってくるタルなどの障害物をキックで弾くことが出来ます (移動速度は遅いけど横に移動することも可)。これらのアクションに関しても単に出来る、というのではなくステージをクリアするのに必要な要素として組み込まれています。もちろん、普通の操作でゴリ押しでクリアすることも不可能ではないのですが、これらのアクションを駆使して、スッキリとステージをクリアした時の楽しさというのかな?そういう操作の手触りの良さというのをカンジさせてくれるゲームです。しかも、最初から無理にそういったテクニックを使わせるのではなく徐々に操作に慣れさせていって、プレイヤーも気づかないうちに色んな操作をすることが出来るようになっているというゲームの作り方はサスガに任天堂といったところです。


まずは懐かしいステージをご堪能ください?

このゲームでは、ほぼ各ステージに1upアイテムが置かれ、またステージ内に散らばっているアクセサリアイテム (ハンドバック、帽子、傘) をすべて集めてクリアするとルーレットなどのミニゲームで一気に残り人数が増えるチャンスが用意されているので、滅多なことではゲームオーバーにならないのも良いところ。どうしてもミスしてゲームオーバーということを考えると難しいアクションをするにも気が引けるし緊張して失敗してしまいがちですからね。そういうメンタルな面でのフォローもサスガです。最初のオリジナルコングのステージを全てクリアしないと本編に入れないのがちょっと面倒なのと、ステージごとにセーブが出来ない (基本的にセーブポイントは4ステージごとにある) のがちょっと難点ですが、気になる点はそのくらいです。後にレア社から発売されたドンキーコングGBシリーズの方が有名ですが、個人的にはこのゲームの方が好きです。中古屋でも手に入れることは結構簡単ですが、loppi にも入っているのでお手軽に楽しみたい人は書き換えてみてはいかがでしょうか。


お買い得度:★★★★★(5)
マリオゲームに共通する操作することの楽しさを実感出来るゲーム
ただ、オリジナルのドンキーコングに期待すると肩透かしかも (苦笑)