【うる星−原作とアニメの間−】


 はじめに言い訳めいたことを書きますが、私は昨年初めて夏コミに行き、るーみっく関係の同人誌をある程度まとめて手に入れることができたのですが、それ以来、少し自身喪失気味です。それらの同人誌に見られるような考察の深さから見れば、私は感想文程度のレベルのものしか書けないということです。


 さて、今回は「うる星」です。

 私が、リアルタイムで原作を読んでいたころ、コミックスで言うと26,7巻のあたりから、週刊ペースという苛酷な条件の下で連載を長く続け過ぎたせいか疲れが見えてきたな、と感じるようになりました。

 そうして、27巻の「反省座禅会」を読んだ時、「これは、もう『うる星』そのものの連載終了が近いのではないか、と思うようになりました。

 それを感じたのは、最後のコマでのラムの「だっちゃ」という一言でした。

 るーみっくワールドの前に、それが登場する以前の(以降でもそれほど違いませんが)殆ど全てのコミックが色褪せて見えてしまう要素のひとつは、キャラクターの一人一人が極めて多彩な色を持っている世界か、単なる白黒の世界かというところにあると思います。
 しかし、その多彩さも高橋留美子個人の資質によるところが大きいので、当然波があるでしょうし、そのピークがコミックスで言うと18巻のあたりだと思うのです。
 そのピークが少しづつ下降線をたどって行き、遂にこのひとコマで、異星人であり強烈な個性を持っていたはずのラムが他のキャラクターたちと同化してしまい、同じ平面上に降りてきてしまったように私には思えたのでした。

 この「反省座禅会」がアニメ化されたのは、TVシリーズも最後に近い213話でしたが、これを見た時、原作が原作だけに余り期待してなかったのですが、良い意味で期待を裏切られ、大変嬉しかったのです。
 それは、最後の場面でのラムのセリフを変えることによって、原作で最もがっかりした部分が救われたからです。
 この「ハチャメチャ!ランちゃんの巨大人形!!」では、この場面を含め、かなり手が加えられていますが、それがことごとく良い結果をもたらしている希有な例であると思います。

つづく