◆History◆

1988年4月20日、北海道新冠、長浜牧場で産まれる。父シンボリルドルフ、母トウカイナチュラル。 馬主の内村正則氏は、当初はルドルフと同期のオークス馬トウカイローマンにルドルフを種付けをしようと考えていたが、ローマンが現役を続行することになったため、その妹のトウカイナチュラルに種付けをしたという。幼い頃は「きゅうりに4本楊枝を刺したような馬」「牧柵を飛び越えた」とか、有名な逸話がいろいろ残っている。 現役時代については、いろいろなところで語られているので、ここでは多くは語らない。ただ、記録にも記憶にも鮮烈に残る馬で、無敗で制覇したダービー、ルドルフ以来の勝利となったジャパンカップ、奇跡の復活の有馬記念、これらはいずれも人々に驚きと深い感動を与えた。 現在は社台SSで種牡馬生活を送っている。産駒は平成10年にデビュー。これまで3頭のGI馬を送り出す。とりあえず種牡馬としても成功といって良いだろう。あとはサイアーラインをつなげるための後継馬が欲しいところ。


◆血統◆

シンボリルドルフパーソロン
Partholon
Milesian
Paleo
スイートルナスピードシンボリ
ダンスタイム
トウカイナチュラルナイスダンサー
Nice Dancer
Northern Dancer
Nice Princess
トウカイミドリファバージ
Faberge
トウカイクイン


◆トウカイテイオー戦歴◆

日付開催 Rレース名性齢騎手斤量 距離 賞金 調教師TIME着差通過順3F体重 単勝
1990.12. 14名3 4R新馬牡2安田隆行541321 1着芝1800550(栗)松元省一1.52.9-0.7 7- 5- 337.9460260
1990.12.235京8 9RシクラメンS牡2安田隆行54963 1着芝20001300(栗)松元省一2.03.8-0.3 6- 5- 2---460540
1991. 1.191京7 9R若駒SOP牡3安田隆行55981 1着芝20001720(栗)松元省一2.01.4-0.4 5- 2- 2---460130
1991. 3.172中8 10R若葉SOP牡3安田隆行561041 1着芝20002200(栗)松元省一2.03.6-0.3 2- 2- 135.4460120
1991. 4.143中8 10R皐月賞 GI牡3安田隆行5718181 1着芝20009000(栗)松元省一2.01.8-0.2 7- 4- 236.7456210
1991. 5.263東4 9R東京優駿GI牡3安田隆行5720201 1着芝240012000(栗)松元省一2.25.9-0.5 6- 6- 336.0460160
1992. 4. 52阪4 11R産經大阪GII牡4岡部幸雄58821 1着芝20006400(栗)松元省一2.06.3-0.3 3- 3- 2---480130
1992. 4.263京2 10R天皇賞春GI牡4岡部幸雄5814141 5着芝32001300(栗)松元省一3.21.7 1.7 9- 3- 2---480( 1.5)
1992.11. 14東8 10R天皇賞秋GI牡4岡部幸雄5818151 7着芝20000(栗)松元省一1.59.1 0.5 3- 3- 238.0472( 2.4)
1992.11.295東8 10RジャパンカップGI牡4岡部幸雄5714145 1着芝240013000(栗)松元省一2.24.6-0.1 5- 4- 536.34701000
1992.12.275中8 9R有馬記念GI牡4田原成貴57165111着芝25000(栗)松元省一2.34.8 1.313-13-1235.5460( 2.4)
1993.12.265中8 9R有馬記念GI牡5田原成貴561444 1着芝250013000(栗)松元省一2.30.9-0.1 8- 4- 435.0474940


◆レース回顧◆

新馬(90年12月1日)
デビュー戦は12月の中京競馬。騎手は安田隆行。スタート直後外から被せられ後方からの競馬になったが、3コーナーから馬群をうまくさばいて直線は後続を引き離す一方。4馬身差をつける圧勝。なお、この日安田騎手はこの勝利も含め1日6勝の大記録を達成!

シクラメンSOP(90年12月23日)
格上挑戦ということもあり3番人気。直線ではイイデサターンと一騎打ちになるもラスト2Fを11秒1、11秒7でこなし差し切る。2連勝中のイイデサターンを並ぶところなく差し切ったあたり、「これはモノが違うのかな?」と思わせる一戦だった。

若駒SOP(91年1月19日)
スタートから好位につけ、3コーナーから先頭に並びかけ他馬を競り落とす。タイム2.01.4は当時としては驚異的。2着イイデサターン、3着ナイスネイチャ、4着シンホリスキー、5着ミスタースペインはその後いずれも重賞を勝ち、このレースのレベルの高さがわかる。今思えばテイオーの評価を定めた一戦だった。

若葉SOP(91年3月17日)
手薄なメンバーで勝ってくださいといわんばかりの一戦だった。4コーナーでは先頭に立ち、果敢に負かしにかかったシャコーグレイドを難なく振り切る。2着はアサキチ。なお、大川慶次郎はテレビの解説で「この一戦は勝つでしょうが今後は先細りでしょう」と言っていた。4歳のダービーまで大川の厳しいコメントは続く。

皐月賞GI(91年4月14日)
単枠指定され大外の8枠18番へ。相変わらずの早めの競馬で、直線では先頭に立つ。今回も楽勝と思いきや外からシャコーグレイドが強烈な末脚を伸ばし、これは交わされるかと思ったが、もういちど伸びて振り切る。ルドルフ産駒−シービー産駒のワンツーフィニッシュで、鈴木淑子大喜び。阪神3歳S・弥生賞馬のイブキマイカグラは直線で前が塞がり4着。牝馬ダンスダンスダンスが5着。

日本ダービー(東京優駿)GI(91年5月26日)
単枠指定でまたも8枠20番。中団より前を進み、直線で安田騎手が初めて真面目に追ったら伸びる伸びる。最内から出し抜こうとした岡部−レオダーバンなど問題にせずに3馬身差をつける圧勝。しかし、このときの無理がたたったのか、レース後、左後脚の骨折が発覚する。全治6ヶ月。安田騎手が直線で右ムチしか使わなかったことが故障の一因と非難され、テイオーより降ろされる原因となった。

産経大阪杯GII(92年4月5日)
今回から岡部騎手へ乗り替わり。追い切りに跨った岡部騎手の「地の果てまで伸びるようだ」というコメントはあまりにも有名。阪神競馬場が新装されて日が浅かったこともあり、タイムはメチャクチャ遅いが、追うところなく上がり3F35秒3は優秀。体重も20kg増えて、「ニューテイオー」を印象づけた。

天皇賞(春)GI(92年4月26日)
MT決戦、武−岡部決戦で盛り上がった一戦。今思えばなぜテイオーが1番人気になったのかよくわからない。4コーナーでマックイーンの仕掛けに応じて、テイオーが追いかけて仕掛けたのを丁度競馬場のモニターがとらえていたが、そのときの観衆のどよめきは今でも忘れられない。しかし、その早仕掛けがたたり5着に敗れる。2着にはカミノクレッセ。ここからカミノクレッセの悲劇は始まる・・・。 テイオーもその後宝塚記念を目指すが骨折が発覚。レース中とも言われるが、敗北とは関係ないだろう。

天皇賞(秋)GI(92年11月1日)
結果的には7着に敗れたが、休み明けが良くなかったというよりも、1ヶ月前の熱発の影響が大きかったようだ。また、スタート直後、他馬とぶつかりカァーとなってダイタクヘリオスと競りあってしまったのも良くなかった。これでテイオーも終わったという人もいたが、この最悪の条件の中でこれだけの競馬をしたことに次への復活の兆しを見るというのが正解だった。

ジャパンカップGI(92年11月29日)
久々に1番人気ではなかった。デキも決してよくはなかったが、テイオーの潜在能力と岡部騎手の腕で勝った一戦。直線ナチュラリズムを交わすまでの時間が長く感じられたこと!レースを勝った直後のラジオ短波の実況「岡部騎手、岡部騎手、珍しく右手が上がりました。岡部騎手、歓喜の右手が上がりました。トウカイテイオー、父ルドルフにつづきました。」は、名フレーズだと思うが如何。

有馬記念GI(92年12月27日)
私の記憶にほとんど残っていない一戦。岡部騎手騎乗停止で田原騎手に乗り替わるも、体重は減るしなんとなく勝てそうな感じではなかった。敗因はいろいろ取り沙汰されていて、虫下しの薬を飲んでいたとか、スタート直後に腰を捻って力が入らなかったとかあったが、体調不良であったことは間違いない。1着メジロパーマー、2着レガシーワールド。馬連は万馬券。田原騎手になったのも、彼がサンエイサンキュー舌禍事件でサンキューから降りて(降ろされて?)乗る馬がいなくなったことによる乗り替わり。サンキューはここから悲劇が始まるが、テイオーには1年後の奇跡の復活へつながる。

有馬記念GI(92年12月26日)
6歳の6月には3度めの骨折も判明し、結局復活できたのは1年後の有馬記念になってしまった。戦前評としては「休み明けの馬は勝てない」「年内未勝利の馬は勝てない」とか言われていたが、9月から帰厩して乗り込んでおり十分仕上がっていた。仕上がっていれば、能力は出走馬中No.1なのだから勝って当然。伝説はここに創られた。ここで引退していれば潔かったが、7歳時も現役続行することに決定。しかし、4度目の骨折もあり復活はならなかった。
田原騎手の勝利インタビューは涙々の連続。こんなに感情深い人とは知らなかった。インタビューの中で印象深かったのは「なぜガッツポーズをしなかったかというと、ガッツポーズをして、もしバランスを崩してどこかぶつけて怪我をさせてしまったら、関係者の方に申し訳ない」というところ。一流ジョッキーにしか言えないセリフだと思う。どうでもいいことだが、インタビュー中は「ホントに」を連発。「ホントに」は口癖なのだろうか。