至れりつくせりのパッケージツアーもいいけれど、列車やレンタカーを使って気ままに旅行をしてみてはいかがでしょうか。日本ではなかなか味わえない経験ができることうけあいです。(最近は観光地ならどこへ行っても日本人がいてなんとなく異国情緒がそがれてしまうので、「日本人のいないところへ行こう!」が合言葉でした。)
暇だけはある学生さんならいざ知らず、社会人やファミリーなら限られた時間を有効に使わなければなりません。日本にいる間に大体の計画だけは立てておきましょう。我が家の場合には、大体以下のような目安でやっていました。(下記の数値に対して、当方では一切の責任を持ちませんので悪しからず。)
- 街を観光するのに必要な時間は、ローマ・パリ・ロンドンなどの大きな街は1日、日本人が行くような有名な街なら半日、ガイドブックの片隅に載っているような小さな街なら2時間程度、気まぐれで立ち寄った小さな街なら30分〜1時間で見ておく。但し、博物館、美術館などの施設を訪れる場合はその時間は別途見ておきましょう。もちろん、昼食時間とかも別に見ておきますが、できるだけたくさん見て回ることを信条としていた我が家は、街中ならスタンドやマクドナルドなど、ドライブ中ならガソリンスタンド(ヨーロッパではコンビニ代わりの存在)でパンを買ってかじっていました。
- 移動時間は、電車の場合は時刻表を調べるしかないですが、車の場合は、高速を使うなら120km/時間、一般道路なら70〜80km/時間で見ておけばよいでしょう。但し、ドイツならその気になれば160〜180km/時間で移動できますし(2箇所観光して1000km移動などということも可能)、スイスの山岳地帯やノルウェーのフィヨルドを巡るなら、せいぜい50〜60km/時間で見ておく必要があるでしょう。
宿泊や交通手段の手配を出発前にやっておくか、それとも行きと帰りの飛行機以外は現地でやるか?その答えは、個人的ポリシーで決めればよいとしか言いようがありません。現地で物件を見ながら宿の人と交渉するのも一興だし、予め宿を手配しておいて宿を探す時間を観光に使うのも自由です。ちなみに、せっかちな関西人であり、短い時間であちこち回るのを信条としていた我々夫婦は、予め宿は予約しておくことがほとんどでした。最近はインターネットで結構小さな宿でも予約できますので、せいぜい使えば良いでしょう。中学生程度の英語力で十分。もし、名前の知られた高級ホテルに宿泊するのであれば、旅行会社経由の方が安いかも。レンタカーを使うなら、駐車場の有無もポイントでしょう。
列車の手配に関しては、TGVなどの長距離列車や夜行列車なら日本で予約するに越したことはない。短・中距離なら現地で買えばよいが、地方都市では英語が通じるとは限らない。レンタカーも、好みの車種があるなら事前に旅行会社やインターネットを使って予約しておけば無難でしょう。
列車の旅も良いけれど、高速道路の発達したヨーロッパではやっぱり車が便利です。とはいうものの、異国での車の運転はとても不安かもしれません。安全運転に自信があり、かつ、自分の腕を過信しないのであれば、レンタカーでの旅はいろいろな発見があるでしょう。
- ヨーロッパでは、まだオートマ車は一般的ではなく、小型車ではまずマニュアル車しか借りられません。オートマ車しか乗れない人は、日本で予約をしておく方が無難です。当然、左ハンドルなので、慣れるまで結構時間がかかるかも知れません。左手でシフトレバーを操作しようとして空振りしたり、方向指示器を操作しようとしてワイパーを動かしたりするのは覚悟。どうでもいいことですが、ヨーロッパには白い車はあまりいません。
- 交通ルールは、英国以外は右側通行であるのは当然ですが、大きくは日本と変わりません。但し、ロータリーと右側優先ルールが若干わかりにくいかもしれません。日本では右折の感覚になる左折においても、大抵が分離式の信号になっているので楽々です。一部の国では、赤から青に変わる前に赤と黄色が同時に点灯することがありますが、これは便利です。
- 右側優先は、優先道路または一時停止などの標識がない限り、交差点・十字路において右側から来る車が優先されるというルールです。前方の右手の路地から入ってくる車が見えたら、たとえ自分が大通りを走っていても先方が優先になります。但し、大通りであれば、大抵黄色のひし形の優先道路の標識があるので、これを見つけた場合は気にせずに信号だけ守れば大丈夫です。
- ロータリーは、信号なしで交差点の車が整理できるので、結構あちこちにあります。(特に英国には多い。)多くは標識を使ってロータリーにすでに入っている車を優先させるように作られてありますが、何も標識がない場合が曲者です。有名なのはパリの凱旋門のロータリー。交差する道の数が多く、車線が多く、車が多く、さらに右側優先です。どうなるかというと、ロータリーに入ると、右側優先でどんどん車が入ってきて内側の車線に追いやられ、ついには出られなくなるというものです。現地在住の日本人で半日ロータリーを回り続けた人もいるとか...
- 交通取り締まりは、あることは間違いありませんが、国によって違うようです。少なくとも、オランダには日本と同様かあるいはそれ以上の取り締まりがあります。オービスも結構あり、10kmでもスピードオーバーしようものならパチリです。(日本と異なり後ろから写真を撮られる。)でも、オランダ以外ではあまりオービスは見たことがないが...
- ガソリンスタンドは、まずほとんどがセルフ式です。ガソリンの種類(国によって名前が違う)を間違わないように入れましょう。入れ終わったらレジへ行って給油したノズルの番号を言って支払いをします。クレジットカードもほとんどの場合OKです。ヨーロッパのガソリンは、税金が多くかかっているので高いです。
- 高速道路は、国によって制限速度も料金の有無も異なります。ドイツ、ベネルクス3国、イギリス、北欧諸国は無料。その他は有料です。安全上の注意点として、ヨーロッパのトラックはリミッターがついており、80〜90km/hの速度しか出ませんが、トラック同士で追い越しをして道路をふさいでいる場合があります。そこにアウトバーンを180km/hrで快調に飛ばしてくると、見る見るうちにトラックが前方に近づいてきます。追突だけは注意しましょう。
- 最近はどうか知りませんが、ナビのような便利なものはあまり期待できないので、地図は予め現地で買っておきましょう。交通標識のわかりやすさは国によっても異なりますが、とりあえず"Center"に近い文字を探してその通りに進めば街の中に出られます。
- ヨーロッパの街は、一方通行が多いので、街に入ってからが大変です。私たちが重宝していたのは、ミシェランの赤い表紙のガイドブックです。(いわゆる星つきのレストランとかがのってあるやつ。)このガイドブックにある市街図は、一方通行とかパーキングの位置、ホテルの位置がわかるため便利です。ただし、結構高いので、年度の古いやつで安売りされているのを良く買っていました。
- 街中には大抵パーキングメーターがあるので、ちょっと立ち寄る場合はそこに止めるのが便利です。パーキングメーターの使い方は、車を止めたらチケットの販売機まで行き、止める時間に見合った分の小銭を入れてチケットを買い、それを車のボンネットの外から見える位置においておきます。但し、縦列駐車の技術が必要なことと、車に帰る時間を気にしなければいけないのが難点。それがいやな人は、立体パーキングに止めましょう。
ヨーロッパでは、銃で撃たれたりナイフで刺されたりすることはあまりありませんが、やはりこそ泥、車上荒らし、スリ、ひったくりの類はたくさんいます。特にパスポートを取られると目も当てられませんので、注意しましょう。帰国の前であれば、渡航証明書を大使館に発行してもらって帰る(これでも即時とはいかない)手もありますが、パスポートの再発行となると、数日は足止めを食らいます。(大使館または総領事館より日本の外務省本省に身分照会の電報を送り、それに対する回答が返ってきてから再発行をすることになります。)当然休日(日本の祝日も含む)があるとその分余計に時間を食いますので覚悟しなければなりません。外務省のホームページ等を参照して必要な情報を入手しましょう。<よもやま話>
べからず集
- パスポートなどの貴重品を自分の手の届かないところに置く
手が届かないところとは、自分の背中も指します。つまり、デイパックに入れておくのもだめということです。人ごみで後ろから近づかれて抜き取られたらおしまいです。日本人に非常に多いパターンは、ホテルに残したトランクにパスポートを入れていたとか、朝食の席とりで貴重品入りのカバンを置いていたとか、ホテルのフロントでチェックインの際に貴重品入りのカバンを置いていたとか、車の中に貴重品を置いて出かけたとか、現地の人から見れば非常識とも思える警戒心のなさが災いしていることがほとんどです。- 一人で人気のないところを歩く
これは危険なので絶対止めましょう。パリの地下鉄のエスカレーターとかも要注意です。グルになった犯人グループがターゲットの前後に乗り、前に乗ったメンバーが突然立ち止まって行く手をふさぎ、もみ合っている間に後ろのメンバーが金品をすりとります。このような場合の対処はなかなか難しいですが、予め、盗られても良いお金をわかりやすいポケット等に入れておくのも手かもしれません。下手に抵抗はしない方が身のためです。- 街角で話し掛けられて応じてしまう
良くあるパターンとしては...
- 声をかけられ、お友達になりお酒をおごってもらったら、睡眠薬で眠らされ、目が覚めたら身ぐるみはがれていた。これは、何故か男性の一人旅の人が被害者になるケースがほとんど。外人とお友達になると、国際親善をしているという錯覚におちいってしまうのか??
- 街角で道を聞かれたりして、それに応じていると、警官を名乗る人物がやってきて麻薬の取引の疑いがあるなどと言って財布を見せろという。財布を点検して返してくれるが、その間にお金が抜きとられている。これの対策としては、まず道を聞かれたりしても相手にしない(大体日本人に聞くこと自体怪しい)ことが一番だが、偽警官とおぼしき人物につかまったときは、警察署で話をするといってみるのも手かもしれない。
- これは有名な手口だが、つばやガムがアイスクリームを背中につけて、犯人グループのうちの一人が親切そうに「背中に何かついてますよ」と言ってくる。それに気をとられている間に別のメンバーが財布などをすりとる。この手口に対しては、とにかくその場を離れることが肝心。つけられた汚れは、後で自分でとれば良い。
- 数字のマジック?
外国人が手書きで書く数字は、とにかく日本人にはわかりにくい。特に"1"と"7"はかなり違います。クレジットカードの支払いなどの時はわからなかったら聞くくらいにしておいた方がよいと思います。また、日本では小数点は"."(コンマ)で、数字の区切りは","(セミコロン)ですが、ヨーロッパではこれが逆なので戸惑ってしまいます。1,200は日本では千二百ですが、ヨーロッパでは「いってんにゼロゼロ」になります。1.200なら逆になります。年月日は、日/月/年の順番に書き、日本と正反対になります。月をJanuaryなどの名前で書いてもらえば、誤解は防げます。- うらやましい休暇
2〜3週間の夏休みは当たり前のヨーロッパ人ですが、逆に、商店などは日曜は閉まってしまうなど、不便なこともあります。大きな観光地ならともかく、普通の街では土産屋も閉まっていることがあるので注意しましょう。ちなみに、正月は1月1日のみ休みで、2日から初出勤となります。