秋田家のヨーロッパ旅行記


−アイスランド−

極北の島、アイスランドの旅行記

<目次>
  1. まえがき
  2. 1日目:極北の島へ
  3. 2日目:ブルーラグーンとホウェールウォッチング
  4. 3日目:滝と間欠泉と地球の割れ目
  5. 4日目:大氷河と黒い砂浜
  6. 5日目:溶岩の風景と温泉プール
  7. 6日目:旅の終わり
<まえがき>
アイスランドというと、どのようなイメージをお持ちでしょうか。何か寒そうな島、というのが大方のイメージでしょうか。確かに世界地図を見ると、イギリスの遥か北方、北極圏のすぐ南側に位置する大西洋上の孤島で北海道+四国よりやや大きいくらいの島です。この結構な大きさの島に、人口30万人たらず、というとやはり極北の辺境なんだろうなと思えます。
さて、オランダ暮らしも3年近くなり、そろそろ帰国の時期が近づいていた1999年5月、突然家内が「アイスランドに行こう」と言い出しました。「じゃあ、行こうか。」確かに、ヨーロッパもあちこちに行って、そろそろ飽きが来ていたので、たまにはちょっと変わったところに行きたいと思っていたところでした。
でも、さすがに車では無理だし、旅行会社に頼まなきゃ、ということで、近くの旅行代理店に駆け込みました。実は、それまで我が家はちょっと手配のややこしい旅行は、アムステルダムにある日系の旅行会社に手配をお願いしていました。(英語のあまりできない家内でも対応できるように。)でも、普通日本人のあまり行かないところだし、オランダ人は旅行好きの上、ケチときているので、オランダの旅行会社の方が安く行けるかも、と思って近所の店に駆け込んだわけです。オランダの旅行代理店の店頭には、どこそこまでの航空チケットや航空チケット+宿泊のパック(大抵、7泊8日とかです)がいくらという紙がたくさん貼ってありますが、そのようなところに貼られている行き先のほとんどは、欧州や米国の大都市や、マヨルカ島やカナリア諸島などの南の島です。やはり、寒い国の人がわざわざ寒いところには行かない..本当にアイスランド旅行なんて手配できるのかと思いつつ、とりあえず、中に入って、順番待ちの番号札(日本の銀行にあるのと似ています。肉屋など、並んでモノを注文する店にも大抵あります。)をとり、あとはひたすら待ちます。結構待たされた後(オランダ人は質問魔なので、一人一人の接客時間がやたら長い)、カウンターに座り、「普通の人なら南の島へ行くんだろうけど、私たちはアイスランドに行きたいのです。」(今から思えば、なにもこんなに遠慮した言い方をする必要は全くなかった。)と言うと、なんと店員は、すぐパンフレットを出してきました。それは、アムステルダムから直行便でアイスランドに行き、首都レイキャヴィークのホテルで宿泊する(泊数は選択可能)というアイスランド航空のパッケージツアー。しかも、5泊しても値段も一人5,6万円程度。即決で行くことにしました。
さて、次は情報収集。といっても、市販されている日本語のガイドブックにアイスランドなどありません。(あくまで当時の話。)地球の歩き方もさすがにアイスランドは歩かないらしい。(確かにバックパッカ-の行けるようなところではない。)ここで頼りにしたのはやはりインターネット。これまでも、旅行計画に関しては、情報収集やホテルの予約など、ずいぶん助けてもらいましたが、サーチエンジンを走らせたところ、ちゃんとアイスランドの案内の日本語ページがありました。ありがとうインターネットとつぶやきながら、プリントアウトするが、問題は、地図が大雑把過ぎて紹介されている場所がどこにあるのかよくわからないことでしたが、それは現地で調べることにして、とりあえず旅立つことにしました。(ちなみに、このとき使ったPentium120MHzのWin95マシンは、我が家で隠居生活中です。)
コラム:アイスランド語のアルファベット
 上述のインターネットの情報では、地名はすべて日本語表記で書かれています。しかし、実際に使えるような地図は(少なくとも当時は)ホームページにはなかったので、現地で入手した地図と照合しながら観光ルートを決定しました。しかし、実はこれが大変。スカンジナビアの古い言語の系統を組むアイスランド語には、英語のアルファベットにない文字がある上に、とてもじゃないがローマ字読みできない地名がたくさんあります。このページにおいては、とりあえずアルファベット表記も入れていますが、英語のアルファベットにない文字は、以下のように斜体で表しています。
  • d:"∂"にアクセント記号(')がついたような文字。大文字は、"D"の縦棒の上にアクセント記号をつけたような文字。
  • p:"p"にそっくりだが、縦棒が上に突き出ている。
  • ae:aとeがひっついている文字。
その他にも、母音にアクセント記号がついたり、"o"にウムラウトがついている場合がありますが、これらは省略します。ちなみに、アイスランド人はオランダ人同様、英語が話せる人が多いので、会話に不自由を感じることはあまりありません。
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<1日目:極北の島へ>
この日の観光コース
オランダ・アムステルダム空港−アイスランド・ケプラヴィーク国際空港−レイキャヴィーク市内観光(ハトルグリムスキルキャ教会−シティーセンターオフィス)
アイスランドへは、アムステルダム・スキポール空港からアイスランド航空の中型ジェット機の直行便がほぼ毎日のように運行されています。この他にも、欧州の主要都市やアメリカからの直行便がかなりの便数出ています。なぜこんな小さな国に、と思うのですが、よく見るとアメリカ人が多く、欧州〜米国間の安い航空ルートとして結構人気があるようです。アイスランドは、欧州の西方に当たるため、夏時間では欧州大陸との時差が2時間あります。
1999年5月21日午後2時、我々はアイスランド行きの飛行機に乗り込み、約3時間半後、世界最北の首都であるレイキャヴィーク(Reykjavik)から西に突き出した半島の先端に近いケプラヴィーク(Keflavik)国際空港に到着。それほど大きな空港ではなく、欧州の地方空港といった感じの規模ですが、設備は整っています。そこからバスに乗って、約50kmの道のりをレイキャヴィークに向かいます。広くて気持ちのいい道路ですが、時々小さな集落が見える以外は、ごつごつした溶岩が一面に広がっています。1時間ほど走って、街が見えてきました。思ったより近代的で大きな街です。市内だけでアイスランドの人口の40%を占め、周辺部をあわせると、約2/3を占めています。ということは、他の広大なエリアの人口はたったの十万人ということになります。ホテルは、レイキャヴィークの国内線空港のすぐそばにあるアイスランド航空系のLoftleidirホテル。チェックインを済ませると、早速レイキャヴィークの市内観光に出かけました。既に当地時間で午後5時になっていましたのでちょっとした散歩という感じ。外に出てみると、冷たい風が吹きすさび、寒い!まだ、ハイシーズンである7〜8月より前なので、無理もないかも知れません。
ハトルグリムスキルキャ教会まずは、市内で最も目立つモダンな教会である、ハトルグリムスキルキャ(Hallgrimskirkja)教会(写真右)へ。レイキャヴィーク市街エレベーターで教会の塔に上って高いところからレイキャヴィーク市街を見渡してみると、まるでおもちゃのような感じで、やはり普通の欧州の街のイメージとはかなり違います(写真左、背後に見えるのはエーシャ(Esja)山)。教会を出て記念写真を撮った後、市街をぶらぶら歩きながらシティーセンターオフィスへ。ここは、首相の執務室らしいのですが、ほとんど普通の家です。ハーグにある日本大使公邸の方がよほど警備が厳重だと思われるくらいです。午後7時半ごろ、ホテルに戻って夕食。
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<2日目:ブルーラグーンとホウェールウォッチング>
この日の観光コース
レイキャヴィーク市内観光(市庁舎(チョルニン湖)−国立博物館−大統領のオフィス−国会議事堂−レイキャヴィーク港−ヘヴジーハウス−アゥルバイル民族博物館)−ブルーラグーン(温泉)−ホウェールウォッチングツアー
2日目からは、レンタカーを使うことにしました。赤い小型車を借りましたが、料金は距離併用制になっています。普通、欧州で小型車を借りると距離に関係なく1日5千円行くか行かないかぐらいなのですが、この料金体系だとかなり値が張りそうです。朝9時半ごろ出発して、市庁舎の近くに車を止めて散策。市庁舎は、チョルニン湖という小さな湖のほとりにごく最近建てられたガラス張りの近代的な建物で、チョルニン湖の周りはちょうどいい散策コースになっています。市庁舎と湖をはさんで逆側に当たる位置に国立博物館がありますが、残念ながら改装のため2000年まで閉館中でした。湖のほとりには、大統領のオフィスもありましたが、首相のオフィスと同様、「ただのお金持ちの家やん」と思わず言ってしまった位の建物です。湖を一周して市庁舎に戻って、その裏手に行くと、ちょっと黒っぽい壁の、この街にしては歴史のありそうな建物があり、これがアルシング(Alpingishus)と呼ばれる国会議事堂になります。これも、国会議事堂とはいえ、3階建てで窓が10個も並んでいないくらいの小さな建物です。これで、中心街の散策は大体終わったので、車で港の方へ行きました。港には、何故か小さな昔の蒸気機関車が展示されていた位で何もありませんでしたが、対岸にレイキャヴィークの街を眺められるポイントを発見しました。アゥルバイル民族博物館さらに海沿いを走っていくと、ヘヴジーハウス(Hofdi Munincipal Reception House)といういわゆる迎賓館(といってもこれもただの洋館にしか見えない)があります。ここは、1986年10月にレーガンとゴルバチョフの歴史的会談が行われた場所としても有名だそうです。レイキャヴィーク観光の仕上げは、郊外にあるアゥルバイル民族博物館(Arbaejarsafn,Reykjavik Museum)です(写真左)。ここは、アイスランド版明治村で、昔の民家などを集めて移築した屋外博物館です。
ここから、いよいよレイキャヴィークを脱出して、国道41号線を国際空港方面に向かいます。空港の直前を43号線に折れて、いよいよ本日のハイライトであるブルーラグーン(Blue lagoon/Blaa Lonid)に到着しました。ここは、天然温泉ではなく、地熱発電所において発電のためにくみ上げられた熱水を廃物利用した温泉です。温排水といっても約70℃くらいあるらしく、入浴できるのは排水口から離れた温度の低い部分だけだそうです。駐車場付近にもごつごつした溶岩の塊がたくさんあって、いかにもという雰囲気です。昼食としてパンを食べ、水着を着ていよいよ入浴です。ブルーラグーン写真右のごとく、「湯船」は非常に広大で、海水浴場のようにロープで入浴可能な場所が仕切られています。人口温泉とはいえ、単に溶岩のくぼみにお湯をためているだけなので、下はごつごつの溶岩で、ところどころに足が届かないところがあります。また、温度分布が非常に大きくて、ちょっと場所を動くといきなり熱くなったり、急に冷たくなったりします。同じ場所にいてもやはり熱くなったり冷たくなったりします。というわけで、あまり落ち着いて入浴できませんが、逆にいえばワイルドな気分が味わえます。一歩外にでるとむちゃくちゃ寒いので、ほとんど湯につかりっぱなしでした。お土産には、定番のお土産(我が家は、スーベニアスプーンと絵葉書とショットグラスを三種の神器と呼んでいます。)の他に、草津の湯の花よろしく売られていたブルーラグーンの湯の花を買いました。
次に、ケプラヴィーク(Keflavik)の街からホウェールウォッチングの船が出ているというので行ってみました。確かに、それらしい船はいましたが、遊覧船のようなチケット売り場があるわけでもありません。船のところにいる人に聞いたら、人が集まったら出るよというのんきな返事。とりあえず、近くのカフェでコーヒーを飲みながら待機していると、16時に出航とのこと。で、小さな漁船のような船に乗り込みました。強風の中、船は大揺れで長男の祥平はすっかり船酔いになり、船室でぐったり。肝心の鯨は待てど暮らせど出てきません。結局、2時間半粘ってくれましたが、鯨は見られずじまいで終わってしまいました。でも、半島の先の断崖絶壁の上にある灯台が見えたり、それなりにアイスランドの海を味わうことができました。
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<3日目:滝と間欠泉と地球の割れ目>
この日の観光コース
クヴェラケルジー−ケリズ火口湖−スカゥホルト−グトルフォス滝−ゲイシールの間欠泉−シングヴェトリル国立公園−クヴァルフィヨルズル・フィヨルド−アクラネース−レイキャヴィーク(クリングラン・ショッピングモール−ペルトラン)
3日目は、今回の旅行でもハイライトといえる行程を組みました。アイスランド島を一周する国道1号線を東に向かってスタート。ここは峠越えの道になりますが、最上部のあたりは雪景色になっていました。峠を降りるとそこはクヴェラゲルジー(Hveragerdi)の街(街といっても、集落にしか見えない。)。温泉(地熱)を利用した温室がたくさん見られます。暖流の影響で緯度の割には暖かいとはいえ、そこは溶岩に覆われた極北の島、ほとんど樹木は見られませんし、植物といえばところどころ草地が見られる程度。この国の農業は、アイスランドシープ(羊)に代表される牧畜と、温室で栽培される野菜で成り立っているのです。
ケリズ火口湖セルフォス(Selfoss)の街の手前で左に折れ、国道35号線をしばらく行くと、ケリズ(Kerid)と書かれた看板があり、ちょっと車を止めて奥まったところに入ると、見事なケリズ火口湖がありました(写真左)。インターネットの情報にはあったのですが、地図には載っておらず、どこにあるかわからなかったのですが、偶然に見つけることができました。写真でもわかるように、赤茶けた土と火口湖の濃い青色が印象的です。ちなみに、このあたりまで来ると、他の車はほとんど見られません。さらに35号線を進むと、スカゥホルト(Skalholt)の街に到着。ここのどこが街なんだ、というほど何もなく、1963年に建て替えられたという白い教会がぽつんとあるだけで集落らしきものさえありません。さらに35号線を走ると途中からなんと道がダートになってしまいます。グトルフォスの滝さらに358号線のダートの道を進んで、10時ごろにグトルフォス(Gullfoss)の滝に到着しました(写真右)。これは、黄金の滝という意味のアイスランドでも第1級の瀑布だそうです。といっても、駐車場、展示物がある小さな建物及び遊歩道が整備されているだけで土産物屋もないひなびた場所で、他の観光客は一組のみ。水は、ここしばらくの天気のせいか、写真で見るのとは違って土色ににごっていました。それでも、荒野の中の滝は、なかなか他所では見られない荒々しさを感じることができます。一通り、滝の周りを散策した後、35号線をしばらく戻ってゲイシール(Geysir)温泉地帯に到着しました。ストロックル間欠泉ここはいわゆる地獄谷のようなところで、荒野のあちらこちらから湯煙が上がっています。Geysirとは、英語のGeyserの語源にもなったアイスランドで最も有名な間欠泉です。今は、Geysirの活動は止まっていますが、傍らのストロックル(Strokkur)間欠泉は、数分おきに熱湯を噴出しています(写真左)。これを眺めていると、噴出前に温泉の水位が上下するのが見られ、なかなか飽きません。地球の息吹を感じることができる瞬間です。その他の泉源にもそれぞれ名前がついており、それらを散策して回るのも楽しいです。ここでは、ある程度の施設もあったので、昼食にしました。ドライブインなど全くないアイスランドの道では、気が付いたときに給油や食事をしておかないといけないようです。
12時半頃ゲイシールを後にして、35号線、37号線を西に向かい、途中から365号線に入りました。ここは、16kmの道のりですが、全線ダートの道です。起伏が激しい上に、あちらこちらに深い轍やくぼみがあり、気が抜けないドライブになりました。しかし、荒野の中のダートの道を行くのも、アイスランド旅行の醍醐味の一つといえるかもしれません。
シングヴェトリル国立公園14時頃、シングヴェトリル(Pingvellir)国立公園に到着しました(写真右)。ここは、西暦930年に世界最初の民主議会が開かれたという、シングヴェトリルの地球の割れ目由緒正しい史跡なのだそうですが、現在は、数件のファームハウス(写真にも小さく見えています)があるのみの、シングヴェトリル湖の湖畔に広がる荒野です。ここには、世界で2箇所しかないという地溝帯が地上見られる場所があり、まさに地球の割れ目を見ることができる場所ということができます。断層に沿って遊歩道が整備されており、雄大な景色を見ながら散策を楽しむことができます。これらの割れ目の中には、ちょうど人一人が入れるぐらいの小さな割れ目もあり、左のように「地球の割れ目に飲み込まれる子供」といった写真を撮ることもできます。ここには、ビジターセンターのようなところもあるので、ちょっとした休憩や買い物をすることもできます。
この日はまだ時間があったので、アイスランドで一番の高さを誇るグリムール(Glymur)滝を見に行くことにしました。36号線でレイキャヴィーク近郊まで出て、そこから1号線を北に上がり、さらに47号線でクヴァルフィヨルズル(Hvalfjordur)フィヨルドの奥まで行き、そこからさらにダートの道を山の方に入ります。しかし、道の行き止まりまで行っても、グリムール滝はまだかなり山に入っていかなければならないことがわかり、これはあきらめざるを得ませんでした。せっかくだからということで、47号線に戻り、アクラネース(Akranes)の街に向かいます。この街は、人口5000人ほどで、アイスランドではかなり大きな街の部類になります。といってもさしたる見所もないので、ちょっと休憩してからレイキャヴィークに戻ることにしました。
レイキャヴィークには、行きと同じく、47号線でフィヨルドをぐるっと回っても帰ることができますが、フィヨルドの入口に海底トンネル(有料)があったので、ここを通って約70kmほど近回りをしました。レイキャヴィークに戻ると、クリングラン(Kringlan)ショッピングモールや、ホテルのすぐ裏にある新名所ペルトラン(Perlan)を回りました。ペルトランは、小高い丘の上にある、宇宙ステーションをほうふつとさせる建物ですが、周りに5つの熱水タンクを従えており、ここに温泉から送られた熱水をいったん貯蔵して市内各地に供給しているそうです。
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<4日目:大氷河と黒い砂浜>
この日の観光コース
エイラルバッキ−セルフォス−セリャランスフォス滝−スコゥガフォス滝−氷河の先端−ヴィーク−ディルホゥラエイ−レイキャヴィーク
この日は、とにかく国道1号線を通って、アイスランドの南海岸を行けるところまで行くことにしました。8時ごろにホテルを出発し、エイラルバッキ(Eyrarbakki:これは34号線沿い)やセルフォス(Selfoss)といった小さな街に立ち寄ってから、1号線をひたすら南東に向かって走ります。セリャランスフォス滝10時過ぎに、まず最初の見所であるセリャランスフォス(Seljalandsfoss)滝に到着(写真左)。1号線からほんの少し入った場所にあります。この滝は、水量が比較的少ない滝ですが、滝の裏側に小径があって歩くことができます。スコゥガフォス滝セリャランス滝から30kmほどさらに東に進み、左に折れるとそこに、スコゥガフォス(Skogafoss)滝(写真右)があります。この滝は、非常にオーソドックスな形をした滝で、右側の道を登れば滝の上に出ることもできます。(子連れの身にはつらいのでそこまではしませんでしたが。)天気がよく、滝壷のそばに近づくときれいな虹が見えました。
さて、ここからは、とにかく行けるところまで行ってみようということで車を走らせたのですが、スコゥガフォス滝からいくらも行かないうちに、Solheimajokull氷河行きの表示がありました。地図で見ると、Solheimajokullとは、アイスランドで3番目に大きいミールダルスヨークトル(Myrdalsjokull)氷河から分岐していて海側に突き出している氷河であることが分かり、氷河の先端その1とりあえずこの221号線を入ってみることにしました。距離は短いが、ダートのかなり走りにくい道を入っていくと、果たして、行き止まりはまさに氷河の先端でした(写真左)。駐車場以外なにもありませんが、さらに徒歩で進むと、ついに氷河に触れることができるところまで来ました。氷河の先端その2氷河は泥を含んで決してきれいなものではありませんが、「雪が解けて川になって流れていきます」というキャンディーズの歌そのものの世界がそこにはありました(写真右)。氷河が川に変わる瞬間というのは、スイスやフランスのアルプスでも見ることはできなかったので、なかなか感動的な世界でした。おまけに、我々以外誰もいないというのも!
氷河を後にしてもう少し1号線を進むと、ヴィーク(Vik)という小さな街に到着。実は、そこまでほとんど食事にありつける場所もなく、既に13時になっていたので、とりあえず食事にしました。ここからは、車輪つきの水陸両用の遊覧船が出発しようとしており、祥平が乗りたがっていたのですが、とりあえず食事を優先させました。食事後、遊覧船の運転手に聞いてみると、お客が集まったらもう一回行くつもりというのでしばらく待っていましたが、ディルホゥラエイの海岸客は一向に集まらず、運転手はあきらめて今日は帰るといって帰ってしまいました。アイスランドでのアトラクションは乗れるときに乗っておけというのがここでの教訓でした。仕方なく、この当たりの海岸線の景勝地を回りましたが、最も有名な景勝地であるディルホゥラエイ(Dyrholaey:アイスランド島最南端にあたり、穴を持つ巨大な断崖)は、海鳥の繁殖期につき近づけず、仕方なく回りの奇岩のある海岸で記念写真を(写真左)。この辺りの砂浜は、もともと溶岩なので、黒い砂でできています。さらさらで粒のそろったきれいな黒い砂で、これも他所ではなかなか見られないものです。この段階で15時過ぎており、さすがに、これ以上先に進むことは断念してレイキャヴィークに向かってひたすら戻りました。
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<5日目:溶岩の風景と温泉プール>
この日の観光コース
 レイクホルト−フロインフォッサルとバルナフォス−デイダルトゥングフヴェル温泉−ボルガルネース−エルドボルグ−グトルボルグ−レイキャヴィーク温泉プール
アイスランド旅行も実質最終日。この日は、島の西側を北に上がって行くコースを取りました。レイキャヴィークからまず国道1号線に入り、前々日も通ったクヴァルフィヨルズル・フィヨルド下のトンネルをくぐり、さらに30kmくらい北上すると、ボルガルフィヨルズル(Borgarfjordur)・フィヨルドが見えてきます。こちらには、トンネルでなくフィヨルドを渡る大きな橋がありますが、それは渡らずに53号線から内陸部に入ります。またまた、道はダートになり、川の流路の関係で複雑になっている道をさらに内陸に進むと、8時半頃にアイスランドで最も歴史ある村の一つである、レイクホルト(Reykholt)に到着し、ひと休み。千年以上の歴史ある村とのことですが、やはり博物館も土産屋もレストランも何もありません。フォロインフォッサル滝というわけで、ちょっと写真を撮っただけでさらに518号線を奥に入ると、フロインフォッサル(Hraunfossar)の滝(写真左)に到着。バルナフォッサル滝この滝は、溶岩台地の割れ目から湧き水が川に流れ落ちる珍しい滝です。ここも、駐車場と遊歩道があるのみで、売店も休憩所もなにもありません(写真右)。川沿いを少し歩いて上流に行くと、そこには、子供達の滝という意味のバルナフォッサル(Barnafossar)という名前通りの小さな滝がありました。
30分くらいこの辺りを散策した後、川の北側の道を海側に戻っていくと、あちこちから湯煙が上がっている場所があります。ここは、世界最大級の湧出量を誇るといわれているデイダルトゥングヴェル(Deildartunguhver)温泉があります。温泉といっても、もちろん旅館があるわけでも、露天風呂があるわけでもありません。デイダルトゥングヴェル温泉源泉目立つのは、源泉のあるところで、溶岩の間からぶくぶくと煮えたぎる温泉が湧き出しています(写真左)。看板の説明を見ると、この湯は、近くの街までパイプラインを通じて送られ、暖房用熱源として利用されているらしいことがわかります。確かに、源泉の近くに、ポンプ室らしき施設があり、そこからまっすぐと彼方に伸びていく銀色のパイプラインがあります。写真の犬は、温泉の付近にいた犬で、おそらくこの施設の関係者の飼い犬だと思われます。とても人懐っこい犬で、我々ともすぐ仲良しになりました。
10時過ぎに温泉を出発して、ボルガルフィヨルズル・フィヨルドのほとりにある街、ボルガルネース(Borgarnes)に到着。ここは、小さいながらも街らしいところ。ここから、54号線を北に向かって40kmほど走り、フナッパダールル(Hnappadalur)谷の一帯を目指します。グトルボルグ溶岩塔この辺りは、見渡す限りの溶岩原になっており、草木もあまり生えないようなところです。ちょっと大げさに言えば、ここが地球かと思えるくらいです。ここには、いくつかのクレーター(溶岩塔)があり、中でも高くて形のよいエルドボルグ溶岩塔(Eldborg)が有名だそうです。我々も、この溶岩塔を目印にして走りましたが、歩かないと直近まで近づけないことがわかり、小雨のなかかすんで見える熔岩塔を遠目で見るだけで我慢せざるを得ませんでした。他にもいくつかの溶岩塔がありましたが、グトルボルグ溶岩塔(Gullborg)(写真右)は車ですぐそばまで近づくことができました。柱状の岩石でできた一風変わった溶岩塔です。この辺りで昼時になったので、レストランや売店を捜しましたが、例によってどこにもなし。(レストランらしきとこもあったが、開いていませんでした。)仕方なく、元来た道をひたすら戻って、ボルガルネースの街で昼食をとりました。
レイキャヴィークに戻ったら既におやつの時間といったところでしたが、最後に、市内の温泉プール体験をしようと出かけました。レイキャヴィーク市内には、こんなに寒い土地にもかかわらず、温泉を利用したプールがたくさんあります。レイキャヴィークの温泉プール最初は、市内で一番大きいLaugardalslaugというウォータースライダーのある温泉プールに向かったのですが、残念ながら当日は休み。そこで、Sundlaug Reykjavikという比較的こじんまりとしたプールに行きました(写真左)。しかし、天気は良いものの、やはり強風が吹きすさび、寒い...水は温かくても、ちょっとでも水から出るとどんどん体温が奪われていきます。但し、そこは考えたもので、プールサイドにホットポット(Hot Pot)という小さな丸い湯船のようなところに湯が蓄えられており、そこで体を温めてから泳げば何とか耐えることができます。プール好きの祥平は、ここで泳いで、さらにホテルに帰ってからも泳いでいました。ここでレンタカーは返却。走行距離はトータル1300km。距離に比例する分を基本料金に加えて払わなければならないため、レンタカー代はかなりかさみましたが、借りたときは走行距離も少なく新品同様の車が、ガタガタのダート道を散々走って泥だらけになっているのを見ると、レンタカー代が高いのもさもありなんと思われました。
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<6日目:旅の終わり>
アイスランドからオランダに行く航空便は、午前中の1便のみ。というわけで、最終日は朝5時半のバスでホテルを出発し、昼過ぎにはオランダに帰ってきたのでした。(ちょっと何かもったいない気がしました。)


今回、我々が回った範囲は、アイスランドの南西部に当たる約4分の1の範囲だけです。今回我々が回った以外にも、南東部にある欧州最大の氷河(欧州の他全ての氷河を合わせたより大きい)があり、スノーモビルのツアーがあったり、北部にも、火山に関連する見所がたくさんあります。また、アイスランドの本当の観光シーズンは7〜8月で、この時期には全く無人の内陸部を四輪駆動車で橋のない川を横切りながら縦断するツアーもあります。この島を訪れる日本人は、まだ年間千人とか二千人とかのオーダーであり、普通の旅に飽きた人には結構穴場ではないかと思います。
なお、我が家は、レンタカーであちこち回りましたが、観光シーズンには、Reykjavik Excursionsというレイキャヴィークを基点とする日帰りツアーがあちこちに出ています。(飛行機で島の北側まで行くツアーもあります。)実は、上記のコースも現地で手に入れた日帰りツアーのコースを参考にしています。


上記旅行のコース図はここをクリック
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