[電磁波ノイズが音に及ぼす影響]

[フーリエ変換が原点]

スマートフォン等(スマートフォン、ポータブルデジタルオーディオ、タブレット端末、ブルートゥーススピーカー、ブルートゥースヘッドフォン、 ブルートゥースイヤホン、ノート型パソコン)は機器内部で電磁波ノイズを発生しています。
また、AC電源を使用している音響機器(CDラジオ、CDラジカセ、ラジカセ、コンポーネントオーディオ、ミニコンポ、CDプレーヤー、DAC、プリメインアンプ、 プリアンプ、パワーアンプ、レコードプレーヤー、DVDプレーヤー(レコーダー)、Blu-rayプレーヤー(レコーダー))も電磁波ノイズを発生しています。
AC電源にはACをDCに変換するスイッチング電源も含みます。これらは半導体、真空管で製作した音響機器にかかわらず、AC電源を使用している限り、電磁波ノイズを発生しています。
電磁波ノイズは音に悪い影響を及ぼし、音は解像度が小さくなり、鮮明さと透明感がなくなってしまいます。
私たち人間が聞き取ることができる音の周波数は20Hz~20KHzです。電磁波ノイズは20KHzをはるかに上回る超高周波です。超高周波を聞き取ることができないので、 電磁波ノイズが入っていても、音には関係ないだろうと思われます。しかし、この電磁波ノイズは大きく音に関係しているのです。
フーリエ変換理論によれば「時間の経過とともに変動するデジタル信号、アナログ信号の波形は大きさと周波数の違うサイン波の集合体で構成されている」。この理論が原点です。
フーリエ変換理論によると音楽のような複雑に変動する波形も大きさと周波数の違うサイン波の集合体で構成されていることになります。
フーリエ変換の代表例は周期性のある矩形波(パルス波)は基本波のサイン波と奇数倍の周波のサイン波の集合体で構成されていることです。 ただし、波形が対象で、デューティ比(パルス信号が値をもつ区間の長さと周期の比)が50%の場合です。
公式は次のとおりです。

(※ ジョゼフ・フーリエ 1768~1830 フランスの数学者・物理学者 フーリエ変換理論の詳細は、他の資料を参考にしてください。ここでは省略いたします。)

フーリエ変換公式

フーリエ変換の矩形波(パルス波)の公式

例としてn=1からn=11までのサイン波を合成しますと次のようになります。
nの数を増やしていけばより矩形波に近づいていきます。

フーリエ変換矩形波

矩形波(パルス波)は基本波のサイン波と奇数倍の周波のサイン波の集合体で構成されている

このように、デジタル信号は基本波のサイン波と数多くの高周波、超高周波のサイン波の集合体で構成されていることを理解することが必要です。
スマートフォン等ではデジタル信号を取り扱っています。デジタル信号は矩形波です。周波数は1.5GHzを超えています。
スマートフォン等では性能を高めるため、デジタル信号の周波数を高めています。超高周波です。
基本波のサイン波の周波数が1.5GHzとした場合、4.5GHz、7.5GHz、10.5GHz、・・・・のサイン波が含まれ、更に多くの高周波、超高周波のサイン波が含まれています。
音声信号の波形は複雑です。低音から高音まで入り混じっており、時間の経過とともに周波数と大きさが異なります。
私たち人間が聴くことができる音の周波数は20HZ~20kHz位ですが音声信号の波形には数多くの大きさと周波数の異なるサイン波でできています。
ここで注視しなくてはならないことは数多くのサイン波には20kHzをはるかに上回る高周波、超高周波のサイン波が含まれていることです。
次のような音楽の波形があったと仮定します。
これは、人工的に作りあげたものです。

音楽波形

例 音楽波形

この波形を分析しますと次のようなサイン波の集合体で構成されています。

音楽波形分析

音楽波形も大きさと周波数の異なるサイン波の集合体で構成されている

基本波のサイン波の周波数を10kHzとすると20kHz、50kHz、70kHz、90kHz、140kHz、190kHzのサイン波で構成されています。
音楽信号は20kHzをはるかに上回る高周波、超高周波のサイン波が含まれていることを理解することが必要です。

[電磁波ノイズがデジタル信号、アナログ信号に及ぼす影響]

電磁波ノイズは高周波、超高周波のサイン波です。
はじめにデジタル信号に電磁波ノイズが入るとどのように変化するか見てみます。
先の例のデジタル信号に電磁波ノイズを加えてみます。

電磁波ノイズ

矩形波(パルス波)に電磁波ノイズが入った状態

電磁波ノイズは偶数倍の1/16sin(16x)のサイン波です。周波数は24GHzです。
矩形波の上辺、下辺の波が大きくなっています。一つだけの電磁波ノイズですがこのように波形を変えてしまうほどの影響があります。
数多くの電磁波ノイズのサイン波が入ってくれば、影響は甚大のものなってしまいます。
次に音楽信号に電磁波ノイズが入るとどのように変化するか見てみます。
先の例の音楽信号に電磁波ノイズを加えてみます。

音楽波形のノイズ

音楽信号に電磁波ノイズが入った状態

電磁波ノイズは1/10sin(10x)のサイン波です。周波数は100kHzです。
先端部分が僅かですが尖った形になっています。これも一つだけの電磁波ノイズですがこのように波形を変えてしまうほどの影響があります。

電磁波ノイズの発生要因

急激に変化する電流は電磁波ノイズを発生します。
矩形波は急激に立ち上がり、立ち下りますから電磁波ノイズを発生します。周波数が高くなればなるほど電磁波ノイズは大きく発生します。
デジタル信号は矩形波ですから電磁波ノイズを発生します。

電磁波ノイズ

矩形波は電磁波ノイズを発生する

次の音響機器はデジタル信号を取り扱っていますから電磁波ノイズを発生しています。
スマートフォン、ポータブルデジタルオーディオ、タブレット端末、ブルートゥーススピーカー、ブルートゥースヘッドフォン、ブルートゥースイヤホン、 パソコン、ポータブル録音機、パソコン、CDプレーヤー、DVDプレーヤー(レコーダー)、Blu-rayプレーヤー(レコーダー)。
スイッチング電源、DC-DCコンバータ、モータを駆動するインバータも矩形波を取り扱っていますから電磁波ノイズを発生しています。
AC電源アダプターやスマートフォン等の充電器もスイッチング電源ですから電磁波ノイズを発生しています。
AC電源をDCに変換するときに使用する整流器においても電磁波ノイズが発生します。 順方向では電流がスムーズに流れますが逆方向では電流が遮断されてしまい、これも急激な変化になり電磁波ノイズが発生します。
整流器に使用されるダイオードはスイッチングの働きをしています。

電磁波ノイズ

整流器に使用されるダイオードはスイッチングの働きをしている

AC電源の音響機器はACをDCに変換するのにトランスと整流器を使用しています。
トランスでは電磁誘導を利用しており、電磁誘導ノイズを発生しています。併せて、電磁波ノイズも発生しています。
発生した電磁波ノイズは電源線とグラウンド線に載り、他の部品に伝搬されていき、拡散されていきます。
また、空中に放射され、広く他の部品にも伝搬されていきます。
AC電源を用いず、DC電源を使用すれば電磁波ノイズの発生を抑えることができます。
電磁波ノイズがなくなれば、音楽の原音の再生ができ、音はクリアになります。
ただし、DC電源を使用してもデジタル信号を取り扱っていれば電磁波ノイズの発生は抑えることはできません。

電磁波ノイズ

トランスと整流器が電磁波ノイズの発生要因となる

ACをDCに変換する機器としてスイッチング電源を使用することが多くなりました。100V・AC電源をDC5Vに変換するのに小型、軽量にできます。
しかし、矩形波を取り扱っていますから電磁波ノイズを発生しています。
電磁波ノイズは高周波、超高周波ですが実際にはどのような大きさで、どのような周波数なのでしょうか。
電磁波ノイズは広範囲の周波帯に及びます。取り扱う周波数が小さければ発生する電磁波ノイズの周波数は低く、高周波数、超高周波を取り扱って いれば、発生する電磁波ノイズの周波数は高いところまで及びます。
これを測定するのにスペクトラムアナライザがあります。電磁波ノイズだけではなくデジタル信号、アナログ信号に含まれるすべての大きさと周波数の違うサイン波を測定できます。

[スマートフォンについて]

スマートフォン等の内部で発生する電磁波ノイズは大きさが極小で超高周波の正弦波です。
スマートフォン等では電磁波ノイズを消去するためにLCフィルタ等を使用し、対策をしています。 しかし、発生する電磁波ノイズの周波数が超高周波になると消去するのが難しくなり、内部に保留されてしまいます。
電磁波ノイズがデジタル信号やアナログの音楽信号に入り込むと音楽の原音に悪い影響を及ぼします。音は濁り、透明感がなくなり、平面的な音になってしまいます。
電磁波ノイズは大きさが極小で超高周波の正弦波ですから私たちの耳には聞こえません。しかし、音楽として再生されるとその影響が出てくるのです。
音楽の構成波形に余分な超高周波のサイン波が加わるのですから当然、原音とは違った音になってしまうのです。
電磁波ノイズは音を悪くするのです。
[電磁波ノイズの拡散]
スマートフォン等の機器内部のある回路の部品で発生した電磁波ノイズは電源線とグラウンド線に載り、他の回路の部品に伝搬されて行き、拡散されていきます。

スマフォの電磁波ノイズ

電磁波ノイズは拡散されていく

[AC電源・音響機器について]

AC電源・音響機器の電磁波ノイズの発生要因は先に述べたとおりです。
CDプレーヤー等はデジタル信号を取り扱っていますから、AC電源部分とデジタル信号回路の2か所で電磁波ノイズを発生しています。
レコードプレーヤーはAC電源部分とモータ部分で電磁波ノイズを発生しています。
ここで発生した電磁波ノイズがアーム内の信号線を伝わり、カートリッジに伝わっていきますと電磁波ノイズが増幅されて、音は原音とは違った音になってしまいます。
特にMCカートリッジは発生する電圧が小さいですから電磁波ノイズの影響は大きくなります。
音は濁り、透明感がなくなり、平面的な音になってしまいます。
高価なMCカートリッジでも電磁波ノイズが載っていれば、電磁波ノイズが載っていない安価なMCカートリッジに劣ってしまう現象が生じてしまいます。
[電磁波ノイズの拡散]
AC電源部分で発生した電磁波ノイズは電源線、グラウンド線に載り、他の部品に伝搬されていきます。併せて、空中に放射され、広く他の部品にも伝搬されていきます。

[電磁波ノイズを消去する解決法]

スマートフォン等の電磁波ノイズ、AC電源・音響機器の電磁波ノイズは電源線とグラウンド線に載って伝搬していきますから、 電源線とグラウンド線から外部に吸収することが最善の方法です。
スマートフォン等の電磁波ノイズ吸収器とAC電源・音響機器の電磁波ノイズ吸収器は電磁波ノイズを電源線とグラウンド線から外部に吸収する構造になっています。

電磁波ノイズ01

電磁波ノイズ02

あづまオーディオ研究所