1.1 鮎の一生

 9月中旬から10月頃にかけて(地方によってずれがある)、小石まじりの砂地に、産み付けられた卵は2週間位で孵化する。孵化した鮎は川に流され、海にたどり着く。その後、翌年の3月頃まで海での生活が行われる。海のプランクトン等を食べ、3月末頃には5センチメートルから7センチメートル位に育つ。3月末頃から、河口から川の上流へ向かってのぼりはじめる。川へのぼりはじめた鮎は昆虫類を食べているが、次第に水アカを食べはじめる。鮎は年魚ともいわれる。一生を一年で終わるから、そういわれる。まれには一年で終わらず、次の年まで生きのびるものがおり、いわゆる越年鮎と呼ばれるものである。鮎は短期間のうちに大人になる。その成長は著しいものである。短期間のうちに大人になるには、豊富な餌が必要である。珪藻やらん藻である「水アカ」にはたんぱく質や脂肪が多く含まれており、栄養としては満点である。夏の日射しの強いときには、水温も上がり、食べつくしてもすぐに水アカが次から次へと生えだし、鮎の餌の補給には最適である。水アカを食べはじめると鮎の生長は1ヶ月で1寸、1日で1ミリメートル育つといわれる。7センチメートルで3月はじめ頃遡上した鮎はこの計算によると、8月頃には22センチメートルになる。実際には、1日に1ミリメートルよりも育つものもいて、この限りではないが、鮎の大きさのおおよその見当がつく。環境によっては、なかなか育たないものもいる。鮎の数と餌のバランスによって、生長は異なるようである。放流鮎においてはこのことが顕著に現れる。餌よりも鮎の数が多ければ生長も悪くなる。放流するときには、数を釣り上げることを優先するか、大きい鮎を釣り上 げることを優先するかのどちらかに分かれる。

図1.1.1 鮎の一生

 3月末頃から川をのぼりはじめた鮎は、餌が豊富にあるところを求めてどんどん上流へのぼって行く。良い水アカの付くところは、水がきれいに澄み渡り、水温も比較的高く、水が勢いよく流れている、石がゴロゴロしたところである。そのような場所を見つけると、そこに居つき、なわばりをもつ。後から来た鮎は先客がいると更に上流へとのぼって行く。7月、8月頃にはほぼ居場所も定まり、動きも活発になり、一気に生長する。この頃は、鮎の友釣りが最もおもしろいときである。鮎の闘争心が最も強くなり、元気のよい鮎が次々と釣れる。9月になると雌は腹が大きくなってくる。そして9月中旬から10月頃にかけて産卵が行われる。産卵が行われた後に、力を使い果たした鮎は、雌も雄も死んでしまう。鮎の死骸は川に流され、河口のヨドミに沈む。川の岸辺に寄せられた死骸は、トビ、カラス、サギ等の餌食になる。